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14. 建設工事における安全衛生管理体制
1972年に労働安全衛生法が制定された後も建設工事においては、多数の死傷者を伴った重大な事故が発生したことから、建設工事の災害防止に関する規制が数回にわたって強化され今日に至っている。
また、日本においては、施主から工事を請け負った元請け会社が、仕事の一部を下請けさせ、さらに、そこから下請けさせるという「重層構造」の請負形態で混在して作業を進めることが多い。
この混在作業による労働災害も多いため、建設工事については、一般の工事等とは違った形の体制の整備を要求している。
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1.建設業の安全衛生管理体制
建設業においても労働災害の防止は、労働者を雇用する夫々の事業者の責任ではあるが、異なる事業者に雇用される労働者が同一の場所で混在して作業を行なっていることから、それに加えて下請けの労働者を含めた労働災害防止のための体制を整備することが要求されている。
- (1) 一社が受注し、2社以上に下請けさせた場合の現場の管理体制
- 統括安全衛生責任者の選任が必要な工事の種類、労働者数
(a)ずい道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(道路上又は道路に隣接した場所、軌道上又は軌道に隣接した場所であって、人口が集中している地域内での工事の場合に限る。)、圧気工法による作業であって、下請けの労働者を含めた労働者数が常時30人を超える場合。
(b)(a)以外の仕事であって、下請けの労働者を含めた労働者数が常時50人を超える場合
- 安全衛生責任者の選任が必要な事業者
統括安全衛生責任者が選任された工事現場で作業を行う全ての下請け事業者
- 元方安全衛生管理者の選任が必要な事業者
統括安全衛生責任者を選任した元方事業者
- 安全管理者、衛生管理者、産業医の選任が必要な事業者
工事現場で働く自社の労働者が50人を超える元方事業者及び夫々の下請け事業者
- 作業主任者の選任が必要な事業者
工事現場内での作業のうち、作業主任者の選任が義務づけられている作業を行わせる夫々の事業者
- (2) 数社が共同で受注した場合(共同企業体)の現場の管理体制

(注) 数社のうち、一社が元方事業者となり、統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者を選任する。選任が必要な工事の種類・規模、安全管理者などの選任については(1)と同じ。
- (3) 統括安全衛生責任者の選任義務がない工事現場の管理体制
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- 次の仕事を行っている事業者
(a) 1-(1)-a-(a)の仕事であって、下請けを含めた労働者の総数が常時20人以上の場合
(b) 主要構造部が鉄骨造又は鉄骨鉄筋造である建築物の仕事であって、下請けを含めた労働者の総数が常時20人以上の場合
(c) (a)、(b)以外の仕事であって、下請けを含めた労働者の総数が常時50人以上の場合
- 選任すべき管理者
店社安全衛生管理者(ただし、統括安全衛生責任者及び元方安全衛生管理者を選任している場合は除く)
なお、店社安全衛生管理者の所属は、一般に建設工事現場を管理、指導している本社、支店、営業所等である。
- (4) 危険有害度の高い工事における管理体制
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- 次の仕事を行っている事業者
(a)ずい道等の建設の仕事で出入り口から1、000メートル以上の場所において作業を行う場合
(b)50メートル以上となるたて坑の掘削を行う場合
(c)圧気工法による作業でゲージ圧力が1kg/cm2以上の場合
- 選任すべき管理者
救護管理者
- (5) 本社等における管理体制
- 建設業の本社、支店、営業所等であって、建設工事の仕事を直接管理していない場合には、上記の管理体制ではなく、事務所等と同様の管理体制(50人を超える場合に安全管理者を選任すること等)が要求されている。
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2. 各管理者の主な職務と資格
- (1) 統括安全衛生責任者
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- 職務
関係請負人の労働者が混在して作業することによる労働災害を防止するため、次のような職務を行う。
(a)協議組織の設置及び運営を行う。
(b)作業間の連絡調整を行う。
(c)作業場所の巡視を行う。
(d)関係請負人が行う安全衛生教育の指導及び援助を行う。
(e)仕事の工程及び機械・設備の配置についての計画を作成するとともに、機械設備等を使用する作業について関係請負人が法令違反を行わないよう指導する。
- 資格
選任された建設工事現場において、その事業の実施を統括管理する者(例:工事事務所長)
- (2) 元方安全衛生管理者
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- 職務
統括安全衛生責任者の行う職務のうち、技術的事項の職務を担当する。
- 資格
(a)大学又は高等専門学校で理科系統の過程を終了した後、3年以上建設工事現場で安全衛生の実務経験を有する者(理科系統以外の場合は5年)
(b)高等学校で理科系統の過程を終了した後、5年以上建設工事現場において安全衛生の実務経験を有する者(理科系統以外の場合は8年)
(c)建設工事現場で10年以上安全衛生の実務経験を有する者 等
- (3) 安全衛生責任者
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- 職務
(a)統括安全衛生責任者との連絡
(b)統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の関係者への連絡及び実施
(c)自らの事業場の作業計画と元方事業者の計画との調整
(d)自らの事業場及び関係請負人の混在作業による労働災害の危険の有無の確認
(e)下請けの安全衛生責任者との連絡調整
- 資格
aの職務が実施できる者
- (4) 店社安全衛生管理者
- 職務
(a)作業現場の巡視(毎月一回以上)
(b)現場の作業の種類及び作業の実施状況の把握
(c)現場の協議組織への参加
(d)現場の作業計画作成の確認
- 資格
(a)大学又は高等専門学校を卒業した後、3年以上工事現場で安全衛生の実務経験を有する者
(b)高等学校を卒業し後、5年以上工事現場で安全衛生の実務経験を有する者
(c)建設工事現場で8年以上安全衛生の実務経験を有する者
- (5) 救護管理者
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- 職務
爆発火災が発生した場合に備えて、次のような職務を行なう。
(a)労働者の救護に必要な機械等の管理を行なう。
(b)救護のための訓練を行なう。
(c)その他救護に関して必要なことを行なう。
- 資格
次の経験を有する者で、労働大臣の定める研修を終了した者
(a)ずい道等の工事に関しては、3年以上ずい道等建設の仕事に従事した経験を有する者
(c)圧気工法による工事に関しては、3年以上圧気工法による仕事に従事した経験を有する者
- (6) 作業主任者
- (1. 安全衛生管理体制において説明済み)
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