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30. 鉛中毒等の予防



 鉛及びその化合物は、合金、顔料、蓄電池等に広く使用されており、その摂取によって急性中毒、慢性中毒が発生する。
 日本においては、鉛による中毒事例は激減しているが、労働者に対する特種健康診断結果でも未だ有所見者がおり、その予防のため、事業者に次のことを要求している。
 (鉛中毒予防規則)
1. 対象となる鉛等(規則第 1条)

a. 鉛、鉛合金(合金の中に重量で10%以上の鉛を含有するもの)及びこれらと他のものの混合物
b. 鉛の製錬、又は精練工程で生ずる焼結鉱、煙灰等
2. 鉛業務の種類(規則第 1条)
 鉛業務の種類は、概ね次のようなものである。

a. 鉛、銅、亜鉛の製錬又は精練を行う工程で焼結鉱等を取り扱う業務
b. 鉛蓄電池又は部品の製造、修理等の業務
c. 電線、ケーブル等の製造工程での鉛の溶融、被鉛等の業務
d. 鉛合金の製造又はその製品の製造、修理等の業務
e. 鉛化合物の製造工程における溶融、鋳造、粉砕等の業務
f. 鉛ライニング
g. ゴム、合成樹脂の製品、含鉛塗料又は鉛化合物を含有する絵具、農薬、接着剤等の製造工程における溶融、鋳込み、粉砕等の業務
h. 自然換気が不十分な場所での「はんだ付け」の業務
i. 鉛化合物を含有する絵具を用いて行う絵付け等の業務
j. 溶融した鉛を用いて行う金属の焼き入れ、焼戻しの業務
k. 上記の場所及び転写紙製造工程、活字の文選、植字、解版作業場所の清掃の業務
 なお、スタンプによる絵付けの業務で健康障害のおそれがない労働基準監督署長が認定した場合は、法の適用が除外される。(規則第 2条)
3. 設備上の措置(規則第 5条〜規則第20条)

a. 粉塵の発散を密閉する設備
b. 局所排気装置
c. 湿式以外の方法で作業を行う場合は、粉塵を受ける設備、容器の設置
d. 除塵装置
4. 管理

a. 鉛作業主任者の選任(規則第33条)
b. 局所排気装置、除塵装置等の定期自主検査(規則第35,36 条)
一年以内に一回定期に自主検査を行い、補修の状況を含めてその記録を3年間保存する。
c. ホッパーの下で臨時に作業をさせる場合は、呼吸用保護具を使用させる。(規則第39条)
d. 休憩場所等の設置
(a) 休憩室(規則第45条)
(b) 呼吸用保護具、保護衣の保管場所(規則第46条)
(c) 洗身設備(規則第47条)
(d) 真空掃除機(規則第48条)
(e) 手洗い溶液(規則第49条)
e. 喫煙の禁止(規則第50条)
f. 作業環境の測定
(a) 鉛業務を行う場所は、一年以内に一回、空気中の鉛の濃度を測定し、その記録を3年間保存する。(規則第52条)
(b) 措定結果を一定の基準で評価し、設備、作業工程、作業方法の改善等を行う。(規則第52の3 条)
g. 健康管理
(a) 鉛業務を行う労働者については、6ヶ月以内ごとに、清掃業務を行う労働者については1 年以内ごに特殊健康診断を行い、その結果を5年間保存する。(規則第53,54条)
(b) 特殊健康診断結果は、労働基準監督署長に報告する。(規則第55条)

(次回は、電離放射線障害の防止を予定)