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日本の労働安全衛生法及び関係規則等の概要
JICOSHの英語版Websiteでは、「OSH in Japan」の中で労働安全衛生法の概要を紹介していますが、多くの方々より、日本語版の掲載について要望がありますので、ここに掲載いたします。
日本における労働災害は、1900年代後半の急速な工業化、経済の発展等に伴って増加し続け、1961年には死亡者が6,712 人に達しました。
このような状態では、人命の尊重は勿論のこと正常な生産活動、経済発展に大きな影響を受けることから経済界、政府、関係者が一体となって諸施策の実施、職場での積極
的な安全衛生活動等に積極的に取り組んで来た結果、今日では三分の一以下にまで減少してきています。
特に、労働災害の減少が顕著になったのは、1972年の「労働安全衛生法」の制定後であり、この法律が大きな役割をはたしてきた考えられます。
日本の労働安全衛生法及び関係規則の種類については、About Occupational Safty and Health in Japan (Laws relating to Industrial Safty and Health)で紹介していますが、これらの法律・規則の概要についてこのWebsite を通じ順次紹介していきます。
1. 安全衛生管理体制
継続的、効果的な安全衛生活動を行なうためには、安全衛生管理体制の整備が重要であり、事業場の規模、業種等によって次のような安全衛生管理体制の整備を要求しています。
なお、法律の適用単位(事業場)は、企業全体ではなく、独立して生産活動等を行なっている工場、支店、建設工事現場等となっています。また、事業者とは、会社の場合は法人そのもの、個人経営の場合はその経営者のことを言います。
1.製造業等における安全衛生管理体制
[基本体系]
2.管理者等を選任すべき事業場
(1) 総括安全衛生管理者 |
a |
労働者数100 人以上の次の業種の事業場 |
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林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 |
b |
労働者数300 人以上の次の業種の事業場 |
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製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 |
c |
労働者数1,000 人以上の全ての事業場
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(2) 産業医 |
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労働者数50人以上の全ての事業場
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(3) 安全管理者 |
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(1)のa,bの業種で労働者数50人以上の事業場
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(4) 安全衛生推進者 |
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(1)のa,bの業種で労働者数10人以上50人未満の事業場
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(5) 衛生管理者 |
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労働者数50人以上の全ての事業場
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(6) 衛生推進者 |
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(4)を除く労働者数10人以上50人未満の全ての事業場
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(7) 作業主任者 |
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高圧室内作業ほか危険有害な業務(31の業務)を有する事業場
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(8) 統括安全衛生責任者(造船業・建設業で下請けを使用している場合) |
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下請けを含めて労働者数50人以上の造船工場 |
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ずい道建設・橋梁建設・圧気工法の工事で下請けを含めて労働者数30人以上の建設現場 |
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上記以外の建設工事で下請けを含めて労働者数50人以上の建設現場
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(9) 安全衛生責任者 |
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統括安全衛生責任者が選任されている造船工場及び建設工事現場で仕事を行っている全ての下請け事業場 |
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3. 管理者等の主な職務と資格
(1) 総括安全衛生管理者 |
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[主な職務] |
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安全管理者、衛生管理者の業務の指揮 |
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危険又は健康障害防止措置、安全衛生教育の実施、健康診断の実施・健康の保持増進措置、災害原因の調査及び再発防止対策等に関する統括 |
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[資格] |
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事業場の業務を統括する者(例:工場長、支店長等)
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(2) 産業医 |
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[主な職務] |
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労働者の健康管理 |
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健康診断の実施及び健康の保持増進、作業環境の維持管理、作業の管理、健康教育・健康相談、衛生教育、健康障害の原因調査及び再発防止措置等に関する業務 |
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[資格] |
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医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント試験合格者で試験区分が保健衛生である者等
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(3) 安全管理者 |
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[主な職務] |
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総括安全衛生管理者の職務のうち安全に関する技術的事項 |
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職場巡視等 |
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[資格] |
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大学で理科系統の正規の課程を終了した者で3年以上産業安全の実務に従事した経験を有する者等
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(4) 安全衛生推進者 |
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[主な職務] |
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安全衛生・管理者の職務に準じた技術的事項 |
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職場巡視等 |
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[資格] |
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上記職務を遂行する能力があると事業者が認める者
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(5) 衛生管理者 |
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[主な職務] |
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総括安全衛生管理者の職務のうち衛生に関する技術的事項 |
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職場巡視等 |
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[資格] |
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医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント、免許試験合格者
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(6) 衛生推進者 |
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[主な職務] |
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衛生管理者の職務に準じた技術的事項 |
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職場巡視等 |
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[資格] |
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上記職務を遂行する能力があると事業者が認める者
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(7) 作業主任者 |
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[主な職務] |
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危険有害な業務の指揮 |
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[資格] |
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免許試験に合格した者、都道府県労働基準局長の指定を受けた技能講習を修了した者
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(8) 統括安全衛生責任者 |
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[主な職務] |
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下請けの労働者を含めた労働災害防止 |
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下請け業者を含めた協議組織の設置・運営、作業間の連絡及び調整、作業場所の巡視、関係請負人が行う教育の指導・援助、仕事の工程計画等の統括等 |
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[資格] |
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その場所の仕事の統括管理を行う者(例:工事現場所長)
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(9) 安全衛生責任者 |
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[主な職務] |
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統括安全衛生責任者との連絡、指示事項の関係者への連絡、指示事項の実施、作業場所の危険の有無の確認等 |
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[資格] |
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上記の職務が遂行できる者
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