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中華人民共和国職業病予防法

(資料出所:中国法制出版社発行
「中華人民共和国職業病予防法」)

(仮訳 国際安全衛生センター)

第3章 作業中の防護と管理

第19条 使用者は、職業病の予防及び治療を管理するために下記の措置を講じなければならない。

(1)労働衛生を管理するための組織を設置又は指定し、専従又は兼任の労働衛生専門員を置き、その事業所の職業病の予防及び治療に責任を持たせる;

(2)職業病の予防及び治療を実施するための計画;

(3)労働衛生の管理制度と操作規程を作り上げ且つ整える;

(4)労働衛生の人事記録と労働者の健康保護管理記録を作り上げ且つ整える;

(5)職場における職業病の危害要因を監視・測定及び評価する制度を作り上げ且つ整える;

(6)職業病危害事故の応急手当及び救援の計画を作り上げ且つ整える;

第20条 使用者は、職業病の防護に効果がある設備また労働者各自が使用する職業病防護用品を取り入れなければならない。

使用者が労働者各自に提供する職業病防護用品は、職業病の予防及び治療の要求に合致していなければならない; 要求に合致していない物を使用してはならない。

第21条 使用者は、職業病の予防及び治療に役立ち且つ労働者の健康を守る新技術,新技法,新材料を優先的に採用し、職業病の危害が深刻な旧技術,旧技法,旧材料に順追って取って代えなければならない。

第22条 職業病の危害を及ぼす使用者は、目立つ場所に公告掲示板を設置し、職業病の予防及び治療についての規則制度,操作規程,職業病危害事故の応急救援措置と職場における職業病危害要因の検査結果を公表しなければならない。

深刻な職業病危害を及ぼす職場の目立つ場所に、警告標識(中国語による説明を付す)を設置し、その警告には、職業病危害事故の種類,影響,予防及び応急治療措置などの内容を記載しなければならない。

第23条 使用者は、急性の職業的傷病をもたらす恐れがある有毒,有害な職場に警報装置を設置し、また現場用の救急用品,洗浄設備,応急避難通路と必要な危険緩衝区を設けなければならない。

使用者は、放射線職場と放射性同位元素の輸送,貯蔵において、防護施設と警報装置を設け、放射線に触れる作業者に個人用線量計を持たせなければならない。

使用者は、職業病の防護設備,応急救援施設と各個人用の職業病防護用品を、定期的に保守,検査・修理し,その性能効果の定期的テストを行い、正常な状態を保ち、無理に取り壊したり又は使用を中止してはならない。

第24条 使用者は、専任者により、職業病危害要因の日常的監視・測定を行い、またモニター系統の正常な運行を維持しなければならない。

使用者は、国務院衛生行政部門の規定に従い、職場における職業病危害要因の検査と評価を定期的に行わなければならない。使用者は、検査,評価の結果を労働衛生の人事記録に記載し、所在地の衛生行政部門に定期的に報告し、また労働者に公表する。

職業病危害要因の検査,評価については、法により設立され,省クラス以上の人民政府衛生行政部門の資質認証を受けた労働衛生技術サービス機関が行う。労働衛生技術サービス機関の検査,評価は、客観的で真正なものでなければならない。

職場における職業病危害が国の労働衛生標準に合致していない要因による時、使用者は、直ちにその改善措置を講じなければならず、それでも尚、国の労働衛生標準と衛生要求に達しない場合、職業病の危害要因がある作業を中止しなければならない; 職業病の危害要因を改善した結果、国の労働衛生標準と衛生要求に達した場合、初めてその作業を再開することができる。

第25条 職業病危害の発生する恐れがある設備を使用者に供給する場合、その設備の中国語説明書を提供し、また目立つ場所に設備の警告標識(中国語の説明を付す)を設置しなければならない。警告には、設備の性能,職業病の危害が発生する恐れ,安全な操作と保守・注意事項,職業病の防護及び応急手当の処置などの内容を記載しなければならない。

第26条 職業病の危害を及ぼす恐れがある化学品,放射性同位元素と放射性物質を含む材料を使用者に供給する場合、中国語の説明書を添付しなければならない。説明書には、製品の特性,主要な成分,存在する有害要因,発生する恐れがある危害の影響,安全に使用するための注意事項,職業病の予防及び治療とその応急的救援・治療措置の内容を明記しなければならない。製品の包装には、目立つ警告標示(中国語の説明を付す)をしなければならない。上述の材料を貯蔵する場所には、定められた所に危険物標識又は放射線警告の標識を設置しなければならない。

職業病の危害と関係がある化学材料を国内で初めて使用する又は初めて輸入する場合、使用者又は輸入者は、国の規定に基づき、国務院関係部門の許可を得た後、国務院の衛生行政部門に、その化学材料の毒性鑑定及び所轄部門の登録登記又は輸入許可の文書などの資料を届け出なければならない。

放射性同位元素,放射線装置と放射性物質を含む物品を輸入する場合、国の関係規定により処理する。

第27条 どの事業所また誰であろうと、職業病の危害を及ぼす恐れがあるとして国が明文をもって禁止している設備又は材料を製造,販売,輸入及び使用してはならない。

第28条 どの事業所また誰であろうと、職業病の危害を及ぼす作業を職業病防護の準備ができていない他の事業所及び他の者に廻してはいけない。職業病を防護する準備ができていない他の事業所及び他の者は、職業病の危害を及ぼす作業を引き受けてはいけない。

第29条 使用者は、採用する技術,技法,材料が職業病の危害を及ぼすのを承知していなければならず、職業病の危害が発生する恐れがあるのを隠して採用し、実際に職業病の危害が発生した場合、その結果に責任を持たなければならない。

第30条 使用者と労働者とが労働契約(任用契約を含む、以下同じ)を締結する時、作業中に発生する恐れがある職業病の危害及びその影響,職業病の防護措置と対処などを、事実通りに労働者へ知らせ、また労働契約に明記しなければならず、隠したり騙したりしてはならない。

労働契約締結期間中に、労働者の職場又は仕事の内容が変わり、労働契約の締結時に知らされていない職業病の危害がある作業に労働者を従事させる時、使用者は、前項の定めに従い、その危害がある作業について事実通りに労働者へ知らせる義務があり、また労働契約の関係条項の更改も話し合わなければならない。

使用者が前2項の定めに違反した場合、労働者は、その職業病危害がある作業への従事を拒否する権利を持ち、使用者は、労働者が拒否したことを理由にその労働契約を解除又は終了してはならない。

第31条 使用者側の責任者は、労働衛生についての訓練を受け、職業病の予防及び治療に関する法律,法規を遵守し、その事業所における職業病予防及び治療の職務を行わなければならない。

使用者は、労働者に対して、職場に就く前の労働衛生訓練と職場に在職中の定期的な労働衛生訓練を受けさせ、労働衛生上の知識を広め,職業病の予防及び治療に関する法律,法規,規則と操作規程の遵守を励行させ、職業病の防護設備と各個人の使用する職業病防護用品を正しく使用するよう指導しなければならない。

労働者は、労働衛生の知識を学習及び把握し、職業病の予防及び治療に関する法律,法規,規則と操作規程を遵守し、職業病の防護設備と各個人が使用する職業病の防護用品を正しく使用及び保守し、職業病危害事故の隠れた原因を見つけた場合、直ちに使用者に報告しなければならない。

労働者が前項に定める義務を履行しない場合、使用者は、労働者を再教育しなければならない。

第32条 使用者は、職業病の危害に触れる作業に従事する労働者に対して、国務院の衛生行政部門の規定に基づき、職場に就く前,その職場に在職中及びその職場を離れる時に、職業上の健康診断を行い、またその結果を労働者に知らせなければならない。職業上の健康診断の費用については、使用者が負担する。

使用者は、職場に就く前の職業上の健康診断をしていない労働者を職業病の危害に触れる作業に従事させてはならない; その種の作業に就くことが禁止されている労働者をその作業に従事させてはならない; 職業上の健康診断により、従事している仕事の影響で健康を損ねたことが分かった場合、その労働者の職場を適切に配置換えしなければならない; 職場を離れる前に職業上の健康診断を受けていない労働者に対して、その締結している労働契約を解除又は終了してはならない。

職業上の健康診断については、省クラス以上の人民政府衛生行政部門により承認を受けた医療衛生機関が引き受ける。

第33条 使用者は、労働者のために、職業上の健康に関する保護・管理の人事記録を作り、また定められた期限までそれを適宜に保存しなければならない。

職業上の健康に関する保護・管理の人事記録には、労働者の職歴,職業病の危害に触れた過去の記録,職業上の健康診断の結果と職業病の診療などの各個人に関する健康面のデータが記載されなければならない。

労働者は、使用者の職場を辞める時、上記人事記録の本人欄コピーを請求する権利があり、使用者は、コピーを無料で提供し、またそのコピーに署名捺印をしなければならない。

第34条 急性職業病の危害事故が発生した又は発生する恐れがある時、使用者は、直ちに応急手当及び救援とその事故の抑制措置を講じ、また所在地の衛生行政部門及び関係部門に速やかに報告しなければならない。衛生行政部門は、報告を受けた後、関係部門と共同で調査及び処理に当たる; 必要時は、臨時の抑制措置を講じることができる。

急性職業病の危害に遭った又は遭う恐れがある労働者に対して、使用者は、救援と治療,健康診断及び医学観察の手配をし、その費用については使用者が負担する。

第35条 使用者は、未成年者を職業病の危害に触れる作業に就かせてはならない; 妊娠中の女子,授乳期の嬰児を持つ女子を本人と胎児,嬰児に危害のある作業に就かせてはならない。

第36条 労働者は、下記に挙げる労働衛生上の保護を受ける権利がある:

(1)労働衛生の教育と訓練を受ける;

(2)職業上の健康診断,職業病の診断,リハビリなど職業病予防及び治療のためのサービスを受ける。

(3)職場で発生する又は発生する恐れがある職業病の危害要因,危害の影響と講ずべき職業病防護の措置を知る;

(4)使用者に、職業病予防及び治療のために必要な職業病の防護施設と各個人が使用する職業病の防護用品を提供して作業条件を改善するよう要求する;

(5)職業病の予防及び治療に関する法律,法規に違反し、生命の健康に危害が及ぶ行為を批判,告発,告訴する;

(6)職業病の防護措置を講じていない規則違反の作業を行うよう指揮及び強制された場合、それを拒絶する;

(7)使用者が民主的な管理手法で進める労働衛生の職務に参加し、職業病の予防及び治療の職務について意見・提案する。

 使用者は、上述各項における労働者の権利を保障しなければならない。労働者が正当な権利を行使した時に、使用者が労働者の賃金や福利などの待遇を下げたり、労働契約を解除,終了したとしても、その行為は無効である。

第37条 労働組合は、労働衛生の広報・教育及び訓練を積極的に進めるよう使用者に督促また協力し、職業病の予防及び治療における使用者の職務に意見や提案をし、職業病の予防及び治療に関する問題に労働者の意見が十分伝わるよう使用者と協調し且つ使用者にその解決を督促しなければならない。

労働組合は、使用者が職業病の予防及び治療に関する法律,法規に違反し労働者の合法的権利と利益を犯す行為をした場合、それを正すよう要求する権利がある; 深刻な職業病危害が発生した時、防護の措置を講じるよう要求する、又は政府の関係部門に強制措置を講じるよう要求する権利がある; 職業病の危害事故が発生した時、事故の調査と処理に参加する権利がある; 労働者の生命と健康に危害を及ぼす状況に気づいた時、労働者を危険な現場から退避させ直ちにその危害の除去をするよう使用者に要求する権利がある。

第38条 使用者は、職業病の予防及び治療の要求に従い、職業病の予防及び管理,職場の衛生検査,健康の保護・管理と労働衛生の訓練などに用いる費用について、国の関連規定に照らし、其の実費を生産コストに計上する。



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