速報「ドイツにおける「仕事の新しいクオリティーへの取り組み」活動の進展」 で紹介したように、ドイツにおいては「仕事の新しいクオリティーへの取り組み」活動が展開されているが、この活動において中核をなす連邦労働安全衛生研究所(Die Bundesanstalt für Arbeitsschutz und Arbeitsmedizin −BAUA)の2007年から2010年までの活動プログラムが公表された。
10項目の目的と3項目の重点実施事項とから成り、副題が「安全、健康な競争力のある(competitive)職場」となっていることが注目される。
安全、健康の充実が企業経営に寄与することは、イギリス(HSE)、欧州(EU−OSHA)、アメリカ(OSHA)などでも以前から強調されてきたところだが、競争力につながるとするのは示唆に富む表現だと考えられる。ここに示された10項目の目的は、今号で併せて紹介する WHO, EU−OSHAなどの活動計画と同様に、古い時代の安全衛生活動の枠組みとは、異なっていることを認識しておく必要がある。
既存の機器安全法と製品安全法を統合した新しい機器・製品安全法(GPSG:Geraet und Produktsicherheitgezetzes)が2004年5月に施行されたことにより、産業用機器の安全と消費者向け製品の安全との間に存在していた安全に関する概念のギャップが解消される方向に向かいつつあるが、この方向を一層推進する。
ドイツ職業保険組合(BG)と提携して、作業条件と職業病発症との関連についての従来から蓄積されてきた膨大なデータを再整理することにより、補償範囲の見直しなどを検討する。
新規届け出化学物質の審査、欧州委員会による規制の国内施行、農薬の位置づけなどを実施する。