24. 貨物の取り扱い時の災害防止に関する規制
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日本においては、貨物の取り扱い作業の機械化が進んでいるが、貨物の取扱時の労働災害も毎年かなり発生しており、荷役運搬機械による災害防止(本連載16)
のほか事業者に次のことを要求している。
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1. 作業主任者等の選任
貨物の取り扱い等で次の作業を行う時には、作業主任者等を選任し、その者の指揮の下で作業を行う。
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a. 100Kg 以上のものを貨車に積み又は卸す作業(作業指揮者)
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b. 高さが2メートル以上の「はい」(倉庫、上屋又は土場に積み重ねられた荷)のはい付け又ははい崩しの作業(はい作業主任者)
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c.船舶に荷を積み、船舶から荷を卸し、又は船舶において荷を移動させる作業(船内荷役作業主任者)
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2. はい付け、はい崩し作業時の安全確保
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a. 昇降設備の設置
はいの上で作業を行う場合であって、作業箇所の高さが床面から1.5 メートルを超える時には、安全に昇降できる設備を設置する。
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b. はいの間隔
床面からの高さが2メートル以上の「はい」については、隣のはいとの間隔を10センチメートル以上とする。
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c. 中抜きの禁止等
床面からの高さが2メートル以上のはい崩し作業のときには、荷の中抜きをしない。また、袋等で構成される「はい」については、雛段状に崩し、雛段の各段の高さは、1.5
メートル以下とする。
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d. 「はい」の崩壊の防止等
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(a) |
「はい」の崩壊、荷の落下の危険があるときには、「はい」をロープで縛り、網を張り、「はい」の積み替え等を行う。
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(b) |
はい付け、はい崩し作業が行われているところには、関係者以外の立ち入りを禁止する。
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(c) |
はい付け、はい崩し作業が行われている場所については、十分な照明を行う。
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(d) |
「はい」の上で作業を行う労働者には、保護帽を着用させる。(2メートル以上の場合)
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3. 船内荷役作業の安全確保
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a. 昇降設備の設置
甲板の上面から船倉の底までの深さが1.5 メートルを超える時には、安全に通行できる設備を設置する。(船舶に設備があるときは除く)
また、揚貨装置、移動式クレーン等で荷役作業を行っているときには、この設備を使用して通行することを禁止する。
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b. 立ち入り禁止
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(a) |
ハッチボードの開閉、ハッチビームの取り付け又は取り外しの作業を行っている下方
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(b) |
揚貨装置のブームの起伏の作業が行われている場所
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(c) |
揚貨装置等を用いて荷の引き出しを行っていときの引き出し索等の内角側なお、引き出し索等のみぞ車は、ビームクランプ、シャックル等で船のフレームに確実に取り付けておく。.
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c. 有害物等の確認
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船倉の内部、甲板、岸壁の上にある荷の中に、塩素、シアン酸、四アルキル鉛等急性中毒を起こすおそれのあるもの、腐食性液体、火薬類、その他の危険物がある か否かを作業前に調査し、存在する時には、安全な取扱方法を定める、これらの物が飛散し又は漏洩の際の処置を定める。
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d. 同時作業の禁止
同じ船倉内の異なる層で同時に作業を行わない。
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e. スリングの使用等
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(a)
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ドラム缶、樽等の巻き上げには、ドラムスリング等荷が外れるおそれのない構造のフック付きスリングを使用する。
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(b) |
綿花、羊毛、コルク等でベール包装されているものを巻き上げる時には、包装に用いられている帯鉄、ロープ、針金にスリングのフックを掛けない。
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f. 港湾荷役作業を行うときには、保護帽を着用させる。
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4. 揚貨装置の取り扱い
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a. 制限荷重
揚貨装置に制限荷重を超える荷重を掛けてはならない。
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b. 合図者の指名
揚貨装置の運転については、一定の合図を定め、揚貨装置ごとに合図者を指名する。
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c. 作業位置からの離脱禁止
揚貨装置の運転者は、荷を吊ったまま作業位置を離れてはならない。
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d. 安全係数等
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(a) |
玉掛けに使用する鎖、フック、シャックルについては、一定の安全係数以上のものでなければならない。
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(b) |
ワイヤーロープ、鎖、繊維ロープ等は、不適格なものを使用してはならない。
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e. 点検
作業開始前に揚貨装置の作動状況、スリング等については、作業開始前に点検する。
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(次回は、事務所等の一般的衛生基準を予定) |