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調査・研究

調査研究概要

景気拡大期における安全衛生管理の実態に関する調査報告書

Ⅰ.調査の趣旨・目的

近年、景気回復・拡大に伴い業務が多忙となるなどの中、日常的な安全衛生管理活動が低調になりつつある傾向も窺われる(労働安全衛生基本調査 平成12年と平成 17年)ことから、近年の事業場における生産量、労働災害等の動向と日常的な安全衛生管理活動の実態・傾向との関係などについて調査したもの。

Ⅱ.調査の対象

  1. アンケート調査
    「事業所・企業統計調査(平成16年)」(総務省)における従業員50人以上でかつ安全管理者の選任が必要な業種の事業場のうち、製造業2,500、非製造業1,500(合計4,000事業場)〈回答:製造業731、非製造業364、計1,095事業場〉
  2. ヒアリング調査
    アンケート調査の回答事業場から規模・業種等を勘案して選定した17事業場

Ⅲ.調査結果の概要

景気拡大期と言われる過去5年間での各事業場における生産量等、労働災害、安全衛生管理活動(14項目、注)等の状況の変化について調査した。

(注) 1.
安全衛生委員会、
      2.
職場巡視、職場パトロール、
      3.
指差呼称、
      4.
危険予知活動、
      5.
ヒヤリ・ハット報告活動、
      6.
リスクアセスメントの推進、
      7.
資格取得の促進、
      8.
安全衛生教育、
      9.
整理整頓活動(3S,4S,5S活動等)、
     10.
安全衛生朝礼、
     11.
安全衛生改善提案、
     12.
メンタルヘルスケアの推進、
     13.
健康相談(メンタルヘルス以外)、
     14.
職場体操
  1. 生産量等の変化について
    • 5年前と現在での事業場における生産量、販売量、取扱量、工事量等の変化
      「増えている」45%、「減っている」32%、「特に変化はない」22%。
  2. 労働災害の発生状況について
    1. 5年前と現在での労働災害の発生数の変化
      「労働災害の発生数に変化はない」51%(373事業場(44%)が5年前、現在とも労働災害発生数が0。)、「労働災害の発生数は減少している」23%、「労働災害の発生数は増加している」10%。
    2. 5年前と現在での労働災害発生率(千人率)の変化労働災害発生率(千人率)の平均は、5年前9.2、現在7.6。
  3. 安全衛生管理活動の状況について
    1. 安全衛生管理活動の状況の変化
      1. 各事業場、各活動ごとに、活動の状況が5年前と同様(同様に実施又は未実施のまま)の事業場に0ポイント、5年前より活発化している事業場(未実施→実施含む。)に1ポイント、5年前より低調になっている事業場(実施→未実施含む。)に−1ポイントを付し、各安全衛生管理活動の変化をみた。
      2. 評点が高いのは、「職場巡視、職場パトロール」(事業場平均(以下略)0.40)、「リスクアセスメントの推進」(0.40)、「整理整頓活動(3S、4S、5S活動等)」(0.40)、「安全衛生委員会」(0.37)、「メンタルヘルスケアの推進」(0.36)。
      3. 評点が低いのは、「職場体操」(0.03)、「指差呼称」(0.15)、「安全衛生朝礼」(0.18)。
    2. 安全衛生管理活動が活発になった事業場では、「労働者の意識が高まった」、「トップの方針」と回答する割合が高い。ヒアリング調査においても、トップの方針により安全衛生管理活動が活発化したとする事業場が多い。
    3. 過去5年間の生産量、販売量、取扱量、工事量等の増減、労働災害発生率の増減と安全衛生管理活動
      1. 全体として安全衛生管理活動は活発化しているが、生産量等が増加した事業場においては、生産量等が減少した事業場よりも安全衛生管理活動の活発化の程度が大きく、生産量等の増減と安全衛生管理活動の活発化との間に相関関係がみられる。景気回復・拡大に伴い業務が多忙となる中、日常的な安全衛生管理活動が低調となりつつあるという考え方もあるが、本調査からは、そのような傾向はみられなかった。なお、ヒアリング調査においては、景気(経営状態)の変化によって安全衛生管理活動が低調になることはない(安全衛生管理活動の状況は景気(経営状態)の変化の影響を受けることはなく特段の関係はない。)とほとんどの事業場が回答している。
      2. 労働災害発生率(千人率)に変化があった事業場の方が、変化がなかった事業場(ほとんどが5年前も現在も災害が発生していない事業場)よりも安全衛生管理活動を活発化させている傾向がみられる。
      3. 事業場規模が大きい事業場の方が安全衛生管理活動を活発化させている傾向がみられる(14項目の活動の評点の総計は、99人以下3.21、100〜299人4.06、300人以上5.26)。

Ⅳ.まとめ

  1. この5年間における安全衛生管理活動の状況
    この5年間で、景気拡大等により安全衛生管理活動が低調になっているという状況はみられなかった。その理由としては、アンケート調査(自由記述等)、ヒアリング調査などを総合すると、
    1. 安全衛生管理を推進する人的資源や安全衛生に関する予算が強化された
    2. 労働災害の発生をきっかけの一つとして取組みが強化された
    3. 労働安全衛生法の改正等の社会的な要請で安全衛生管理活動が活発化された
    などが考えられる。
    一方で、生産量等の減少した事業場においては、生産量等の増加した事業場と比較して安全衛生管理活動は活発化していない傾向があり、さらに、アンケート調査(自由記述)においては、経営状況の悪化により安全衛生に関する予算が減少してきているとの回答も見受けられ、留意する必要がある。
  2. 経営トップの方針の重要性
    今回の調査において、安全衛生管理活動の活発化のためには経営トップの方針が非常に重要であることが窺える。このため、安全衛生の重要性についての経営トップに対するセミナー、研修会等をさらに充実させる必要がある。
  3. 中小規模事業場に対する支援
    14の安全衛生管理活動の評点(Ⅲ.3.a.i.)をみると、大規模事業場ほど高くなっており、大規模事業場と中小規模事業場における安全衛生管理活動の格差がますます広がる傾向が窺える。
    このため、特に中小規模事業場における安全衛生管理活動を積極的に支援することが必要であり、そのような事業場においても簡単に実施可能で、かつ、効果ある安全衛生管理活動を紹介し、支援することが重要であると考えられる。
  4. リスクアセスメントの普及促進
    今回の調査において、労働災害の発生をきっかけの一つとして安全衛生管理活動を活発化している傾向が窺えるが、労働災害が発生しなくても活動を実施し、これを活発化させることが必要である。このような活動の一つとしては、リスクアセスメントが有効であると考えられる。このため、リスクアセスメントを事業場において取り組みやすくなるような方策を検討し、普及促進を図る必要がある。また、その際には、特に実施率の低い中小規模事業場における普及促進について留意する必要がある。

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