第4章 職業病の診断と職業病患者への保障
第39条 職業病の診断については、省クラス以上の人民政府衛生行政部門が承認した医療衛生機関が担当する。
第40条 労働者は、使用者の所在地又は本人の居住地で、医療衛生機関が法に照らして行う職業病の診断を受けることができる。
第41条 職業病の診断標準と職業病の診断,鑑定方法については、国務院の衛生行政部門が定める。職業病による身障者の等級鑑定方法については、国務院の労働保障行政部門が国務院の衛生行政部門と共同で定める。
第42条 職業病の診断においては、下記の要因を総合的に分析しなければならない:
(1)患者の職歴;
(2)職業病の危害に接触した期間と危害現場の調査及びその評価;
(3)臨床した時の状態及び補助的な検査の結果など。
職業病の危害要因と患者の臨床状態の間に必然的な関係がある場合、その他の病因を排除して、職業病と診断しなければならない。職業病の診断を引き受けた医療衛生機関は、職業病を診断する時、職業病診断の資格がある3名以上の医師集団により診断しなければならない。
職業病の診断書には、診断に参加した医師が共同で署名し、また職業病の診断を引き受けた医療衛生機関が審査捺印を押さなければならない。
第43条 使用者と医療衛生機関は、労働者が職業病である又は職業病と疑われると分かった時、所在地の衛生行政部門に必ず報告しなければならない。労働者が間違いなく職業病であると診断された場合、使用者は、所在地の労働保障行政部門にも報告しなければならない。
衛生行政部門と労働保障行政部門は、その報告を受け取った後、法に照らしてそれを処理しなければならない。
第44条 県クラス以上の地方人民政府衛生行政部門は、その行政区域内の職業病統計報告の管理と規定に基づく上級への報告に責任を持つ。
第45条 当事者は、職業病の診断に異議がある場合、診断を受けた医療衛生機関の所在地の地方人民政府衛生行政部門に鑑定を申請することができる。
職業病の診断に関わる争議の際の鑑定については、区が設けられている市クラス以上の地方人民政府衛生行政部門が、当事者の申請に基づき職業病診断鑑定委員会を組織してこれを行う。
当事者は、区が設けられている市クラスの職業病診断鑑定委員会の鑑定結果に不服がある場合、省,自治区,直轄市の人民政府衛生行政部門に再鑑定を申請することができる。
第46条 職業病診断鑑定委員会は、職業病の診断・鑑定における専門家で構成される。
省,自治区,直轄市の人民政府衛生行政部門は、この方面における専門家(人材)バンクを設立し、職業病に関わる争議で診断・鑑定が必要になった時、当事者又は当事者から委任を受けた衛生行政部門は、専門家(人材)バンクの中から無作為に抽出する方式により、診断鑑定委員会に参加する専門家を決める。
職業病診断鑑定委員会は、国務院の衛生行政部門が頒布した職業病診断標準と職業病診断,鑑定方法に基づき、職業病の診断・鑑定を行い、当事者に職業病診断鑑定書を発行する。職業病の診断・鑑定費用については、使用者が負担する。
第47条 職業病診断鑑定委員会の委員は、職業上の道徳を遵守し、客観的に公正に診断及び鑑定しなければならず、またそれ相応の責任を持たなければならない。職業病診断鑑定委員会の委員は、当事者と内密に接触してはならず、当事者からお金や物又はその他利益を受けてはならず、当事者と利害関係にならないようにすべきである。
人民裁判所は、職業病の鑑定を必要とする訴訟事件を受理した時、省,自治区,直轄市の人民政府衛生行政部門が法により設立した専門家(人材)バンクの中から、鑑定に参加させる専門家を選ばなければならない。
第48条 職業病の診断,鑑定のため、使用者から労働衛生と健康管理などに関わる資料の提供を受ける必要がある場合、使用者は、事実通りの資料を提供しなければならず、労働者と関係機関も職業病の診断,鑑定に関わる資料を提供しなければならない。
第49条 医療衛生機関は、職業病が疑われる患者を見つけた時、その労働者本人と使用者に告知しなければならない。
使用者は、直ちに職業病が疑われる患者に診断を受けさせなければならない; 使用者は、職業病が疑われる患者の診断又は観察期間中に、締結している労働契約を解除又は終了してはならない。
職業病が疑われる患者の診断,観察の期間中の費用については、使用者が負担する。
第50条 職業病の患者は、国の定める職業病待遇を受ける。
使用者は、国の関係規定に従い、職業病患者の治療,リハビリと定期的検査を手配しなければならない。
使用者は、現在の作業に従事し続けるのが適さない職業病の患者を、他の職場に配置転換するなどして適切に扱わなければならない。
使用者は、職業病の危害に触れる作業に従事している労働者に、それ相応の職場手当を支給しなければならない。
第51条 職業病患者の診療,リハビリ費用,身障者及び労働能力を喪失した職業病患者に対する社会保障については、国の労災保障関係の社会保険の規定に従う。
第52条 職業病患者は、法に照らして労災保障関係の社会保険の適用を受ける他、民事法の関係でも賠償を受ける権利があり、使用者に賠償要求をする権利がある。
第53条 労働者が職業病を患ったと診断され、使用者が法定の労災社会保険に加入していなかった場合、その医療と生活保障は、その労働者を最後に雇用した使用者の負担となる; その職業病の危害が以前の使用者の時に発生したという証明書を、最後の使用者が持っていれば、以前の使用者の負担となる。
第54条 職業病患者の勤務先が変わっても、その待遇は変わらない。
使用者は、分割,合併,解散,破産などの状態になった場合、職業病の危害に触れる作業に従事していた労働者に健康診断を受けさせなければならず、また職業病の患者は、国の規定により適切に扱われなければならない。
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