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アメリカOSHA規則パート1910労働安全衛生規則

目次

サブパートE 退避手段

1910.35 定義

本サブパートにおいて使用される限り、次の用語はそれぞれ下記を意味するものとする。

1910.35(a)

「退避手段:Means of egress」 退避手段とは、建物または構造物内のある点から公共の道路へ退避、移動するための連続的で障害のない道をいい、非常口への接近路、非常口、非常口からの退出路の3つに区別される部分から成っている。退避手段は、鉛直方向および水平方向の移動路から構成され、中間部にある部屋、戸口、ホール、廊下、通路、バルコニー、ランプ(傾斜路)、階段、囲い、ロビー、エスカレータ、ホリゾンタル・イグジット(隣接するビルへの避難通路)、中庭、置場を含む。

1910.35(b)

「非常口への接近路:Exit access」 非常口への接近路とは、退避手段のうち、非常口の入り口へ導く部分をいう。

1910.35(c)

「非常口:Exit」 非常口とは、退避手段のうち、建物または構造物のすべての空間から切り離された部分で、本サブパートに規定されるように建造されたり装置を設置して作られ、退出路へと導く防護された移動路までの部分をいう。

1910.35(d)

「非常口からの退出路:Exit discharge」 非常口からの退出路とは、退避手段のうち、非常口の終端から公共道路までの部分をいう。

1910.35(e)

「低危険性内容物:Low-hazard contents」 低危険性内容物は、可燃性が低いと分類されなければならないもので、その可燃性は非常に低いので自己発火が起こることはなく、従って、非常口の使用が必要となる可能性のある危険は、突発的なパニック、煙霧、煙、外部からの火災などだけである。

1910.35(f)

「高危険性内容物:High-hazard contents」 高危険性内容物は、非常な速さで燃えるおそれがあるもの、または、火災が発生した場合に有毒な煙の発生や爆発のおそれがあるものとして分類されなくてはならない。

1910.35(g)

「通常危険性内容物:Ordinary-hazard contents」  通常危険性内容物は、中庸な速さで燃えかなりな量の煙を出すが、火災を起こしても有毒な煙霧も爆発のおそれもないものとして分類されなくてはならない。

1910.35(h)

「承認された:Approved」  本サブパートにおいて、「承認された」とは、国家的に公認された試験機関により登録された装置、または認証された装置のことをいう。登録の定義については§1910.155(c)(3)(iv)(A)を、また、国家的に公認された試験機関については§1910.7を参照のこと。

1910.35(i)

「非常時行動計画:Emergency action plan」  非常時行動計画とは、火災その他の非常事態が生じたときに、作業者の安全を確保するため、事業主および労働者がどのような処置をとるべきかについて定めた、作業場またはその一部分における行動計画のことをいう。

1910.35(j)

「非常時退避経路:Emergency escape route」  非常時退避経路とは、作業場から脱出する必要が生じた場合、または所定の待避所を探す必要が生じた場合、労働者が進んでいく誘導の経路をいう。

[参照官報:39 FR 23502, 1974年6月27日、45 FR 60703, 1980年9月12日改正;53 FR 12121, 1988年4月12日]


1910.36 一般規定

1910.36(a)

適用  本サブパートは、火災やその他の同様な非常事態から、安全に退避する手段を提供する際に不可欠な、一般的な基本事項を規定する。本サブパートのいずれの部分も、建物構造の改善、より多くの出口の設置、あるいはその他、本サブパートが規定する最低必要条件よりさらに安全な状態にすること、を禁止するものと解釈してはならない。車輌、船舶、その他移動する構造物からの退避口は、本サブパートに含まれない。

1910.36(b)

基本事項

1910.36(b)(1)

人間が占有するように設計されたすべての建物または構造物は、新旧にかかわらず、火災その他の非常事態が生じたときに、占有者が速やかに退避できるだけの十分な非常口を備えていなければならない。非常口およびその他の安全防護手段の設計は、火災またはその他の非常事態の際、生命の安全を単一の防護手段に委ねるだけ、ということがないようにしなければならない。単一の防護手段のみでは、なんらかの人為的または機械的な故障が発生した場合、そうした手段が無効になるおそれがあるので、生命の安全のために第二、第三の防護手段を設けておかなければならない。

1910.36(b)(2)

すべての建物または構造物は、火災あるいはその他の非常事態が発生した場合、建物または構造物から逃げ出すために当然要する時間の間、火、煙、噴霧、またはその結果として生じるパニックなど、占有者の生命と安全を脅かす不測の危険を避けることができるように、構成建設され、配置され、装置が取り付けられ、維持され、操作されなければならない。

1910.36(b)(3)

すべての建物または構造物には、占有の性質、危険にさらされる人の数、防火設備の状況、建設の種類と高さなどを考慮した、個々の建物または構造物にとって適切な種類の非常口を、適切な数だけ、適切な場所に設けて、すべての占有者にとって便利な避難施設としなければならない。

1910.36(b)(4)

すべての建物または構造物には、それが占有されている時は常に、建物または構造物のすべての部分から自由に支障なく退避できるように、非常口を配置しそれを維持しておかなければならない。建物の中からの自由な退避を妨げるような非常口の鍵、またはその他の締め付け具は取り付けてはならない。但し、精神病院や刑務所または矯正施設で常時看視人が配置されていて、火災その他非常事態が生じた際に占有者達を効果的に避難させることのできる手段がある場合は、この限りでない。

1910.36(b)(5)

建物または構造物の占有者は、肉体的にも精神的にも健全な者であれば誰でも、いかなる場所からも逃げる方向がすぐわかるように、非常口はすべてはっきり見て取れ、非常口ヘ進む経路が見やすく指示されていなければならない。また、外部の安全な場所への経路は決して間違うことがないように、各避難経路は全体に渡って正しく配置され、正しく標識が付けられていなければならない。非常口でも非常口へ通ずる経路でもないのに、その特徴から非常口と見誤られ易い戸口や通路は、非常口と見間違えて混乱を起す可能性を最小にするように配慮して正しい標識を付け、混乱をきたして火災からの逃げ路に惑う人々が、地下室や貯蔵庫といった他に出口のない行きどまりの場所に囚われることがないようにしなければならない。

1910.36(b)(6)

人工照明を備えている建物または構造物は、すべての非常口や避難施設にも、信頼できる照明を備えなければならない。

1910.36(b)(7)

出火があっても、それ自体が占有者に対し十分な警報となり得ないような大きさ、配置、あるいは居住状況を持った建物または構造物には、必要な場所に火災報知設備を備えて、火災が発生したことを占有者に警告して占有者を避難させ、日常の火災避難訓練の成果が発揮されるようにしなければならない。

1910.36(b)(8)

火または煙によって一つしかない退避の手段がふさがれ、そのために多くの占有者の安全がかなり危険になるような大きさ、居住状況、および配置の建物または構造物、またはそれらの部分もしくは区域には、少なくとも2箇所の退避の手段を互いに離して設け、一つの出火またはその他の非常事態により、その双方がふさがれることのないように配置しなければならない。

1910.36(b)(9)

本サブパートへの適合を図ることが、通常の占有条件下で構造物を使用する人に対する他の安全規定の必要性を消去したり滅少させると解釈してはならない。また、本サブパートのいずれの規定も、通常の占有条件下において、危険になるおそれのある状態を要求または許容するものと解釈してはならない。

1910.36(c)

建設修理作業に従事する作業者の防護措置

1910.36(c)(1)

建設中の建物または構造物は、占有に必要なすべての非常口施設が完成し使用可能となるまで、全部あるいは一部といえども占有してはならない。

1910.36(c)(2)

現存する建物の修理または改造中は、現存するすべての非常口および現有する防火施設が引き続き維持されていない限り、またはそれに代わる同等の安全が図られる他の措置が取られていない限り、建物を占有してはならない。

1910.36(c)(3)

建物が占有されている間、可燃性もしくは爆発性の物質または装置を、修理や改造のために、普通は低危険性内容物または通常危険性内容物に分類される建物に持ち込んではならない。ただし、使用条件がよく安全措置が取られていて、通常建物内で許容される状態を越える危険や障害が生じても退避に影響を及ぼす懸念がないときは、この限りではない。

1910.36(d)

維持

1910.36(d)(1)

非常口、非常口への接近路、および非常口から道路または開けた場所への移動路は、火災あるいはその他の非常事態が発生した場合、全面的に即座に使用できるよう、障害物または退避を妨害するものが全くない状態に、常時維持しておかなければならない。

1910.36(d)(2)

自動散水システム、火災探知器、警報システム、非常口照明、防火扉その他の防火装置については、備えた場所で常に正しく作動する状態にしておかなければならない。


1910.37 退避手段、一般

1910.37(a)

許容非常口部材  非常口は、承認された部材要素だけで構成されなければならない。非常口部材は、建物の不可欠な部分として製造され、建物に恒久的に取り付けられていなければならない。

1910.37(b)

非常口の防護囲い  非常口を建物の他の部分とは別個に分離して防護する場合、その分離囲いは次の規定に適合するものでなければならない。

1910.37(b)(1)

分離囲いは非常口が3階かそれ以下を連結する場合は、少なくとも1時間の耐火定格のものでなければならない。これは連結された階が、非常口退出路の始まる階の上にあっても下にあっても、適用されるものとする。

1910.37(b)(2)

分離囲いは、非常口が4階かそれ以上を連結する場合、その連結が退出路の床の上にあっても下にあっても、少なくとも2時間の耐火定格のものでなければならない。分離囲いは不燃性材料で建造され、少なくとも2時間の耐火定格の構造によって支持されていなければならない。

1910.37(b)(3)

いずれの開口も、承認された自己閉鎖式の防火扉で防護されなければならない。

1910.37(b)(4)

非常口囲いの開口は、通常の占有場所から囲い内に入り、囲いから退出するのに必要なだけの大きさに限定しなければならない。

1910.37(c)

退避手段の幅と容量

1910.37(c)(1)

退避手段の承認コンポーネントの非常口幅1箇所当り人数容量は、次に記す通りである。

1910.37(c)(1)(i)

水平退避口コンポーネント(クラスAの傾斜路を含む) 100人

1910.37(c)(1)(ii)

傾斜退避口コンポーネント(クラスBの傾斜路を含む) 60人

1910.37(c)(1)(iii)

傾斜路は、次の第E-1表に従い、それぞれクラスA、またはクラスBとよばれる。

               第E-1表

クラスA クラスB
44インチかそれ以上 30〜44インチ
傾斜 12インチ毎に1〜19/16インチ 12インチ毎に19/16〜2インチ
踊場間の最高高さ 制限なし 12フィート

1910.37(c)(2)

退避手段は、出口の幅22インチを単位として測る。端数は数えないが、1またはそれ以上の単位に加えられた12インチは、出口幅単位の1/2として数えられる。

1910.37(c)(3)

出口幅は、退避手段の最も狭い点の内法を測るが、測定幅の内側に両側からそれぞれ5インチほど突き出る手すり、および測定幅の内側に両側からそれぞれ1.5インチほど突き出る側桁(がわげた)は、幅のなかに含めてよい。通路内、あるいは廊下内に扉が前後に開く非常口ドア、または非常口への接近路ドアは、ドアが開かれる間どの個所においても、その有効幅を次に記す最小幅以下に制限することがあってはならない。

1910.37(d)

退避口の容量と占有者荷重

1910.37(d)(1)

床、バルコニー、階、またはその他の占有空間における退避手段の容量は、その空間の占有者の荷重にとって十分なものでなければならない。占有者荷重は、常にその空間における最大人数としなければならない。

1910.37(d)(2)

非常口が1つの階だけでなく複数の階に使用される場合、その階における非常口の退避容量を計算するときは、各階の占有者荷重のみを考慮すればよい。ただし、非常口退避容量については、退避移動の方向によって減じてはならない。

1910.37(e)

非常口の配置  1つの階において1つ以上の非常口が必要とされるときは、少なくとも2つの非常口を互いに離して配置し、1箇所に生じた火災またはその他の非常事態が、双方の非常口をふさぐことがないようにしなければならない。

1910.37(f)

非常口への接近

1910.37(f)(1)

非常口の位置および非常口接近路の配置は、常時直ちに非常口に接近できるようになっていなければならない。開けた床部からすぐに非常口へ接近できない場合、各非常口に直接通じる安全で連続的な通路や廊下を設け、各占有者が別個の移動路を通って少なくとも2つの非常口のいずれかに行けるように維持しておかなければならない。ただし、本サブパートの他の規定によって許可されている、単一の非常口または限定された行き止り通路はこの限りでない。

1910.37(f)(2)

部屋から非常口へ出る扉、あるいは非常口への接近路へ出る扉は、片側を蝶番で留めた自在ドアのタイプにしなければならない。部屋が50人以上の人に占有される場合、または高度に危険な仕事に使用される場合、扉は退去移動の方向に開くようになっていなければならない。

1910.37(f)(3)

いかなる場合も、非常口ヘの近接路は浴室その他、施錠される可能性のある部屋を通過してはならない。ただし、非常口を施錠できる部屋として使用する必要がある場合はこの限りでない。

1910.37(f)(4)

非常口への接近路および非常口へ通じる扉は、それとはっきり識別できるように設計・配列しなければならない。カーテンや垂れ幕を非常口のドア上に掛けてはならない。その他の場所でも、非常口を隠したりわかりにくくするような位置にカーテンや垂れ幕を掛けてはならない。非常口に鏡を掛けてはならない。退避の方向が混乱するような方法で、非常口や非常口近くに鏡を掛けてはならない。

1910.37(f)(5)

非常口接近路は、最も近い非常口に到達するために、高度危険作業域に向かって移動する必要がないように配置しなければならない。ただし、移動路が、適切な間仕切りか物理的な障害物で、高度に危険な場所から効果的に遮蔽されている場合はこの限りでない。

1910.37(f)(6)

非常口への通路の最小幅は、いかなる場合も28インチより狭くてはならない。非常口につながる通路が一本の場合、幅で測るその通路の容量は、その通路の先の非常口に必要とされている容量と同じでなくてはならない。ひとつの非常口に複数本の通路が通じている場合は、それぞれがその通路を利用しなくてはならない人数に対応できる、十分な幅を有していなければならない。

1910.37(g)

非常口接近路の屋外通路

1910.37(g)(1)

非常口への接近路には、本セクションの規定に適合する屋外のバルコニー、ポーチ、回廊、または屋根を利用することがあるかもしれない。

1910.37(g)(2)

非常口接近路の屋外通路は、滑らかで堅固な床部を備え実質的に水平で、開放された側は防護されていなければならない。

1910.37(g)(3)

気候によって雪が積もり氷が張る可能性のある場合、屋外の非常口接近路は屋根で防護されなければならない。ただし、その屋外路が部屋や所要の場所へ進む時のごく通常の通路であり、通常の占有において雪および氷が定期的に除去されるとみなされる場合は、この限りでない。

1910.37(g)(4)

非常口接近路の屋外通路部は、恒久的で適度に直線的な移動路を維持しなければならない。移動路には、開けた場所を小さく囲って個々の部屋、アパートメント、あるいはその他の用途にむけた付属空間として利用する目的の、手すり、バリア、ゲート等の障害物があってはならない。労働次官または次官が公式に認可した代理人が、所要の移動路が家具その他移動可能な物体で妨害されていることを発見したときは、次官はその障害物を邪魔にならない場所に固定するように、または移動路を侵入から防護するために恒久的なバリアを設けるように命ずることができる。

1910.37(g)(5)

非常口接近路の屋外通路部は、20フィートを超える行き止り路のないように、配列しなければならない。非常口接近路の屋外通路からつながる囲いのない非常口は、そのいずれの部分も、鉛直平面で20フィートを超えないように、また非常口接近路の端から非常口の所定幅の1/2を超えないように、接近路に直角にならないように、位置させなければならない。

1910.37(g)(6)

建物の外壁より突き出る回廊、バルコニー、橋、ポーチ、その他の外部非常口接近路は、幅および配置に関する本セクションの規定に適合しなければならない。

1910.37(h)

非常口からの退出

1910.37(h)(1)

すべての非常口は、道路、庭、中庭、または公共の道路に安全につながる開けた場所に、直接退出できるものでなければならない。非常口からつながる道路は、建物から脱出するすべての人を収容できるだけの十分な幅がなければならない。非常口からつながる庭、中庭、その他の開けた場所は、建物から脱出した人々をすぐに道路に導くことのできるだけの十分な幅と広さのものでなければならない。

1910.37(h)(2)

階段およびその他の出口は、道路への退避路の方向がはっきりとわかるように配置しなければならない。退出部を通過して更に続く非常口階段については、間仕切り、扉、またはその他の効果的な手段によって、いったん避難の流れを遮られなければならない。

1910.37(i)

頭上スペース  退避手段は、適切な頭上スペースが確保されるように設計、維持されなければならないが、どのような場合でも天井の高さは7フィート6インチ以下であってはならない。また、天井からの突起物が床から6フィート8インチ以下であってはならない。

1910.37(j)

高さの変更  退避手段が実質的に水平でない場合、その高さの違いは、階段か傾斜路で解決できるものでなければならない。

1910.37(k)

メンテナンスと仕上げ

1910.37(k)(1)

扉、階段、傾斜路、通路、標識、その他すべての退避手段の構成要素は、堅牢で信頼性のある構造のものでていねいに建造され、据え付けられなければならない。

1910.37(k)(2)

退避手段は、火災あるいはその他の非常事態が生じた場合、即時に使用できるように、常に障害物や妨害物が全くない状態に維持しておかなければならない。

1910.37(k)(3)

非常口の不正な使用を制するための装置または警報は、たとえ故障した場合でも、非常口の緊急使用を妨げることのないように設計され、取り付けられなければならない。

1910.37(l)

家具および装飾品

1910.37(l)(1)

家具、装飾品、その他の物は、非常口、非常口への接近路、退避路、あるいはそれらの視界を妨げるような方法で置かれてはならない。

1910.37(l)(2)

爆発性または高い可燃性を有する家具あるいは装飾品は、いかなる占有においても使用してはならない。

1910.37(m)

自動撒水システム  すべての自動撒水システムは、常に信頼できる可動状態に連続的に維持され、正しく維持されていることを確保するために、必要な定期検査および試験が行われなければならない。

1910.37(n)

火災報知システム  事業主は、火災報知システムが§1910.165(d)の規定に従って試験され、維持されていることを確認しなければならない。

1910.37(o)

防火塗料  防火塗料または防火溶剤は、所要の難燃性を維持させるために必要な間隔で再塗布しなければならない。

1910.37(p)

〔保留〕

1910.37(q)

非常口標識

1910.37(q)(1)

非常口には、容易に見える標識を付けなければならない。非常口または非常口への経路が占有者から即座に見えない場合には、非常口への接近路に、容易に見える標識を付けなければならない。

1910.37(q)(2)

非常口でも非常口への接近路でもない扉、通路、または階段が、その場所と配置から非常口と間違えられやすい場合は、「非常口ではない」またはそれに類した表現の標識を付けて識別し、また「地下へ」、「貯蔵室」、「リネン戸棚」というように実際の特徴を示す標識をつけて識別しなければならない。

1910.37(q)(3)

非常口または非常口への通路であることを示す標識は、よく見える寸法、色彩、デザインのもので、よく見える場所に取り付けられなければならない。装飾品、家具、装置類など非常口の標識が見えなくなるように配置されているものは、許可されることがあってはならない。また、照明の明るい看板(非常口を示すもの以外の)や表示または物体を、非常口標識の視線上またはその近くに置いて、非常口標識から注意を逸らさせ、非常口に気付かなくさせるようなことがあってはならない。

1910.37(q)(4)

非常口標識はすべてはっきり目立つ色彩のもので、装飾品、内装、または他の標識とは対照的になるようにしなくてはならない。

1910.37(q)(5)

最寄りの非常口に進む避難路がすぐにそれと判らないような場所には、「非常口」またはそれと同様の表示をした標識と一緒に、方向を示す矢印を掲示しなければならない。

1910.37(q)(6)

非常口標識にはすべて、信頼できる光源により照射面上で5フット・カンデラ以上の明るさになるように、適切な照明をあてなければならない。内部光源式以外の光源から非常口標識に照明を与える人工照明灯には、25平方インチ以上の面積をもつ半透明なスクリーン、ディスク、またはレンズをつけて、アプローチ側が赤色またはその他の指定された表示色となるようにしなければならない。

1910.37(q)(7)

内部光源式非常口標識は、通常の照明を減ずることが許されるすべての占有場に設けなければならない。

1910.37(q)(8)

すべての非常口標識には、高さが6インチ以上太さが3/4インチ以上の、明瞭に読み取ることのできる書体で、(EXIT:非常口)という語を表示しなければならない。

[参照官報:39 FR 23502, 1974年6月27日、45 FR 60703, 1980年9月12日改正]


1910.38 労働者緊急事態計画および防火計画

1910.38(a)

行動計画

1910.38(a)(1)

適用範囲  本バラグラフ(a)は、特定の国立安全衛生研究所OSHA基準によって規定される緊急事態行動計画のすべてに適用する。緊急事態行動計画は書面(本セクションのバラグラフ(a)(5)(iii)の最後の文章に規定するものを除く)にまとめられ、火災その他緊急事態から作業者を安全に救出するため、事業主および労働者が取らなければならない所定の行動をその範囲に網羅しなければならない。

1910.38(a)(2)

要素  この計画には、少なくとも次に記す要素が含まれなければならない。

1910.38(a)(2)(i)

緊急時脱出手順および緊急時脱出ルートの指定。

1910.38(a)(2)(ii)

残留して特に重要な工場操作を行なう労働者が、避難の前に実施しなければならない手続き。

1910.38(a)(2)(iii)

緊急時退去が完了した後に全労働者に事態を説明をするための手続き。

1910.38(a)(2)(iv)

救助および医療補助を行なうべき労働者の義務の内容。

1910.38(a)(2)(v)

火災およびその他の緊急事態についての適切な報告手段。

1910.38(a)(2)(vi)

この計画に基づく責務について、さらなる情報または説明を得るために連絡すべき人の名前または通常の役職名または部局名。

1910.38(a)(3)

警報システム

1910.38(a)(3)(i)

事業者はS1910.165に適合する労働者警報システムを確立しなければならない。

1910.38(a)(3)(ii)

労働者警報システムを、消防隊員に警報を出すためまたは他の目的に使用する場合は、それぞれの目的が区別できる信号を使用しなければならない。

1910.38(a)(4)

避難 事業主は、緊急事態行動計画のなかに、緊急事態時に行なうべき避難の種類を確定しておかなければならない。

1910.38(a)(5)

訓練

1910.38(a)(5)(i)

緊急事態行動計画を実施する前に、事業主は十分な人数の人員を指定し、その人たちが労働者の安全に秩序立って避難する補助ができるように訓練をしなければならない。

1910.38(a)(5)(ii)

事業主は、次に記す時期に、計画に含まれるそれぞれの労働者とともに、計画の見直しを行なわなければならない。   

  1. 計画が開発された初期。   
  2. 計画に基づく労働者の責任、または指示された行動を変更する都度。
  3. 計画を変更する都度。 

1910.38(a)(5)(iii)

事業主は、初めて計画の各部分を割り当てる時、割り当てられたそれぞれの労働者とともに、緊急時に労働者を守るために労働者が知っておかなければならない事項について、検討しなければならない。計画書は作業場に保管しておき、労働者が見たいときにはいつでも見ることができるようにしておかなければならない。労働者数が10人かそれ以下の事業主は、計画を口頭で労働者に伝えてもよく、計画書を保管しておく必要はない。

1910.38(b)

防火計画

1910.38(b)(1)

適用範囲  本バラグラフ(b)は、特定の国立労働安全衛生研究所OSHA基準に規定されるすべての防火計画に適用される。防火計画は、本セクションのパラグラフ(b)(4)(ii)の最後の文章に規定する場合を除き、書面の形に整えなければならない。

1910.38(b)(2)

要素  防火計画は、少なくとも次に記す要素を含まなければならない。

1910.38(b)(2)(i)

主要な作業場における出火危険物の表とそれらの正しい扱い方および貯蔵方法、潜在する点火源(例えば、溶接、燻製装置など)およびそれらの制御方法、およびそれらから出火した場合に火事を制御することができる防火装置、または防火システムの種類。

1910.38(b)(2)(ii)

点火または発火を防止または制御するために備え付けた装置およびシステムの、メンテナンス責任者の氏名または通常の役職名。

1910.38(b)(2)(iii)

燃料源危険の管理責任者の氏名、または通常の役職名。

1910.38(b)(3)

整理整頓  事業主は、可燃性および発火性の高い廃棄物および残余物の堆積を管理し、それらが火災原因とならないようにしなければならない。整理整頓の手順が、防火計画書に含まれていなければならない。

1910.38(b)(4)

訓練

1910.38(b)(4)(i)

事業主は労働者に、彼等が暴露されている材料と工程から出火する危険があることを知らせておかなければならない。

1910.38(b)(4)(ii)

事業主は、初めて防火計画の各部分を割り当てる時、割り当てられたそれぞれの労働者とともに、緊急時に労働者を守るために労働者が知っておかなければならない事項について、検討しなければならない。計画書は作業場に保管しておき、労働者が見たいときはいつでも見ることができるようにしておかなければならない。労働者数が10人かそれ以下の事業主は、計画を口頭で労働者に伝えてもよく、計画書を保管しておく必要はない。

1910.38(b)(5)

メンテナンス  事業主は、確立した手続きに従って定期的に正しく保守を行い、熱を発生する装置上に取り付けた装置およびシステムが、偶発的に可燃性物質を発火させる事故を防止するように計らわなければならない。メンテナンス手順は、防火計画書に含まれていなければならない。

[参照官報:45 FR 60703, 1980年9月12日]

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