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「労働安全衛生基準」に関する手引書(改正)

(資料出所:Department of Labor and Employment発行
「PRIMER on the Occupational Safety and Health Standards」)

(仮訳 国際安全衛生センター)


規則1960
労働衛生業務

各事業者は、その事業場において、医科・歯科診療、救急医療および歯科施設を提供するよう要求されます。


  1. 職場において必要な救急医薬品、医療品および医療設備とは?

救急医薬品、医療品および医療設備は、「OSH基準」の表47に列挙されています。


  1. 事業者が雇うべき衛生管理者(Health Personnel)とは?

衛生管理者は、労働者数と有害危険な業種かそうでない業種かに応じて雇用されます(詳細は、添付の表を参照)。


  1. 衛生管理者の資格とは?

  1. 応急手当係
  1. 読み書きができる者。
  2. フィリピン全国赤十字社(Philippine National Red Cross: PNRC)もしくはPNRC公認組織による「応急手当」課程の修了者。
  1. 看護師
  1. 看護師試験官委員会(Board of Examiners of Nurses)による試験合格者。
  2. 保健省(Department of Health)、フィリピン大学公衆衛生研究所(the Institute of Public Health of the University of the Philippines)または保健省公認組織による労働看護研修を50時間以上受け、フィリピンにおいて看護を行う免許を有する者。
  1. 医師(常勤または非常勤)
  1. 医師試験官委員会(Board of Examiners for Physician)による試験合格者。
  2. フィリピンにおいて医療を行う免許を有する者。
  3. BWC、公衆衛生大学(the College of Public Health)または公認組織による労働医学研修課程の修了者。

労働者2,000人を超えるの危険有害事業場の事業者の下で働く医師の追加資格:

  1. 労働衛生または産業衛生またはその設備における学位や修士号を有するか、労働医学の専門医学実習プログラムを完了し、就業条件局による認定を受けていなければなりません。
  2. 地域労働局に登録されていなければなりません。
  1. 歯科医(常勤または非常勤)
  1. 歯科医試験官委員会(Board of Examiners for Dentist)による試験合格者。
  2. フィリピンにおいて歯科医療を行う免許を有する者。
  3. 保健省の歯科衛生業務局(Bureau of Dental Health Services)または公認組織による労働歯科医学研修課程の修了者。

  1. 衛生管理者の職務とは?

  1. 応急手当係
  1. 突然の負傷・疾病の際に直ちに一時的処置を施し、必要な場合、病人を医師または歯科医に付託すること。
  2. 医科・歯科の業務および設備の維持。
  1. 看護師
  1. 傷病者の看護。
  2. 看護職範囲内の健康診断の実施、より綿密な健康診断が必要な場合の医師への付託。
  3. 保健記録の記入と、年次医療報告書の提出。
  4. 労働者の健康に影響を与える状況を改善するための提言の実施。
  1. 医師
  1. 労働衛生業務プログラムの組織化、運営、維持。
  2. 労働衛生研究の実施。
  3. 職場における疾病・負傷の予防。
  4. 労働者健康保持。
  5. 内科・外科治療。
  6. 患者全員の記録の管理と分析。
  7. 健康への有害要因について、作業環境の継続的監視。
  8. 衛生問題について、経営陣および労働者への助言。
  9. 最高経営陣への直接の報告。
  1. 歯科医

職場で雇われている歯科医の職務は、保健省歯科衛生業務局により定められた基準に従うこととされます。


  1. 労働衛生プログラムの目標とは?

  1. 労働者の身体的・感情的・心理的な特質および傾向の評価。
  2. 従業員の健康への有害要因からの保護。
  3. 応急手当および緊急治療の提供。
  4. 疾病・負傷の労働者に対する充分な医療の確保。
  5. 個人の健康保持、身体的健全性、適切な栄養物摂取慣行の促進。
  6. 家族計画プログラムについての指導、情報および業務の提供。

  1. 労働衛生プログラム活動とは?

  1. 健全な作業環境の維持。
  2. 健康診断。
  3. すべての負傷への診断および処置。
  4. 予防注射プログラム。
  5. 各労働者の正確かつ完全な医療記録。
  6. 健康教育とカウンセリング。
  7. 栄養物摂取プログラム。

  1. 労働衛生業務とは?

「労働衛生業務(Occupational health services)」は、主に予防機能を委ねられており、事業所/企業において、事業者、労働者および労働者代表に対し以下を助言する責任を負います。

  1. 作業に関わる最適な身体的・精神的健康を増進する、安全かつ健全な作業環境の確立および維持についての要求。
  2. 労働者の身体的・精神的健康状態に照らした労働者の能力に合わせた作業の調整。

  1. 事業所における労働衛生管理者とは?

事業所/企業における「労働衛生管理者(Occupational health personnel)」とは、有資格の応急手当係、看護師、歯科医または医師を意味しており、事業所/企業における労働衛生業務を提供するため、その活動は事業者によって保証されています。


  1. 応急手当とは?

「応急手当(First Aid Treatment)」とは、労働者が負傷または急病になった場合に、そのような疾病/負傷が職業上のものであるか否かを問わず、より徹底的な医科および/または歯科治療がなされる前に、充分かつ迅速かつ必要な医科および/または歯科の手当や治療を施すことを意味します。これには、負傷・疾病のその後の処置は含まれません。


  1. 応急手当係とは?

「応急手当係(First Aider)」は、フィリピン全国赤十字社またはその公認組織による研修を受け、応急手当を行う認定または資格を得た者を意味します。


  1. 労働衛生管理士とは?

「労働衛生管理士(Occupational Health Practitioner)」とは、フィリピンにおいて専門職を務める免許を有し、この規則の下で要求された追加資格すべてを有する医師、看護師、技術者、歯科医または薬剤師を意味します。


  1. 救急治療室とは?

「救急治療室(Emergency Treatment Room)」とは、必要な医療施設および医薬品を備えた閉鎖区域または部屋を意味し、事業所内に設置されます。労働者は、緊急時に負傷・疾病の診察や処置を受けます。


  1. 救急診療所とは?

「救急診療所(Emergency Clinic)」とは、事業所内に設置された必要な医療施設および医薬品等を備えた閉鎖された区域、部屋または建物を意味します。労働者は、緊急時の負傷・疾病の診察や処置を受けます。診療所では労働者のためのより精密な機器・設備(診察用ベッド、酸素タンク)が利用可能であり、より高い資格をもった医療スタッフが常駐しています。短期休養を要する少数の簡単な傷病者も処置を受けることができます。そのような患者は病院へ付託することもあります。


  1. 労働衛生業務の役割とは?

  1. 職場における衛生上の危険の確認・評価。
  2. 事業者によって便宜が提供される衛生設備、大食堂および住宅を含めた労働者の健康に影響しうる作業環境や作業慣行上の要素の検視。
  3. 職場の設計を含めた作業計画や組織、機械および他の設備の選択・保守の状況、作業で使用される物質に関する助言。
  4. 作業慣行改善のためのプログラム策定や、新設備の衛生面における精査・評価への参加。
  5. 労働安全衛生やエルゴノミクス、個人・集団のための保護設備に関する助言。
  6. 作業に関わる労働者の健康の監視。
  7. 労働者に合わせた作業調整の促進。
  8. 労働衛生分野およびエルゴノミクスにおける情報提供、研修および教育における援助。
  9. 応急手当および救急処置の組織化。
  10. 労働災害および業務上疾病の分析への参加。

  1. 労働衛生業務を主体的に運営できるのは誰か?

労働衛生業務は以下の者が運営することができます:

  1. 事業所/企業
  2. 就業条件局によって認められた政府当局または係官
  3. 社会保障機関(Social Security Institution)
  4. 就業条件局から授権された他の団体
  5. 上記いずれかの組合せ

  1. 労働衛生業務はの運営方法は?

  1. 単一の小規模事業所のための業務として運営される労働衛生業務は、担当者として労働衛生管理士1名を置き、その者が職場点検を行います。
  1. 労働者1人〜50人の有害な小規模事業所については少なくとも2カ月に1回。
  2. 労働者51人〜99人の危険有害な小規模事業所は、少なくとも1カ月に1回。
  3. 労働者1人〜99人の危険有害でない小規模事業所は、少なくとも6カ月に1回。
  1. 労働者100人〜199人の単一(forasingle)の危険有害でない中規模事業所のため労働衛生業務は、担当者として労働衛生管理士1名を配置し、その者が少なくとも3カ月に1回職場点検を行わなければなりません。

  2. 労働者100人〜199人の単一(forasingle)の有害危険な中規模事業所を対象とする労働衛生業務は、担当者として非常勤の労働衛生医1名を配置し、その者がこの規則の下で定められた労働衛生医の職務を遂行しなければなりません。

  3. 労働者200人以上の危険有害な事業所およびそうでない大規模事業所に対する労働衛生業務は、事業所/企業毎に専従業務として組織され、規則1963の規定に従い、非常勤または常勤の労働衛生医1名を担当者として配置しなければなりません。そのような労働衛生医は、この規則に定められた労働衛生医の職務を遂行するものとします。

  4. 多数の事業所/企業が共同で労働衛生業務を実施する場合には以下の規則に従わなければなりません。:
  1. 小規模業種については事業所総数が10を超えない。
  2. 中規模業種については事業所総数が4を超えない。

  1. 労働衛生管理士の職務とは?

労働衛生管理士の義務は以下のとおりです:

  1. 職場における事業者、労働者および労働者の代表に対し、労働者の最適な身体的・精神的健康を増進するような安全かつ健全な作業環境の確立・維持に必要とされる要求事項を助言すること。
  2. 本規則で要求される職場の定期点検を行うこと。
  3. 労働衛生プログラムの組織化・運営・維持に関わる事柄において、事業者、労働者および労働者代表への助言者を務めること。
  4. 報告・記録システムを管理し、書式DOLE/BWC/HSD/OH-47を用いて、「OSH基準」で要求されたように年次医療報告書を作成し、事業者に提出すること。