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イギリス1974年労働安全衛生法
(Health and Safety at Work Act 1974)
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第二章  雇用医療諮問サービス

雇用医療諮問サービスを維持するための職務と責任

55. (1) 雇用医療諮問サービスは今後も継続的に存在し、以下の諸目的のために維持されるものとする。即ち、

(A) 所轄大臣、安全衛生委員会、労働斡旋委員会その他従業員や求職中の人物又は求職のための職業訓練を求めている人物の健康に関連する者が、こうした人々の健康の確保及び向上について個々に認識すべき事項に関して常に情報を与えられ、また適切な助言を受けられるようにすること。
(B) 従業員、求職中の人物又は求職のための職業訓練を求めている人に対して、雇用又は職業訓練に関する健康についての情報と助言を与えること。
(C) 雇用に関する所轄大臣の職務上の他の目的。

(2) 上述のサービスを維持する責任を有する当局は、所轄大臣とする。但しこれに代わって安全衛生委員会又は他の機関がこうした職務を負うための取り決めがなされた場合には、こうした取り決めが行われている間、(所轄大臣ではなく)当該職務を代行する機関が、こうしたサービスを維持する責任を有した当局となるものとする。

(3) 上述のサービスを差し当たって維持する責任を有した当局は、上の項目(1)に言及された目的のため、さらに雇用医療アドバイザーの職務の遂行を支援するために、特に言及された事項に関してあるいは雇用医療アドバイザーの職務に関して生ずる問題の調査、その支援、あるいはこれに関する支払い又はその手配を行うことができる。さらにこうした問題の調査又はその支援のために、当該当局が必要と判断する研究所及び他のサービス機関を設立し、維持することができる。

(4) 上の項目(2)に基づき所轄大臣によって行われた取り決めは、これによって随時終了させることができる。但し当該項目に基づいて随時行われる他の取り決めの作成を侵害することはないものとする(こうして作成された以前の取り決めの運用が停止した時点から運用される別の取り決めを含む) 。

(5) 11(4)(B)条及び12(B)条を侵害することなく、安全衛生委員会は所轄大臣からその旨の指示を与えられた場合に、当該委員会が上述のサービスの維持に当たる取り決めを当該大臣との間で結ぶ義務を負うものとする。

(6) 上の項目(1)において、

(A) 職業訓練中の人物の中には、1973年「雇用及び職業訓練法」 {1973c.50} により提供される産業リハビリテーション・コースに参加している人物が含まれるものとする。
(B) 従業員又は求職中の人物あるいは求職のための職業訓練を求めている人々の健康に関わる(所轄大臣及び言及された諸委員会以外の)人物には、事業者及び従業員のそれぞれを代表する組織及び労働衛生従事者が含まれるものとする。

サービス維持の責任を有した当局の職務

56. (1) 差し当たって雇用医療諮問サービスの維持に責任を有している当局は、こうした責任を果たすために雇用医療アドバイザーを任命するものとする。さらにこうした目的のために、当局は自らが決定する他の担当官及び職員を任命できるが、その数については、以下の必要な承認を受けるものとする。即ち、

(A) こうした当局が所轄大臣である場合、公務相の承認。
(B) それ以外の場合には、公務相の同意を得た所轄大臣の承認。

(2) 雇用医療アドバイザーとしての、あるいはこれに任命されるための資格を得るには、こうした人物が医療従事者として完全な登録を受けている必要があるものとする。

(3) 差し当たって上述のサービスに責任を有している当局は、雇用医療アドバイザーが本法その他によって、あるいはその下で自らに委譲された義務又は権限を遂行すべき事例及び状況を決定することができる。

(4) 55(2)条に従って成された手続きの結果、上述のサービスを維持すべき当局が変わった場合、上の項目(1)によりそれ以前に行われた任命がこうした変更によって無効になることはなく、またこうした変更が生じた時に存在している任命は、あたかも新たな当局によって成されたかのように、その後も発効するものとする。

手数料

57. (1) 所轄大臣は規則により、雇用医療サービスの維持に責任を有している当局が本章その他により自らに委譲された職務を遂行するために、あるいはこれに関連して生じた金額を支払うために、規則により決定又は設定された手数料を定めることができる。

(2) 本条の目的のため、雇用医療アドバイザーによる職務の遂行は、上述のサービス維持の責任を有した当局が、上の項目に言及された職務を遂行したものとして扱われるものとする。

(3) 第43条の項目(4)、(5)、及び(8)は、同条の項目(2)が同条の項目(1)を指しているものとする読み替えを行った上で、本条の下での規則にも適用されるものとする。

(4) 上述のサービス維持の責任を有した当局が所轄大臣以外である場合、所轄大臣は本条の下で規則を作成するに先立って、当該当局に諮問を行うものとする。

他の財務上の規定

58. (1) 差し当たって雇用医療諮問サービスの維持に責任を有している当局は、以下のような支払いを行うことができる。即ち、

(A) 雇用医療アドバイザーに対する、給与あるいは手数料、及び旅費又は他の手当。
(B) 本章の下での当局の職務の実施について助言を求められた他の人物に対する、旅費その他の手当、又は利益性のある時間が失われたことへの補償。
(C) 雇用医療アドバイザーにより、あるいはその手配によって行われた医学的な検査(病理学、内科学、及び放射線学的な検査及び遂行された同様の調査を含む)に参加した人物に対する、旅費又は特別手当、あるいは所得が失われたことへの補償。

さらに当該当局は、必要な承認を得た上で、その金額を決定することができる。

(2) 上の項目のために必要な承認とは以下である。即ち、

(A) 当該当局が所轄大臣である場合、公務相の承認。
(B) それ以外の場合には、公務相の同意を得た所轄大臣の承認。

(3) 上述のサービス維持の責任を有した当局が所轄大臣以外である場合、所轄大臣はこうした職務を果たすために適切であると判断し、また大蔵省の承認を得た金額を当該当局に対して支払う義務を負うものとする。

責任を有した当局による帳簿の保管と報告の義務

59. (1) 差し当たって雇用医療諮問サービスの維持に責任を有している当局は、以下のような義務を負うものとする。即ち、

(A) 当該サービスの維持に関して、適切な帳簿とこれに関した適切な記録を保管すること。
(B) 各会計年度について、当該サービスの維持に関する会計勘定書を、所轄大臣が大蔵省の承認を得た上で指示する書式によって作成すること。
(C) 当該勘定書の写しを、勘定書の関わる会計年度の翌11月末までに所轄大臣、会計院長官及び監査長官に送付すること。

(2) 会計院長官及び監査長官は、上の項目(1)に従って受領した勘定書を検査、確認して、報告書を作成し、上下両院に対して各勘定書及び自ら報告書の写しを提出するものとする。

(3) さらに雇用医療諮問サービスの維持に責任を有している当局は、年度中の当該サービスに関する職務の遂行について、各会計年度の終了後出来るだけ速やかに所轄大臣に対して報告を行う義務を負うものとする。また所轄大臣は、この項目に従って提出された報告書の写しを上下両院に対して提出するものとする。

(4) 55(2)条に従って成された手続きの結果、雇用医療諮問サービスを維持すべき当局が変わった場合、こうした変更以前に当該サービスの維持に責任を有していた機関に対して本条の課す義務は、当該変更の影響を受けないものとする。

(5) 差し当たって雇用医療諮問サービスを維持する責任を有した当局に対して、上の項目(1)又は(3)の課す義務は、(別表2の対応する義務に従うものとしての)「委員会」あるいは所轄大臣については課されないものとする。

(6) 本条における「会計年度」とは、所轄大臣が別に指示しない限り、毎年3月31日に終わる12カ月の期間を意味する。

補足

60. (1) 所轄大臣は、雇用医療アドバイザーからの申請に基づき、当該アドバイザーによる職務の円滑な遂行に必要だと合理的に判断される18歳未満の人物の学校医療記録や、こうした人物の診療記録に関連した情報といった詳細を提供するために、各「地域衛生当局」が完全に登録された医療従事者であるその担当官の一名にその手配を取らせる義務を負うものとする。但し本項目に従ってアドバイザーに提供される何らかの人物の詳細又は情報は、 (当該人物が同意しない限り) 円滑な職務の遂行という目的以外のためにアドバイザーによって開示されることはないものとする。

(2) 上の項目をスコットランドに適用するに際しては、「地域衛生当局」という文言を「衛生委員会」に置き換えて発効するものとする。

(3) 所轄大臣は、上下両院のいずれかの議決による無効決議に従って法的文書により作成された命令によって、1973年「職業訓練法」{1973c.50}の7(3)条及び(4)条の規定(これは関連する機関、又は国の公務におけるある人物の継続的な雇用期間を、1972年「雇用契約法」{1972c.53} の第1条及び2条及び1971年「産業関係法」 {1971c.72} の一部の規定のために、当該機関又は公務におけるそれ以前の継続的な雇用期間を参照して増やすことにより、こうした従業員が不当に解雇されない権利に関わるもの)を変更し、所轄大臣以外の当局による雇用医療アドバイザーの雇用をこれらのために同様に扱うことができる。

本項目による命令は、それ以後の命令によって修正又は撤回することができる。

(4) 法規中の規定における、又は法規により作成された法的文書における主任雇用医療アドバイザー又は副主任雇用医療アドバイザーとは、雇用医療諮問サービスの維持に責任を有した当局が、こうした規定のために任命した人物を指すものとする。

(5) 1972年「雇用医療諮問サービス法」{1972c.28} の以下の規定(これらは本章の先行する規定によって代替されるか、第一章に含まれる規定によって不要なものとなる)、すなわち第1及び6条及び別表1は効力を停止するものとする。但し;

(A) 上述の第1条又は別表1により、あるいはその下で行われた事物が、第一章又は本章の対応する規定によっても、あるいはその下でも行い得たものである場合、これは同条又は別表の廃止によっても無効とならず、あたかも対応する規定によって、あるいはその下で成されたかのように発効するものとする。
(B) 上述の第6条の下で作成され、本法により同条が廃止される以前に直ちに実施されている命令は、こうした廃止にも関わらず実施され続けるものとする。但し、あたかも43(2)条、あるいは57条の下で作成された規則を含んだ文書であるかのように、これを43(2)条、あるいは57条による規則によって撤回又は修正することができる。

(6) 何らかの法律 (本法と同じ会期に、又はそれ以前に成立したか否かを問わず) あるいは文書が、上の項目に言及された上述の1972年の法律中の規定に含まれる何らかの法規を、明示的又は暗黙に指している場合、文脈によって他の解釈が求められない限り、本法の対応する規定を指すものとして、あるいはこれらへの言及を含んだものとして解釈されるものとする。

(7) 上の項目(5)又は(6)におけるいかなる条文も、1889年「解釈法」{1889c.63} の第38条 (廃止の影響に関するもの) の運用を侵害するものとして解釈されないものとする。