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NSC発行「Safety + Health」2003年3月号

ニュース

通話中のドライバーは”見えていない”

 ワシントン − ドライバーが携帯電話を使う際には、ハンズ・フリー機器を使用するよう義務付けた法律は、肝心な点を見落としているのではないだろうか。
 ソルトレイクシティのユタ大学の調査員らは、携帯電話の使用は、いわゆる「不注意による盲目(Inattention blindness)」、つまり、道路で遭遇する物体が認識できないという状態に陥らせると報告する。これにより、信号の変化に対する反応が遅くなったり、果ては追突事故を引き起こす。ハンズ・フリー機器の使用は、このような不注意を減らすことはなく、調査員らは、手持ち式機器を禁じながら、一方でハンズ・フリー機器は許可するのでは、ドライバーの注意散漫を低減することはないであろうとの結論に達した。
 本調査は、「ドライバーの第1の義務は、全神経を自動車の安全走行に集中させることにあるということを、今一度、強調するものである」と、全米安全評議会(NSC)のアラン・C・マクミラン会長は、声明でこう述べた。
 本調査結果は、携帯電話と車の運転に関する問題を指摘した一連の調査に続くものである。一番新しいところでは、シドニー大学の調査員らが、ハンズ・フリー機器は、ドライバーに誤った安全意識を与えるということを指摘した調査がある(本誌2002年12月号12頁「ニュース(In the News)」欄参照)。
 ユタ大学の調査、「携帯電話の使用は、ドライバーの不注意による盲目を引き起こしかねない(Cell Phone Use Can Lead to Inattention Blindness Behind the Wheel)」は、実験心理学ジャーナル:応用編(Journal of Experimental Psychology: Applied Vol.9、No.1)に掲載された。