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NSC発行「Safety + Health」2002年9月号

OSHAの最新情報


諮問委員会、ベリリウムの暴露限界の引き下げを勧告

 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の諮問団体小委員会は、NIOSHは、職場で広く使用されている有害化学物質、ベリリウムの現行の許容暴露限界を引き下げるよう、労働安全衛生庁(OSHA)に勧告するのを検討すべきであると、報告書案で述べた。
NIOSH科学顧問会のベリリウム調査小委員会は、ベリリウム暴露の制限に関わる今後の調査、情報伝達、予防措置を目指した数多くの勧告の一つで、NIOSHが勧告している現行のベリリウム許容暴露限界、気中1立方メートルあたり0.5マイクログラムは、OSHAの許容暴露限界、2マイクログラムより低いことを指摘。一方、これは、エネルギー省が職員向けに定めた「限界基準(action limit)」、0.2マイクログラムより高い。その他の緊急課題としては、鉱業、生産、主要製造業以外の産業におけるベリリウムの健康への影響を調査するための監視システムの構築などが盛り込まれている。
 「ベリリウム産業とは一見無関係な分野での、労働者のベリリウム暴露の可能性が増えている」と小委員会は述べ、その理由として、ベリリウムは、歯科用詰め物、自動車部品、航空宇宙製品やパソコンなど、数多くの製品に使用されていることを挙げた。
 小委員会はまた、予防プログラムの開発に向け、時宜を得た情報を提供できるよう、生物学的、環境サンプルの分析を早急に行うべきであり、また、改良された管理技術や個人用保護具に、より一層の注意を払うべきである、なぜなら、「ベリリウムへの感作は短期間で生ずる」からであると述べた。
 ベリリウムの危険について、詳細は、本誌2001年11月号38頁の記事、「ベリリウムの危険性、論議を呼ぶ」を参照のこと。


OSHA、臨時に作られた囲いの危害を警告

 OSHAは、先日、刊行した技術情報速報で、臨時囲いを使用する際、ある設備から発生した有害物質の濃縮が、特定の危険をもたらすと警告した。
速報は、米国化学物質安全性調査委員会(U.S. Chemical Safety and Hazard Investigation Board)の勧告に誘発されて警告したもので、同委員会の勧告は、点検目的で臨時にしつらえた囲いのなかで、48インチのパイプ・システムのフランジ面を点検中、窒素ガス中毒で1名が窒息死、他の1名が傷害を受けた事故の調査にもとづいたものである。
 OSHAは、事業者の許可制狭隘空間(permit-required confined-spaces)プログラムには、多くの場合、保守や建設時に設けられる、臨時の許可制空間(temporary permit-required spaces)を含むべきであると述べた。
 OSHAはまた、規制対象となっている「狭隘空間(confined-spaces)」の定義に該当しない場合でも、労働者が死傷する危険にさらされる可能性がある場合には、事業者は、許可制狭隘空間の要件を可能なかぎり満たすよう、勧告している。


新結核規則、反対意見が優勢

 結核暴露から医療労働者を保護する基準をグレードアップするべきかどうか、OSHAがコメントを募集した最新ラウンドでは、そのような規則を公布すべきではないとする病院からの意見が、優勢を占めた。
 OSHAは、労働者の結核暴露に関する最新のリスク評価や、全米科学アカデミーの衛生調査部門である医学研究所がまとめた、職場の結核に関する報告書について、新たなコメントを求めて、今年1月、規則作成記録を再開した。
 以前、いくつかの労働組合は、結核規則の更新を要請していたが、これは、数年間、宙に浮いた。その後、クリントン政権下のOSHAは、今年4月までに結核規則を更新すると公約した。しかし、ブッシュ政権は、これを保留。規則作成の最新ラウンドに寄せられたコメントでは、労働組合は、基準の更新に向け、早急に行動を起こすよう、要求した。
 しかし、ミネソタ州セント・ポール市、セント・ジョンズ病院の感染管理専門家、キャシー・A・ミラー登録看護師は、OSHAに「職業上の結核暴露を防止する最終規則を公布しないよう」強く求めており、これは、OSHAに寄せられたコメントの過半数と似た内容である。
 結核は、記録の残る限りでは、史上最低の水準である。結核伝染防止に関する疾病対策予防センター(CDC)のガイドラインは、機能している。また、医学研究所によれば、提案された結核規則は、基準を効果的に実施するための充分な柔軟性を、医療機関に与えない。
 セント・ジョンズ病院を代表するミラー氏のコメントは、典型的なものである。事実、他の病院のコメントも、一言半句たがわず一致、またはそれに近く、申し合わせたコメント・キャンペーンを暗示している。