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9. 健康の保持増進のための規制等(2)


3. 健康診断

労働者の健康診断は、健康の保持増進の基本であり、次のような健康診断が要求されています。

(1)雇い入れ時の健康診断
新規に雇い入れる労働者については、定期健康診断と同様の内容の健康診断を実施することが要求されています。

(2) 定期健康診断
常時雇用する労働者については、1年に1回定期に,医師により次のような内容の健康診断が要求されています。

・既往歴
・業務歴
・自覚症状・他覚症状の有無
・身長
・体重
・視力
・聴力
・胸部X線検査及び喀啖検査
・血圧の測定
・貧血検査
・肝機能検査
・血中脂質検査
・血糖検査
・尿検査
・心電図検査
なお、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、定期健康診断の結果を労働基準監督署長に報告することが要求されています。

(3)特殊健康診断
有害な業務に従事している労働者については、医師により特別の健康診断を行い、その結果は労働基準監督署長に報告することが要求されています。

a. 対象の有害業務、診断の周期
測定結果の評価は、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準により行い、第1管理区分〜第3管理区分(作業環境の改善等を直ちに行う必要がある水準)に区分する。

高圧室内業務、潜水業務 6月以内ごと
放射線業務 6月以内ごと
特定化学物質等取扱等業務(37業務) 6月以内ごと
鉛業務 6月以内ごと
四アルキル鉛業務 3月以内ごと
有機溶剤取扱等業務 6月以内ごと
塩酸、硝酸、硫酸等のガス、蒸気又は粉じんの
発散する場所での業務(歯科医師による診断)
6月以内ごと


b. 診断項目
特殊健康診断項目については、有機溶剤中毒予防規則等に定められています。

(4)その他の健康診断等
a. 海外派遣労働者に対する健康診断
海外に6月以上派遣する労働者については、定期健康診断に準じた健康診断を行うことを要求しています。
b. 結核健康診断
雇い入れ時又は定期健康診断等で結核の発病のおそれがあると診断された者については、6か月後に結核健康診断を行うことを要求しています。
c. 給食従業員の検便
事業場に付属する食堂等で給食の業務に従事する労働者については、雇い入れの際またはその業務に配置換えの際に検便による健康診断を要求しています。

(5)健康診断実施後の措置
健康診断の結果、異常の所見があると診断された者については、医師又は歯科医師の意見を聞いて就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮等を行うほか、作業環境測定の実施、施設・設備の設置、整備を行うことを要求しています。


3. 健康管理手帳

都道府県労働基準局長は、がんその他重度の健康障害を生ずるおそれのある業務に従事していた者に対しては、離職の際又は離職の後に健康管理手帳を交付し、定期的に健康診断を受けることを勧告することになっています。
その業務と交付の要件は、次のようになっています。

業務 要件
ベンジジン及びその塩の業務 3月以上従事した経験
ベーターナフチルアミン及びその塩の業務 3月以上従事した経験
粉じん作業 じん肺管理区分が「3」であること
クロム酸等及びその塩の業務 4年以上従事した経験
三酸化砒素製造工程の精練等の業務 5年以上従事した経験
コークス又は製鉄用発生炉ガスの業務 5年以上従事した経験
ビス(クロロメチル)エーテルの業務 3年以上従事した経験
ベリリウム及びその化合物の業務 両肺野に慢性の結核性陰影があること
ベンゾトリクロリドの業務 3年以上従事した経験
塩化ビニルの業務 4年以上従事した経験
石綿の業務 両肺野に不整形陰影等があること
ジアニシジン及びその塩の業務 3月以上従事した経験