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化学物質安全性データシート作成の指針
(Guidelines for the Formulation of a Chemical Safety Data Sheet)

(資料出所:人的資源省 労働安全衛生局 発行
「Guidelines for the Formulation of a Chemical Safety Data Sheet」)

(仮訳 国際安全衛生センター)

付属資料 I

a. 序言

I.1 この項には、規則の則9(2)(o)(第2.2項(o)号)に従って提供すべき情報を記述する。

i ページ番号/総ページ数 CSDSの個々のページを容易に識別可能にするためである。ページ番号は明瞭にふること。ページ番号は1からふるものとし、総ページ数は当該CSDSの総枚数を示す。
ii 作成日 日、月、年の順に日付を記入する。月名はフルスペリングで書く。

(1) 化学製品と会社識別

I. 1 この項には、規則の則9(2)(a)(第2.2項(a)号)に従って提供すべき情報を記載する。

1.1 製品の詳細
(i)

製品名

製品の名称
(ii) 商品名 登録商品名または商標
(iii) 化学名 国際的に認められている名称および他の一般的な別名/頭字語名により、当該有害化学物質の名称を記載する。例:トリレンジイソシアネートはTDIも記載する。
(iv) 化学式 化合物を作っている元素の記号と各元素の原子数。例:塩酸はHClと記載する。
(v) モル質量 元素または化合物1モルの質量(グラム)。
(vi) 化学的族 元素または化合物の族。化学的性質と化学反応性の系統的、漸進的な変化を示す。
(vii) 製造者コード 当該製品に関する社内識別コード。
(viii) 用途 ここには当該製品の一般的用途を重要な順に記載する。応用方法も記載する。例:用途:ペンキ剥離剤のスプレー用溶液
1.2 会社識別

(i) 製造者名と住所

ここには海外または当地の製造者または調製者の名前と住所を記載する。

(ii) 輸入業者/流通業者名と住所

当地の輸入業者または流通業者の名前と住所
(iii) 供給者の電話番号 供給者の市外局番を含む電話番号。当該有害化学物質に関する情報が得られる番号。
(iv) 緊急電話番号 供給者の電話に24時間体制で人員が配置されていない時は、市外局番を含む緊急電話番号を記載する。その緊急番号は当地の供給者の番号でも海外の製造者の番号でもよい。
1.3 連絡先

記載する連絡先は、代表番号ではなく、明確な情報を提供できる者または更なる情報および/または参考文献を提示できる者につながる番号であること。

役職名や部署を掲載すること。連絡先とは、当地の供給会社を指す。

I. .2 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。
a. 序言

総ページ(y)中のページ番号(x) 6(y)の1(x)
作成日 1996年7月5日


(1) 化学製品と会社識別

1.1 製品の詳細

製品名 硫酸
商品名 ハイドロジェン・サルフェート
化学名 硫酸
化学式 H2SO4
モル質量 98.07
化学的族 フェノール樹脂
製造者コード VW&R Code: L1403
用途 バッテリー用酸、肥料、(鋳物などを洗う)酸洗浄剤、脱水剤、廃水処理
1.2 会社識別

製造者名 Chemical Inc.
製造者住所 123, Coronation Drive,
West Hill Ontario,
Canada MIE 4R6

輸入業者名 ABC Industries Sdn. Bhd.
輸入業者住所 No. 100, Jalan Permata 2,
Batu 3,
40000 Shah Alam

電話番号 (03) 5578234
緊急電話番号 (03) 5573452
1.3 連絡先

応答者 技術部長/テクニカル・サービス
インフォーメーション担当
電話番号 (03) 557342



付属資料II

(2) 組成/成分に関する情報

I.1 この項には、規則の則9(2)(b)(第2.2項(b)号)に従って提供すべき情報を記述する。

II.2 この項には当該有害化学物質の実際の組成を記載する。個々の化学物質についても混合物についても記載する。記載する情報は、使用者がリスクアセスメントを行えるよう、当該化学物質に特有のリスクを明確に認識できるようなものであること。成分の詳細は、3つの項目−すなわち化学物質名、CAS番号、割合−の元に縦一段の形式で列挙する。

II.3 追加の情報をこの項に記載することができる。例えば混合物の各成分の暴露限界値、毒性データなどである。こうした追加情報の目的はCSDSを一層利用しやすくするためである。成分の詳細は下記のように縦一段の形式で列挙する。

化学物質名 CAS番号 割合 暴露限界値 毒性データ

II.4 この項に記載すべき情報は下記のとおりである。

(i) 化学物質名

混合物に含まれる各成分−不純物も含む−をIUPAC命名システムに従って化学名で列挙する。
(ii) CAS番号: 各成分をケミカル・アブストラクト・サービス(CAS)番号を付して列挙する。
(iii) 割合 成分を高い割合を占める順に列挙する。溶剤(水を含む)は最後に挙げる。このリストに挙げる化学物質の成分割合に最低限度を設けることはできない。ある化学物質0.01%は別の化学物質0.1%の10倍以上も有毒かもしれないからである。(規則は、明記すべき有害成分の組成を求めているだけである。)
(iv) 暴露限界値 情報検索を容易にするために、付属資料IX第9項のデータをここに記載することもできる。
(v) 急性毒性データ 付属資料XII第11項のデータをここに記載することもできる。

II.5 化学物質の名称が機密事項である時は、当該化学物質名をCSDSに記載しなくてもよいが、1997年の労働安全衛生(区分、包装および表示)規則の則10に従い、書面による要請があれば労働衛生担当医もしくは当該化学物質を使用しまたは取り扱う者に対して実際の化学名を開示しなければならない。但し、被雇用者の安全と健康の保護ためにのみ当該情報が使用されることを条件とする。

II.6 当該化学物質が下記である場合は化学物質名を省略しまたは総称的名称に置き換えることができる。

(a) 有害化学物質分類指針により有害でないと確認された場合、または

(b) 有害化学物質分類指針に明記されているとおり、有害または刺激性であると分類されている場合

(c) 有害化学物質分類指針に添付の有害化学物質一覧表に明記されているとおり、当該化学物質の最低濃度切り捨てレベル以下である場合。

II.7 調製物の成分の正確な分量が特定できない時は、調製物の潜在的な危険についてできるだけ多くの情報を提供するために、製品に含まれる各成分の割合の範囲を記載する。割合範囲を下記のように記載すること。

非常に高い>60%
高い(30%−60%)
中程度(10%−30%)
低い<10%

II.8 下に示す3つの例は、情報の機密性を考慮した場合に、成分をどのように記載するかを示すものである。

例1:混合物の成分および組成を全面開示

ジメチルベンゼン [1330−20−7] 67%
トリクロルエチレン [79−01−6] 23%
エタノール [64−17−5] 8%
ベンゼン [71−43−2] 0.9%
その他不純物

例2:混合物の正確な組成が企業秘密である場合

ジメチルベンゼン [1330−20−7] 非常に高い
トリクロルエチレン [79−01−6] 中程度
エタノール [64−17−5] 低い
ベンゼン [71−43−2] 低い
その他不純物

例3:トリクロルエチレンの正体が企業秘密である場合

ジメチルベンゼン [1330−20−7] 67%
塩素化アルキル炭化水素 23%
エタノール [64−17−5] 8%
ベンゼン [71−43−2] 0.9%
その他不純物


II.7 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(2)組成/成分に関する情報

化学名

CAS番号

TLV-ACGIH

割合

ジクロルフルオロエタン

17177-006

N/E

96%

ストッダード溶剤/石油スピリット

8052-41-3

100 PPM

1.5%

トリエチル化シリカ

68988-567

100 PPM

1.4%

ジメチルベンゼン

1330-20-7

100 PPM

0.5%

1,2,4-トリメチルベンゼン

95-63-6

25 PPM

0.05%



付属資料III

(3)物理的・化学的性質

III.1 この項には、規則の則9(2)(i)(第2.2項(I)号)に従って提供すべき情報を記述する。

III.2 この項のデータは当該製品について記載する。製品が混合物であれば、データはその混合物について記載する。この項の情報は下記に役立つ。

* 暴露の可能性の推定

* 漏れやこぼれの扱い

* 換気システム設計

* 安全制御装置および手順の設計、開発、点検の助けとなること。

III.3 この項に必要な情報は下記のとおりである。

(i) 外見

色および形状を記載する(例:茶色の液体、灰色の粉末)
(ii) におい 当該製品に、においがあるかどうかを記載する。
(iii) 溶解度 固体または粉末の場合は、水に対する溶解度をグラム・パー・リッターまたはppmで記載してよい。
(iv) 沸点および/または融点 760 mm Hgにおける沸点および/または融点を摂氏で記載する。
(v) 蒸気圧 蒸気圧は25℃におけるmm Hgで表す。
(vi) 揮発分 25℃における重量または容量のパーセンテージを記載する。
(vii) 蒸発率 当該割合を比較する基準液を明記する。
(viii) 蒸気密度 大気の密度と比較した蒸気の密度。
(ix) 比重 水の密度を1g/cm3とした時の水と比較した製品の密度。
(x) 引火点 引火点は℃で記載する。クローズド・カップ法とオープン・カップ法のどちらでデータを取ったのかを明記する。
(xi) 自然発火温度 いかなる物質においても、自力燃焼を開始しまたは引き起こす最低温度。
(xii) 可燃限界 上限と下限を記載する。
(xiii) その他の情報 においのしきい値、揮発性、浸透性、40℃における粘性などを記載する。


III.5 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(3)物理的・化学的性質

外見 固体(半固体ゲル)
におい わずか
溶解度 冷水に不溶
沸点 >260℃(500°F)
融点 適用されず

蒸気圧
(25℃におけるmm Hg)

データなし
揮発分 適用されず
蒸発率 適用されず
蒸気密度 データなし
比重 15℃で0.88(水= 1)
引火点 オープン・カップ法:>263℃(>505.4°F)
クリーブランド
自然発火温度 >315℃(>599°F)
可燃性限度(%) データなし
その他の性質 データなし


付属資料IV

(4)危険の識別

IV.1 この項には、規則の9(c)(第2.2項(c)号)に従って提供すべき情報を記述する。

IV.2 この項には当該製品に関わる最も重要な危険について記載する。

IV.3 最も重要な危険を下記の分類基準に従って列挙する。

i. この号は緊急事態の全体像を把握するために重要である。

ii. 最も重要な危険とは、健康被害、物理的危険、および環境汚染である。

iii. 製品の最も重大な影響をまず最初に記載する。当該影響が調製物中の1成分によるものである場合は、その事を明記する。

IV.4 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(4)危険の識別

最も重要な危険

やけどを起こす

吸い込むと有害

飲み込むと有害

可燃性物質に触れると発火する可能性がある



付属資料V

(5) 応急処置

V.1 この項には、規則の9(2)(d)(第2.2項 (d)号)に従って提供すべき情報を記述する。

V.2 この項には、医師への指示と注意事項を記載すること。

V.3 この号に記載する指示は、暴露を受けた本人、救急担当者、救急隊員に当てるものとする。複雑な装置を使わずにまた多くの医薬品を揃えなくとも施しうる初期手当ての指示であること。医師の診断が必要な場合は、その旨を記載する(緊急性も)。

V.4 適切な指示の例(当該化学物質に対して当てはまれば)

・ 水または牛乳を飲ませて嘔吐させる。

・ 大量の水で15分間洗浄する。

・ 早急に医師の支援を求める。

・ 医師の診察を受ける、このCSDSを医師に見せる。

・ 病院または医療センターに搬送する。

V.5 医師へのメモ:特別の解毒剤があればそれを記載する。特別の解毒剤が無い場合は、医師に毒物情報センターに問い合わせるよう助言する。可能ならば、暴露後に晩発性障害が予想されるかどうかも記載する。

V.6 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(5)応急処置

眼に入った時 コンタクトレンズを着用している時ははずす。直ちにまぶたを開けたまま眼を流水で少なくとも15分間洗う。軟膏などは使用しない。医師の診断を仰ぐ。

皮膚に触れた時 汚染された衣服を脱ぎ、再び着用する前に洗濯する。汚染された皮膚を、流水と表面の粗くない石鹸で静かに徹底的に洗う。赤くなったり炎症が起こった場合は医師の診断を仰ぐ。高圧グリースガンは皮膚を通してグリースを進入させる能力がある。グリースガンによる傷害は直ちに医師に診てもらうことが必要である。

吸い込んだ時 被害者をできるだけ早く安全な場所へ避難させる。被害者が呼吸をしていない場合は口対口(口うつし)法で人工呼吸を行う。もしあれば酸素を吸入させる。被害者を換気のよい場所で安静にさせる。医師の診断を仰ぐ。



付属資料VI

(6) 消火方法

VI.1 この項には、規則の則9(2)(e)(第2.2項 (e)号)に従って提供すべき情報を記述する。

VI.2 この項には下記の情報を記載する。

・ 消火剤

・ 消火の指示

・ 特別な危険:
(種々の化学物質がすぐそばにある中で発火する危険、種々の化学物質および危険な分解生成物がすぐそばにある中で爆発する危険)

VI.3 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(6)消火方法

(a) 消火剤

小火 ドライケミカル、泡、またはCO2を使用する。
大火 散水、霧、または泡を使用する。水や泡による消火は大量の泡を発生させうる。
(b) 消火の指示

圧力上昇、自然発火、または爆発を防ぐために、散水して容器を冷やす。危険を伴わずに行える時は火事の燃料となっているものを遮断する。こぼれた物質を下水、川、その他の水に流さない。屋外の小火には消火器を使用することができ、自給式呼吸装置(SCBA)は必要ないであろう。消火に当たる人は呼吸器と眼を保護する必要がある。

(c) 特別な危険(種々の化学物質が存在するために、爆発する危険)
空になった容器を切断したり、溶接したり、熱したり、穴をあけたりしてはならない。


付属資料VII

(7) 事故による流出対策

VII.1 この項には、規則の則9(2)(f)に従って提供すべき情報を記述する。

VII.2 化学物質の事故による流出(漏れ、こぼれ)に対して取るべき措置について記載する。

VII.3 この号には下記を記載する。

・ こぼれまたは漏れを最小限に止めるための措置

・ 安全衛生上の予防措置:点火源を取り除く、十分な換気をする、適切な個人用保護具を用意する。

・ 環境上の予防措置:排水口に流れ込まないようにし、救急隊に警戒態勢をとらせる。

・ こぼれおよび漏れの清掃法:適当な吸収剤を使用する、水その他の希釈剤によってガス/ヒュームの発生を避ける、適当な中和剤を使用する。

・ 警告:合理的に予測できる危険な行為に対する注意事項を記載する。

VII.4 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(7)事故による流出対策

漏れ/こぼれ: 可燃性の液体。換気を行う。点火源を全部取り除く。堤防を築き、不活性物質(砂、土など)でこぼれを阻止、液体と固体を別々に容器に移し、回収または処分する。規則の定めるところに従って報告する。


付属資料VIII

(8) 取り扱いおよび保管

VIII.1 この項には、本規則の9(2)(g)(第2.2項 (g)号)に従って提供すべき情報を記述する。

VIII.2 この号には、当該化学物質の安全な取り扱いと保管のために下記を含む必要な全てのデータを記載する。

・ 場所
・ 火災にあたっての分離距離
・ 換気
・ 温度条件
・ 外気、日光等からの保護
・ 容器の種類
・ 近くに保管してはならない他の製品の種類
・ 床材の種類
・ 堤防
・ 安全確保
・ 緊急設備。例:シャワー、眼の洗浄器、(その他適宜なもの)

VIII.3 情報には、製品ラベルに記載する安全のための警句を挙げておくこと。

VIII.4 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(8)取り扱いおよび保管

取り扱い

喫煙やたき火をしない。蒸気を吸い込まない。皮膚や眼に触れさせない。良い作業慣行を守る。

保管

未使用の容器に密封し、換気の良い場所に保管する。


付属資料IX

(9) 暴露管理と身体保護

IX.1 この項には、規則の9(2)(h)(第2.2項 (h)号)に従って提供すべき情報を記述する。

IX.2 この項は、当該製品またはその特定成分または全ての成分に関わる暴露限界値、ならびに処理方法および/または保護具の要件に重点を置く。

IX.3 化学物質安全性データシートでは、保護具の必要性よりも、暴露を最小限にし抑制する処理方法に重点を置く。

a. 暴露限界値

  1. i暴露限界値(EL, exposure limits)とは、ほとんど全ての成人が繰り返し曝されても悪影響がでない範囲での、化学物質の空気中の最高濃度をいう。それを基準として、当該化学物質の8時間にわたる時間荷重平均濃度の測定値を比較することができる。

  2. 当地の許容暴露限界値(PEL)が利用できる限りはそれを使用する。それができない場合は別の基準に拠ってもよい。

  3. 許容濃度の短期の上限があればいずれも記載する。また最大暴露時間についても同様に記載する。

  4. ELの一覧表の中に皮膚に関する記述があれば、この項にも記載する。

b. 処理方法

  1. ここには推奨される適切な処理方法を記載し、特別な換気要件が必要であるかどうかを記載、その形態を明記する。例:十分に換気した場所で使用すること、空気中の濃度をEL未満に維持するのに十分な換気を確保すること、局所排気が必要であること、等。

c. 身体の保護

  1. ここには保護が必要な場合と種類を明記すること。但し、この情報が必ずしも救急隊にとって適切ではないかもしれない。ガスマスクの種類等を明記する。例えば「認可フェースマスク」だけでは十分な情報であるとはいえないが、「有機蒸気に適する認可ハーフフェース・カートリッジ式マスク」とすれば十分と言えよう。

  2. 皮膚の暴露を防ぐために手袋や保護衣にも特別な要件があるかもしれない。材料の明細が必要である。すなわち、「不浸透性手袋」では不十分であるが、「ポリ塩化ビニール(PVC)手袋」や「ニトリル手袋」とすればよいであろう。

  3. 同様に、眼の保護が必要であれば、「一般工業用安全眼鏡」とか、他の特別の要件を記載する。

IX.4 この項における記載の仕方の実例を下記に示す。

(9)暴露管理と個人保護

a. 暴露限界値
化学名 CAS番号 基準* 準拠
酸化鉛 1314-41-6 0.15 mg/m マレーシア国DOSH
注*:別途記載が無ければ、8時間時間荷重平均暴露。


b. 換気

暴露限界値の要件を満たすように、全体換気または局所の排気による換気を行う。

c. 身体保護

眼、皮膚の保護

安全眼鏡、ユニフォーム、エプロン、ブチルゴム手袋が推奨される。
呼吸保護 換気が十分であれば何も必要ない。空気中濃度が暴露限界値を超える場合は高性能微粒子マスクが望ましい。濃度がマスクの能力を超える場合は自給式呼吸器が推奨される。


付属資料X

(10) 安定性と反応性

X.1 この項には、規則の則9(2)(j)(第2.2項 (j)号)に従って提供すべき情報を記述する。

X.2 特定の条件における危険な反応の可能性を明記する。例えば、

(i) 温度、圧力、光、衝撃、湿気や空気との接触、などの物理的条件を避ける。

(ii) 酸類、塩基類、酸化剤、その他の危険な反応を起こす可能性のある特定の物質など、他の化学物質に近づけない。

X.3 危険な分解生成物が放出される場合は、それらを明記し、必要な予防措置を記載する。

X.4 この項における記載の仕方の実例を下記に示す。

(10) 安定性と反応性

避けるべき条件

熱、炎

配合禁忌

強い酸化剤、塩素
分解生成物 一酸化炭素、二酸化炭素
危険な重合 起こらない


付属資料XI

(11) 毒性に関する情報

XI.1 この項には、規則の9(2)(k)(第2.2項 (k)号)に従って提供すべき情報を記述する。

XI.2 この項には、当該化学物質の身体の作用につき、身体への進入可能なルートおよび毒性データを記載する。過暴露の急性・慢性作用に言及すること。既知の相互作用−例えば投薬、喫煙、飲酒との−を含む、他の化学物質と反応した結果起こる健康被害にも言及すること。

XI.3 この項における記載の仕方の実例を下記に示す。

(11) 毒性情報

毒性データ

塩化メチレンを腹膜に投与されるマウスのLD50   

437 mg/kg
塩化メチレンを皮下に投与されるマウスのLD50    6460 mg/kg
塩化メチレンを30分間吸入するラットのLC50    88 g/m3

発ガン性

人体に対する発ガン物質である可能性が高いとしてIARCリストに載っている(グループ2Aおよび2B)。

生殖への影響

動物実験では突然変異を誘発する可能性を示している。


暴露超過の影響

   進入経路

           影 響

吸入

頭痛、吐き気、嘔吐、めまい、昏睡、虚弱、疲労、上気道の刺激、中枢神経系機能低下、メトヘモグロビン血症、肺水腫、人事不省。致命的である可能性。

皮膚との接触

刺激は有害である可能性あり。長時間接触すると皮膚炎を起こす可能性あり。            

眼に入る

刺激は角膜に一時的に障害を与える可能性あり。

皮膚からの吸収

確認されていない。

摂取

頭痛、吐き気、嘔吐、めまい、昏睡、虚弱、疲労、上気道の刺激、中枢神経系機能低下、メトヘモグロビン血症・人事不省。致命的である可能性。


慢性作用

肝臓、腎臓、肺、血液、中枢神経系に障害を与える。

対象器官

呼吸器系、肺、心血管系、中枢神経系、肝臓、腎臓、眼、皮膚。

暴露により一般に悪化する医学的症状

心血管系障害、心臓障害、肝臓または腎臓障害、中枢神経系障害、大量飲酒、大量喫煙。



付属資料XII

(12) 生態学的情報

 XII.1 この項には、規則の則9(2)(l)(第2.2項 (l)号)に従って提供すべき情報を記述する。

 XII.2 環境に影響を及ぼすと思われる最も重要な性質を記載すること。

 XII.3 適宜記載すべき典型的な情報は以下のとおり。当該化学物質が流出する可能性のあるルートと残留および生物分解性、生体内蓄積の可能性と水生毒性、その他水処理場に及ぼす影響などの生態毒性に関するデータを記載する。

 XII.4 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(12) 生態学的情報

移動性および

水中で混和性がある
生体内蓄積 生物濃縮係数(BCF)は低い
生物分解性 生物分解しない。水生環境に長期にわたって悪影響を与えると予想される。
水生毒性 水生生物にとって有害。


付属資料XIII

(13) 廃棄に関する情報

XIII.1 この項には、規則の9(2)(m)(第2.2項 (m)号)に従って提供すべき情報を記述する。

XIII.2 この項には下記についての具体的な勧告を記載すること。

  • 廃棄容器
  • 廃棄方法
  • 地元の法令による要件をチェックする必要性
  • 焼却または埋め立てに関する特別の予防措置

XIII.3 この項では、廃棄方法に関する勧告が必須と見なされる。下水道への廃棄処分は止めさせるべきである。

XIII.4 小規模廃棄と大規模廃棄のための勧告は区別すること。

XIII.5 この項における記載の仕方の実例を下記に示す。

(13) 廃棄に関する情報

1989年の環境の質(別表に記載された廃棄物)規則及びその他環境省および/または地元当局が発行した指針に従った廃棄物処分。



付属資料XIV

(14) 輸送に関する情報

 XIV.1 この項には、規則の9(2)(n)(第2.2項 (n)号)に従って提供すべき情報を記述する。

 XIV.2 この項には下記を列挙すること。

  • 国際および国内規制の要件
  • 包装に関する情報
  • その他輸送に関する特別の要件(必要であれば、衝撃感度などの危険をこの項にもう一度記載する)。

 XIV.3 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(14) 輸送に関する情報

UN番号

1866
T.D.G.分類 3
包装グループ II
輸送に関する特別指示 適用されず


付属資料XV

(15) 規制に関する情報

 XV.1 この項には、分類案、リスク分類番号、セーフティ分類番号を記載する。

 XV.2 分類案は、下記の基準に基づくものとする。

i. 当該製品の分類案を記載するのは、ラベルに表示すべき危険の識別をするためである。

ii. 分類案には危険の最大程度を記載すること。製品はその物理化学的性質と健康への影響に従って分類する。製品の危険が複数のカテゴリーに及ぶ場合は、危険の程度が最大のカテゴリーに分類すること。

 XV.3 この項の記載の仕方の実例を下記に示す。

(15) 規制に関する情報

a. 分類案:有毒性

b. リスク分類番号

R23/24/25

吸入、皮膚に接触、飲み込んだ場合有毒である。
R45 発ガンの可能性がある。

R46

遺伝により受け継がれる遺伝子損傷の可能性がある。
R4 長期間の暴露により健康に重大な障害を与える危険がある。
R20/R21/22 吸入、皮膚に接触、飲み込んだ場合有害である。
R43 皮膚に触れると感作を起こす可能性がある。

c. セーフティ分類番号

S53

暴露を避けること。使用前に特別の指示を得ること。
S45 事故が起こった場合、あるいは気分が悪くなった場合は、直ちに医師の診断を受けること(可能な場合はラベルに明記する)。
S36 適当な保護衣を着用すること。
S7 容器を密閉すること。


付属資料XVI

(16) その他の情報

 XVI.1 この項には、製造者が提供できる、他の項に明記されていない情報を記載する。



目次 / 序文 / 用語解説
1 2 3
/
表1 表2 / 参考文献
付属資料 I / II / III / IV / V / VI / VII / VIII
IX / X / XI / XII / XIII / XIV / XV / XVI