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15. 元方事業者に対する特別規制



建設工事については、多数の下請けの労働者等が混在して作業を行なうことに起因する労働災害を防止するため、元方事業者に統括安全衛生責任者等の選任を要求(一部第14回に掲載)しているが、さらに,具体的な実施事項として次のことを要求している。

1.協議組織の設置及び運営

(1) 元方事業者及び全ての関係請負人が参加する協議組織を設置すること
(2) 協議組織の会議を定期的に開催すること

2. 作業間の連絡調整

(1) 元方事業者と関係請負人との連絡及び調整を行なうこと
(2) 関係請負人相互間の連絡及び調整を行なわせること

3.作業場所の巡視

毎日1回以上作業場所を巡視すること(なお、関係請負人はそれを拒否してはいけない)

4. 教育に対する指導及び援助

関係請負人が実施する教育に対して、場所の提供、教育資料の提供等を行なうこと

5. 計画の作成

(1) 仕事の工程表の作成
(2) 主要な機械設備、仮設の建設物の配置計画の作成
(3) 関係請負人の作成する計画に対する指導(車両系建設機械、移動式クレーン

6. クレーン等の運転合図の統一

クレーン、移動式クレーン等の運転についての合図を統一し、関係請負人に周知すること(なお、関係請負人は、元方事業者の定めた合図と同一のものを定めること

7. 事故現場の標識の統一

作業場所に次のような事故現場等があるときは、それを表示する標識を統一し、関係請負人に周知するとともに、禁止区域への立ち入りをさせないこと

(1) タンク内等で有機溶剤中毒が発生した場所、または発生のおそれがある場所
(2) 潜函工法、圧気工法等を行なう作業室、または作業室への出入り口
(3) 放射線業務を行なう管理区域、放射線装置室、放射性物質等が漏洩し立ち入り禁止となった区域等
(4) 酸素欠乏危険場所または隣接する場所で立ち入り禁止となった区域

8. 有機溶剤等の容器の集積箇所の特定

次の容器を集積する場所を特定し、関係請負人に周知すること

(1) 有機溶剤又は有機溶剤の含有物(重量で5%以上)を入れある容器
(2) (1)のものを入れてあった容器で、蒸気が発散するおそれがあるもの

9. 警報の統一

次の場合の警報を統一して定め、関係請負人に周知するとともに、その事態が発生した時には、労働者を退避させること

(1) エックス線装置に電力が供給されている場合
(2) 放射性物質を装備している機器から照射されている場合
(3) 発破が行なわれている場合
(4) 火災が発生した場合
(5) 土砂崩壊、出水、雪崩が発生した場合又はそのおそれがある場合

10. 退避訓練の統一的な実施

(1) ずい道作業、土石流の危険がある河川で作業を行なっている場合に、避難訓練を行なう時期、実施方法を統一的に定め、関係請負人に周知するとともに、それによって避難訓練を実施すること
(2) 関係請負人が実施する避難訓練に対して指導、資料の提供等を行なうこと

11. 新規入場者教育への援助

工事現場に初めて入場して作業を行なう労働者に対して関係請負人が教育を行なう場合、教育場所の提供、資料の提供等を行なうこと

12. 下請けに使用させる機械等の安全確保

次の機械等を下請けに使用させる時には、安全基準に合致したものとすること

(1) 杭打機、杭抜機
(2) 軌道装置
(3) 型枠支保工
(4) アセチレン溶接装置
(5) 交流アーク溶接機
(6) 潜函
(7) ずい道支保工、ずい道型枠支保工
(8) 物品揚卸口等からの墜落・転落防止装置
(9) 架設通路
(10) 足場、作業構台
(11) クレーン、ゴンドラ等
(12) 局所排気装置、全体換気装置
(13) 圧気工法に使用する設備
(14) エックス線・ガンマ線装置

13. 法令違反の排除

(1) 関係請負人及びその労働者が、労働安全衛生法及び関係規則等に違反しないように指導すること
(2) 法令に違反していることが認められた時には、是正を指示すること

14. 技術的な指導

次の作業の安全確保について下請け事業者に対して技術指導を行なうこと

(1) 土砂崩壊の危険がある場所での作業
(2) 土石流の危険がある河川での作業
(3) 通電されている架空電線に労働者が接触又はクレーン等を介して接触の危険がある場所での作業
(4) 埋設物、レンガ壁、コンクリートブロック等が倒壊する危険がある場所での作業

15. 発注条件の適正化

仕事を発注する場合には、施工方法、工期等について、安全で衛生的な作業ができるよう配慮すること