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28. 酸素欠乏症等の防止



酸素欠乏等を原因とする災害が、土木建築現場、化学工業、食料品製造業等多くの業種で発生しており、いったん発生すると死亡災害等重篤な災害となり、また、救助に向かった人が二次的に被災するケースも少なくないことから、その防止のために事業者に対して次のようなことを要求している。(酸素欠乏症等防止規則)


1. 区分(規則第2条)

a. 酸素欠乏症
酸素の濃度が18%未満である空気を吸入することにより生ずる症状が認められる状態

b. 硫化水素中毒
硫化水素の濃度が100 万分の10を超える空気を吸入することにより生ずる症状が認められる状態


2. 酸素欠乏危険作業(規則第2条、労働安全衛生法施行令別表第6)

a. 第一種酸素欠乏危険場所
(a) 上層に不透水層がある砂礫層、第一鉄塩類・第一マンガン塩類を含有する地層、メタン、エタン、ブタンを含有する地層、炭酸水を湧出する地層、腐泥層等に接し、または通ずる井戸、立坑、ずい道の内部
(b) 長期間使用されていない井戸等の内部
(c) 暗渠、マンホール、ピットの内部
(d) 長期間密閉されていた鋼製ボイラー、タンク、反応塔、船倉等の内部
(e) 石炭、屑鉄、チップ、魚油等空気中の酸素を吸収する物質を入れてあるタンク、船倉、ホッパー等貯蔵施設の内部
(f) ペイントで塗装され、乾燥する前に密閉された地下室、倉庫、タンク、船倉等の内部
(g) 穀物等の貯蔵、果物、野菜の熟成、種子の発芽、きのこの栽培等に使用しているサイロ、倉庫等の内部
(h) 醤油、酒等発酵するものを入れてある、または入れたことのあるタンク、醸造槽の内部
(i) ドライアイスを使用した冷蔵、冷凍庫、冷凍コンテナの内部
(j) ヘリウム、アルゴン、窒素、フロン等の不活性ガスを入れてある、または入れたことのあるボイラー、タンク、反応槽、船倉等の内部

b. 第二種酸素欠乏危険場所
(a) 海水が滞留しており、または滞留したことのある熱交換器、暗渠、マンホール、ピット等の内部
(b) し尿、腐泥、汚水、パルプ液等腐敗し、分解しやすい物質を入れてあり、または入れたことのあるタンク、船倉、槽、マンホール等の内部


3. 一般的防止措置

a. 作業環境の測定(規則第3条)

b. 換気(規則第5条)、空気呼吸器等の使用(規則第5条)

c. 転落防止のための安全帯等の使用(規則第6条)

d. 入場時、退場時の人員の確認(規則第8条)

e. 関係労働者以外の立ち入り禁止(規則第9条)

f. 作業主任者の選任(第一種または第二種)(規則第11条)

g. 作業者に対する特別教育の実施(規則第12条)
(a) 発生原因
(b) 症状
(c) 空気呼吸器等の使用方法
(d) 事故の場合の退避及び救急蘇生の方法

h. 監視人の配置(規則第13条)

i. 避難用具(空気呼吸器、梯子、ロープ等)の備え付け(規則第15条)


4. 通風が不十分な場所での特殊な作業時等の措置

a. ボーリング作業:メタン、炭酸ガスの測定(規則第18条)

b. 炭酸ガス消火設備:ハンドル等の適切な操作(規則第19条)

c. 冷蔵施設:出入り口扉が内部から開放できる構造(規則第20条)

d. 炭酸ガス、ヘリウムを使用した溶接作業:換気、空気呼吸器の使用(規則第21条)

e. 不活性気体の漏出防止措置:バルブ、コックの閉止、施錠等(規則第22条)

f. ガス配管工事:メタン、エタン、プロパン、ブタン等のガスの遮断、換気(規則第23条の2)

g. 圧気工法:空気漏出の有無の調査、酸素濃度の測定(規則第24条)

h. 地下室:酸素欠乏空気の流入防止(規則第25条)

i. し尿処理設備の改造作業等:適切な作業法補の決定、硫化水素中毒の知識付与、監視人の配置、硫化水素濃度の測定(規則第25条の2)

−次回は、粉じん障害の防止を予定−