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警告:宙づりの状態が続くと命を落とすことがある
Warning: 'Hanging tough' can kill you

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2005年11月号 p.2)
(仮訳 国際安全衛生センター)


宙づりによる外傷性傷害は、起立不耐性(orthostatic intolerance)と呼ばれることもあり、墜落防止用ハーネスを着用している労働者が墜落して長時間宙づりになったときに発生する、生命を脅かす事態である。
  労働安全衛生庁(OSHA)によれば、宙づりになると、重力の影響と体を動かさないために血液は下肢にたまる。下肢に血液がたまると、全身を循環する血液の量が減り、心拍数が上昇して心臓発作を引き起こすことがある。また血流が滞るため、血液中の酸素の量が減って失神や腎機能障害を引き起こすこともある。
  オハイオ州ニューカーライルのコンサルティング会社、Safety through Engineering Inc.のマイケル・ライト(Michael Wright)社長によると、ハーネスを着用した労働者が墜落すると、腿の部分のストラップがちょうど止血帯として機能して、下肢とそれ以外の部分との血流が実質的にストップしてしまうという。労働者が救助され、ストラップが外されると、せき止められていた血液がどっと身体に流れ出し、頭部が溢血して脳卒中に至ることがある。
  OSHAによると、労働者がこうした状態にあることを示す症状および徴候は、失神、息切れ、顔面蒼白、のぼせ、心拍数増加、吐き気、めまい、および視力喪失である。
  ライト社長によれば、宙づりになった労働者を速やかに救助できるようにするための最善の方法は、宙づりになった労働者の救助方法について現場のあらゆるスタッフが訓練を受け、救助に必要なすべての機器を墜落事故の発生前に用意しておくことだという。
  有資格者は作業開始前に作業安全分析を実施しておく必要がある。職長または管理者は、高所作業を伴うあらゆる状況において、万一墜落が発生した場合に労働者を地上に降ろすのに必要なものは何か、あらかじめ把握しておく必要がある。
  まっすぐに墜落する場合で、その高さが地上数フィートまでの場合、踏み台があれば十分だろうとライト社長はいう。労働者がこれより高い場所で作業を行う場合で、労働者の足下に構造物や機器が何もないときは、架空リフトを用意しておく必要がある。高所で作業を行う場合で、労働者の足下に何か物があって架空リフトが近付けない場合には、高角度の専門的な救助機器を準備する必要がある。必要な機器はすべて作業開始前に配置し、現場のすべての関係者が機器をいつどのように使用すべきか知っておく必要がある。