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メディアへの対応のしかた
Working with the media

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2005年2月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)



 監督をしている自分の工場で災害が起きたとしよう。現場にはレポーターが集まってくる。このとき、監督者として知っていることを伝えるために取った行動、災害に対処するために会社が見せた姿勢は、事故のほとぼりが冷めた後も地域の人々の記憶に長くとどまることになる。したがって、嫌な人間を避けるようにメディアから逃げるのではなく、逆にメディアとうまく付き合って、伝えたいメッセージをきちんと媒介してもらう必要がある。シカゴのOSHA広報課(Office of Information and Public Affairs)スポークスパーソンのファン・サレノ(Juan Saleno)氏は、イリノイ州ネーパービルで開催された第16回シカゴランド安全年次会議(Annual Chicagoland Safety Conference)で、メディアを味方に付け、悪い噂が広がるのを防ぐために企業が取るべきステップについて、いくつかのヒントを提示している。
 サレノ氏によれば、恐れるべきものとしてではなく、単なる手段としてメディアを扱うよう、常に心がける必要があるという。「レポーターを敵として扱うと、悪いイメージを持たれることになります。自分が状況をきちんと把握していることを、正確な言葉で伝えるようにしてください」。サレノ氏は、危機発生時に従うべきステップを次のような簡潔なチェックリストにまとめている。

1 社内に緊急対策チーム(crisis team)を設ける。緊急対策チームは立場表明文(position statement)を用意し、レポーターが尋ねる可能性のある最も厳しい質問を想定し、社内でインタビューのリハーサルを行う必要がある。会社のスポークスパーソンになる人物を決めておく。
2 メディアからの電話での問い合わせに対しては、可能な限り迅速に折り返し電話する。こちらから電話をしないと、メディアはほかの情報源にあたって、そこから正確ではない情報が渡る可能性がある。
3 メディアとのやり取りの記録を残す。電話をかけてきたレポーターの名前、電話番号、電子メールアドレス、およびその他の情報を記録する。
4 噂や根拠のない主張を見つけたら訂正する。
5 状況をきちんと把握しておく。「ノーコメントと言ってはいけません。ノーコメントと言うことは、自分に非があることを認めることです。すべてを迅速かつ正直に語ってください」、とサレノ氏。
6 作成した声明がすべて完璧に正確なものであることを確認する。
7 メディアとのコンタクトを絶やさない。早めかつ頻繁なコミュニケーションを心がける。
8 メディアを注視する。メディアが伝えていることが実際に起こったものであることを確認する。不正確な部分があったら可能な限り速やかに訂正する。

 サレノ氏は、企業がメディアセンターを設置することを勧めている。メディアセンターは、一箇所でレポーター全員に対応するための場所であり、救命作業の邪魔にならない範囲で災害発生現場にできるだけ近い場所に置く必要がある。救急隊にスポークスパーソンがいるかどうかを調べ、会社の立場表明文と救急隊のそれとを擦り合わせる。不正確な情報や矛盾する情報を減らすために、メディアへの発言を救急隊と一緒に行うとよい。あらゆるメディアに対して同じ情報を提供することが重要である。
 災害発生直後は、地域への最新情報の提供は会社の責務である。その際、あたかも隠し事をしているかのような形で情報を提供してはいけない。レポーターに話せないことがあるなら、なぜ話せないのかを伝える。サレノ氏はいう。「弁護士が何も言うなと言うかもしれませんが、世論という法廷の場では、これがうまくいかない場合があります」。また、サレノ氏によれば、発生した災害について会社が憂慮していることを地域にわかってもらうには、可能な限りの地位の高い人物をスポークスパーソンとして起用する必要があるという。

メディアとのやり取りにおける禁止事項
  • 責任転嫁する
  • 状況を矮小化する
  • その場にいない人物の代理として話す
  • 批判に反応する
  • 事実に反する陳述をする
  • 推測で話す
  • 直接尋ねられていない情報について自分から話す
  • オフレコで話す