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40. 事業附属寄宿舎



 事業者が、事業の運営のために労働者を宿泊させる施設を所有することがあるが、この施設において火災、或いは衛生上の問題が発生することを防止するとともに、健康、風紀、生命の保持に必要な措置を行うよう事業者に要求しています。
 なお、寄宿舎については、一般の事業場に附属するものと一定の期間のみ設置される建設業に附属するものに区分して規定されていますが、ほぼ共通的な内容の規定なっています。(労働基準法、事業附属寄宿舎規程、建設業附属寄宿舎規程)

1.設置届等(労基法第95条、寄宿舎規程第1 条の2 〜4 条、建設寄宿舎規定第2,5 条の2 )
事業者は、事業附属寄宿舎又は建設業附属寄宿舎を設置したときには、設置届及び寄宿舎規定を届ける必要があります。
a. 新しく設置する場合、移転する場合、一部を変更する場合には、周囲の状況、建築物の各階の平面図及び断面図を添えて、14日前までに労働基準監督署長に届出ること。
b. 寄宿舎規程を定め、寄宿者の過半数を代表する者の同意書を添えて労働基準監督署長に届出ること。
2. 事業附属寄宿舎
事業附属寄宿舎は、6 月以上寄宿させる第一種事業附属寄宿舎と6 月未満寄宿させる第二種事業附属寄宿舎に区分されていますが、共通して要求していることは、次のとおりです。
a.第一種事業附属寄宿舎
(a) 私生活の自由の尊重(寄宿舎規程第4 条)
事業者は、労働者の私生活の自由を尊重するため、次のことは禁止されています。
外出、外泊について使用者の承認を受けること
教育、娯楽、その他の行事への参加を強制すること
面会の自由を制限すること等
(b) 建築物の構造、設置場所等(労基法第95条、寄宿舎規程第1 条の2 〜4 条)
爆発性、引火性、可燃性のものを取扱又は貯蔵する場所の付近、騒音又は振動の著しい場所、土砂崩壊、出水等の危険のある場所、伝染病患者の収容施設の付近等を避けること。
男女を同一の建物に収容しないこと。ただし、完全な区画を設け、出入口を別にする場合は除く。
寝室は、耐火建築物の場合を除き、3 階以上又は地下に設けないこと。
常時15人以上の労働者が、2 階以上に寄宿する場合には、避難用の階段を2か所以上設けること。
非常の場合、居住者に知らせるベル等を設けるとともに、消火設備を設けること。
廊下は、片側だけに設け、1.3 メートル以上とすること。(耐火構造物で廊下の幅が1.6 メートル以上あるときには、中廊下とすることができる。)
1室の居住面積は、一人について2.5 平方メートル以上とし、一室の人員は16人以下とすること。また、天井の高さは、2.1 以上とすること。
照明、採光、換気、暖冷房が十分であること。
(c) 衛生等(寄宿舎規定第20〜35条)
各人専用のふとんを備え、常に清潔に保つこと。
30人以上居住するときには、食堂を設けること。(事業場の食堂が近くにあるときは除く)また、食器はしばしば消毒すること。
近くに浴場が無いときには、浴場を設けること。浴場は男女別々とすること。
便所は、男女別々とし、食堂、炊事場から適当に離れた場所に設けること。
水道水は、水質検査に合格したものとすること。
毎年2 回以上、栄養状態、伝染性眼疾患及び皮膚疾患の有無の検査を行うこと。
常時50人以上を寄宿させているときには、衛生に関する知識を有する者を担当者として定めておくこと。 等
b. 第二種事業附属寄宿舎(寄宿舎規定第37〜39条)
    第二種事業附属寄宿舎は、短期間の宿泊に使用されるものなので、事業者に要求している事項も少なくなっています。
宿舎は、騒音又は振動の著しい場所、土砂崩壊、出水等の危険のある場所には設置しないこと。
寝室の居住面積は、一人当たり2.5 メートル以上とし、一室の人員は50人以下とすること。
出入口は、2 か所以上とすること。
近くに浴場がない場合は、入浴の設備を設けること。
清浄な飲料水を備えること。 等
3. 建設業附属寄宿舎
   建設業附属寄宿舎は、建設工事の期間のみ使用することが原則となっていますが、かなりの期間に及ぶこと或いは工事現場を変えても使用することも少なくないため、規定の内容は、ほぼ第一種事業附属寄宿舎と同じようになっています。
(a) 私生活の自由の尊重(建設寄宿舎規程第5 条)
第一種事業附属寄宿舎に同じ。
(b) 設置場所、建築物の構造等(建設寄宿舎規程第6 〜12条,13 〜16条)
設置場所については、第一種事業附属寄宿舎に同じ。
男女の区別については、特に規定されてはいません。
非常を知らせるベル等については、第一種事業附属寄宿舎に同じ。
廊下は、両側に寝室があるときは、1.8 メートル以上、その他については1.2 メートル以上。
1室の居住面積は、一人について3.2 平方メートル以上とし、一室の人員は6 人以下とする。
照明、採光、換気、暖冷房等については、第一種事業附属寄宿舎に同じ。
(c) 衛生等(建設寄宿舎規程第17〜20条)
食堂を設けたときは、冷暖房施設等を設置し、また、清潔に配意すること
10人以内ごとに一人以上の者同時に入浴できる浴場を設けること
便所は、15人に一個以上設けること
水道水については、第一種事業附属寄宿舎に同じ。
(d) その他(建設寄宿舎規程第3 条,3条2,12条の2 )
寄宿舎管理者を選任し、1月以内ごとに一回寄宿舎を巡回させ、不具合な箇所は事業者等に連絡して改修等を行わせる。
寄宿舎の開始後及び6月以内ごとに避難、消火訓練を行うこと

(次回は、労働者派遣業務と安全衛生を予定)