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適切な個人用保護具で女性を保護するために
Help protect women with the right PPE

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2006年8月号 p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日2006.12.18

監督者の注意が必要な最新の動向に、女性向け個人用保護具の登場がある。製造業や建設業で重労働に従事する女性は、これまで一般に男性用の個人用保護具を着用してきた。従来、長靴、手袋、ハーネス、その他の保護具は女性用サイズのものが手に入りにくかったが、これはブルーカラーとして働く女性が少なく、単に需要が低かったからであった。しかし、そうした女性の比率もここ数年の間に大幅に変化した。労働統計局(Bureau of Labor Statistics: BLS)によれば、今や米国の建設業労働者の10%、製造業労働者の30%を女性が占めているという。

業務中に直面するハザードは女性も男性も同じであるが、適切な保護具がないために女性の傷害罹患率はしばしば高い。女性向け保護具に特化したオンラインショップ、Charm and Hammer社のオーナー、テリ・ピアセッキ(Terri Piasecki)氏は、大半の溶接用手袋は男性用の大きなサイズや特大サイズで作られているという。「自分の手には大き過ぎる溶接用手袋を着用した場合、女性はどうやって物を取り扱えばよいのでしょう。どうやったらしっかりと工具をつかむことができるのでしょう」、とピアセッキ氏はいう。

必要以上に大きな手袋は、手先の器用さを失わせるだけでなく、機械類の近くで労働する女性にとっては命にかかわる問題である。ピアセッキ氏は、だぶだぶの手袋はコンベヤーベルトやレバーにひっかかりやすく、もしそうなれば女性の手も一緒に巻き込まれてしまうという。同氏は、きちんとフィットする保護具を女性に支給するだけで多くの災害は防ぐことができると指摘する。たとえば国防省には1日8時間、自給式呼吸器(Self-Contained Breathing Apparatus: SCBA)を背負って有害廃棄物の浄化にあたる女性チームが存在していた。「多くの自給式呼吸器は男性用に作られているため、胴体部分はたいていの女性にとって大き過ぎます。実際、国防省の女性チームは、狭いスペースの中で作業しようとした際、後頭部を呼吸器のタンクにぶつけたりしました。女性チームには、自分たちの短い胴に合わせて調整可能な装置が必要だったのです」、とピアセッキ氏。

女性向け個人用保護具に対する関心は高まっており、新しい製品も登場しているが、女性労働者が適切な保護具を使用しているかどうかは、監督者や安全管理者が確認する必要がある。ピアセッキ氏によると、建設業や製造業で働く女性労働者は、伝統的に男性労働者に溶け込もうする傾向があり、男性用保護具の着用にも慣れているという。多くの女性労働者は、自分たちのために事業者が余計に何かを買うことを望まなかったが、それは女性の雇用を困難にしたり、女性の市場性を失わせることにつながるからだった。ピアセッキ氏はいう。「[個人用保護具が適切にフィットしないことに関して]女性労働者が主張することはほとんどありませんでした。仕事が欲しかったから単に我慢していただけなのです」

ピアセッキ氏によれば、今日の女性労働者は自分たちの権利についてもっと積極的に発言するようになっている。しかし、忙し過ぎるために女性用保護具を見つけることができない場合も多い。「実際に保護具を揃える役目を負っている安全管理者は、そのことを知っておく必要があります」、とピアセッキ氏。新しいウィンドウに表示しますhttp://ma.charmandhammer.comにアクセスすると、女性向け個人用保護具について詳しく知ることができる。

女性向け個人用保護具に対する関心は高まっており、新しい製品も登場しているが、女性労働者が適切な保護具を使用しているかどうかは、監督者や安全管理者が確認する必要がある。