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31. 電離放射線障害の防止



 放射線及び放射性物質は、医療における診断・治療、非破壊検査、エネルギー利用等広範囲に利用されてきている。
 一方、これらの利用に伴って人体への健康影響も少なくないことから労働者の被爆管理、健康管理を十分に行う必要があり、事業者に次のことを要求している。(電離放射線障害防止規則)
1. 電離放射線等の種類(規則第 2条)
a. 電離放射線
(a) アルファ線、重陽子線及び陽子線
(b) ベータ線及び電子線 
(c) 中性子線
(d) ガンマ線及びX線
b. 放射性物質(濃度が一定以下の固体のもの及び密閉されたものを除く)
(a) ストロンチウム90またはアルファ線を放射する同位元素(トリウム、ウランを除く) :3.7kBqを超えるもの
(b) 半減期が30日を超える放射線を放出する同位元素(水素3 等を除く):37kBqを超えるもの
(c) 半減期が30日以下の放射線を放出する同位元素(フッ素18、クロム51等を除く):370kBq を超えるもの
(d) 水素3,ベリリウム7,炭素14, クロム51, ゲルマニウム71, タリウム201,トリウムまたはウラン:3.7 MBqを超えるもの
c. 放射線業務(施行令別表第2)
(a) X線装置の使用または検査の業務
(b) サイクロトロン、ベータトロン等の使用または検査の業務
(c) X線管、ケノトロンのガス抜きまたは検査の業務
(d) 放射性物質を装備している機器の取扱の業務
(e) 原子炉の運転の業務
(f) 坑内における核原料物質の採掘の業務
2. 管理区域の設定等
a. 1週間に0.3mSvを超えるおそれのある区域を管理区域して設定し、標識で明示する。(規則第 3条)
b. 区域内で業務に従事する労働者の受ける線量は、1年間に50mSv を超えないようにする。(規則第 4条) ただし、妊娠している女性については、出産までの間に10mSv を超えないようにする。(規則第 5条)
c. 事故が発生し、応急の作業を行う場合でも100 mSv を超えてならない。(規則第 7条)
d. 放射線業務従事者、緊急作業従事者については、被ばく線量を測定しなければならない。(規則第 8条) また、被ばく線量の措定結果、計算結果(ガンマ線等)については5年間記録を保存する。(規則第 9条)
また、被ばく線量の措定結果、計算結果(ガンマ線等)については5年間記録を保存する。(規則第 9条)
3. 外部放射線の防護
a. X線装置を用いて間接、直接透視を行うときには、専用の室を設け、また、不必要なX線を遮蔽する板等を設ける。(規則第10〜16条)
b. 立ち入り禁止区域を設ける。(規則第18条)
c. 透過写真撮影用ガンマ線照射装置は、1月以内ごとに1回自主検査を行い、記録を3年間保存する。(規則第18条の5 〜7 )
4. 汚染の防止
a. 非密封の放射性物質は、専用の室で取り扱う。(規則第22〜23条)
b. 放射性のガス、蒸気、粉じんの発散する作業では、局所排気装置等を設け、また、ホースマスク等の保護具を使用させる。(規則第24,38 〜41条)
c. 粉状または液状の放射性物質がこぼれたときは、その区域を明示し、汚染の除去を行う。(規則第 28 条)
d. 放射性物質取扱室の出口に汚染検査を行う場所を設け、労働者の汚染状況を検査する。(規則第31〜32条)
5. 緊急措置
a. 事故が発生した場合には、実効当量が15mSv を超える地域から直ちに労働者を退避させる。(規則第42条)
b. 事故が発生したときには労働基準監督署長に報告する。(規則第43条)
c. 事故発生時に区域内にいた労働者には、医師の診察または処置を受けさせる。(規則第44条)
d. 事故発生時に区域内にいた労働者の被ばく状況等を調査し、その記録を5年間保存する。(規則第45条)
6. 作業主任者
a. X線作業(医療用等を除く)については、X線作業主任者免許を所持する者の中から作業主任者を選任する。(規則第46条)
b. ガンマ線透過写真撮影作業については、ガンマ線透過写真撮影作業主任者免許を所持する者の中から作業主任者を選任する。(規則第52の2 条)
7. 特別教育等
a. X線またはガンマ線照射装置を用いた作業に従事する労働者には、特別教育を実施する。(規則第52の5 条)
b. 管理区域等については、1月以内ごとに1回作業環境の測定を行い、その記録を5年間保存する。(規則第53〜55条)
c. 管理区域に立ち入る労働者については、雇い入れ、配置替え及び6月以内(白内障及び皮膚については3月)ごとに健康診断を行い、その記録を5年間保存する。また、健康診断結果は労働基準監督署長に報告する。(規則第56〜58条)

−(次回は、ボイラー・圧力容器の安全を予定)−