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39. 労働基準法と安全衛生



 労働安全衛生法は、1972年に、従来の労働基準法の労働安全衛生部分が独立した形で制定されましたが、労働災害の防止は労働条件の確保と密接な関係があり、二つの法律が一体的に運用されるものであることが明記されております。
 また、女性労働者の就業制限業務、年少者の就業制限業務等については、労働基準法に根拠をおいて規則が定められております。
(労働基準法、労働基準法施行規則、女性労働基準規則、年少者労働基準規則)

1.労働基準法と労働安全衛生法のドッキング規定
  労働基準法と労働安全衛生法が一体的に運用されるものであることが、次のように2つの法律に明記されています。
a. 労働安全衛生法 第1条
   この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
b. 労働基準法 第42条
労働者の安全及び衛生に関しては、労働安全衛生法の定めるところによる。
2. 労働基準法における安全衛生管理の規定
労働災害の防止に関係する労働基準法上の規定は、次のようなものです。
a.労働条件の原則(労働基準法 第1 条)
労働条件、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすものでなければならない。
この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るよう努めなければならない。
b. 労働条件の決定(労働基準法 第2 条)
労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。
c. 均等待遇(労働基準法 第3 条)
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
d. 災害等による臨時の時間外労働(労働基準法 第33条)
災害その他避けることができない事由によって、臨時の必要がある場合においては、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において労働時間を延長することができる。
(注) 時間外労働は、労働者の過半数を占める労働組合等とあらかじめ協定した場合のみ可能となっている。
e. 時間外、休日及び深夜の割増賃金(労働基準法 第37条)
使用者が、労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合は 25%以上50% 以下の割増賃金を支払わなければならない。(概略)
(注) 使用者が、安全衛生教育等を時間外に実施した場合は、割増賃金の支払い義務がある。
f. 危険有害業務の就業制限(労働基準法 第62条、年少者労働基準規則第7,8 条)
使用者は、満18歳に満たない者に、運転中の機械等の危険な部分の掃除、注油、検査等やクレーンの運転等をさせてはならない。(要約)
(例)
ボイラー取扱業務
クレーン等の運転の業務
運転中の機械等の危険な部分の掃除、注油、検査等の業務
最大積載荷重が2 トン以上の貨物自動車の運転業務
プレス機械の金型の調整、掃除の業務
高さが5 メートル以上の墜落危険がある場所での業務
足場の組み立て、解体等の業務 等
使用者は、満18歳に満たない者を、劇毒薬、爆発性・発火性の原料等を取り扱う業務、有害ガス、有害放射線が発散する場所等の業務に就かせてはならない。(要約)
(例)
ひ素、塩酸、鉛、水銀、塩素、アニリン等の有害物を取り扱う業務又はこれらのガス、蒸気、粉じんを発散する場所に置ける業務
多量の高熱・低温物体を取り扱う業務
異常気圧下における業務
病原体によって著しく汚染のおそれのある業務 等
g. 坑内労働の禁止(労働基準法 第63条,64 条の2)
使用者は、満18歳に満たない者、18歳以上の女性を坑内で労働させてはならない。
h. 妊産婦等に係る危険有害業務の就業制限(労働基準法 64条の3 、女性労働基準規則  第2 条)
使用者は、妊娠中の女性及び産後1 年を経過しない女性を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。(制限されている業務は、ほぼ年少者の制限業務と類似している。)
i. 産前産後(労働基準法 第65条)
使用者は、6 週間(多胎妊娠の場合は、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
使用者は、産後8 週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、6 週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差支えない。
j. 寄宿舎の設備及び安全衛生(労働基準法 第96条)
次回に掲載予定

(次回は、事業附属寄宿舎を予定)