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29. 粉じん障害の防止



 長期間粉じんを吸入することによる「じん肺」は、古くからあった代表的な職業性疾病の一つであり、現代の医学でもこの病変を回復させる有効な手法は確立されていない。
 したがって、じん肺の原因となる粉じんの発生を抑制し、労働者が粉じんに暴露されることを防止するため、事業者に対して次のことを要求している。(粉じん障害防止規則)
 なお、この規則は、労働安全衛生法に基づくものであるが、「じん肺法」と一体的に運用されることが前提となっている。(じん肺法では、健康診断、作業管理等について規定されている。)
1. 粉じん作業の区分(規則第 2条)
a. 粉じん作業
全体で24の粉じん作業があげられているが、概ね次のようなものである。
(a) 坑内で行われる鉱物等の掘削、運搬、充填、粉じんの付着した機械の移設等の作業
(b) 岩石、鉱物、炭素原料等の裁断、研磨、破砕等の作業
(c) セメント、粉状の鉱石・酸化チタン等の袋詰めの作業
(d) 粉状の鉱石・炭素原料、ガラス・ほうろうの原料等の混合の作業
(e) 砂型の壊し等の作業
(f) 船倉内での鉱物等のかき落としの作業
(g) 無機物の精練等における鉱物の投入の作業
(h) 炉、煙道等に付着した灰等のかき落としの作業
(i) 耐火物を用いた炉等の築造の作業
(j) 船舶、車両等の内部における金属の溶接、溶断の作業
(k) 金属の溶射の作業
(l) 染土の付着した「い草」の蔵入れ等の作業
(m) 長大ずい道内部でホッパー車からバラストを降ろす作業
b. 特定粉じん作業
 粉じん作業のうち、動力を用いた作業、または屋内における作業15を特定粉じん作業という。
2. 粉じん作業場所における措置
a. 特定粉じんの発生源に対する措置(規則第 4条)
(a) 湿潤な状態に保つ措置
(b) 密閉措置
(c) 局所排気装置
(d) プッシュプル型換気装置
また、一事業場に10以上の発生源があるときには、除じん装置を設ける。(規則第10条)
b. 局所排気装置等の措置が困難な場合の措置(規則第 9条)
 特定粉じんの発生源に対して作業場の構造等により局所排気装置、プッシュプル型換気装置の措置が困難な場合には、労働基準監督署長の認定を受け、呼吸用保護具の使用、または全体換気装置の設置等を行う。
c. 特定粉じん作業以外の屋内(または坑内)作業に対する措置(規則第5,6 条)
 全体換気装置等を設置する。
d. 臨時の粉じん作業の場合の措置(規則第 7条)
 臨時に特定粉じん作業、粉じん作業を行う場合は、呼吸用保護具を使用させる。
3. 除じん方式(規則第13条)
除じん装置については、次の除じん方式を採用する。
粉じんがヒュームの場合:濾過除じん方式、電気除じん方式
粉じんがヒューム以外の粉じんの場合:サイクロンによる除じん方式、スクラバによる除じん方式、濾過除じん方式、電気除じん方式
4. 定期自主検査(規則第17条)
 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置については、一年以内に一回事業者が自主検査を行い、その記録(補修の状況を含む)を3年間保存する。
5. 作業環境の測定(規則第17条)
 土石、岩石、金属または炭素粉じんを常時発散する屋内の特定粉じん作業場所は、6月に一回作業環境の測定を行い、その記録(改善措置を含む)を3年間保存する。

(次回は、鉛中毒等の予防を予定)