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シンガポール新労働安全衛生法の手引き
A Guide to the Workplace Safety and Health Act

(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日 2006.12.26

職場安全衛生法施行の枠組み

職場安全衛生法を施行する責任者は誰ですか?

労働安全衛生長官(Commissioner for Workplace Safety and Health)が、副長官および指名監督官の補佐を得て、職場の安全衛生に関する規制の施行に当たります。

職場安全衛生法の遵守を確実にするための施行手段としてどのようなものがありますか?

遵守を確実にするために使われる可能性のある手段をいくつか次に示します。

職場の検査

監督官には、労働安全確保のためにいつでも職場への立ち入り、監督、および検査を行える権限が与えられています。この目的のために、監督官は次のことを行うことができます。

  • 職場にある任意の文書を監督、検査し、コピーを作成すること
  • 分析または試験を目的として、職場で見つかった、ないし職場から排出された任意の資材または物質のサンプルを採取すること
  • 職場の各種条件および職場で実施されている各種プロセスを記録するために、写真撮影やビデオ録画を行うこと
  • 職場安全衛生法に基づく調査または審理に必要となる、職場の任意の物品を差し押さえること
職場での災害や事故の調査

長官は、職場での災害または事故の調査を命じることができます。調査の過程で、監督官は災害現場と職場を点検することができます。また、監督官は災害や事故に関する聞き取りを行い、発言内容を記録することができます。対象者は、真実を話して調査に協力しなければなりません。

許可書の一時停止

必要な場合には、長官は許可書の効力を一時的に停止することができます。職場安全衛生法の下で発行される許可書の例として、工場登録証(Certificate of Factory Registration)、認定審査官(authorized examiner)に対して発行される許可書などがあります。

是正命令(Remedial Orders)と業務停止命令(Stop Work Orders)

長官は、差し迫った危険が存在するかどうかとは関係なく、雇用者、工場所有者、その他の任意の人物に対し、職場のリスクの除去または安全な作業慣行の遵守を義務付ける是正命令を出すことができます。これは、安全衛生マネジメントの改善とリスクアセスメントの質の向上を雇用者に義務付ける目的で長官が主に用いる手段です。

長官は、作業の安全な遂行を確実にするための措置が講じられるまで、特定の作業の停止を義務付ける業務停止命令を出すことができます。業務停止命令は、安全衛生に関する重大な過失が、労働者を差し迫った危険にさらすおそれがある場合に使われます。

是正命令または業務停止命令の不履行は、法令違反とみなされます。

示談罰金

法令違反に対しては、長官の裁量で示談罰金が提示されます。法令違反の示談罰金の額は、該当する法令違反について定められた罰金の最高額の半分を超えない額か、または5,000ドルのいずれか少ない方の額とすることができます。定められた期間中に支払が行われなかった場合、告発されることがあります。

告発

長官は、職場安全衛生法違反を理由に違反者を告発することができます。

職場安全衛生法違反で告発された人は、裁判所に対して以下のことを立証する義務があります。

  • 職場安全衛生法および/または該当する下位法令を遵守していたこと
  • または、該当する公認実施準則ないしガイドラインを遵守していたこと
  • または、具体的な法令ないしガイドラインが存在しないケースにおいて、合理的な予防措置を講じ、相当な注意を払っていたこと
  • または、法令違反がみずからのマネジメントの及ばない原因によるもの、すなわち違反または災害を防止することが合理的に実施可能ではなかったこと