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10. 国の実施事項



労働安全衛生法では、労働災害を防止するため、各種の規制がなされており、その多くは事業者の実施事項として要求をしています。
しかし、労働災害の防止は、事業者及び雇用される労働者の努力のみでは十分ではなく、関係者が一体となって推進することが重要です。
中でも国の役割は大きく、労働安全衛生法においては国の実施すべき事項も多く定めています。

1.業務の執行体制

労働安全衛生法等の運用の業務執行体制は、次のようになっています。



2. 厚生労働大臣の実施する事項

(1)労働災害防止計画等の公表
a. 労働災害防止計画
労働災害防止のための主要な対策、対策の推進要領等を定めた「労働災害防止計画」を厚生労働大臣が策定し、公表することが規定されており、5か年計画として公表されています。労働災害防止5か年計画は、労働安全衛生法が制定(1972 年)される以前の1958年に初めて公表されましたが、これから通算すると現在推進されているものは第9次となります。

b. 指針の公表
厚生労働大臣は、事業者が安全衛生対策を適切かつ有効に実施できるよう各種の指針を策定し、公表することになっており、これまでに次のような指針が公表されています。
・特別教育に関する指針
・安全・衛生管理者等の能力向上教育に関する指針
・定期自主検査に関する指針
移動式クレーンの定期自主検査指針、
化学設備等定期自主検査指針等
16の指針が公表済み
・作業環境測定に関する指針
・健康診断実施後の措置に関する指針
・健康の保持増進に関する指針
・快適な職場環境の形成に関する指針
・技術指針
鉄鋼業における水蒸気爆発防止の防止に関する技術上の指針、
ビフエニルによる健康障害を防止するための指針等
24の指針が公表済み

(2)事業者の行なう措置に対する援助
・教育施設等の設置
安全衛生教育センター、
健康増進センター、
中小企業安全衛生センター、
バイオアッセイ研究センター等
・財政的援助
施設等の改善に対する援助、
健康管理手帳交付者等に対する健康診断費用援助等

(3)検査代行機関等の指定
・特定機械等(ボイラー・クレーン等)の製造時検査代行機関
・特定機械等の性能検査代行機関
・個別・型式検定代行機関
・特定自主検査を行なう検査業者
・免許試験の指定試験機関

(4)命令、勧告等
・大型の建設工事等の計画の審査、審査結果に基づく工事・仕事の差し止め、計画変更の命令及び仕事の発注者に対する勧告等
・構造規格を具備しない機械の回収命令等
・新規化学物質の届出の受理と公表
・少量新規化学物質の確認
・化学物質の有害性の調査の指示

(5)厚生労働大臣の権限
・型式検定に合格した事業場への立ち入り検査
・安全・衛生コンサルタント事務所への立ち入り検査
・製造時等検査代行機関等への立ち入り検査

(6)その他
・疫学調査
・事業者団体等に対する指導
・労働衛生指導医の任命
・労働安全・衛生コンサルタントの登録