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イギリス2005年高所作業規則
The Work at Height Regulations 2005


(仮訳 国際安全衛生センター)

掲載日:2006.10.11

第1条 規則名称及び施行期日
  これらの規則は、高所作業規則2005と称し、2005年の4月6日から施行する。
第2条 解釈
  1. 他に事情がなければ、これらの規則おいて、
    1. “法律1974”は、労働安全衛生法1974をいう。
    2. “進入路”及び“退出路”には、昇り階段及び下り階段が含まれる。
    3. “建設工事”とは、建設(安全衛生及び福祉)規則1996[2]第2(1)条によって定められたものをいう。
    4. “壊れやすい面”は、少しでも荷重がかかれば、壊れるおそれのある面をいう。
    5. “梯子”は、固定梯子及び脚立が含まれる。
    6. “綱”は、ロープ、チェイン又は帯ひもが含まれる。
    7. “管理規則”とは、労働安全衛生管理規則1999[3]をいう。
    8. ”個人用墜落防護システム”とは、
      1. 墜落防止、作業抑制、作業位置設定、落下防止システム若しくは救助システム、安全設備のみが共用となっているシステム以外のシステム、又は
      2. ロ−プによる昇降と作業位置を設定する技法をいう。
    9. “適切な”とは、人の安全に影響を与えることが、合理的に予測可能な観点からみて適切であることをいう。
    10. “高所作業”とは、
      1. 地上、地下のすべての場所における作業で、
      2. 恒久的作業場所の階段を除いて、作業場所への進入路又は作業場所からの退出路を含み、規則の要求する方法を実施しない場合、人が傷害を被る距離を墜落するおそれのある場所における作業をいう。
    11. “作業設備”とは、作業に(専らかそうでないか何れにして)使用する全ての機械類、器具、工具又は設備及び第8条及び附則第2条から第6条までが適用される全てのものを含む。
    12. “作業床”とは、
      1. 作業場所として使われる床、又は作業場所への出入通路をいう。
      2. 全ての足場、吊り足場、クレドール、機械移動式足場、うま、道板、構台、及び同じように使用される階段が含まれる。
  2. 記録、記録のコピー、又は計画の保管についてのこの規則に関連する事項は、次のような保管に関連する事項が含まれる。
    1. 必要なときには複写印刷が可能な形式であること。
    2. 記録等の文書は、紛失しないようにし、又は権限のない者に見られないように管理すること。
第3条 適用
  1. この規則は、
    1. 大英帝国内、及び
    2. 労働安全衛生法1974の(大英帝国外への適用)命令2001[4]により、労働安全衛生法1974第1条から59条及び第80条から第82条が適用される大英帝国外
    に適用する。
  2. この規則により、事業者に課せられた要件は、
    1. 事業者の雇用者による作業、又は
    2. 事業者の管理の範囲内において、事業者の管理下にある全ての者による作業
    に関して適用するものとする。
  3. この規則による事業者に課せられた要件は、以下の場合に適用する。
      1. 自ら作業を行う自営業者、又は
      2. 自営業者の管理範囲内において、自営業者の管理下にある者が作業を行う自営業者、及び
    1. 自営業者以外の者の管理の範囲内において、その者の管理下にある者が行う作業に関して、自営業者以外の者
  4. この規則の第4条から第16条は、以下の場合には適用しない。
      1. 船長の指揮下で乗組員のみで実施し、及び
      2. 船長及び乗組員以外の者が安全上のリスクにばく露するおそれがない通常の船内活動における船長、乗組員又はこれらの者の雇用者
    1. ドック規則1988[5]第7(6)条で指定する労働者がドック作業に従事する場所
    2. 魚類容器積卸作業規則1988[5]第5(3)条で指定する労働者が魚類荷役作業に従事する場所、又は
    3. スポーツ、リクリエーション、チームビルディング又は同種の活動としての洞窟探検又は登山に参加することに関連して、1人又はそれ以上の者に対する教育又は指導する設備
  5. オフショアの設備及び井戸(設計、建設等)規則1996[7]第12条がこれらの作業に適用されるときは、この規則第11条は適用しない。
  6. 本規則において、
    1. 洞窟探査には、すでに作業されていない鉱山の部分の探査が含まれる。
    2. 登山には、自然の地形または人工の構造物の上を移動、ロープを使用しての懸垂降下、登攀が含まれる。
    3. 船には、英国海軍の一部を構成する艦船以外の航海で使用される全ての船が含まれる。
第4条 管理及び計画
  1. 全ての事業者は、高所作業について、
    1. 適正に計画がなされていること
    2. 適正に管理されていること
    3. できる限り安全な方法で作業を実施すること
    及びその方法には、第7条による作業設備の選択が含まれていれることを確認しなければならない。
  2. (1)の作業計画に関するに事項には、緊急時及び救出の計画が含まれる。
  3. 全ての事業者は、高所作業は天候条件が作業中に労働者の健康又は安全に危害を及ぼさないときのみに実施することを確認しなければならない。
  4. (3)は、警察、火災、救急、その他の緊急サービスの要員が緊急時における活動する場合には適用しない。
第5条 資格
  全ての事業者は、高所作業又はその作業において使用する作業設備に関連する作業者の管理、計画及び監督を初めとする各種活動に、有資格者、又は訓練されて、有資格者の監督下で作業する者以外の者が従事していないことを確認しなければならない。
第6条 高所作業からのリスク回避
  1. この規則によって要求されている方法を特定するときに、事業者は、マネジメント規則第3条に従い、リスクアセスメントを考慮しなければならない。
  2. 全ての事業者は安全に作業を行うことが、合理的に実行可能な高所以外の高所で作業が行われていないことを確認しなければならない。
  3. 高所で作業が行われる場合、全ての事業者は、合理的に実行可能な限り、負傷するおそれのある高さから人が墜落するのを防止する適切で十分な対策を講じなければならない。
  4. (3)で要求された方法は、
    1. 附則第1条を遵守し、適正な人間工学的条件のもとで安全に作業ができることが合理的に実行可能なものであることを
      1. 作業現場、又は
      2. 出入通路の場合には、現実に使用している条件
      について確認すること、及び、
    2. 事業者は、(a)により作業が合理的に実施されていない場合、合理的に可能な限り、墜落が発生するのを防ぐための十分な作業設備を設置することを含むものでなければならない。
  5. (4)によって講じられた方法が墜落のリスクを除去ができないときは、全ての事業者は、
    1. 合理的に実行可能な限り、
      1. 墜落する距離及び墜落後の被害、又は
      2. 墜落する距離を最小限に止めることが合理的に実施できない場合には、墜落後の被害を最小限に止めるための十分な作業設備の設置、及び、
    2. (3)による一般的な方法を侵害しないで、合理的に実行可能な限り、人が負傷するおそれのある高さからの墜落を防止するための教育、訓練又はその他の適切で十分な追加方法を講じなければならない。
第7条 高所作業設備の選択
  1. 全ての事業者は、高所作業で使用する作業設備の選定において、
    1. 共用の防護対策を個人用の防止対策より優先して講じ、及び
      1. 作業設備が使用されなければならない場所で労働者の安全に対する作業条件及びリスク、
      2. 出入通路の作業設備においては、うまく通り抜ける間隔の決定、
      3. 墜落危険のある高さと被害の程度、
      4. 作業設備の使用期間と使用頻度、
      5. 緊急時における容易で、速やかな退避及び救助、
      6. 使用、設置又は移設、又は退避及び救助により引き起こされる付加的リスク、及び
      7. この規則のその他の条項
      を考慮に入れなければならない。
  2. 事業者は、高所作業のため、
      1. 実施する作業の性質及び想定される荷重に適応していること、及び
      2. リスクなく通行できることの要素を含む特性を有すること、及び
    1. このほか、第6条に規定された目的に特に留意し、最も適切である作業設備 を選定しなければならない。
第8条 特定作業設備のための要件
全ての事業者は
  1. 手摺り、爪先板、囲い、その他同様の共用防護手段の場合は、附則第2条の規定が遵守されていること、
  2. 作業床の場合は、
    1. 附則第3条の第1の規定が遵守されていること、及び
    2. 足場が設けられている場合は、附則第2条の第2の規定も遵守されていること、
  3. 防網、エアーバッグ、又は個人用の墜落防止システムではないその他の墜落を阻止するための共用の安全防護設備の場合は、附則第4条の規定が遵守されていること、
  4. 個人用の墜落防止システムの場合は、附則第5条の第1、及び
    1. 作業位置設定システムの場合には、附則第5条の2  
    2. ロープによる昇降及び作業位置設定技術の場合には、附則第5条の第3
    3. 墜落阻止システムの場合には、附則第5条の第4
    4. 作業行動範ステムの場囲抑制シ合には、附則第5条の第5
    が遵守されていること、及び
  5. 梯子の場合には、附則第5条の6が遵守されていること、
を確認しなければならない。
第9条 壊れやすい面
  1. 全ての事業者は、安全に作業を実施することが合理的に可能であり、及び適切な人間工学的措置がされている壊れやすい面を横切ったり、近づいたり、また壊れやすい面の上か、面からか、面近くで作業したりする者がいないことを確認しなければならない。
  2. 安全に仕事を実施することが合理的に実施できないか、また壊れやすい面を横切ったり、近づいたり、またその場所において作業することがないように適切な人間工学的配慮ができない場合は、事業者は、
    1. 合理的に実行可能な限り、適切で十分な作業床、覆い、手摺りまたは類似の方法の支持物又は防護物が設けられ、全ての予測される荷重が支持物によって支えられ、防護物によって持ちこたえられるように、使用されていることを確認しなければならない。
    2. この規定により各種の手段がとられても、作業中の墜落のリスクが残っている場合は、労働者の墜落する距離及び墜落後の被害を最小限に止めるための適切で十分な方法を講じなければならない。
  3. 人が、作業中に壊れやすい面を横切ったり、近づいたり、またその場所において作業するおそれのある場合には、事業者は、
    1. 壊れやすい面に接近する通路には、合理的に実行可能な限り、目立つ注意標識を立て、又は
    2. これが合理的に実施できない場合には、別な方法によって人に危険を気づかせなければならない。
  4. (3)は、警察、火災、救急、その他の緊急サービスの要員が緊急時における活動中には適用しない。
第10条 落下物
  1. 全ての事業者は、人が負傷するのを防止のための必要な場合、合理的に実行可能な限り、あらゆる材料又は物の落下を防ぐため適切で十分な手段を講じなければならない。
  2. (1)の規定に従うことが合理的に実施できない場合、事業者は、人が材料又は物の落下により激突されて負傷するのを防止のため適切で十分な手段を講じなければならない。
  3. 全ての事業者は、人に負傷させるおそれがある場所で、材料又は物が高所から投げたり、捨てられたりしていないことを確認しければならない。
  4. 全ての事業者は、材料又は物が崩壊し、転覆し、又は故意でなく動くことにより生ずる人へのリスクを防止するように材料及び物が保管されていることを確認しければならない。
第11条 危険区域
この規則の前述した要件を侵害しないで、事業者は、
  1. 作業の性質上、作業中に、人が負傷するおそれのある
    1. 墜落する距離、又は
    2. 落下物による激突される
    リスクがある区域が作業場所の中にある場合、作業場所には、合理的に実行可能な限り、権限のない者の立ち入りを阻止する設備が設けられていること、及び
  2. 危険区域が明示されていること
を確認しければならない。
第12条 作業設備の点検
  1. この規定は、本規則第8条及び附則第2条から第6条が適用される作業設備のみに適用する。
  2. 全ての事業者は、作業設備の安全が、設置及び組立方法に関係する場合、設置及び組み立て後、設置された場所で点検が実施されていない場合には、使用されていないことを確認しければならない。
  3. 全ての事業者は、危険な状態となるおそれのある作業設備の劣化の原因となる状態に曝された作業設備について、安全衛生状態が保全され、適切な時期に作業設備の劣化が検出され、補修されることができるようにするために、
    1. 適切な点検期間
    2. 作業設備の安全が危険な状態に曝される異例な環境が発生したとき
    点検されていることを確認しければならない。
  4. (2)を侵害することなく、全ての事業者は、
    1. 建設工事で使用される作業床、及び
    2. 人が2m又はそれ以上から墜落するおそれのある作業床
    が使用されている場所または高所作業車の場合には現場で7日以内に点検がなされていなければ、どの場所においても使用していないことを確認しなければならない。
  5. 全ての事業者は、もし、この規則に従って実施するよう要求され、最後の点検が行われたことが物的証拠を伴って明らかであるときでなければ、吊り上げ操作及び吊り上げ設備規則1988[8](“LOLER“)第9(4)条の要件を適用する吊り上げ設備以外の作業設備は、
    1. 事業者の工事には使用されていないこと、又は、
    2. もし他の事業者の工事用のものである場合は、事業者の工事には使用されていないこと、
    を確認しければならない。
  6. 全ての事業者は、この規則による点検の結果が記録され、また(8)により、この規則に基づき行われる次回の点検まで保存されなければならない。  
  7. 上記(4)が適用される作業設備の点検を行う労働者は、
    1. 作業時間の終了前に点検を完了し、附則第7条に定められた詳細事項を含む報告書を作成しなければならない。
    2. 点検終了の24時間以内に、点検を実施した人の目的が達成できるように報告書またはそのコピーを備えておかなければならない。
  8. (7)による報告書又はコピーを受け取った事業者は、報告書又はコピーを
    1. 建設工事が終了するまで、点検が行われた場所
    2. その後は3ヶ月間、事業者の事務所
    において保管しなければならない。
  9. LOLER第9条により、吊り上げ設備の詳細な検査が行われた場合には、
    1. (7)及び(8)によらなくても、この規則の目的のための吊り上げ設備の点検として取り扱うものとする。
    2. LOLER第10条により、上記の検査の報告書の作成は、(6)による目的のための点検の記録として取り扱うものとする。
  10. (9)によるこの規定の“点検”は、
    1. 安全の目的のために適正である資格者による目視又はより以上厳格な点検をいい、
    2. この目的のために適切な全ての検査が含まれ、
  11. 及び、“点検”は、状況に応じて適正になされなければならない。
第13条 高所作業の場所の点検
 全ての事業者は、合理的に実行可能な限り、高所作業の場所からの墜落を防止するための作業床面、あらゆる胸壁や、恒久的な手摺り等すべての場所は、使用前には必ず点検されていることを確認しなければならない。
第14条 労働者の義務
  1. 全ての労働者は、他の者の管理下で作業を行う場合、高所作業において気付いた自己または他者の安全を損なうおそれがある作業活動や欠陥は、その管理者に報告しなければならない。
  2. 全ての労働者は、事業者または、作業管理者が、高所作業用として労働者のために設置した作業設備及び安全装置を、
    1. 作業設備又は安全装置に関する使用方法について労働者が受けた訓練
    2. 関連する法規で定める規定に従い、事業者又は作業管理者に課せられた要件若しくは禁止事項に従い、これらの者が設けた作業設備及び安全装置の使用に関する教育
    に従って使用しなければならない。
第15条 HSEによる免除
  1. (2)に従い、HSEは、
    1. すべての労働者、又は労働者階級
    2. すべての建設物、又は建設物部類
    3. すべての作業設備、又は
    4. すべての作業活動
    証明書によって附則第2条3(a)及び(c)によって課せられた要件について免除することができ、この免除は、条件及び期限付きで認められるべきであり、さらに、いつでも書面によりこの免除を無効にすることができる。
  2. HSEは、事例の状況、特に
    1. 免除に付加する条件
    2. その事例に適用される全ての法令の他の要件
    に関して、免除によって影響を受けやすい労働者の安全と健康が、免除の結果によって、侵害されないことが確信できない場合に免除を認めてはならない。
第16条 軍隊に対する免除
  1. (2)に従い、国防大臣は、国家防衛の重大性から、この任務を遂行する活動に関する規定に従い、証明書により、全ての人、又は人達に課せられた要件または禁止事項を免除することができる。また、このような免除は、状況に従い認められ、また、国務大臣によって無効にすることができる。
  2. 国務大臣は、労働者の安全及び健康が、この規定の目的の観点から可能な限り、確認されることが確信できない場合に免除を認めてはならない。
第17条 作業設備設置及び使用規則1998の修正
作業設備設置及び使用規則1998[9]第6(5)条に
  • “(f)高所作業規則2005第12条で規定する作業設備“
の項目を追加すべきである。
第18条 工場法1961第24条の廃止
工場法1961[10]第24条を廃止する。
第19条 法条文の廃止
附則第8条第1欄から第3欄に規定された法条文は、廃止する。
国務大臣の権限において署名ジェーン ケデイー
労働年金大臣

2005年3月16日