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27. 特定化学物質等の障害予防



化学物質は多くの職場で使用されているが、その中には、がん、皮膚炎、神経障害等
を発生させる可能性がある物質も少なくないことから、その予防のために事業者に対し
て次のようなことを要求している。


1. 区分

a 製造禁止物質
ベンジジン及びその塩、ベータ−ナフチルアミン及びその塩、アモサイト、クロシドライト等9物質及びそれらのものを1%を超えて含有する製剤等は、製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されている。
ただし、試験研究のため製造し、輸入し、使用する場合で都道府県労働局長の許可を得て、労働大臣の定める基準に従って使用するときは除外される。

b 第1類物質
ジクロルベンジジン及びその塩、アルファ−ナフチルアミン及びその塩、PCB等7物質及びそれらのものを1%を超えて含有する製剤等は、労働大臣の許可を得た場合に製造ができる。

c 第2類物質
(a) 特定第2類物質
アクリルアミド、アクリロニトリル等19物質及びそれらのものを含有する製剤等
(b) オーラミン等
オーラミン、マゼンタ及びそれらのものを含有する製剤
(c) 管理第2物質
アルキル水銀化合物、石綿、カドミウム及びその化合物等15物質

d 第3類物質
アンモニア、一酸化炭素、塩化水素、硝酸、二酸化硫黄、フェノール、ホスゲン、ホルムアルデヒド、硫酸及びそれらのものを含有する製剤等

e 特別管理物質
第1類物質及び第2類物質のうち特定の物質で、人体に対する発癌性が疫学調査の結果明らかになった物質等


2. 局所排気装置等の設置

a 第1類物質
ガス、蒸気、粉じんの発散源を密閉する設備または囲い式局所排気装置

b 特定第2類物質及びオーラミン等
製造設備は密閉式とする。取り扱い作業は、湿潤状態のものを除き遠隔操作で行
う。それが困難な時は、フード式の局所排気装置を設置する。

c 特定第2類物質及び管理第2物質
発散源を密閉する設備または局所排気装置を設置する。短時間、臨時の作業のと
きには全体換気装置の設置、湿潤化、保護具の使用等を行う。

d b及びc について、労働基準監督署長が有害な程度にならないと認定した時には除外
される。

e 局所排気装置は、労働大臣の定める性能を有していることが必要である。


3. 用後処理

a 除じん方式
粉じんを含有する気体の排気筒または局所排気装置については、粉じんの粒径に応じた除じん方式(濾過、電気、マルチサイクロン方式等)を採用する。

b 排ガス処理方式
排出するガス、蒸気の種類に応じた排ガス処理方式(吸収方式、直接燃焼方式、酸化還元方式等)を採用する。

c 廃液処理方式
廃液の種類に応じた廃液処理方式(酸化還元方式、中和方式、活性汚泥方式等)を採用する。


4. 特定化学設備に対する措置

特定第2類物質及び第3類物質を製造し、または、取り扱う設備(特定化学設備という)については、次の措置を行う。

a 腐食しにくい材料で作る。

b 接合部から漏洩することを防止するため、ガスケット等を使用する。

c バルブ、コック等には、開閉の方向表示、色分け等を行う。

d 屋内作業場については、2以上の出入口を設ける。

e 発熱反応が行われる反応槽等には、温度計、流量計、圧力計等の計測装置を設ける。

f 異常反応等を早期に把握する自動警報装置を設ける。

g 発熱反応が行われる反応槽等には、緊急遮断装置を設ける。

h 予備動力源を設ける。

i 作業規定を整備する。

j 第1類、第2類物質を製造し、または取り扱う場所には、立ち入りを禁止する。


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5. 管理

a 作業主任者の選任
特定化学物質等を製造し、または、取り扱う作業には、一定の技能講習を修了した作業主任者を選任する。

b 定期自主検査の実施
局所排気装置、用後処理設備については、一年以内ごとに一回定期自主検査を行う。特定化学設備は、2年以内ごとに一回定期自主検査を行う。

c 作業環境の測定
局所排気装置等については、フードの型式、空気清浄装置、排気口の位置、風速、換気量等が規定されている。
(a) 第1類、第2類物質を製造し、または取り扱う場所は、6月以内ごとに空気中の濃度測定を行い、結果を3年間保存する。
(b) 測定結果を評価して第1〜第3管理区分に分類し、第3管理区分の場合には設備の整備、作業工程・作業方法の改善等を行い第1〜第2管理区分になるように
改善する。

d 特殊な作業についての規制
次の作業については、汚染防止、保護具の使用、漏洩防止、立ち入り禁止等について特別の規制がされている。
(a) 塩素化ビフェニルの取り扱い作業
(b) 石綿の吹き付け、解体等の作業
(c) コークスの製造作業
(b) 燻蒸作業
(e) ダイマナイトの製造作業
(f) ベンゼンを溶剤として取り扱う作業

e 健康診断
(a) 特定化学物質の取り扱い作業に従事する者に対しては、6月以内ごとに特殊健康診断を実施し、その記録を5年間保存する。
(b) 特別管理物質の取り扱い者に対する特殊健康診断結果は、30年間保存する。
(c) 特殊健康診断結果については、労働基準監督署長に提出する。

f 掲示
特別管理物質を製造し、または、取り扱う作業場には、次の事項を掲示する。
(a) 名称
(b) 人体に及ぼす影響
(c) 取り扱い上の注意
(b) 使用すべき保護具


―次回は、酸素欠乏症等の防止を予定――