職業性疾病
法的根拠及び定義
職業性疾病とは、SGB(社会法典) VII § 9第1節に基づき、連邦政府が、連邦参議院の承認のもとに、通達(職業性疾病通達、BKV)によって、職業性疾病と指定したもので、被保険者が保険で定めた業務の遂行の結果罹病した疾病である。
ある病気を職業性疾病通達(BKV)に取り入れるかどうかは、社会政策の検討により決められるのではなく、ある特定のグループの人たちが業務上、他の人たちより高度のばく露をうけて、特別の影響により発病したという医学的な知見により行われるのである。
それだけでなく、SGB(社会法典) VII § 9第2節では、新しい医学的知見に基づき、BKVに記載されていない疾病の認定と補償を可能にしているのである。
ある病気についてそのような知見が提出されれば、通達はそれに応じて補足される。現時点で認定されている職業性疾病の一覧は、職業性疾病通達の付属書に記載されている。
職業性疾病の届出
職業性疾病は、州政府の災害保険担当局 (UVT)又は労働衛生担当部局へ届出を行う。UVTと労働衛生担当部局は報告があったものについて互いに情報交換を行っている。医師、健康保険組合及び使用者に対しては、職業性疾病が存在するという疑い又は根拠があった場合の報告義務が課されている。保険加入者、家族、その他の者も同様に職業性疾病が存在する疑いを報告することができる。
この開かれた報告手続きにおいては、職業性疾病の範囲は意図的に広く線引きされているが、それは職業性疾病が存在する可能性があれば、根拠の証明をすることなく、すなわち、先取りして(vorsorglich)報告できるようにするためである。この職業性疾病の先取り報告方式は、新しい業務に起因する健康障害を早期に指摘し、予防対策の促進に資する。これにより既定の職業性疾病についての報告は明らかに多くなる。
一人の保険加入者について報告された疑わしい事例は、複数の部門から同様の報告があっても1つとカウントする。単に、職業性疾病が発生するかもしれない危険性、職業性疾病の再発又は悪化のみを指摘している報告は考慮されない。職業性疾病の疑いについての報告は個々に行政手続に従って、報告された疑いが正しいかどうか、病気を認定するかどうかを決定する。職業性疾病と認定するためには、保険加入者の受けた障害が、定められた業務からの有害作用が原因であるということが前提となる。他方、有害作用と病気の間に、蓋然性を伴った因果関係がなければならない。さらに、病気のリストに関して、個々の職業性疾病番号(職業性疾病通達の付属書参照)に対してつける呼称を与えるという法的前提が満たされなければならない。
補償給付
職業性疾病と認定されたあとも、自動的に年金支払いが行われるわけではない。次の3つの可能性がある:
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職業性疾病が認定され、給付はあるが年金はない
職業性疾病の性質と病気の経過により、職業的リハビリ、医学的リハビリのための給付が行われる。リハビリ終了後は病気の継続はなく再び就業が可能である。治療が必要なときは時間的期限なしに要求できる。
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職業性疾病が認定され、年金が支払われる
医学的リハビリが終わっても、職業性疾病の結果として保険加入者の健康障害があり、かつ発病後26週以降も就業能力が最低20%以上低下している。
職業性疾病発生に関する統計
報告された職業性疾病及び認定された職業性疾病とともに、「新規職業性疾病年金」「死亡職業性疾病」の統計がとられている。
「新規職業性疾病年金」のところには、報告年に初めて保険年金(又は一時金)か遺族年金(又は死亡一時金)が、行政手続によって確定した事例が、認定職業性疾病全体に対して示されている。対応する「疑わしい事例報告」は場合によっては何年か遅れることもある。SGBVIIは年金支払いの条件を定めている。年金が支払われるためには、その保険加入者の就業能力が発病後26週を越えた時点で少なくとも20%低下していなければならない。
職業性疾病認定患者の死亡事例とは、職業性疾病が死亡の唯一の原因である場合又は少なくとも死亡の主原因である場合(例えば長期に年金を受領したあと)である。
最新の「労働安全衛生報告」から次の図表を得ることができる:
これ以上の詳細は2003年労働安全衛生報告参照
関連リンク (略)