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7. 安全衛生教育に関する規制



労働災害を防止するため、危険度の高い機械の操作や危険有害な環境で作業等を行う者については、免許又は技能講習修了が要求されているが、その他の業務等についても労働者の安全衛生を確保するため、事業者は一定の教育を行うことが要求されています。

1.雇入れ時教育・作業転換時教育

事業者は、労働者を雇入れた時及び作業内容を変更した時には安全衛生教育を行うことが要求されています。

(1)教育の内容
a. 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱方法に関すること
b. 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱方法に関すること
c. 作業手順に関すること
d. 作業開始時の点検に関すること
e. 発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
f. 整理、整頓及び清潔の保持に関すること
g. 事故時等における応急処置及び退避に関すること
h. その他業務に関係した安全衛生に関すること

(2)教育内容の一部省略
このシリーズ第1回安全衛生管理体制の2-(1)のa,b以外の業種(非工業的な業種と総称している。)については、上記a−bの内容を省略することができる。



2. 特別教育

事業者は、免許が必要な業務、技能講習修了が必要な業務以外であって、危険有害な業務等については、労働者を就業させる前に特別教育を行うことが要求されています。

(1)教育対象
a. 免許又は技能講習修了を必要とする業務の範囲外の業務(例)
・小形ボイラーの取扱業務
・5トン未満のクレーンの運転業務、1トン未満の移動式クレーンの運転業務
・ゴンドラの操作の業務
・吊り上げ荷重が1トン未満の玉掛けの業務
・高さが10メートル未満の高所作業車の運転の業務 等

b. その他の危険有害な業務等(例)
・研削といしの取換え、試運転の業務
・プレス機械の金型の取り付け、取り外しの業務
・アーク溶接の業務
・機体重量が3トン未満の車両系建設機械の運転の業務
・産業用ロボットの教示等の業務
・酸素欠乏場所における業務
・粉じんが発生する場所の業務
・反応を伴う化学設備等の取扱、整備等の業務
等約45種類の業務

(2)教育の内容及び教育時間
特別教育の内容及び教育時間は、安全衛生特別教育規程に定められており、学科教育と実技教育を行うことが要求されています。

(例)アーク溶接等の業務に従事する者に対する教育
アーク溶接等に関する知識 1時間
アーク溶接装置等に関する知識 3時間
アーク溶接等の作業方法に関する知識 3時間
関係法令 1時間
実技教育 10時間以上



3. 職長教育

職長又は作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く)に対して、事業者は、一定の安全衛生教育を行うことを要求しています。
(1)対象業種
・建設業
・製造業(食料品・煙草製造業、繊維製品製造業、新聞業、出版・印刷業等を除く)
・電気業、ガス業
・自動車整備業
・機械修理業
(2)教育内容と教育時間

作業方法の決定及び労働者の配置に関すること 3時間
労働者に対する指導又は監督の方法に関すること 3時間
作業設備及び作業場所の保守管理に関すること 2時間
異常時等における措置に関すること 2時間
災害防止についての関心の保持、創意工夫等に関すること 2時間



4. 新規入場者教育

多くの下請け事業場の労働者が混在して作業を進める建設工事現場では、その工事現場に新規に就労してから1週間以内に被災するケースが多いことから、工事現場の状況、作業相互間の関係等について新規入場者教育を行うことが必要であり、元方事業者は下請け事業者の行う教育に対して場所の提供、資料の提供等を行うことが要求されています。