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調査・研究

調査研究概要

リスクアセスメント及び労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の普及状況と促進方策に関する調査研究報告書

PDF 要約版はこちら 別ウィンドウが開きます (PDF 701KB)

Ⅰ.本調査研究の目的・手法等

改正労働安全衛生法の施行(平成18年4月)以降の事業場におけるリスクアセスメント及びOSHMSの実施状況等について調査を行い、今後の普及方策について検討を行うことを目的として、本調査を行った。

このうち、アンケート調査は、中災防技術支援部主催のリスクアセスメント、OSHMS関連研修会に参加した250事業場及び平成19年に行った「景気拡大期における安全衛生管理の実態に関するアンケート調査」においてリスクアセスメントに取り組んでいないと回答した200事業場の合計450事業場に郵送で調査票を送り、271事業場(回収率60.2%)から回答を得た。

ヒアリング調査は、アンケート回答事業場から、19事業場を選定し、訪問して安全衛生担当部門のスタッフ等と直接質疑応答を行った。

また、調査の実施に当たっては、花安繁郎氏(横浜国立大学教授)を委員長とした委員会を設置・開催し、意見をいただきながら、検討を行った。

Ⅱ.本調査研究で明らかになった主な事項

1.リスクアセスメントの実施状況

リスクアセスメントを現在実施している139事業場のアンケート結果と19事業場のヒアリング結果から、リスクアセスメントの実施状況をまとめると、次のとおり。

  1. 実施体制及び教育研修
    リスクアセスメントの実施体制はまだ十分でないと考えている事業場が80.6%と多かった。これら112事業場に対して、実施体制を整えるために必要なことを尋ねたところ、作業者の理解を深める(85.7%)、ラインの管理監督者の理解を深める(64.3%)、安全衛生スタッフの能力を高める(57.1%)の割合が高かった。
    リスクアセスメントの実施における構内協力会社との協力関係については、構内協力会社のある112事業場のうち、構内協力会社と一緒にリスクアセスメントを実施している割合は50.9%であった。また、派遣労働者のいる115事業場の65.2%が、派遣時点または現場でのOJTによりリスクアセスメントに関する教育をしているなど、派遣労働者がリスクアセスメントを実施していることをうかがわせる回答が7割程度となっている。
    リスクアセスメントを実施している139事業場に対し、リスクアセスメント実施のための教育研修の実施が十分であるかどうか聞いたところ、安全衛生スタッフ向けの教育研修は48.2%が十分と考えているが、管理者、職長等、技術者向けの教育研修では約26〜35%、作業者向けの教育研修では18.0%しか十分とは考えていない。
  2. 導入段階及び実施段階での困難
     リスクアセスメントの実施事項のうち困難であった事項を、「容易」を0、「非常に困難」を3とし、4段階でどの程度困難であったかを聞き、回答事業場139で平均したところ、導入段階、実施段階のどちらにおいても、リスクアセスメントの実施にかかる時間の確保、リスク低減措置の検討・実施は困難度が高いことが認められる。導入段階での困難度と実施段階での困難度は、ほとんどの事項で同等もしくは導入段階のほうが高いが、リスクアセスメント実施要領の作成、必要な実施体制の整備・維持については、導入段階で困難と考えていたほどには、実施してみたらそれほど困難ではなかったとされており、導入のハードルは当初予想されているほど高くないと考えられる。
    ヒアリングにおいて、リスクアセスメントの導入段階又は実施段階で困難であった点を聞いたところ、複数の事業場から挙げられたものは次のとおり。
    1. 作業者への教育研修の実施のための時間及び安全衛生スタッフの確保が困難。
    2. 現場では既存業務に上乗せになるため、必要性の理解を得ることに苦労した。
    3. 取組みを進めてリスクレベルを下げてきたが、マンネリに陥り、取組みが低調になってきている。
    4. 手順のうち危険性又は有害性の特定が難しい。
    5. リスク低減措置、特に機械設備のハード面での改善について苦労している。
    これらの解決のために行われた工夫・解決策として、他の事業場でも参考になると考えられる取組み例を収集した。
  3. リスクアセスメント結果の活用
    アンケートで、リスクアセスメントの活用方法について尋ねたところ、実施結果を事業場内の別の設備の改善、作業手順の策定に活用している、実施結果を踏まえて安全衛生方針・目標・計画を策定している、掲示等により労働者に周知している、がいずれも半数程度であった。
    ヒアリングにおいては、作業のリスクアセスメントの実施結果を機械設備安全基準に反映させている、又は事業場内の同種設備若しくは企業内の他事業場においてハード面の改善に活用している事業場が一定数あった。特に、このうち3社では、作業のリスクアセスメントを実施したうえで、さらにハード面の改善対策をきちんと行うために、機械のリスクアセスメント(機械包括安全指針に基づくもの)の実施まで取組みを深化させており、機械設備の本質安全化がかなり進んでいる。
  4. リスクアセスメントの導入以後の見直し
    リスクアセスメント実施事業場139に対するアンケートで、リスクアセスメントの導入から現在までに見直した点があるかについて尋ねたところ、見直しを行った事業場は41.7%で、具体的には、リスク見積り評価方式・基準の変更、規程・帳票、作業標準等の改訂、KYやヒヤリハットとの連携等であった。
2.OSHMSの実施及び認定・認証の状況

OSHMSの実施状況について、OSHMSを実施している75事業場のアンケート結果と19事業場のヒアリング結果からまとめると、1.から3.のとおりである。 また、OSHMSの認定・認証の状況は、5.及び6.のとおりである。

  1. 実施体制及び教育研修
    OSHMS実施事業場75に対するアンケートでは、OSHMS運用の実施体制について、実施体制がまだ十分でないと感じる事業場が74.7%であった。これら56事業場に対して、体制を整えるために必要なこと(複数回答)を尋ねたところ、作業者の理解を深める(73.2%)、ラインの管理監督者の理解を深める(57.1%)、安全衛生スタッフの能力を高める(48.2%)が高い割合であった。
    ヒアリングでは、トップ(工場長)の強い方針があるか、トップ自らが熱心で率先して活動を行っている事業場では、体制や予算確保が確立しており、実施体制が十分であると考えていること、また、実施体制が十分でないと考えている事業場は、内部監査者等OSHMS運用に欠かせない人材の数・知識経験に不足感があることが認められた。
    アンケートで、構内協力会社のOSHMSの実施について尋ねたところ、構内協力会社のある65事業場のうち、構内協力会社と一緒にOSHMSを実施している割合は50.8%であった。
    OSHMS実施事業場75に対するアンケートで、教育研修の実施が十分かどうか聞いたところ、安全衛生スタッフ向けの教育研修では41.3%が十分と考えているが、管理者、職長等、システム監査者向けの教育研修では約30〜36%、作業者向けの教育研修では22.7%しか十分と考えていない。
  2. 導入段階及び運用段階での困難
    OSHMS実施事業場75に対するアンケートで、OSHMSの実施事項のうち困難であった事項を、「容易」を0、「非常に困難」を3とし、4段階でどの程度困難であったかを聞き、回答事業場で平均したところ、導入段階、運用段階のいずれでもOSHMS実施にかかる時間の確保は困難度が高かったが、規程の作成・整備は、導入段階で困難と考えていたほどには、運用してみたらそれほど困難ではなかったとされており、導入のハードルは当初予想されているほど高くないと考えられる。
    他方、ヒアリングにおいて、OSHMSの導入段階又は実施段階で困難であった点を聞いたところ、複数の事業場から挙げられたものは次のとおり。
    1. 通常業務に加えて時間が費やされ、管理者、職長の協力を得るのが難しかった。
    2. 安全衛生スタッフ数が少なく、規程作成等の時間の確保や資料作成が難しい(導入段階)。
    3. 現場で働く労働者全員に教育研修を実施する時間の確保が難しい。
    4. 内部監査者の人数が少なく負担が大きい。また、各人で評価がばらつく。
    5. 活動がマンネリになる。
    これらの解決のために行われた工夫・解決策として、他の事業場でも参考になると考えられる事例を収集した。
  3. OSHMSの実施によって得られた効果
    OSHMS実施事業場75に対するアンケートで、OSHMSを実施したことによって得られた効果を尋ねたところ、安全衛生活動の活性化(76.0%)、安全衛生水準の向上(69.3%)、職場のリスクの低減(68.0%)が高い割合を占めた。
  4. OSHMSの導入以後の見直し
    OSHMS運用事業場75に対するアンケートで、OSHMSの導入から現在までに見直しをした点があるか尋ねたところ、見直しを行った事業場は38.7%であった。具体的には、安全マニュアル・手順書の追加・補足版の作成、監査用チェックシートの改訂から、意思決定をボトムアップ型からトップダウン型にしたというものまであった。
  5. 外部機関によるOSHMS認定・認証の取得状況
    OSHMSを実施している75事業場に対し、OSHMSに関する外部機関による認定・認証の取得状況を尋ねたところ、認定・認証を受けている事業場は33.3%となっており、今のところ認定・認証を受ける予定はないとする事業場は45.3%であった。
  6. 認定・認証の取得で得られた効果
    アンケートで、OSHMSの認定・認証を受けている又は受ける予定の33事業場に対して、OSHMSの認定・認証を取得することで得られた効果、または得られると思われる効果を尋ねたところ、安全衛生活動の活性化につながる(84.8%)、組織的な実行が可能になる(69.7%)、OSHMSの質が向上する(60.6%)の割合が高かった。
     ヒアリングでは、3年の更新毎にチェックがあるのできちんと実施していることが必要という緊張感が生まれる、海外企業との取引の際OSHMS認定・認証取得の有無を尋ねられ役立った、などがあった。

報告書では、以上の調査結果を踏まえて、リスクアセスメント、OSHMSの普及促進方策の提案を行っている。

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