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国際安全衛生センタートップ海外安全衛生情報:安全衛生情報誌雑誌 「Today's Supervisor」 2006年 > 8月号 高齢労働者への配慮が職場をいっそう安全にする

高齢労働者への配慮が職場をいっそう安全にする
Helping older workers creates a safer workplace

(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2006年8月号 p.3)
(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日2006.12.19

全米安全評議会(NSC)理事会(Board of Delegates)の労働現場委員会(Workplace Venue Committee)がスポンサーとなって作成された新しい白書によれば、向こう10年間で55〜64歳の労働者は労働力全体の伸びの4倍のスピードで増加し、65歳以上の労働者は7倍のスピードで増加するという。

このような前例のない高齢労働者数の増加により、今後、傷害と疾病は重大化し、労災補償費用は増大することが予想される。監督者は、こうした問題をもたらす高齢労働者の肉体的衰えや認識力の変化に上手に対処することを優先課題としなければならない。

「労働力の高齢化が安全衛生に及ぼす影響(Safety & Health Implications of an Aging Workforce)」と題されたこの白書では、視力障害や聴力損失、減少した認識力、動作の緩慢化、精神的ストレスなど、55歳以上の高齢労働者が直面するさまざまな肉体的・精神的課題を取り上げている。ただしこうした障害があっても、大半の「高齢労働者は職場できちんと働いており、問題を抱えている高齢労働者もしばしば対処方法を身に付けている」ことを事業者は忘れてはならない、と白書は指摘する。白書には、高齢労働者が経験する肉体的衰えや認識力の変化に対処するうえで役立つ勧告も数多く掲載されている。

視力を検査する。早期発見により、視力の矯正、症状の悪化を防ぐことが可能になる。

適切な明るさの照明を用意する。照明を調光可能にし、職場全体を通じて明るさを一定に保つと、高齢労働者の視力への負担が減る。

聴力を検査する。高齢労働者は重要な情報を聞き取るのに苦労することがある。

大きな音へのばく露を減らす。騒音の影響と聴力保護について従業員を教育する。

迅速な決断が要求される作業をできるだけ減らす。高齢労働者は若年労働者より情報を処理するスピードが遅い。高齢労働者が効率よく仕事できるようにするために、注意をそらす要因や同時に要求することがらを減らす。

作業を遂行するのに十分な時間を与える。高齢労働者は反応するまでに時間がかかり、年とともに体力もしばしば低下する。反応時間は練習と訓練によって改善することができる。

ストレスやうつの発見方法を学ぶ。うつの徴候がある高齢労働者を支援するため、事業者は管理者向けの教育訓練プログラムを検討する必要がある。

白書では、個々の労働者の適合レベルを判断するために、事業者が身体機能の評価を実施することを推奨している。詳しい内容は白書に詳述されているが、この評価は新しい労働者に作業を割り当てる前に実施する必要がある。

NSC会員は、新しいウィンドウに表示しますwww.nsc.org/groups/members/resources.cfmで白書を読むことができる。