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シンガポール新労働安全衛生法の手引き
A Guide to the Workplace Safety and Health Act

(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日 2006.12.26

職場における義務についての理解および履行

職場安全衛生法の下で果たすべき義務を負うのはどんな人ですか?

一般に、職場安全衛生法の下で各種の義務と責任を負うのは以下に示す人です。

雇用者(Employer)
労働契約に基づき、労働させることを目的としてほかの人を雇用する人。
支配人(Principal)
労働契約以外のなんらかの取り決めにより、ほかの人または組織に労働力の提供または労働をさせる人。
工場所有者(Occupier)
工場として登録された職場において登録証または操業許可証を所持している人。
上記以外のすべての職場においては、施設の所有者であるかどうかを問わず、その施設を管理している人。<>
請負人(Contractor)
職場で労働力を提供したり、労働をするために、労働契約に基づいてほかの人または組織から雇用された人。
製造者(Manufacturer)または供給者(Supplier)
職場での労働で使われる機械類、設備、または有害物質を製造または供給する人。
組立者(Erector)または設置者(Installer)
機械類、設備、建物自体、または職場で使われる何らかの品目を組み立てまたは設置する人。
労働者(Worker)
被雇用者を含む労働する人、すなわち労働契約に基づいて雇用された人、ボランティア、または、企業研修中の学生など、雇用者の下で訓練ないし労働するその他の人を含む労働する人。
自営業者(Self-Employed Person)
労働契約に基づかずに労働する人。
職場安全衛生法ではさまざまな関係者の義務はどう定められていますか?

職場安全衛生法が目指しているのは、さまざまな関係者が管轄する分野において、労働安全を確保するうえで注意を払うことが必要な領域を明らかにすることです。関係者によっては、複数の義務を課せられることがあります。たとえば、同一職場内で同時に工場所有者であり、支配人であり、雇用者でもある場合があります。

あなたが雇用者または支配人である場合
あなたの直接の管理下で労働する被雇用者または労働者、およびこれらの被雇用者や労働者の労働によって影響を受けるあらゆる人の安全衛生を、合理的に実施可能な限り守らなければなりません。
これには次のことが含まれます。
  • リスクアセスメントを実施して、職場の労働者に対するリスクを除去または抑制すること
  • 職場の労働者のために安全な作業設備と労働形態を確保すること
  • 職場の機械類、設備、装置、物品、および作業工程の安全を確保すること
  • 緊急事態に対処するための手段を策定し、これを実施すること
  • 労働者に適切な指示、情報、教育訓練、および指導を提供すること
あなたが工場所有者である場合
以下に掲げるものが安全であり、当該施設内にいるあらゆる人(あなたの被雇用者であるかどうかを問いません)が安全であって、健康リスクのないことを、合理的に実施可能な範囲で確実としなければなりません。
  • 職場
  • 職場のすべての出入口
  • 職場に置かれているあらゆる機械類、設備、装置、物品、または物質
あなたは工場所有者として、被雇用者と請負人の共用区域に対しても責任を負うことがあります。具体的には、次に掲げる品目は、もしこれらのものがあなたの職場で労働する人々によって使われる場合、あなたの責任範囲に含まれます。
  • 共用区域に置かれた発電機および動力装置
  • 共用区域に置かれたホイストとリフト、吊り上げ装置、吊り上げ機器、および吊り上げ機
  • 共用区域に出入りするための手段
  • 共用区域に置かれたすべての機械類または装置
あなたが製造または供給者である場合
あなたが提供するあらゆる機械類、設備、または物質が安全に使用できることを確実にしなければなりません。したがって、あなたには次のことが義務付けられます。
  • 機械類、設備、または有害物質の安全な使用に関して適切な情報を提供すること
  • 機械類、設備、または有害物質が安全に使用できることを確実にすること
  • 機械類、設備、または有害物質の試験および点検が済んでいて安全に使用できる状態になっていることを確実にすること
注意:上の要件が適用される機械類、設備、および物質のリストは、付録Cと付録Dに掲載しています。
あなたが機械類の設置者または組立者である場合
あなたは、組立、設置、または変更された機械類や設備が安全であり、適切に使用すれば健康リスクが生じないことを、合理的に実施可能な範囲で確実にしなければなりません。
注意:上の要件が適用される機械類、設備、および物質のリストは、付録Cに掲載しています。
あなたが被雇用労働者である場合
  • 職場に導入されている安全作業手順および原則を遵守しなければなりません。
  • 不安全な行動によって自分または周囲の労働者を危険にさらしてはいけません。
  • 安全装置をむやみにいじったり、勝手な行為または無謀な行為をしてはいけません。
  • 職場で提供される個人用保護具は必ず着用する必要があります。
あなたが自営業者である場合
自営業者に対しても、一般公衆やその被雇用者をはじめとする他の人の安全衛生を確保するために、合理的に実施可能な範囲で種々の措置を講じることが義務付けられています。

職場の安全を確保する義務は、あらゆる人が負っています。すべての労働者が一日の終わりに安全に帰宅できるようにすることは、一個人の努力で実現できるものではなく、関係者すべてが協力した結果としてはじめて可能となるものです。