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NSC発行「Safety + Health」2001年11月

ニュース



対米テロで、安全問題浮上


 ニューヨーク、ワシントン − ニューヨークとワシントンへのテロ攻撃は、世界貿易センタービルや国防省の倒壊現場で働く救援隊員や労働者に、さまざまな危険をもたらしている。
 OSHA(労働安全衛生庁)は、罹災地区での有害物質の暴露から作業員を保護するよう、事業者や連邦当局に、勧告や技術支援を提供している。ニューヨークでは、OSHAは、EPA(環境保護局)の支援を受けて、世界貿易センターから半径数ブロック以内の建物内で、アスベスト濃度を検査している。これまでのところ、EPAの採集した周辺の大気サンプルには、アスベストは含まれていないか、極微量である。大量の廃材や粉じんのサンプルには、概して低濃度のアスベストが含まれていた。
 「OSHAは、従業員が、できるだけ早く元の職場に戻れるよう、連邦諸機関と連携している。周辺建物のアスベスト濃度に関する第一報は、励みとなる」とエレイン・チャオ労働長官は述べた。「OSHAの目標は、倒壊現場近く、あるいは風下にある建物に出入りする人々を保護し、安全に関するすべての情報を提供することにある」。
 OSHAはまた、地下に埋設したガス管のガス漏れのため、溝を掘る労働者の安全基準に関し、コンソリデイティッド・エディソンとも、連携している。
 国防省では、救助、復旧作業中のアスベスト暴露や建物損壊といった懸念について、OSHAは支援活動を行っている。



新エルゴ行動計画、遅れる
 
  アトランタ − 9月11日のニューヨーク、ワシントンへのテロ攻撃で、エルゴノミクスに関する新行動計画が遅延するという副産物が生じた。労働省は、今後の発表は、今秋遅くになるだろうと述べた。
アトランタでの全米安全評議会(NSC)の年次大会&展示会で、ジョン・ヘンショーOSHA長官は、当局が、世界貿易センター、国防省における救助、復旧活動で多忙をきわめていると述べた。実際、OSHAのニューヨーク事務所は、今回の倒壊で消失した。
 7月、労働省は、バージニア、イリノイ、カリフォルニア3州で、異論の多いエルゴノミクス問題について国民のコメントを収集するため、エルゴノミクス公開討論会を3回開催した。収集されたコメントについては、目下吟味中である。



倒壊現場の大気、水は安全−EPA調査

 ワシントン − クリスティン・トッド・ホイットマンEPA(環境保護局)長官は、飲料水の監視を進めているが、世界貿易センター倒壊の結果として、アスベスト、放射性物質、水銀その他の金属や殺虫剤、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、細菌の徴候は見られないと語った。
 「EPAは、世界貿易センター攻撃の余波で生じうる環境問題を精力的に監視しているが、これまで得た結果は、喜ばしいものである」とホイットマン長官は述べた。「ニューヨーク、ニュージャージ−の人々は、家庭や職場に戻っても、環境問題を心配する必要がない」。
 9月中旬までに、EPAは、「ゼロ地点」とも称される倒壊中心部周辺やマンハッタン南部の11ヶ所、および倒壊現場から風下のニュージャージー州4ヶ所の定点観測で採集した100の大気サンプルを採集した。EPAによると、7サンプルについては、長期暴露の場合憂慮されるとする当局のアスベスト濃度基準をわずかに超えた。
 全救助作業員には、適切な保護具が支給された。EPA、OSHA、地方当局は、救助隊員、清掃隊員の安全確保のため、協力している。
 「我々は、支援するために現場におり、邪魔するのではない」とジョン・ヘンショーOSHA長官は語った。「我々は、救助隊のじゃまをしたり、仕事のやり方を指示するつもりはない。そのようなことは、ゼロ地点で献身的に働く人々の鼻をなぐるに等しい」。



労働省、労災補償給付を迅速化

 ワシントン − 労働省労働災害補償室は、ニューヨークとワシントンにおけるテロ攻撃で被害を受けた連邦職員、救急隊員のため、労災補償支払い請求を迅速に処理する特別班を発足させた。
 連邦政府職員災害補償法は、国防省や世界貿易センターの復旧作業に従事中、負傷した連邦政府の文民職員全員に適用される。また、テロ攻撃で死亡した職員、その配偶者や扶養子女にも適用される。
 「この悲劇の真っ只中で、我々は、人々のための仕事をすると決意した。小切手を郵送し、支払い請求を処理し、職場を検査しなければならない」とエレイン・チャオ労働長官。



NIOSH、アラスカ領空の安全をめざす

 アラスカ州アンカレジ − NIOSH(国立労働安全衛生研究所)は、アラスカ州での航空タクシー(近距離営業の不定期小型機)、コミューター便(近距離間の定期旅客輸送機)のパイロット、運営者に対し、衝突事故による労働死亡災害の防止に有益な情報を提供するよう、協力を求める任意調査を実施している。アラスカ州は、州別労働死亡率がもっとも高く、職業別では、パイロットの死亡率がもっとも高い。パイロットの死亡率は、アラスカ州の商業漁労民より高く、漁労民の死亡率10万人あたり150人に比し、パイロットは、10万人あたり400人となっている。
 アンカレジにあるNIOSH安全調査部のダイアナ・ベンジル疫学博士は、アラスカの地域の大半は遠隔地で、人は、移動するのに航空便に頼らざるを得ないと語った。
 「飛行機だと10分程度でも、地域によっては道路システムが確立していない。ほかの手段での移動は無理である」とベンジル博士。危険をはらむ地形や冬の暗さ、春秋の霧、着氷が、飛行条件を困難にしている。
 NIOSHの本調査は、立法化を目指すものではないとベンジル博士は強調した。
 「管理者、保険代理人、地域社会、パイロット間の協力に向けた気運がある。これは、協調行動である」と博士。「我々は、自主的改革をめざす。今以上の規制は望まない」。
 調査結果は、アラスカの労働死亡率の低下をめざすのみならず、全米の小型飛行機の安全改善に向けた勧告にもなりうるとベンジル博士は述べた。本調査の暫定結果は、11月に発表される。



スカリア氏、上院聴聞会でエルゴノミクスに関する自身のスタンスを弁護

 ワシントン − 米最高裁判所判事アントニン・スカリア氏の子息で、ブッシュ大統領が労働省の主席法律顧問に指名したユージーン・スカリア氏は、上院の確認聴聞会で、労働安全法規に対する自身の対立的な姿勢を弁護した。
 スカリア氏は、とくにエルゴノミクス基準を「いかさま治療」「おんぼろ科学」と称し、批判していた。しかし、エルゴノミクス関連傷害が存在するということは信じると同氏。件のエルゴノミクス基準は「行き過ぎ」で、同基準を裏付ける科学的根拠では、最高裁が確立した法的「科学的データ」基準を満たさなかったと述べた。
 「弁護士が、私的予定表を進めるために法律助言を控えたり、歪曲するなどは、弁護士としての厳粛な義務へのゆゆしき背信行為である」と、スカリア氏は聴聞会で述べた。同氏はまた、「労働法規は、真摯に受け止められなければならない。指名が確定すれば、法規の施行に全力を注ぐことを誓う」と語った。
 エドワード・ケネディ(民主党、マサチューセッツ州)、ジョン・エドワーズ(民主党、ノース・カロライナ州)両上院議員は、聴聞会でスカリアを詰問し、懸案事項の概略を述べた。ケネディ議員は、「アメリカの労働者とその家族にとって重要な諸問題について、スカリア氏は、大勢からはずれた見解を有する」。エドワーズ議員は、スカリア氏が、「労働者を十二分に正しく代表するに足る共感」を持ち合わせているか、尋問した。
 ジャッド・グレッグ上院議員(共和党、ニューハンプシャー州)は、「両院で超党多数により廃案となった法規に氏が反対したからとの理由で、氏を不適格とするのは合理的ではない」と発言し、擁護した。
 労働法務官として確認されると、スカリア氏は、200近い労働法規の施行を任される。安全衛生、最低賃金、年金保障など、同省の事実上すべてのイニシアチブに関し、法律助言や指導を行う。
 労働組合は、スカリア氏就任反対を公に発表しており、事業者団体は、同氏の指名を支持している。スカリア氏が労働法務官になる可能性は、無所属のジェイムズ・ジェフォーズ上院議員の投票次第といえる。



NIOSH、携帯電話タワーの死亡事故を探る

 ワシントン − NIOSH(国立労働安全衛生研究所)によれば、1992〜1998年間で、電気通信用タワーでの作業中に 118人が死亡。これには、墜落・転落死93人、タワー崩落による死亡 18人、感電死4人が含まれる。連邦通信委員会は、米国内には、少なくとも7万 5千の電気通信用タワーが設置されており、毎年千基以上のタワーが建設されていると試算。タワーが建つにつれ、死亡者数も上がる。
 NIOSHのドーン・カスティロ部長は、6月、ザ・ウォールストリート・ジャーナルに対し、当局は、事態を把握する必要があると語った。
 7月、カスティロ部長は、「電気通信用タワーの建設・保全作業中の墜落・転落死傷事故の防止」と題したNIOSHの警鐘論文の筆頭執筆者を務めた。事業者、労働者、同業組合、連邦政府の代表者で構成するOSHA対策委員会が、問題に取り組み始めた。
NIOSHのスポークスマン、フレッド・ブロッサー氏は、当該産業の成長予測にかんがみ、事業者、労働者、タワー建造者らは、タワーからの墜落・転落死の危険性について警鐘を鳴らし、労使の注意を喚起し、共同して死亡事故の防止方策を見出すよう努めるべきであると語った。

JICOSH註) NIOSH Alertはこちら
電気通信用タワーの建設および保守時の墜落・転落による傷害・死亡の防止(2000)」



EPA、情報製品搭載用ウェブサイト新設

 EPA(環境保護局)と州環境評議会は、製作中のコンピューターモデリング・ツール、大容量データベース、主要報告といった情報製品を中心に据える、新しいウェブサイトを設けた。これは、民間団体、非営利団体や州および地方環境当局を対象としたものである。
 情報製品とは、具体的に何であるか、次に二例を挙げる。
・ 「法律アドバイザー」としても知られるレグ・イン・ア・ボックス(Reg- in- a- Box)。ユーザーにインタービューし、ユーザーの遵法義務を説明した報告書にまとめる。これは、「ターボ・タックス(Turbo Tax)」のようなエキスパート・システムに相当する。2001年秋に発表される予定。
・ 利用しやすい有害性公開目録(略:TRI-ME)ソフトウェアは、事業場が、緊急時対策および公衆の知る権利(EPCRA)第313項(TRI)に規定された義務を決定し、履行するのを支援するツールである。TRI-MEは対話式で、情報処理機能をもつ、ユーザーが扱いやすいソフトで、TRI報告作成体験を通して事業場を指導する。 2002年春に発表される。



安全は、企業の収益にプラス − 経営陣の認識

 ボストン − リバティ・ミューチュアルの調査によると、会社役員の95%は、労働安全は、企業の財務成績にプラスの効果があると報告した。このうち61%は、労働安全の改善に投じた1ドルにつき、3ドル以上もの収益を享受すると確信している。
 「労働安全に関する役員の認識調査」によると、役員は、労働安全のメリットは、企業収益の改善にとどまらないと実感しており、その70%は、労働者の保護こそ一番の利益であると報告している。
 本調査は、労働災害関連の2種類の費用が、米国企業にどう影響を及ぼすかという点も浮き彫りにした。負傷労働者と医療機関への支払い費用のような直接費用と、生産性の損失や超勤費用といった、いわゆる間接費用である。調査対象の役員93%は、この2つに関連性を認めており、うち40%は、1ドルの直接費用が、3〜5ドルの間接費用を生むと報告している。
 労働災害・業務上疾病の直接費用に関する独自の調査結果と間接費用の調査結果を比較して、リバティ・ミューチュアルは、米国企業は、労働者災害補償に年間1,550億〜2,320億ドルという驚異的な金額を負担していると試算する。調査結果はまた、役員は、労働災害の特定の原因に着目して他の原因を排しているが、労働安全の優先順位を洗いなおす必要があると示唆している。
 例えば、役員は、労働災害の原因でもっとも重要性の高いのは反復動作であり、これに安全対策の資源を集中させると答えている。しかし、「リバティ・ミューチュアル労働安全指数」によると、1998年には、反復動作以外の五原因が、それぞれより多くの直接費用をもたらしている。指数によると、1998年の反復動作による傷害は、23億ドルの直接費用をもたらしたが、災害原因第1位は過労で、この直接費用98億ドルの約 1/4にすぎない。
 「労働安全は、今日の米国の事業運営の多方面で、プラスまたはマイナスの波及効果がある」と、商業保険リバティ・ミューチュアルのジョゼフ・ギルズは語った。「役員はまず、労働災害による労働者の苦痛を予防するための先制的対策をたてること。自社に最大のインパクトをもたらす事故原因を特定し、これに職場の資源を集中させれば、費用も削減でき、労働者の達成感や健康の保持、原価の抑制、生産・納期の短縮、品質改善といった戦略的な目標を達成することができる」。
 調査結果は、中規模企業(100〜999人)125社、大規模企業(1,000人以上)75社の労働災害補償その他商業保険担当役員200名へのインタビューに基づいたものである。

出 所:リバティ・ミューチュアル


現  実
認  識
順位 直接費用に基づく労働災害の10大原因 全米労働災害補償直接費用(推計) 「労働安全に関する役員の認識調査」(役員のランキングによる事故原因)
1 過労 − 持ち上げる、下げる、押す、引くによる負傷 98億ドル 反復動作
2 転倒(同一平面) 44億ドル 過労 − 持ち上げる、下げる、押す、引くによる負傷
3 身体の反動 − かがむ、立つ、手を伸ばすことによる負傷。ただし、すべり、つまずきは含まない。 36億ドル 幹線自動車道路事故
4 墜落・転落 36億ドル 身体の反動 − かがむ、立つ、手を伸ばすによる負傷。ただし、すべり、つまずきは含まない。
5 激突され 34億ドル 墜落・転落
6 反復動作 23億ドル 機器にはさまれ、まきこまれ
7 幹線自動車道路事故 21億ドル 転倒 (同一平面)
8 激突 19億ドル 激突され
9 機器にはさまれ、まきこまれ 16億ドル 高温のものとの接触
10 高温のものとの接触 3億ドル 激突



2002年度緑十字賞にライダー社長

 アトランタ − マイアミ市のライダー・システム鰍フグレゴリー・スウィントン社長兼CEO(最高経営責任者)が、2002年度安全緑十字メダルを受賞する。スウィントン社長は、この栄誉に輝く初の運輸産業出身役員である。
 「安全緑十字メダルでライダー社とその社員が世に認められたのは、最も感動的なことであり、光栄に思う」と、スウィントン社長は、全米安全評議会の年次大会&展示会で挨拶した。同氏は、1999年にライダー社の社長兼CEOに就任した。
 「グレゴリー・スウィントン氏に安全緑十字メダルを授与することは、全米安全評議会にとってまことに喜ばしい」と、アラン・マックミラン同評議会会長兼CEO。「企業のトップは、皆、グレゴリー・スウィントン氏の手本に倣うであろう。ライダー社の安全への取り組みは、流通・運輸業界で際立ったものである。労働者の安全衛生、環境への責務と地域奉仕活動に対し、最高水準の献身ぶりを示すものである」。
 受賞指名を受けて、スウィントン社長は、ライダー社のジェフ・レスター安全衛生保安担当副社長をはじめとする、安全衛生専門家数名の貢献をすぐに挙げた。
 スウィントン社長は、DHL社、バーリントン・ノース・サンタ・フェ社などの企業で、安全分野で確固とした実績を積んだ。「安全は、これまでのどのポジションでも重要であったが、ライダー社における程、安全が、自分の職務や組織にとって枢要であったことはなかった。安全が重要である真の理由は、人間の価値にある。社員の安全衛生、顧客や地域社会の安全衛生を尊重するということである」。
 ライダー社の安全衛生チームは、物流・運輸業界一の規模を誇る組織である。チームは、運輸産業、産業安全・保安、産業衛生、プログラム管理やISO(国際標準化機構)工程開発といった専門性を有するメンバーで構成されている。
 ライダー社おなじみの引越し用レンタル・トラックは、もはや同社の事業ではない。5年前に、バジェット社に売却された。このライダー社の名は、白地の商業目的の乗り物にある。
 安全緑十字メダルは、2002年5月、ニューヨーク市ウォルドルフ・アストリア・ホテルで、スウィントン社長に授与される。



政府、職場の規制費用を過小評価

 バージニア州フェアファックス − ジョージ・メイソン大学マーカタス・センターの新しい調査は、職場の規制に年間910億ドルの費用がかかると見積もった。同センターの特別研究員、ジョセフ・ジョンソンン博士は、労働基準、労働者給付金、労使関係、安全衛生、公民権、雇用法規といった主要6分野における労働省の諸規則を検証した。
 ジョンソン博士は、本調査は、すべての規制費用を推計する大規模プロジェクトの第1部であると語った。政府は、税金や事業に対する諸税の費用を計れるが、規制費用は、ふつう数量化しないと述べた。
 「人々は、規則が人を救うということは理解している」とジョンソン博士。「しかし、規制に費用がかかるということは、必ずしも理解していない。第一歩は、費用がかかるということを理解することである」。
 調査結果によると、労働安全衛生法、連邦鉱山安全衛生法、薬物のない職場法、バス輸送労働者試験法に基づく労働安全衛生の規制は、企業負担486億ドルをもたらし、6分野中の最高額を示した。
 労働安全衛生法による規制費用は、410億ドルで、職場の規制費用のなかで最大の割合を占め、直接費用総額のほぼ半分に達する。ジョンソン博士によると、この数値は、労働安全衛生規制費用に関する政府の見積もりに、罰金や費用見積もりのない多くの規制費用を考慮して乗数をかけて得た。
 見積り額には、企業の負担のみが含まれており、例えば、労働災害補償費の節減などから生じた貯蓄は含まないとジョンソン博士は認めている。多くの企業は、独自の安全対策を実施しており、規制のあるなしにかかわらず、費用はかかるとも語った。しかし、博士は、社会にかかる費用は高いとする見解を固守している。
 「職場の規制は、公民の使用者に対する命令であり、彼らの懐から出るものではない。最終的には、消費者が高い値段を払う。大規模な規制がある職場では、労働者は、低い補償に甘んじることとなる」と博士。「実際の費用が使用者の懐から支払われているのは事実だろうが、その費用は転嫁されている」。

職場規制費用

労働基準法規 12億ドル
労働者給付法規 184億ドル
労使関係法規 39億ドル
労働安全衛生法規 486億ドル
公民権法規 65億ドル
雇用決定法規 122億ドル
    
出 所:「職場規制費用の検証と推計」、ジョセフ・ジョンソン著2001年



小規模企業に多い職場殺人

 ノースカロライナ州チャペル・ヒル − アメリカ疫学ジャーナル(The American Journal of Epidemiology)(Vol.154, No.5)に発表された最近の調査によると、小規模企業、新興企業や夜間や週末などに一人で勤務している職場では、殺人が起こりやすい。
 また、男性従業員の比率、黒人やアジア系従業員の比率が高い職場では、殺人の危険性が高い。
 ノースカロライナ大学チャペル・ヒル公衆衛生学部の疫学博士で、本調査の筆頭執筆者であるデイナ・ルーミズ博士は、これらの危険要因は簡単に変えられないが、危険度の高い職場では、特段の予防策を講じることができると述べた。
 調査チームは、1994〜1998年間にノースカロライナ州で起きた職場での殺人事件152件につき、調査した。その結果、過去2年間に開業または移転した職場では、危険度が5倍にも跳ね上がった。住宅街または工業地域にある職場では、危険度が50%増した。
「米国では、自動車衝突事故に続いて、殺人が、労働死亡災害の主要原因である」とルーミズ博士。「しかし、労働者に対する暴力が、労働衛生問題として広く認識されてきたのは、ここ10年である」。



AIHA、 ストラノ氏を理事に指名

バージニア州フェアファックス − 米国産業衛生協会(AIHA)は、リチャード・A・「ディック」ストラノ氏を理事に指名した。
 ストラノ氏は、同協会の理事を12年間勤め、この程引退するO・ゴードン・バンクス氏を引き継ぐ。
 同氏は、以前、シンシナティ市にある全米産業衛生専門家会議(ACGH)の常務理事を務めた。それ以前は、ワシントン市にあるアメリカ整骨療法ヘルスケア協会(The American Osteopathic Healthcare Association)の会長を8年間勤めた。
 公認理事のストラノ氏は、ミズーリ大学で学士号を取得、同大学経営・行政学部および医学部で行政学修士号を取得している。



OSHAがNSCにスーザン・ハーウッド助成金

 イリノイ州アイタスカ − 全米安全評議会(NSC)は、幹線自動車道路作業ゾーンの危険に関する教材を、行政の及びにくいヒスパニック系移民労働者向けにスペイン語に翻訳する目的で、OSHA(労働安全衛生庁)からスーザン・ハーウッド助成金を得た。NSCは、メリーランド州シルバー・スプリングにあるアリス・ハミルトン労働衛生センターと共同で、教材を作成し、訓練を実施する。
 「英語を話さない人々にも行政が行き渡るようにせねばならない」と、ジョン・ヘンショーOSHA担当労働副長官は語った。「この言語の障壁は、多方面で重大な問題となっており、安全衛生の実践面でも少なからぬ問題をもたらしている」。
 過去10年間で、ヒスパニック系労働者が関与した建設事故は、著しく増加した。労働省労働統計局によると、ヒスパニック系労働者の労働災害死亡者数は、1999年の725人から2000年の815人と、12%の急増である。ヒスパニック系建設労働者の死亡者数は、24%増加、1992年以来、ヒスパニック系労働者の死亡者数は、60%増加している。
 ヒスパニック系労働者の安全を確保するため、数多くのイニシアチブが実施され、または、開発されつつある。ヘンショー労働副長官は、ダラス地域行政官ジョン・マイルズ氏に対し、スペイン語使用の労働者や事業所に行政が行き届くよう、OSHAの対策を調整・実施する作業チームの指揮にあたるよう要請したと述べた。「これらの労働者に、手を差し伸べるため、やらねばならないことが多々ある。移民労働者の安全の改善に向け、各種団体との連携を模索する」とヘンショー副長官。「また、近い将来、この他のヒスパニック系労働者対策プロジェクトで、全米安全評議会と協力していくのを楽しみにしている」。