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5. 有害物に関する規制



化学物質等では、人体に有害な物質も多く、その製造・取扱の段階で作業者が被曝することにより悪性腫瘍が発生したり、急性中毒等をおこすことも少なくない。 そのため、化学物質等の有害度に応じ製造禁止等の規制がなされています。

1.製造等が禁止されている物質等

(1)製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止されている物質等
・ 黄りんマッチ
・ ベンジジン及びその塩
・ 4−アミノジフエニル及びその塩
・ アモサイト
・ クロシドライト
・ 4−ニトロジフエニル及びその塩
・ ビス(クロロメチル)エーテル
・ ベーターナフチルアミン及びその塩
・ ベンゼンを含有するゴム糊(5%以上含有するもの)

(2)製造・輸入・使用の特例
(1) の物質等であっても試験研究のため製造・輸入・使用する場合であって、あらかじめ都道府県労働局長の許可を得た場合には禁止から除外されます。
許可を得るためには、製造設備、取扱者に対する教育、保管等について一定の要件を満たしていることが要求されます。



2. 製造の許可

(1)製造の許可が必要な化学物質等
・ ジクロルベンジジン及びその塩
・ アルフアーナフチルアミン及びその塩
・ 塩素化ビフエニル及びその塩(PCB)
・ オルトートリジン及びその塩
・ ジアニシジン及びその塩
・ ベリリウム及びその化合物
・ ベンゾトリクロリド

(2)許可の手続、基準
製造の許可の申請は、厚生労働大臣が行ないます。また、許可の基準は、特定化学物質等障害予防規則に定められています。



3.成分の表示

労働者に健康障害を及ぼすおそれのある次の化学物質等を容器に入れ、包装して譲渡し、または提供する者は次の事項を表示することが要求されます。

(1)表示対象物質
・ 2−(1)の物質等
・ アクリルアミド
・ アルキル水銀化合物
・ 塩化ビニル
・ オーラミン
・ キシレン
・ クロロホルム
・ 四塩化炭素 等約90物質

(2)表示事項
・ 名称
・ 成分及びその含有量
・ (1) のうち一定の物質等(約40物質)については、人体に及ぼす影響
・ 貯蔵又は取扱上の注意
・ 表示者名、住所



4. 化学物質の有害性の調査等

(1)新規化学物質の届出
元素、天然に産出される化学物質、放射性物質及び既に名称が公表されている化学物質以外の化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、有害性の調査を実施し、その名称、調査の結果を厚生労働大臣に届出ることが要求されています。
但し、次の場合は届出が免除されています。
・ 試験研究のため製造し、又は輸入しようとするとき
・ 一年間の製造量または輸入量が100kg以下である旨厚生労働大臣の確認を受けたとき 等

(2)届出に必要な有害性調査の内容等
・ 変異原性試験、がん原性試験等の結果
・ 試験を適性に行える試験機関で実施したものであること(GLP)

(3)化学物質の有害性調査の指示
がん等重度の健康障害を生ずるおそれのある化学物質について、厚生労働大臣は実験動物を用いた吸入投与、経口投与等のがん原性の調査を製造者、輸入者、使用者等に対して指示することができることになっています。