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フィンランド国旗フィンランド - 統計から見る世界の労働安全衛生

出典:新しいウィンドウに表示しますフィンランド労働衛生研究所(FIOH)ウェブサイト
新しいウィンドウに表示しますOccupational diseases in Finland in 2002PDF[809KB]P.6〜P.7

掲載日:2007.02.21
新しいウィンドウに表示しますフィンランド労働衛生研究所(FIOH)のウェブサイトで閲覧できる「新しいウィンドウに表示します2002年フィンランドにおける職業性疾病PDF[809KB]のP.6からP.7にある1990年から2002年までの統計を紹介する。その他の統計資料については、同研究所のウェブサイトで閲覧されたい。

1 職業性疾病

1990年〜2002年の職業性疾病グラフ

2002年に医師や保険会社からフィンランド労働衛生研究所(Finnish Institute of Occupational Health: FIOH)に属するフィンランド職業病登録(Finnish Register of Occupational Diseases: FROD)に届出のあった職業性疾病は合計で4,807件であった。2001年と比べると、119件(2%)少なかった。主な職業性疾病のカテゴリーのうち、アレルギー性呼吸器疾患と騒音による聴力損失は、ここ数年間で減少している。

職業性疾病の届出と発生は、法制の変更、失業率、実際の診断や届出のあり方など、さまざまな要因に左右される。大規模なスクリーニングキャンペーン、および自分の抱える症状や疾病に積極的に対処しようとして労働者が態度を変化させることなども、職業性疾病の統計に影響を及ぼすことがある。たとえば、アスベストに起因する疾病が1990〜92年に急激に増加し、その後1992〜95年に減少したのは、FIOHが1990〜92年に展開したスクリーニングキャンペーンの影響である。

本冊子掲載の統計情報は、フィンランド災害保険機関連盟(Finnish Federation of Accident Insurance Institutions: FAII)の管理する統計情報とはいささか異なっている。本冊子では診断日を基準に疾病件数を数えているのに対し、FAIIの統計情報では保険制度で定められた事務上の発生日を基準に職業性疾病届出件数を数えており、この発生日が実際の診断日とは大きく異なる場合がある。たとえば、アスベストに起因する疾病や聴力損失などは、こうしたケースに該当する。また、本冊子掲載の統計情報には農家の職業性疾病が含まれているが、これはFAIIの統計情報には含まれていない。

2002年の労働者10,000人当たりの職業性疾病届出件数は20件であった。疾病によっては発症まで時間のかかるものがあるので、雇用と職業性疾病件数との関係は簡単ではない。たとえば、職場の騒音は長年の間に聴力を低下させるが、反復的負荷障害(RSI)と刺激性接触皮膚炎のほとんどはすぐに発症する。したがって2002年の届出件数は、1990年代の労働条件、または2000年代初年の労働条件を反映したものである。また、石綿肺や肺がんなど、職業性疾病によっては一般的な定年年齢(65歳)に達するまで発症しないものもある。こうした問題はあるが、疾病の発生率は当該疾病の届出のあった年の雇用数を用いて算出している。労働者当たりの職業性疾病の発生率は、わずかながらも着実に減少している。