高齢労働者の交通安全
Keep older workers safe on the road
(資料出所:National Safety Council発行「Today's Supervisor」 2006年3月号
p.1)
(仮訳 国際安全衛生センター)
国立労働安全衛生研究所(NIOSH)によると、高齢労働者の業務上死亡災害の原因の第1位は自動車事故である。1992~2002年の間に55歳以上の労働者3,200人近くが公道上の自動車事故で死亡しており、その割合は同じ年齢層の労働者の全業務上死亡災害の22%にのぼっている。
高齢労働者は、その長年にわたるスキルと経験によって職務に貢献している。しかし、一般的な加齢現象によって、業務上か業務外かを問わず、安全運転のための技能が影響を受けている可能性がある。疾病やその他の健康上の問題が運転技能に悪影響を及ぼしていることもあるが、治療によって運転への影響を抑えたり解決したりできる症状も少なくない。
職場の高齢ドライバーの安全については、事業者と労働者の双方が責任を負っている。前向きな安全プログラム、各種の合理的対策、オープンなコミュニケーション回路を用意すれば、高齢労働者を自動車事故から守ることができる。
事業者のためのヒント
運転技能の評価
- 適切な教育訓練を受けた保健専門家が行う定期的な身体検査によって、運転技能を評価する。
- 一般的な健康状態や恣意的な年齢制限ではなく、実際の運転技能の評価に基づいて運転を制限する。
- 労働者の運転技能が一時的または恒久的に損なわれている場合には、当該労働者をできるだけ別の職務につける。
安全運転の推進
- 運転技能の「再」講習を実施し、高齢労働者の参加を促す。
- 走り慣れた走行ルートの利用を促す。
- 労働者の運転実績を正確かつ詳細な記録として残す。
労働者のためのヒント
運転前
- 十分に休息が取れていることを確認する。
- ハンドル、シート、レバー類、ミラーを調整する。
- 灯火類およびウインドーの汚れを落とし、タイヤを点検する。
- 走行ルートの計画を立て、目的地まで安全に到着できるよう、時間的余裕をたっぷり取る。
- 走行ルートの途中に道路工事現場や迂回路がないかどうか調べる。
- 夜間や悪天候下での運転を避ける。
運転中
- 交差点やインターチェンジを通るときは注意し、接近車両がある場合は急な進路変更をしない。
- 運転操作中は携帯電話を使用しない。
- 一定時間ごとに休憩を取り、疲れている場合は運転を続けない。
健康と運動能力
- 運動の習慣、適切なダイエット、定期的な身体検査によって良好な健康状態を保つ。
- 処方薬や非処方薬を単独で服用または併用したときに運転技能にどのような影響が出るかについて、通院先の医療機関または薬剤師と相談する。
- 慢性的な痛みがあったり、身体を動かせる範囲が狭まったりして運転が困難なときは、ドライバーのリハビリや障害者支援技術(adaptive technologies)に通じた専門家にアドバイスを求める。ミラーを余計に付ける、エルゴノミクス・シートを使うなど、ちょっとした工夫で大幅に状況を改善できることがある。
|