このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > アメリカ OSHA規則パート1910労働安全衛生規則
    

アメリカOSHA規則パート1910労働安全衛生規則

目次

サブパートJ 一般環境管理

1910.141 衛生設備

1910.141(a)

総則

1910.141(a)(1)

適用範囲  このセクションは、常設の恒久的な雇用の場に適用される。

1910.141(a)(2)

本セクションに適用される定義

1910.141(a)(2)(i)

「非水運搬式便所:Nonwater carriage toilet facility」とは、下水に接続されない便所施設をいう。

1910.141(a)(2)(ii)

「労働者の数:Number of employees」とは、別途特定されない限り、通常のシフトのある時点で存在する労働者の最大数をいう。

1910.141(a)(2)(iii)

「パーソナルサービス室:Personal service room」とは、企業の行なう生産またはサービス機能とは直接関係のない行動に使われる部屋をいう。そうした行動には、応急手当、医療サービス、更衣、シャワー、身繕い、洗濯、食事などが含まれる。

1910.141(a)(2)(iv)

「飲料水:Potable water」とは、 42 CFRパート72「米国公共衛生サービス飲料水基準」に規定される品質基準に適合する水、または、州または地方の管轄官庁によって、飲むことを目的に認可された水をいう。

1910.141(a)(2)(v)

「便所施設:Toilet facility」とは、排便、排尿またはその双方の目的ために、手洗所内に備えられた設備をいう。

1910.141(a)(2)(vi)

「手洗所:Toilet room」とは、雇用の場所内またはその敷地内に設けられた部屋をいい、従業員によって使用される便所施設を含む。

1910.141(a)(2)(vii)

「有毒物質:Toxic material」とは、 S1910.1000および1910.1001といった基準によって確立された許容限度を超えた濃度または量の物質、または該当する基準がない場合、その毒性が死または重大な身体障害の原因となる、または原因となるおそれがあるような危険を構成することが認知されている物質をいう。

1910.141(a)(2)(viii)

「小便器:Urinal」とは、排尿専用に手洗所内に設けられた便所設備をいう。

1910.141(a)(2)(ix)

「水洗便器:Water closet」とは、排便および排尿両方の目的で手洗所内に設けられた便所設備で、水で洗い流せる。

1910.141(a)(2)(x)

「湿式工程:Wet process」とは、作業室内での工程または作業のうち、作業者が歩いたり立ったりしている表面が濡れることとなるものをいう。

1910.141(a)(3)

整理整頓

1910.141(a)(3)(i)

雇用のすべて場所は、作業の性質上可能な限り、清潔にしておかなければならない。

1910.141(a)(3)(ii)

すべての作業室の床は、可能な限り、乾いた状態に保たなければならない。湿式工程を行なう場合は排水をよくし、可能ならば、仮の床、プラットフォーム、マット、またはその他の乾いた場所を設けて作業者が立てるように計らわなければならない。または、適切な耐水性のはきものを支給しなければならない。

1910.141(a)(3)(iii)

清掃を容易にするため、床、作業場および通路は、突き出た釘、とげ、床板のゆるみ、不必要な穴および開口のない状態に保たなければならない。

1910.141(a)(4)

廃棄物処理

1910.141(a)(4)(i)

腐りやすい固体または液体廃棄物、またはごみを入れるために使用する容器は、漏洩のない、完全に清掃でき、良い衛生状態に保つことのできる構造のものでなければならない。その容器は、ふたなしに衛生状態が保てない限り、しっかりはまる堅牢なふたを備えなければならない。この規定は、前述の条件に無関係に衛生状態を保てるように設計された容器の使用を、禁じるものではない。

1910.141(a)(4)(A)

すべてのごみくず、固体または液体廃棄物、残物、および台所ごみは、健康に対する脅威を生むことのない方法で、雇用の場を良い衛生状態に保つのに必要なまたは適当な回数で、除去しなければならない。

1910.141(a)(5)

害虫抑制  包囲された作業場はすべて、妥当に実行可能である限り、齧歯動物、昆虫、その他の害虫の侵入および生息を防ぐように構造され、装置され、維持されていなければならない。それらの存在が検出された場所には、連続的かつ効果的な根絶計画を立てなければならない。

1910.141(b)

給水

1910.141(b)(1)

飲料水

1910.141(b)(1)(i)

すべての雇用の場所には、飲料、人員の洗浄、調理、食物の洗浄、調理器または食器の洗浄、食品加工処理施設の洗浄のために、および、パーソナルサービス室用に、飲料に適した水を備えなければならない。

1910.141(b)(1)(ii)

〔保留〕

1910.141(b)(1)(iii)

飲料水供給携帯装置は、衛生状態を良好に保てるよう設計、構造され、サービスの行なえるものであって、閉めておくことができ、蛇口を備えていなければならない。

1910.141(b)(1)(iv)

〔保留〕

1910.141(b)(1)(v)

水を汲み出したり注ぎ出さなければならない樽、桶または飲料水用タンクといった□の開いた容器は、蓋のあるなしにかかわらず、使用が禁じられる。

1910.141(b)(1)(vi)

コップおよびその他の用具を共通使用することは禁じられる。

1910.141(b)(2)

非飲料水

1910.141(b)(2)(i)

工業用水または消火用水など非飲料水の吐水口(給水口)には、水が安全ではなく、飲料、人員の洗浄、調理、食物の洗浄、調理器または食器の洗浄、食品加工処理施設の洗浄、あるいは、パーソナルサービス室、もしくは衣類の洗濯といった目的に使用してはならないことを、はっきり指示する方法で掲示するか、標識を取り付けなければならない。

1910.141(b)(2)(ii)

非飲料水システム、またはその他の非飲料物質を運ぶシステムの構造は、飲料水システムヘの逆流または逆サイフォン作用を防ぐものでなければならない。

1910.141(b)(2)(iii)

非飲料水は、いずれの部分であれ、身体、調理器または食器、衣類の洗浄に使用してはならない。非飲料水は、食品加工処理施設およびパーソナルサービス室を除き、作業施設の洗浄清掃に使用することができる。但し、この場合、非飲料水が濃度の大きい化学薬品、大腸菌、またはその他労働者にとって非衛生的な状態、あるいは危険を生み出す物質を含んでいてはならない。

1910.141(c)

便所施設

1910.141(c)(1)

総則

1910.141(c)(1)(i)

本パラグラフ(c)(1)(i)において異なったように指示されている場合を除き、すべての雇用の場には、本セクションの第J-1表に従い、便所設備を男女の各性別に分離した手洗所内に設けなければならない。男女それぞれに備えられる設備の数は、その設備を使用する男女労働者それぞれの数に基づかなければならない。手洗所を占有できるのが一度にわずか1人だけで、内から鍵を掛けることができ、少なくとも1つの水洗便器が備えてある場合は、各性別に分離した手洗所を設ける必要はない。 1人で占有する手洗所に1個以上の便器が備えてあっても、第J-1表の目的のため、手洗所には1個の便器しかないものとみなす。

第J-1表

労働者数 最小水洗便器数(1)
1から15 1
16から35 2
36から55 3
56から80 4
81から110 5
111から150 6
150をこえる (2)

注(1)便所設備が女子によって使用されない場合は、水洗便器のかわりに小便器を設けることができるが、その場合でも、水洗便器数を所定最小数の、2/3以下に減じてはならない。
注(2)労働者数が40人追加する毎に、便器教を1台追加する。  

1910.141(c)(1)(ii)

常に人員が詰めているわけではない作業場で働く労働者が、所用のときすぐに近くの本パラグラフの他の規定に適合する便所施設に行ける輸送手段を有する限り、本セクションのパラグラフ(c)(1)(i)の規定は、移動要員または常に人員が詰めているわけではない作業場には適用しない。

1910.141(c)(1)(iii)

下水処理方法は、労働者の健康を危険にするものであってはならない。

1910.141(c)(2)

手洗所の構造

1910.141(c)(2)(i)

各水洗便器は、扉があり、壁、またはプライバシーを守るに足る十分な高さのある間仕切で隔離された小部屋毎に設けなければならない。

1910.141(c)(2)(ii)

[保留]

1910.141(d)

水洗施設

1910.141(d)(1)

総則  水洗施設は、衛生的な状態に保たなければならない。

1910.141(d)(2)

洗面台

1910.141(d)(2)(i)

洗面台は、すべての雇用の場に設けなければならない。本サブディビジョンの規定は、常に人が詰めているわけではない作業場で働く作業者が、所用のときはすぐに本パラグラフの他の規定に適合する洗浄施設に行ける輸送手段を有する場合、移動要員または常に人員が詰めているわけではない作業場には適用しない。

1910.141(d)(2)(ii)

各洗面台は、温水および冷水、あるいは微温湯が出るものでなければならない。

1910.141(d)(2)(iii)

石けん、または類似の洗浄剤を備えなければならない。

1910.141(d)(2)(iv)

布か紙の個々の手ふきタオル、その小片、温風ブロアー、紙タオル、連続するタオル布地の一部分づつを使用する手ふき装置など、洗面台に便利な手ふき手段を備えなければならない。

1910.141(d)(3)

シャワー

1910.141(d)(3)(i)

特定の基準によってシャワーの設置が必要となる場合、そのシャワーは、本セクションのパラグラフ(d)(3)(ii)から(v)までに従って設けなければならない。

1910.141(d)(3)(ii)

同一シフト中にシャワーを必要とする労働者の各性別について、 10人につき1個のシャワーを設けなければならない。

1910.141(d)(3)(iii)

浴用石けん、またはその他のシャワーに便利な洗浄剤を、本セクションのパラグラフ(d)(2)(iii)に規定されている通りに備えなければならない。

1910.141(d)(3)(iv)

シャワーは、共通の管路を通して、温水と冷水が出るようになっていなければならない。

1910.141(d)(3)(v)

シャワーを使用する労働者には、個別のきれいなタオルを用意しておかなければならない。

1910.141(e)

更衣室  有毒物質による汚染の可能性があるため、作業者が特定の基準によって防護服を着用しなければならない場合は必ず、通勤服をいれておく設備と、防護服を入れておく設備を別個に備えた更衣室を設けなければならない。

1910.141(f)

衣類乾燥設備  作業服が事業主によって支給され、その作業服がシフト中に濡れるかシフト間に洗濯した場合、その衣服を再使用する前に確実に乾燥させる設備を、備えておかなければならない。

1910.141(g)

構内における食料品および飲料品の消費

1910.141(g)(1)

適用  本バラグラフは、労働者が敷地構内において、食料品か飲料品またはその両方の消費を許可されている場合にのみ適用する。

1910.141(g)(2)

飲食区域  労働者は、手洗所またはその他有害物質にさらされる区域において、食物または飲物を消費することは許されない。

1910.141(g)(3)

ごみいれ  滑らかで耐食性があり、清掃が容易で処理可能な材料製の容器を用意し、食べ残しを処理するために使用しなければならない。この容器の数量、大ささ、および配置場所は、その容器の使用を促進させ、容器からごみがあふれ出ることのないものでなければならない。その容器は、使用されていないものを除き、少なくとも作業日1日に1回は空にし、清潔で衛生的な状態に保っておかなければならない。容器には、ふたがなくても衛生状態が保てる場合を除き、ぴたりとはまる堅牢なふたを備えておかなければならない。

1910.141(g)(4)

衛生的な貯蔵  食料や飲料を、手洗所あるいはその他有毒物質にさらされる区域内に貯蔵してはならない。

1910.141(h)

食料品の取り扱い  労働者に食料品をサービスするすべての施設および活動は、健全な衛生原理に従って行なわれなければならない。食料品サービスのすべてまたは一部が提供される雇用の場において、供給される食物は健全で損傷がなく、かつ汚染から守る方法で加工、準備、取り扱い、貯蔵されなければならない。

[参照官報:39 FR 23502, 1974年6月27日、40 FR 18446, 1975年4月28日改正;40 FR 23073, 1975年5月28日;43 FR 49748, 1978年10月24日;63 FR 33450, 1998年6月18日]


1910.142 仮設労働者宿泊施投

1910.142(a)

用地

1910.142(a)(1)

宿泊施設に使用するすべての用地は、水はけのよいところでなければならない。用地は、定期的に洪水にみまわれるところであったり、あるいは湿地、沼、下水□、その他の水の溜まっている場所から200フィート以内のところであってはならない。但し、その流れのない静止した水たまりに、蚊の対策が施してある場合はこの限りでない。宿泊施設は、そこから流れ出てそこを通過する排水が、施設内での用水または公共給水を危険にすることのないように設置しなければならない。すべての用地には勾配をつけ、溝を堀り、水が溜まって迷惑になるような凹みがないようにしなければならない。

1910.142(a)(2)

すべての用地には十分な大きさがあり、必要な構造物で混み過ぎることのないようにしなければならない。食事が用意、供与される寝所のある主宿泊区域は、家畜を飼っている区域から少なくとも500フィートは離れていなければならない。

1910.142(a)(3)

小屋の周囲の土地および開けた区域は、ごみ、破片類、紙くず、食べかす、その他の廃棄物のない清潔で衛生的な状態にしておかなければならない。

1910.142(b)

小屋

1910.142(b)(1)

宿泊施設の小屋は、暴風雨から守る構造のものでなければならない。

1910.142(b)(2)

睡眠の目的に使用するそれぞれの部屋は、一人の占有者あたり少なくとも50平方フィートの床面積がなければならない。天井は、少なくとも7フィートの高さがなければならない。

1910.142(b)(3)

睡眠の目的に使用するそれぞれの部屋には、寝台、簡易寝台または寝棚、および、衣服や身の廻り品を収納しておく壁ロッカーのような適切な収納設備を備えなければならない。寝台やその他の類似設備は、横と横、端と端の間隔が36インチ以下にならないように、また床面から少なくとも12インチ以上の高さがあるように配置しなければならない。2段式寝棚を使用する場合、それぞれの寝棚の横と横、端と端の間隔が48インチ以下であってはならない。寝棚の上段と下段間の最小空間間隔は、27インチ以上なくてはならない。 3段式寝棚は禁じられる。

1910.142(b)(4)

それぞれの小屋の床は、木、アスファルト、またはコンクリート製でなければならない。木の床は、滑らかですき間のない構造のものでなければならない。床は良く手入れされていなければならない。

1910.142(b)(5)

すべて木の床は、すべての点で地面から1フィート以上の高さとして、湿気を防ぎ床下に空気が自由に循環できるものでなければならない。

1910.142(b)(6)

本セクションのいずれの規定も、極めて低い温度にみまわれる地域において、外壁のまわりに土またはその他の適当な材料で「土手作り」することを禁じるものではない。

1910.142(b)(7)

すべての居住宿所には、総面積が床面積の十分の一以上の窓を設けなければならない。それぞれの窓の少なくとも半分は、換気のために開けることのできる構造でなければならない。

1910.142(b)(8)

すべての外側開口は、 16メッシュ材のスクリーンで効果的に覆わなければならない。網戸にはすべて、自動閉鎖装置が備えられていなければならない。

1910.142(b)(9)

労働者達が調理し、生活し、寝る部屋は、1人につき最小100平方フィートの広さがなければならない。食料品を貯蔵し調理するために、衛生設備を備えなければならない。

1910.142(b)(10)

調理設備を共同で使用する宿泊施設においては、包囲されスリーンのついた小屋のなかでは、調理コンロ(10人につき1台、または2家族に1台の割合で)を備えなければならない。食料品を貯蔵し調理するために、衛生設備を備えなければならない。

1910.142(b)(11)

すべての暖房、調理、および温水装置は、それらの据え付けを規定する、州または地方の条令、コード、規則に従って据え付けなければならない。宿泊施設が寒い季節に使用されるときは、適切な暖房装置を備えなければならない。

1910.142(c)

給水

1910.142(c)(1)

それぞれの労働者宿泊施設には、飲料、調理、入浴および洗濯用に、該当する保健管轄官庁によって承認された適切で便宜のよい給水設備を設けなければならない。

1910.142(c)(2)

給水は、ピーク時に毎時平均需要量の2.5倍になるとして、 1日 1人当り35ガロンの水を宿泊施設に供給できれば、適当と見なされる。

1910.142(c)(3)

配水管路は、すべての設備が同時に使用しても、通常の動作圧で給水できるものでなければならない。水の取り出し口は、宿泊施設の全体に渡って配置し、仮に配管のきていない小屋でも、 100フィート以内に給水栓があるようにしなければならない。

1910.142(c)(4)

圧力のかかった水が得られる場合は、各100人の占有者およびその端数につき 1か所かそれ以上の噴水式水飲み器を設けなければならない。噴水式水飲み器の構造は、ANSI基準「噴水式水飲み器の標準仕様」Z4.2-1942に適合しなければならない。この基準は1910.6に挙げてあるように官報掲載がなされている。コップを共通に使用することは禁じられる。

1910.142(d)

便所施設

1910.142(d)(1)

宿泊施設の容量に適する便所施設を設けなければならない。

1910.142(d)(2)

それぞれの手洗室は、誰も他人の寝室を通り抜けずに行けるところに位置させなければならない。手洗室には、6平方フィート以上の開口面積があり直接外部に向かって開く窓を設けなければならない。さもなければ、十分な換気を行なわなければならない。外部への開口にはすべて、 16メッシュ材のスクリーンを取り付けなければならない。便所としての目的以外の目的に使用する部屋に、水洗便器、化学式便器、小便器といった取り付け具を配置してはならない。

1910.142(d)(3)

手洗室は、それぞれの寝室の扉から200フィート以内に位置させなければならない。屋外便所は、寝室、食堂、昼食域、台所から100フィート以内に位置させてはならない。

1910.142(d)(4)

手洗室を、例えば複数の家族の入る小屋やバラック型施設における場合のように、共同で使用するときは、男女別々の手洗室を設けなければならない。こうした手洗室には、「男子用」 「女子用」と、英語および宿泊施設に入る人の母国語で記した標識を、誰にでもわかるように取り付けるか、あるいは容易に判別できる絵かシンボルを取り付けなければならない。もし各性別用の施設が同一の建物内にあるときは、穴や開口のない壁、または床から天井までとどく間仕切りで、隔離しなければならない。

1910.142(d)(5)

便所施設を共同使用する場合、各性別に備えるべき水洗便器または便座の教は、その施設を設計する時点での、同一時に収容可能な男女それぞれの最大数に基づいており、 15人について1ユニットの割合、各共同施設については最少2ユニットとしなければならない。

1910.142(d)(6)

小便器は、25人につき1ユニット、または直線長さ2フィートの小用トラフ(槽)を備えなければならない。壁からの床、および小便器の外線から測って15インチ以上の距離の床は、湿気を通さない材料で作らなければならない。圧力のかかった水が得られる場合は、小便器も適当な水洗装置を備えなければならない。屋外便所の小用トラフは、自由に穴またはボールト(地下円蓋構造)に流れ込むようにし、この溝の構造は蝿や他の害虫を穴から排除するものでなければならない。

1910.142(d)(7)

1971年8月31日またはそれ以後に据え付けられる水洗便器は、手洗室内に位置させなければならない。

1910.142(d)(8)

それぞれの手洗室は、自然光または安全なタイプの照明具による人工光で、昼夜を問わずどの時間も照明されなければならない。

1910.142(d)(9)

屋外便所、水洗便所、化学式便所の個室にはそれぞれ、適切な量のトイレットペーパーを備えておかなければならない。

1910.142(d)(10)

屋外便所および手洗室は、衛生的な状態に保たなければならない。それらは少なくとも1日に1度、掃除しなければならない。

1910.142(e)

下水処理施設  公共の下水道が使用できる労働者宿泊施設においては、すべての下水管および建物からの床排水路をそれに接続させなければならない。

1910.142(f)

洗濯、手洗い、入浴設備

1910.142(f)(1)

洗濯、手洗い、入浴設備は、次の割合で備えなければならない。

1910.142(f)(1)(i)

家族小屋1棟当り、または共同施設の6人当り、1つの手洗盤。

1910.142(f)(1)(ii)

10人当り、 1個のシャワーヘッド。

1910.142(f)(1)(iii)

30人に1台の洗濯台、または洗濯槽。

1910.142(f)(1)(iv)

各建物に、洗濯、手洗い、および入浴用の掃除用流し。

1910.142(f)(2)

床は、滑らかな仕上げであっても滑り易くない材料で作られ、湿気を通さないものでなければならない。浴室、シャワー室、あるいは洗濯室には、使用した水を排除して掃除を容易にするために、床に排水口か排水溝を設けなければならない。縁石と床が交わるところには凹みをつけなければならない。シャワー室の壁と仕切りは、しぶきの高さまで、滑らかで湿気を通さないものでなければならない。

1910.142(f)(3)

入浴および洗濯のために、十分な量の温水と冷水が出るようにしておかなければならない。また、水を熱する設備を備えなければならない。

1910.142(f)(4)

それぞれのサービス用家屋には、寒い気候の間中、少なくとも温度を華氏70度に維持できる装置を備えなければならない。

1910.142(f)(5)

衣服を乾燥させる設備を備えなければならない。

1910.142(f)(6)

すべてのサービス用家屋は、清潔にしておかなければならない。

1910.142(g)

照明  電力供給が得られるのであれば、労働者宿泊施設のそれぞれの居住室には少なくとも天井型の電燈器具と、そして少なくとも1個のコンセントを、床か壁に備えておかなければならない。洗濯場および手洗場、および人の集まるところには、少なくとも1個の天井型か壁かけ型の電燈器具を備えなければならない。照明の明るさは、便所および貯蔵室で、床から30インチの高さにおいて少なくとも20フットキャンデラなければならない。台所および居間を含む他の部屋では、床から30インチのところで少なくとも30フットキャンデラなければならない。

1910.142(h)

ごみ処理

1910.142(h)(1)

該当する保健関係官庁によって認可された、蚊やネズミが入らない、水を通さない、清掃可能な容器、または使いすての容器を備えて、生ごみを保管しておかなければならない。そのような容器を、それぞれの家族小屋に少なくとも1個、小屋から100フィート以内のところに、木か金属またはコンクリートの台の上に乗せて置いておかなければならない。

1910.142(h)(2)

生ごみ容器は清潔にしておかなければならない。

1910.142(h)(3)

生ごみ容器は、一杯になったら空にしなければならない。但し、週に2回以上は、一杯になっていなくとも、空にしなければならない。

1910.142(i)

調理場、食堂、給食施設の構造と運営

1910.142(i)(1)

中央食堂のある宿泊施設、または、複数の家族の共同給食が許されている宿泊施設、または備えられている宿泊施設においては、食品の取り扱い設備は、米国公共保健サービス出版物934(1965)「食品サービス衛生マニュアル」のパートV、「食品サービス衛生条令規則」、の規定に適合するものでなければならない。これは1910.6に挙げているように、官報掲載がなされている。

1910.142(i)(2)

適切な大きさで労働者またはその家族の寝室から切り離された、正しく建造された調理場と食堂は、すべての食品取り扱い施設と関連づけて備えなければならない。居住域または寝室から、調理場または食堂に直接通じる開口があってはならない。

1910.142(i)(3)

伝染病にかかっている人は誰であっても、宿泊施設に関連して操業される調理場または食堂、あるいは宿泊施設に住む人が定期的に使用する調理場または食堂において、食物、食料品またはそこで使用される材料を、調理、給仕また食糧の取り扱いのために、雇用または労働することを許可してはならない。

1910.142(j)

昆虫および害虫の駆除  効果的な措置を取り、媒介動物や昆虫または害虫の蔓延や生息を防がなければならない。

1910.142(k)

応急手当

1910.142(k)(1)

保健関係官庁によって承認された適切な応急手当施設を、いずれの労働者宿泊施設内にも設置し、けが人の応急手当てに使用できるようにしておかなければならない。

1910.142(k)(2)

そうした施設は、応急手当ができるように訓練された者を責任者とし、いつでも利用できるようにしておかなければならない。

1910.142(l)

伝染病の報告

1910.142(l)(1)

宿泊施設において、伝染病にかかった、または、かかった疑いのある患者がでたときは、宿泊施設の管理者は、責任をもって、すぐに患者の名前と住所を地方保健事務所に報告しなければならない。

1910.142(l)(2)

宿泊施設において、食中毒のおそれ、または発熱、下痢、喉の痛み、吐き気、または黄疸を主な徴候とする異常な病気が流行したときは、宿泊施設の管理者は必ず、責任をもって、その発生をただちに、電報か電話で、保健関係官庁に報告しなければならない。

[参照官報:39 FR 23502, 1974年6月27日、47 FR 14696, 1982年4月6日改正;FR 18295, 1984年4月30日;61 FR 5507, 1996年2月13日;61 FR 9227, 1996年3月7日;63 FR 33450, 1998年6月18日]


1910.143 水を用いない廃水処理システム 〔保留〕


1910.144 物理的な危険を表示する安全カラーコード

1910.144(a)

色による識別

1910.144(a)(1)

赤  赤は、次を識別するための基本色としなければならない。

1910.144(a)(1)(i)

消防機器および消火装置  〔保留〕

1910.144(a)(1)(ii)

危険  引火点が華氏80度またはそれ以下である可燃性液体用の安全カンやその他の可搬式容器、可燃性液体の卓上容器(開放式引火点試験器)は、出荷用容器を除き、赤色に塗らなくてはならない。さらに、はっきり識別できるように、黄色の帯線をカンの周囲に巡らすか、内容物名を目立つように黄色でステンシル(刷り込み型)を使って刷り込むか黄色で塗るか、のいずれかの形を取らなければならない。バリケードおよび臨時の障害物には、米国基準「建物建設安全規格」ANSI A10.2-1944の規定に従って、赤色灯を取り付けなければならない。これは1910.6に挙げられているように、官報掲載がなされている。危険標識は赤色に塗らなければならない。

1910.144(a)(1)(iii)

停止  ラバーミル、ワイヤーブロック、干物仕上げ機等、危険な機械の非常停止棒は、赤色としなければならない。文字やその他のマークがついている停止ボタンまたは電気スイッチで、機械を緊急停止させるために使用するものは、赤色としなければならない。

1910.144(a)(2)

〔保留〕

1910.144(a)(3)

黄色  黄色は要注意を表わしたり、衝突、よろめき、落下、つまずき、および、 「間にはさまれる」などの物理的危険を示すための、基本色としなければならない。

[参照官報:39 FR 23502, 1974年6月27日、43 FR 49748, 1978年10月24日改正;49 FR 5322, 1984年2月10日;61 FR 9227, 1996年3月7日]


1910.145 事故防止のための標識(サインおよびタグ)の仕様

1910.145(a)

範囲

1910.145(a)(1)

本仕様は、特定の危険を表示し可能な範囲で明確にする意図の標識または記号(本セクションのパラグラフ(c)から(e)までに含まれる通りの)の、デザイン、応用、および使用に対して適用される。この危険は、危険であるという表示を怠ると、労働者か一般人またはその双方の傷害事故、あるいは資産の損害につながるような、特定の性質を持つものである。この仕様は、すべての安全標識をカバーするものであるが、道路、高速道路、鉄道、海上規則用に設計されたものは除く。この仕様は、工場の掲示板、あるいは安全ポスターには適用されない。

1910.145(a)(2)

新しく取り付ける標識、および旧標識にかわって取り付ける新標識は、これらの仕様に適合するものでなければならない。

1910.145(b)

定義  本セクションにおいて使用されている通り、用語「標識(サイン):Sign」は、危険にさらされるおそれのある産業労働者または一般の人々に、危険を警告したり安全について説明するために用意された貼付物をいう。但し、ニュースリリース、一般に安全ポスターとして知られているディスプレー、および労働者の教育に使われるブリテンは、この定義から除かれている。

1910.145(c)

用途による標識の分類

1910.145(c)(1)

危険標識

1910.145(c)(1)(i)

特定の危険および放射線危険を警告するために掲げる標識のデザインは、一定していて変化のないものとしなければならない。

1910.145(c)(1)(ii)

すべての労働者に、危険標識は直接の危険があること、および特別な注意が必要であることを指導しなければならない。

1910.145(c)(2)

注意標識

1910.145(c)(2)(i)

注意標識は、潜在的な危険について警告する場合、または不安全なやり方を注意する場合にのみ、使用しなければならない。

1910.145(c)(2)(ii)

すべての労働者に、注意標識は正しい注意が必要な潜在的な危険を示していることを、指導しなければならない。

1910.145(c)(3)

安全指示標識  安全指示標識は、安全措置に関して、一般的な指示および示唆が必要な場合に使用しなければならない。

1910.145(d)

標識のデザイン

1910.145(d)(1)

デザインの特徴  すべての標識は丸くした角または鋭くない角を有し、鋭い刃、ばり、とげ、その他の鋭い突出がないものでなければならない。ボルト、またはその他の締め付け具の端または頭は、危険を構成しないように位置させなければならない。

1910.145(d)(2)

危険標識

1910.145(d)(2)(i)

赤、黒、および白の色を、米国基準CIE標準源Cの「安全カラー基本的規制」ANSI Z53.1-1967の第1表に規定される、不透明でつやのあるサンプルの色としなければならない。この基準は、1910.6に挙げているように、官報掲載がなされている。

1910.145(d)(3)

〔保留〕

1910.145(d)(4)

注意標識

1910.145(d)(4)(i)

地の基準色は黄色とし、パネルは黒と黄色の文字にしなければならない。黄色の地の上に記す文字はどの字も、黒としなければならない。色は、米国基準Z53.1-1967の第1表に規定される通りの、不透明なつやのあるサンプルの色としなければならない。

1910.145(d)(5)

〔保留〕

1910.145(d)(6)

安全指示標識

1910.145(d)(6)(i)

地の基準色は白とし、 パネルは緑に白の文字としなければならない。白い地の上に記す文字はどの字も、黒としなければならない。色は、米国基準Z53.1-1967の第1表に規定される不透明でつやのあるサンプルの色としなければならない。

1910.145(d)(7)-(9)

〔保留〕

1910.145(d)(10)

速度のおそい車輌のエンブレム  本エンブレム(第J-7図を参照)は、蛍光黄-橙色の三角形と、暗赤色の反射縁からできている。黄-橙色蛍光三角形は、昼の光に当ると非常によく見える。反射縁部は、昼光のなかでは蛍光色の形をくっきりさせ、夜間は自動車のヘッドライトを受けて、中空の赤い三角形を浮かび上がらせる。このエンブレムは独特の識別方法として意図されたもので、識別されるのは公共の道路上をゆっくりした速度(毎時25マイルか、それ以下)で動くように設計された車輌で、このエンブレムはそのような車輌にのみ使用されなければならない。このエンブレムは、横幅の広い機械のクリアランスを示すマーカーでも、また、低速車輌に付ける必要のある灯火またはマークの代わりとして意図されたものでもない。カラー薄膜のパターン、その寸法、またその裏当て、のいずれも、変更して広告やその他のマークをつけるために使用してはならない。エンブレムの材料、取り付け位置、取り付け等は、米国農業技師学会「緩速車輌識別エンブレム」ASAE R276-1967、または、ASAE S276.2(ANSI B114.1-1971)に適合するものでなければならない。この基準は1910.6に挙げられるように、官報掲載がなされている。

第J-7図 低速車両エンブレム

注:寸法はすべてインチで表されている。

1910.145(e)

標識の語句

1910.145(e)(1)

〔保留〕

1910.145(e)(2)

語句の性質  標識の語句は、簡明で容易に読みとれるものでなければならない。標識には、即座に理解できる十分な情報を盛り込まなくてはならない。用語は、否定的なものよりもむしろ積極的な示唆とするべきで、また事実は正確でなくてはならない。

1910.145(e)(3)

〔保留〕

1910.145(e)(4)

生物学的危険標識  生物学的危険警告を使用し、生物的危険が実在することまたは存在するおそれのあることを示し、生きている危険物が含まれ、または、その危険物によって汚染されている装置、容器、部屋、材料、実験動物、あるいはそれらの組合せを識別しなければならない。このサブパラグラフの目的では、用語「バイオロジカルハザード」または「バイオハザード」 (生物学的危険)は、人間にとって危険な、または危険となるおそれのある伝染病媒介物のみをいう。

1910.145(f)

事故防止タグ(標識ふだ)

1910.145(f)(1)

適用範囲

1910.145(f)(1)(i)

本バラグラフ(f)は、危険な状態を識別し、本セクションのバラグラフ(f)(3)に述べる危険状態に関して、労働者にメッセージを伝えるために使用するすべての事故防止タグに適用する。また、本パラグラフの規定は他のOSHA基準の特定タグ取り付け規定に適合する、

1910.145(f)(1)(ii)

本バラグラフ(f)は、建設、海運、または農業には適用しない。

1910.145(f)(2)

定義

「生物学的危険:Biological hazard」または「生物危険:BIOHAZARD」とは、労働者に対し死亡、傷害、または疾病の危険を呈する伝染病媒介物をいう。

「主メッセージ:Major message」とは、タグに記した言葉のうち、見出し語よりも詳しく特定の危険状態を示し、労働者に伝えるべきことを説明する部分をいう。例としては、 「高圧」、 「間隙極小」、 「スタート禁止」、 「使用禁止」、または、文章とともに使用したり単独で使用する絵文字などがある。

「絵文字(象形文字):Pictograph」とは、危険状態を認識し、または安全に関する指示を伝達するために使用する絵による表現をいう。

「見出し語:Signal word」とは、タグの記述のうち、労働者の注意を即座につかむための言葉、または複数の言葉を含む部分をいう。

「タグ:Tag」とは、通常、カード、紙、ボール紙、 プラスチック、またはその他の材料でできているもので、危険状態を知らせる装置をいう。

1910.145(f)(3)

使用  タグは、危険なまたは危険の恐れのある状態・装置・操作に暴露されている労働者を、偶発的なけがや病気から守る方法として使用されなければならない。そうした危険は、通常とは違っていたり、予期できないことだったり、または、それとすぐにわからないことがある。タグは、認識された危険が除去されるまで、または危険な操作が完了するまで、使用されなければならない。タグは、標識、ガード、その他有効な防護手段が使用されている場合は、使用する必要はない。

1910.145(f)(4)

一般タグ基準  すべての所要のタグは、以下の基準に適合しなければならない。

1910.145(f)(4)(i)

タグは、見出し語および主メッセージを含まなければならない。

1910.145(f)(4)(i)(A)

見出し語は、 「危険」、 「注意」、または「生物学的危険」 、 「生物危険」 、あるいは生物的危険記号としなければならない。

1910.145(f)(4)(i)(B)

主メッセージは、特定の危険状態、または労働者に伝えるべき指示を示すものでなければならない。

1910.145(f)(4)(ii)

見出し語は、最小5フィート(1.52m)の距離から、または危険によって保証されるそれよりも長い距離から読めるものでなければならない。

1910.145(f)(4)(iii)

タグの主メッセージは、絵文字か文章のどちらか、またはその双方によって示さなければならない。

1910.145(f)(4)(iv)

見出し語および主メッセージは、識別された危険にさらされるおそれのあるすべての労働者に、理解されるものでなければならない。

1910.145(f)(4)(v)

すべての労働者は、作業場において使われる各種のタグの意味、および特別な要注意事項について知らされていなければならない。

1910.145(f)(4)(vi)

タグは、それぞれの危険物の安全な限り近い個所に取り付けられなければならない。その方法は、ひも、針金、あるいは、粘着剤などの確実な方法で、タグがなくなったり誤って取り外されたりすることを防ぐものでなければならない。

1910.145(f)(5)

危険タグ  危険タグは、直接的な危険が労働者に死または深刻な損傷の脅威を呈する重大な危険の状況にあるときに使用しなければならない。危険タグは、このような状況下でのみ使用されなければならない。

1910.145(f)(6)

注意タグ  注意タグは、危険度が比較的低い状況で使用されなくてはならない。つまり、非直接的な危険、非直接的な危険の可能性、または不安全な行動が、労働者に比較的軽い損傷の脅威しか及ぼさないときである。注意タグは、このような状況に限り使用しなければならない。

1910.145(f)(7)

警告タグ  警告タグは、危険の程度が、「注意」と「危険」の中間にあるような場合に、規定の「注意」タグの代わりに使うことができる。ただし、警告タグには、 「警告」という見出し文字と、適切な主メッセージを記し、そのほかの点は、本セクションのパラグラフ(f)(4)の一般タグ基準に適合することが必要である。

1910.145(f)(8)

生物学的危険タグ

1910.145(f)(8)(i)

生物学的危険タグは、生物学的危険が実際にあること、あるいはそのおそれのあることを伝え、また、危険な生物体を含む、あるいは危険な生物体で汚染された装置、容器、部屋、実験動物、またはそれらの組合せを認識するために、使用しなければならない。

1910.145(f)(8)(ii)

生物学的危険タグのシンボルのデザインは、次に示すデザイン通りでなければならない。

生物学的危険のシンボルマーク

1910.145(f)(9)

その他のタグ  その他のタグが、本パラグラフ(f)の規定で必要とされるタグに加えて、本パラグラフ(f)がタグを規定していないその他の状況下で使用されることがあるが、その時もそのタグは、規定されたタグの見出し語および主メッセージの効果、または、見やすさと比較して劣るものであってはならない。

[参照官報:61 FR 5507, 1996年2月13日;61 FR 9227, 1996年3月7日]


1910.146 許可の必要な閉塞的空間

1910.146(a)

範囲と適用 本セクションは、一般業種における労働者が許可の必要な閉塞的空間へ立ち入る時、その危険から労働者を防護するために必要な実践事項と手順の規定について述べる。本セクションは、農業、建設業、また造船所雇用には適用されない(それぞれ本章の1928、1926、1915を参照)。

1910.146(b)

定義

「許容しうる立ち入りの状態:Acceptable entry conditions」とは、要許可空間に存在しなくてはならない安全な状態を意味し、それがあってはじめて、立ち入りが許可され、許可が必要な空間への立ち入りに関係する労働者が安全に立ち入りその空間内で作業することが担保される。

「監視人:Attendant」は、1個所またはそれ以上の要許可空間の外に配置させられた個人のことで、許可を得て立ち入る人のモニターを行い、事業者の要許可空間計画で指定された係員としての義務のすべてを遂行する。

「許可を得た立ち入り者:Authorized entrant」とは、事業者から要許可空間への立ち入りを許可された労働者を意味する。

「ブランキングとブラインディング:Blanking and blinding」とは、完全にパイプ、ラインまたはダクトを閉じてしまうことであり、それには穴を完全に塞ぎ、プレート以降に漏れを起こさずにパイプ、ライン、ダクトの最大圧力に耐えることができる中実のプレート(スペクタクル・ブラインドやスキレット・ブラインドのように)を締め付けて行う。

「閉塞的な空間:Confined space」とは次のような空間である。

(1) 十分な広さがあり、そうできる形をしているので、労働者が体ごとそのまま入って指定された作業を遂行できる空間。

(2) 出入りには制限され制約された手段しかない(例えばタンク、船、サイロ、集積貯蔵容器、ホッパー、ほら穴、立坑は制限された立ち入り手段しかない空間であるといえる)空間。および、

(3) 労働者が長時間占有するようには設計されていない空間。

「二重ブロックおよびブリード:Double block and bleed」とは、ライン、ダクトまたはパイプを閉じることであり、具体的には、ラインの中にある2本のバルブを閉め、ロックし、標識を付けてから、その2本の閉じたバルブ間にある排水バルブまたは抜け口を開き、ロックし、標識を付けることである。

「緊急事態:Emergency」とは、事件(危険制御やモニター装置の故障を含む)または事故のことで、要許可空間の内外で起こり、中に入った作業者を危険に陥れる状況である。

「閉じ込め:Engulfment」とは、周囲の物が実際に人を捕らえてしまうことで、液体または細かく分割した(浮遊可能)固体が吸引されて呼吸器系統に満ち呼吸器を塞いで死に至らしめ、または、大きな力を体に掛けて絞扼、狭窄、押しつぶしという形で死の原因となる。

「立ち入り:Entry」とは、人が開口を通過して許可の必要な閉鎖された空間に入っていく行為をいう。立ち入りには、その後に続くその空間での作業が含まれ、立ち入る人の体の一部がその空間への開口の平面を破ると同時に、立ち入りが発生したとみなされる。

「立ち入り許可(許可):Entry permit (permit)」とは、書かれたまたは印刷された書類で、これは事業者から与えられ、要許可空間への立ち入りを許可・管理するもので、本セクションのパラグラフ(f)で詳述する情報が含まれる。

「立ち入り監督者:Entry supervisor」とは、要許可空間への立ち入り条件が整っているかどうかを決定する責任を担う人(事業者、職長または班長といった人)のことである。要許可空間には、許可立ち入り、監督立ち入り、および本セクションが規定する最終立ち入り、といった立ち入り計画がある。

注:立ち入り監督者はまた、訓練を受けて果たすべきそれぞれの役目に対して本セクションが規定する条件を具備する限り、監視人または許可を得た立ち入り者としての役割を担うことができる。また、立ち入り監督者の義務は、立ち入り作業の過程である人から次の人へと、移すことができる。

「危険な環境:Hazardous atmosphere」とは、労働者を死、無力化、自己脱出能力の減損(つまり要許可空間から他人の助けなく脱出すること)、負傷、急性疾患といった危険性にさらす大気のことで、そうした大気は次のもののひとつまたはそれ以上を原因とする。

(1) 引火性ガス、蒸気および霧が下方引火限度(LFL)の10%を越える。

(2) 浮遊している可燃性粉塵がLFLに達し、または越える。

(3) 大気中酸素濃度が19.5%未満となり、または23.5%を越える。

(4) いくつかの物質の大気中濃度の量または許容限界値が、本パートのサブパートGの「労働衛生環境管理」またはサブパートZ「有毒および危険物質」に掲載されているが、こうした物質は、分量または許容暴露限度を超えたレベルで労働者を暴露させる結果となることがある。

注:死、無力化、自己脱出能力の減損、負傷、健康への影響が原因の急性疾患、を引き起こすことがない物質の大気中濃度は、本規定はその範囲としない。

(5) 生命や健康に直接に害となるその他の大気状況がある。

注:労働安全衛生研究所(OSHA)が許容暴露限界をまだ決定していない大気汚染物質については、「危険伝達基準」に適合する物質安全データシート、本パートの§1910.1200に公表されている情報、および国内文書といった他の情報源が、許容大気状態を決定する上での指標になりうる。

「熱作業許可:Hot work permit 」とは、事業者の作業(リベット留め、溶接、溶断、焼却、加熱といったもの)遂行認可書で、これにより点火源を供給することができる。

「生命と健康に直接関わる危険:Immediately dangerous to life or death(IDLH)」とは、即時にまたは遅延して生命への脅威となる状態、健康に修復のきかない悪影響を及ぼす状態、または人が自力で許可空間から脱出しようという力を削ぐ状態、を意味する。

注:ある物質、例えばフッ化水素およびカドミウム蒸気は、その瞬間的な作用はたとえひどいものであっても医療手当を受けないで済むことがあるが、暴露から12時間ないし72時間が経過してから突然、多くの場合は致命的な衰弱を伴う。犠牲者は最初の打撃から回復して「気分は正常」になるが、それも虚脱が始まるまでのことである。そうした物質が危険な分量あるときは、生命や健康に「直接的に」危険であるとみなされる。

「不活性化:Inerting」とは、不燃焼ガス(窒素といった)を入れることで、結果的に空気が不燃焼になる程度まで要許可空間の空気を交換することである。 注:この処置でIDLHな酸素が欠乏した空気が発生する。

「隔離:Isolation」とは、要許可空間を利用から外し、その空間へのエネルギーや物質の放出を完全に防ぐ工程のことで、その具体的な方法としては、ブランキングもしくはブラインディング、ミスアライニングもしくはライン・パイプ・ダクトの一部分の除去、二重ブロック・ブリーディングシステム、すべてのエネルギー源のロックアウトまたはタグアウト、機械接続のブロックまたは分離、がある。

「ライン破壊:Line breaking」とは、それまで可燃性、腐食性、有害物質、不活性ガス、大量の液体、圧力、または温度など、負傷の原因となるものを流していたパイプ、ラインまたはダクトを意図的に開けることである。

「許可不要閉塞的空間:Non-permit confined space」とは、閉塞的空間ではあるが、死や深刻な肉体的損傷の原因となる危険を持たない、または、空気の危険の観点から、そうした危険を持つ可能性のない空間をいう。

「酸素欠乏空気:oxygen deficient atmosphere」とは、酸素の含有量が19.5%より低い空気のことをいう。

「酸素強化空気:Oxygen enriched atmosphere」とは、酸素の含有量が23.5%を越える空気のことをいう。

「許可を必要とする閉塞的空間(要許可空間):Permit-required confined space (permit space)」とは、次の特徴のうちのひとつまたはそれ以上を持つ閉塞的空間のことである。

(1) 危険な空気を持つ、または持つ可能性がある。

(2) 立ち入り者をすっぽり包み込む可能性のある物質がある。

(3) 内部の形状が、内側に収斂する壁があり、または下へ向かって傾斜し横断面が先へ行くほど狭まった床になっていて、立ち入り者が身動きできなくなったり窒息することがある。または、

(4) その他に認識された重大な安全または衛生への危険を持つ。

「許可を必要とする閉塞的空間のための計画(要許可空間計画):Permit-required confined space program (permit space program)」とは、事業主の包括計画で、要許可空間の危険を管理し、必要があれば、労働者をその危険から保護し、労働者の要許可空間への立ち入りを制限するものである。

「許可制度:Permit system」とは、事業者の立ち入り許可の準備と発行の手順書で、これに基づいて、立ち入りとその終了に引き続き要許可空間を利用の状態に戻すことが許可される。

「禁止の状態:Prohibited condition」とは、要許可空間におけるある状態のことで、立ち入りが許可されている間であっても、許可証が立ち入りを許さない状態をいう。

「救助隊:Rescue service」とは、要許可空間から作業者を救う仕事を任命された人をいう。 「救出システム:Retrieval system」とは、中に入らずに要許可空間から作業者を救出するために使用する装置(引き上げ綱、チェストハーネスまたはフルボディハーネス、必要ならば腕バンド、吊り下げ装置またはアンカーを含む)をいう。

「試験:Testing」とは、要許可空間の立ち入り者がさらされる危険を識別し評価する手順をいう。試験には、要許可空間で行うべき試験を特定することも含まれる。 注:試験をすることで、事業主は適切な管理対策の考案と実行の両方が可能になり、許可されて立ち入る作業者を保護することができる。また、立ち入りの直前とその最中に好ましい立ち入りの状態があったかどうかの決定も可能になる。

1910.146(c)

一般規定

1910.146(c)(1)

事業者は作業場を評価し、そのうちのいずれかの空間が許可を必要とする閉塞的空間であるかどうかを決定しなければならない。 注:1910.146の補遺Aの決定フローチャートを利用すれば、この規定に従うことが簡単になる。

1910.146(c)(2)

作業場に要許可空間があれば、事業者は、危険標識を掲示してまたはその他の同様に効果的な方法を使用して、要許可空間が存在すること、その場所、およびそれが呈する危険について、その空間にさらされている労働者に知らせなければならない。 注:「危険―許可を必要とする閉塞的空間。立入禁止」という標識、またはその他同様な言い回しを使用すれば、標識の規定を満足する。

1910.146(c)(3)

労働者は要許可空間には立ち入ってはならないと決定した場合、事業者は効果的な措置を講じて労働者が要許可空間に立ち入るのを防ぎ、本セクションのパラグラフ(c)(1)、(c)(2)、(c)(6)および(c)(8)の規定に従わなければならない。

1910.146(c)(4)

労働者は要許可空間に立ち入ると決定した場合、事業者は本セクションに適合する要許可空間計画書を作成して実行しなければならない。計画書は、労働者および彼らが任じた代表者が閲覧できるようにしておかなければならない。

1910.146(c)(5)

事業者は、本セクション(c)(5)(i)の状態の場合、本セクションのパラグラフ(c)(5)(ii)に定めた要許可空間立ち入りの代替手続きを使用してもよい。

1910.146(c)(5)(i)

労働者が要許可空間に立ち入る事業所の事業者は、本セクションのパラグラフ(d)から(f)および(h)から(k)までの規定に、次の状態の場合は、従わなくてもよい。

1910.146(c)(5)(i)(A)

事業者が、要許可空間が呈する唯一の危険は現実のまたは潜在的な危険空気である、ことを立証できる。

1910.146(c)(5)(i)(B)

事業者が、空気の連続強制排気だけで要許可空間に立ち入っても十分に安全と言える、ことを立証できる。

1910.146(c)(5)(i)(C)

事業者は、本セクションのパラグラフ(c)(5)(i)(A)および(c)(5)(i)(B)に必要な立証を支持するモニタリングと検査のデータを作成する。

1910.146(c)(5)(i)(D)

本セクションのパラグラフ(c)(5)(i)(C)に必要なデータを取るために要許可空間への立ち入りが必要な場合、その立ち入りは本セクションのパラグラフ(d)から(k)までの規定に従って行われなければならない。

1910.146(c)(5)(i)(E)

本セクションのパラグラフ(c)(5)(i)(A)、(c)(5)(i)(B)および(c)(5)(i)(C)で必要とされる決定と支持データは、事業者によって書類として整えられ、本セクションのパラグラフ(c)(5)の条件で要許可空間に立ち入る労働者、またはその正規代表者が閲覧できるようにしておかなければならない。

1910.146(c)(5)(i)(F)

本セクションのパラグラフ(c)(5)(i)の条件の下での要許可空間への立ち入りは、本セクションのパラグラフ(c)(5)(ii)の規定に従って行わなければならない。

注:空間内の全ての危険を取り除いた後の要許可空間再分類に関しては、本セクションのパラグラフ(c)(7)を参照のこと。

1910.146(c)(5)(ii)

次の規定は、本セクションのパラグラフ(c)(5)(i)で述べた条件を満足する要許可空間への立ち入りに適用される。

1910.146(c)(5)(ii)(A)

入り口の蓋を取り除くことを不安全にしている状態は、その蓋を取り除く前に除去しなければならない。

1910.146(c)(5)(ii)(B)

入り口の蓋が取り除かれたら、開口部はレール、仮の蓋、その他の仮の柵で即時防護し、その開口部から間違って落下することを防ぎ、またその空間で作業するそれぞれの労働者をその空間に進入してくる異物から保護しなければならない。

1910.146(c)(5)(ii)(C)

労働者がその空間に立ち入る前に、内部の空気を較正済みの直接読みとり式検査器で、酸素量、可燃性ガスと可燃性蒸気、潜在的有害汚染空気を、この順に検査しなければならない。その空間に立ち入る労働者またはその正規代表者は、本パラグラフが規定する立ち入り前検査の結果を見る機会を与えられなければならない。

1910.146(c)(5)(ii)(C)(1)

酸素量

1910.146(c)(5)(ii)(C)(2)

可燃性ガスと可燃性蒸気、および

1910.146(c)(5)(ii)(C)(3)

潜在的有害汚染空気

1910.146(c)(5)(ii)(D)

労働者が空間内にいる時は、常時空間内に有害な空気はないこと。

1910.146(c)(5)(ii)(E)

連続強制換気は次のように使用されなければならない。

1910.146(c)(5)(ii)(E)(1)

労働者は、強制換気により危険な空気が排除されるまで、空間に立ち入ってはいけない。

1910.146(c)(5)(ii)(E)(2)

強制換気は、空間内の労働者がいるその場所またはこれから作業に就くその場所に直接に向けられ、労働者が立ち去るまで継続されなければならない。

1910.146(c)(5)(ii)(E)(3)

強制換気による空気供給は清浄な供給源からのものでなければならず、空間内の危険を増加することがあってはならない。

1910.146(c)(5)(ii)(F)

空間内の空気は必要に応じて定期的に検査し、連続強制換気により危険な空気の蓄積を防いでいることを確認しなければならない。その空間に立ち入る労働者またはその正規代表者は、本パラグラフに定める定期検査結果を見る機会を与えられなければならない。

1910.146(c)(5)(ii)(G)

立ち入り中に危険な空気が検知されたときは、次のようにする。

1910.146(c)(5)(ii)(G)(1)

労働者はその空間を即刻立ち退かなければならない。

1910.146(c)(5)(ii)(G)(2)

その空間を評価して、どのようにして危険な空気が発生したかを決定しなければならない。および、

1910.146(c)(5)(ii)(G)(3)

引き続いて立ち入りが行われる前に、労働者を危険空気から防護する措置を講じなければならない。

1910.146(c)(5)(ii)(H)

事業者は、その空間が立ち入りに安全であること、本セクションのパラグラフ(c)(5)(ii)で定めた立ち入り前措置を講じたこと、を証明書の形で証明しなければならない。この証明書には、年月日、空間の場所、および証明書作成者の署名が必要である。この証明書は立ち入りの前に作成され、空間に立ち入る労働者またはその正規代表者が閲覧できるようにしておかなければならない。

1910.146(c)(6)

許可が必要ではない閉塞的な空間の使用状況や形状が変化して、立ち入る人への危険が増大した場合、事業者はその空間を再評価し、必要があればその空間を許可を必要とする閉塞的な空間として再分類しなければならない。

1910.146(c)(7)

事業者によって許可を必要とする閉塞的な空間として分類されていた空間は、次のような方法で許可を必要としない閉塞的空間に再分類される。

1910.146(c)(7)(i)

要許可空間の空気が現時点では危険を呈さず、またその可能性もない場合、また空間内の全ての危険が空間に立ち入らずに排除される場合、その要許可空間は、空気以外の危険が除去されている間に限り、許可を必要としない閉塞的な空間と再分類される。

1910.146(c)(7)(ii)

危険を排除するために要許可空間への立ち入りが必要な場合、そうした立ち入りは本セクションのパラグラフ(d)から(k)までの規定に従って行われなければならない。その立ち入りで行われた試験と検査の結果、その要許可空間内の危険が除去されたことが証明できたら、その要許可空間は、危険が除去されている間に限り、許可を必要としない閉塞的な空間として再分類される。

注:強制換気による危険な空気の制御は、危険の除去にはならない。パラグラフ(c)(5)が述べているのは、事業者が強制換気だけで空間内すべての危険が制御できることを証明できる場合の要許可空間への立ち入りである。

1910.146(c)(7)(iii)

事業者は、要許可空間内のすべての危険が除去されたことを、文書で証明しなければならないが、これには、年月日、要許可空間の場所、およびその決定をした人の署名のある証明書で行う。この証明書は、空間に立ち入る労働者またはその正規の代理者が閲覧できるようにしておかなければならない。

1910.146(c)(7)(iv)

本セクションのパラグラフ(c)(7)においてリストから外れて許可を必要としない空間になった要許可空間内で危険が生じた場合、それぞれの労働者は空間を退去しなければならない。事業者はそれからその空間を再評価して、本セクションのその他の該当条項に従い、その空間を再び要許可空間として分類するかどうかを決定しなければならない。

1910.146(c)(8)

事業者(主事業者)が、別の事業者(下請け事業者)の労働者に要許可空間への立ち入りを伴う作業を行わせたい場合、主事業者は次のことをしなければならない。

1910.146(c)(8)(i)

作業場には要許可空間があること、および要許可空間への立ち入りは本セクションの規定に適合する要許可空間計画に従うときにのみ許されること、を下請け事業者に知らせなければならない。

1910.146(c)(8)(ii)

識別されている危険や、主事業者のその空間における経験など、問題の空間が要許可空間とされている要素を、下請け事業者に知らせなければならない。

1910.146(c)(8)(iii)

下請け労働者が作業することになる要許可空間内またはその周辺において、主事業者が労働者保護のために実施している注意や手順を、下請け事業者に知らせなければならない。

1910.146(c)(8)(iv)

主事業者の労働者と下請け事業者の労働者の両方が要許可空間内またはその周辺において共に作業をする場合、本セクションのパラグラフ(d)(11)で規定されるように、立ち入り作業の調整を下請け事業者と行わなければならない。および、

1910.146(c)(8)(v)

立ち入り作業終了時に、遵守した要許可空間計画について、立ち入り作業中に要許可空間内で遭遇した危険または発生した危険について、下請け事業者に報告をしなければならない。

1910.146(c)(9)

すべての事業者に適用する要許可空間規定に従うことに加え、要許可空間への立ち入り作業を続けるそれぞれの下請け事業者は、次のことを行わなければならない。

1910.146(c)(9)(i)

要許可空間における危険および立ち入り作業についてのあらゆる情報を、主事業者から引き継がなければならない。

1910.146(c)(9)(ii)

主事業者の労働者と下請け事業者の労働者の両方が、要許可空間内またはその周辺で作業するときは、本セクションのパラグラフ(d)(11)で規定されるように、主事業者と立ち入り作業の調整を行わなければならない。および、

1910.146(c)(9)(iii)

下請け事業者が守る要許可空間計画について、および要許可空間内で遭遇した危険または生じた危険について、終了後の報告か立ち入り作業中の報告のいずれかの方法で、主事業者に知らせなければならない。

1910.146(d)

許可を必要とする閉塞的な空間計画(要許可空間計画)  本セクションのパラグラフ(c)(4)で規定される要許可空間計画に基づき、事業者は次のことを行わなければならない。

1910.146(d)(1)

許可されていない立ち入りを防ぐために必要な措置を実施する。

1910.146(d)(2)

労働者が要許可空間に立ち入る前に、要許可空間の危険を識別して評価する。

1910.146(d)(3)

安全な要許可空間立ち入り作業に必要な手段、手順、実例を作成して実行する。それには次の物が含まれるが、それだけに限定されるわけではない。

1910.146(d)(3)(i)

許容される立ち入り状態を具体的に挙げる。

1910.146(d)(3)(ii)

立ち入りの許可を受けた労働者またはその正規代表者に、要許可空間のモニターやテスト結果を見る機会を与える。

1910.146(d)(3)(iii)

要許可空間を隔離する。

1910.146(d)(3)(iv)

要許可空間を清浄にし、不活性化し、フラッシュし、または換気する。これは危険空気を除去または制御するために必要なものである。

1910.146(d)(3)(v)

歩行者柵、車輌柵、その他の柵を設けて、要許可空間に立ち入る人を外的な危険から保護する。および、

1910.146(d)(3)(vi)

要許可空間における状態は、立ち入りが認められている間はずっと立ち入りをするのに満足のいくものである旨を証明する。

1910.146(d)(4)

次の装置(本セクションのパラグラフ(d)(4)(i)から(d)(4)(ix)までの規定に特定されている)を無料で労働者に供与し、その装置を正しく維持管理し、労働者がその装置を正しく使用していることを確認する。

1910.146(d)(4)(i)

本セクションのパラグラフ(d)(5)に従うために必須の試験装置およびモニター装置。

1910.146(d)(4)(ii)

満足できる立ち入り状態を得るために必須な換気装置。

1910.146(d)(4)(iii)

本セクションのパラグラフ(h)(3)から(i)(5)までの規定に従うために必要な通信装置。

1910.146(d)(4)(iv)

技術と作業管理が労働者を十分に守り切れない部分を支持する個人用保護具。

1910.146(d)(4)(v)

労働者が安全に作業するため、また緊急事態に素早くその空間から退去するため、労働者が物をはっきりと見るために必要な照明装置。

1910.146(d)(4)(vi)

本セクションのパラグラフ(d)(3)(v)に規定される柵と構盾。

1910.146(d)(4)(vii)

立ち入りを許可された労働者が安全に出入りするために必要な、はしごといった装置。

1910.146(d)(4)(viii)

本セクションのパラグラフ(d)(9)に従うために必要な救助装置および非常装置。ただし、救助隊によって準備される場合は除外する。および、

1910.146(d)(4)(ix)

要許可空間へ安全に立ち入りそこから安全に救助するために必要なその他の装置。

1910.146(d)(5)

立ち入り作業が行われるときは、要許可空間の状態を次のように評価する。

1910.146(d)(5)(i)

要許可空間の状態を試験して、満足できる立ち入り状態であるかどうかを立ち入りが許可される前に決定する。ただし、その空間が大きかったり連続するシステム(下水道といった)の一部であるためにその空間の隔離が不可能な場合、立ち入りが認められる前に立ち入り前試験を可能な程度に行わなければならない。立ち入りが認められた場合、立ち入りの状態は許可された労働者が作業を実施する区域で連続モニターを行う。

1910.146(d)(5)(ii)

満足できる立ち入りの状態が、立ち入りの作業の間にちゃんと維持されているかどうかを決定する時に必要であるので、要許可空間を試験またはモニターする。および、

1910.146(d)(5)(iii)

空気の危険性を試験するときは、まず酸素の試験を行い、次に可燃性ガスと可燃性蒸気、最後に有毒ガスと有毒蒸気の試験を行う。

1910.146(d)(5)(iv)

立ち入りが認められている労働者またはその正規代表者に、要許可空間の立ち入り前試験、およびその後の試験やモニターの結果を見る機会を与える。

1910.146(d)(5)(v)

立ち入りを認められた労働者またはその正規代表者の面前で、要許可空間の再評価を行う。これは、この労働者または代表者が、根拠があってその空間の評価が妥当でないと考え、事業者に再評価を要請したときに行う。

1910.146(d)(5)(vi)

本セクションのパラグラフ(d)に適合するテストの結果を、立ち入りを許可されている労働者またはその正規代表者にすぐに示さなければならない。

注:1910.146の補遺Bに従って行われた空気の試験は、本パラグラフの規定を満足するものと見なすことができる。下水道における要許可空間作業では、補遺Bに従って行われる空気試験は、1910.146の補遺Eの補足なので、本パラグラフの規定を満足するものと見なすことができる。

1910.146(d)(6)

少なくとも一人の監視人を、立ち入り作業の時間中立ち入りが許可されている要許可空間の外に配置する。

注:本セクションのパラグラフ(i)で説明される義務が、モニターしている要許可空間で効果的に行われている場合、監視人はひとつ以上の要許可空間のモニターを任命されることになるかもしれない。同様に、本セクションのパラグラフ(i)で説明される義務が、モニターしている要許可空間で効果的に行われている限り、監視人はモニターする要許可空間の外のいずれかの場所に詰めさせられることになる。

1910.146(d)(7)

一人の監視人によって多数の空間がモニターされる場合、本セクションのパラグラフ(i)で規定する責任から注意を逸らさずに、監視人が緊急事態に対応できるような手段と手順を要許可空間計画に盛り込む。その緊急事態とは、ひとつまたはそれ以上のモニターをしている要許可空間に影響を及ぼすものである。

1910.146(d)(8)

要許可空間作業において積極的な役割(例えば立ち入りを許された労働者、監視人、立ち入り監督者、また要許可空間で空気の試験やモニターを行う人としての役割)を果たす人を指定し、それぞれの義務を識別し、それぞれに本セクションのパラグラフ(g)で規定する訓練を行う。

1910.146(d)(9)

救助および緊急援助隊の召集し、要許可空間から労働者を救出し、救助した労働者に必要な緊急サービスを施し、正規の隊員でない労働者が救助しようとするのを押しとどめるための手順を作成し実行する。

1910.146(d)(10)

本セクションで規定する立ち入り許可証の準備、発行、使用および取り消しのシステムを作成して実行する。

1910.146(d)(11)

一人以上の事業者の労働者が立ち入りを許された労働者として同時に要許可空間で作業している場合、一人の事業者の労働者が他の事業者の労働者を危険に陥れないように、立ち入り作業を調整する手順を作成して実行する。

1910.146(d)(12)

立ち入り作業が完了した後、立ち入りを終了させるために必要な手続き(要許可空間の閉鎖および許可の取り消しといったもの)を作成して実行する。

1910.146(d)(13)

要許可空間計画のもとで取られた措置が労働者を保護していないかもしれない、と事業者が確信したときは、次の立ち入りが許可される前にこれまでの立ち入り作業を再検討し、計画を改訂して存在が発見された不備を正す。および、 注:要許可空間計画の再検討が必要な状況の例は次の通りである。要許可空間への認められていない立ち入り、許可証に明記されていない要許可空間の危険の発見、許可証が禁止している状態の発覚、立ち入りの最中の負傷の発生またはニアミスの発生、要許可空間の使用または形状の変化、および、計画の効果についての労働者の苦情。

1910.146(d)(14)

本セクションのパラグラフ(e)(6)の規定により1年間保存している取り消しとなった許可証を使用して、一回ごとの立ち入りの後に要許可空間計画を再検討し、必要があれば計画を改訂して、立ち入り作業に参加している労働者が要許可空間危険から保護されていることを確認する。

注:事業者は年一回の再検討を行い、過去12ヶ月に行われた全ての立ち入りを調べる。12ヶ月の間に立ち入りが行われなかった場合は、再検討は必要ない。

1910.146の補遺Cは、本セクションのパラグラフ(d)の規定に適合していると見なされている要許可空間計画の例を挙げている。

1910.146(e)

許可システム

1910.146(e)(1)

立ち入りを認める前に、事業者は立ち入り許可証を作成して、本セクションのパラグラフ(d)(3)で規定する措置が完成したことを証明しなければならない。

注:1910.146の補遺Dは、要素が本セクションの規定に適合していると見なされる許可の例を示す。

1910.146(e)(2)

立ち入りが始まる前に、許可証に定められた立ち入り監督者は立ち入り許可証に署名をして、立ち入りを正式に許可しなければならない。

1910.146(e)(3)

完成した許可証は、立ち入りの際に立ち入りを認められた労働者または正規代表者のすべてが利用する。具体的には、その許可証を入り口に掲示して、またはその他の同様に効果的な方法を用いて、立ち入る労働者が立ち入り前準備が整ったことを確認する。

1910.146(e)(4)

許可の長さは、本セクションのパラグラフ(f)(2)と一致している指定された作業、または許可証に明記された作業に必要な時間を超えない。

1910.146(e)(5)

立ち入り監督者は、立ち入りを終結して立ち入り許可を取り消さなければならないが、それは次のような場合である。

1910.146(e)(5)(i)

立ち入り許可証に明記された立ち入り作業が終了した。または、

1910.146(e)(5)(ii)

立ち入り許可証では許されていない状態が要許可空間の中または周辺で発生した。

1910.146(e)(6)

事業者は取り消された立ち入り許可証を少なくとも1年間保存して、許可を必要とする閉塞的空間計画の再検討に役立てる。これは、本セクションのパラグラフ(d)(14)に規定されている。立ち入り作業の途中で生じた問題は、関連許可証に書き留め、要許可空間計画に適切な改正が行われるように計らわなければならない。

1910.146(f)

立ち入り許可証 本セクションに適合することを証明し要許可空間への立ち入りを承認する立ち入り許可証は、次のことをはっきりと明示しなければならない。

1910.146(f)(1)

立ち入る要許可空間。

1910.146(f)(2)

立ち入りの目的。

1910.146(f)(3)

立ち入り許可の日付と正式に認められた立ち入りの長さ。

1910.146(f)(4)

要許可空間内の立ち入りを許された労働者の氏名、またはそうした認識の方法(例えば名簿を使用したり、追跡システムで)。これにより監視人が素早く正確に、許可された時間、正式に許可された労働者のうち誰が要許可空間内にいるのかを把握できる。

注:この規定は、立ち入り許可証に参考資料を挿入すれば満足される。その資料はそのとき使用される手段で、具体的には名簿または追跡システムといったものであり、これによって要許可空間内の労働者を把握することができる。

1910.146(f)(5)

現在監視人として任に就いている人の氏名。

1910.146(f)(6)

現在立ち入り監督者として任に就いている人の氏名。本来立ち入りを承認する立ち入り監督者の署名またはイニシャルを書き込む空欄を設けておく。

1910.146(f)(7)

立ち入る要許可空間の危険。

1910.146(f)(8)

要許可空間を隔離する措置、および立ち入りの前に要許可空間の危険を除去または制御するための措置。

注:こうした措置には、ロックアウトや装置への標識付けや要許可空間を清浄、不活性化、換気、フラッシュするための装置も含まれる。

1910.146(f)(9)

許容できる立ち入りの状態。

1910.146(f)(10)

初期試験と定期試験の結果。この試験は本セクションのパラグラフ(d)(5)の規定により行われる。結果と共に、試験を行った人の氏名またはイニシャル、および試験が実施された年月日を示す。

1910.146(f)(11)

召集できる救助・緊急援助隊および召集の手段(使用する装置および電話番号といったもの)。

1910.146(f)(12)

立ち入りの間、連絡を維持するために労働者と監視人が使用する通信手順。

1910.146(f)(13)

個人用保護具、試験装置、通信装置、警報システム、救助装置といった装置。こうした装置は本セクションを満足するために供与される。

1910.146(f)(14)

盛り込むことが必要なその他の情報。例えばある特定の閉塞的空間の状況を労働者安全確保のために盛り込む。

1910.146(f)(15)

要許可空間における作業、例えば高熱作業、におろされた追加許可。

1910.146(g)

訓練

1910.146(g)(1)

事業者は訓練を行って、本セクションに規定される仕事を実施するすべての労働者が、本セクションのもとで指定される義務の安全な遂行に必要な理解、知識そして技能を得るように計らわなければならない。

1910.146(g)(2)

訓練はそれぞれの関係労働者に対して次の時に行われなければならない。

1910.146(g)(2)(i)

労働者が初めて本セクションの規定する義務に就く前。

1910.146(g)(2)(ii)

任ぜられた義務に変更が生じた時。

1910.146(g)(2)(iii)

要許可空間作業に変更が生じ、労働者がまだ訓練を受けていない危険が発生したときはいつでも。

1910.146(g)(2)(iv)

事業者が根拠を持って、本セクションのパラグラフ(d)(3)に規定する要許可空間立ち入り手順にずれがあること、労働者の知識の範囲では手順の使用に不適切な個所があること、を確信したときはいつでも。

1910.146(g)(3)

訓練により、労働者に本セクションが規定する義務に熟達させなければならない。また、本セクションに従うために、新しい手順や改訂された手順を必要に応じて導入しなければならない。

1910.146(g)(4)

事業者は、本セクションのパラグラフ(g)(1)から(g)(3)までで規定する訓練が達成されたことを証明しなければならない。証明書には、それぞれの労働者の氏名、指導者の署名またはイニシャル、および訓練の年月日が入っていなければならない。証明書は労働者またはその正規代表者がいつでも検閲できるようになっていなければならない。

1910.146(h)

立ち入りを許可された労働者の義務 事業者は、すべての立ち入りを許可された労働者が次のことを行うことを確認しなければならない。

1910.146(h)(1)

立ち入りの間に直面するかもしれない危険について知る。これには様態、前兆または兆候、および暴露の影響といった情報を含む。

1910.146(h)(2)

本セクションのパラグラフ(d)(4)に規定されるように、装置を正しく使用する。

1910.146(h)(3)

監視人と必要に応じて連絡を取り、監視人が労働者の状況をモニターできるようにし、本セクションのパラグラフ(i)(6)に規定されるように、監視人が労働者にその空間から避難する必要性を警告できるようにする。

1910.146(h)(4)

次のようなときは必ず監視人に警報を出す。

1910.146(h)(4)(i)

労働者が、危険な状況にさらされる前兆または兆候に気が付く。または、

1910.146(h)(4)(ii)

労働者が、禁じられている状態を発見する。および、

1910.146(h)(5)

次のようなときは必ずできる限り速やかに要許可空間から退去する。

1910.146(h)(5)(i)

監視人または立ち入り監督者から、避難の命令が下される。

1910.146(h)(5)(ii)

労働者が、危険な状況にさらされる前兆または兆候に気が付く。

1910.146(h)(5)(iii)

労働者が、禁じられている状態を発見する。または、

1910.146(h)(5)(iv)

避難警報が鳴り始める。

1910.146(i)

監視人の義務 事業者は、それぞれの監視人が次のことを行うことを確認しなければならない。

1910.146(i)(1)

立ち入りの間に直面するかもしれない危険について知る。これには様態、前兆または兆候、および暴露の結果がもたらすものといった情報を含む。

1910.146(i)(2)

危険にさらされた場合の労働者の行動への影響を理解する。

1910.146(i)(3)

要許可空間に立ち入っている労働者の数を継続的に把握し、本セクションのパラグラフ(f)(4)に規定する労働者を識別するために使用している方法で、要許可空間内に誰がいるかを正確に判断できることを確認する。

1910.146(i)(4)

立ち入り作業の間、別の監視人と交替するまで、要許可空間の外側にずっと詰める。

注:事業者の許可立ち入り計画が監視人の救助のための立ち入りを許す場合、監視人は要許可空間に立ち入って救助活動ができる。ただし、監視人はこれまでに救助の訓練を受けたことがあり、本セクションのパラグラフ(k)(1)が規定するように救助装置を用意していて、本セクションのパラグラフ(i)(4)の規定のように、他の監視員と交替した後でなければならない。

1910.146(i)(5)

労働者と必要に応じて連絡を取り、労働者の状況をモニターし、本セクションのパラグラフ(i)(6)に規定されるように、その空間から避難する必要性を労働者に警告する。

1910.146(i)(6)

空間内外の作業をモニターし、労働者が空間内に留まっていても安全かどうかを判断し、次のような状況では労働者に即刻要許可空間から避難する命令を出す。

1910.146(i)(6)(i)

監視人が、禁じられている状態を感知したとき。

1910.146(i)(6)(ii)

監視人が、労働者に有害物暴露の行動上の影響に気付いたとき。

1910.146(i)(6)(iii)

監視人が、労働者を危険に陥れるような空間の外の状況を感知したとき。

1910.146(i)(6)(iv)

監視人が、効果的に安全に本セクションのパラグラフ(i)に規定する義務のすべてを果たせないとき。

1910.146(i)(7)

労働者が要許可空間における危険から逃れるために援助を必要としている、と監視人が判断したときはすぐに、救助隊および他の緊急援助隊を召集する。

1910.146(i)(8)

立ち入りを許可されていない人が、まだ立ち入りの行われている間に要許可空間に接近したり立ち入ってしまったら、次の行動を取る。

1910.146(i)(8)(i)

無許可の人に、要許可空間に近づかないように警告する。

1910.146(i)(8)(ii)

無許可の人がもう既に要許可空間に立ち入ってしまっていた場合、その人に即刻退去するように忠告する。

1910.146(i)(8)(iii)

無許可の人が要許可空間に立ち入った場合、その旨を立ち入りが許可されている労働者と立ち入り監督者に伝える。

1910.146(i)(9)

事業者の救助計画に特定されているように、中に入らずに行う救出作業を実施する。および、

1910.146(i)(10)

監視人の主要義務であるモニターと労働者の保護、を妨げるような業務は行わない。

1910.146(j)

立ち入り監督者の義務 事業者はそれぞれの立ち入り監督者が次の事項を行うことを確認する。

1910.146(j)(1)

立ち入りの間に直面するかもしれない危険について知る。これには様態、前兆または兆候、および暴露の影響といった情報を含む。

1910.146(j)(2)

要許可空間に適切な立ち入りがなされたことを調べて、許可証に詳述するすべての試験が行われたこと、および許可証に詳述するすべての手順および装置が適切であることを確認してから、許可証に裏書きをして立ち入りの開始を許可する。

1910.146(j)(3)

本セクションのパラグラフ(e)(5)に規定するように、立ち入りを終結し、許可を取り消す。

1910.146(j)(4)

救助隊が利用できること、救助隊召集方法が実施可能であることを確認する。

1910.146(j)(5)

立ち入り作業の間、正式な許可なく要許可空間に立ち入りをした人または立ち入ろうとした人を、退去させる。および、

1910.146(j)(6)

要許可空間における立ち入り作業の責任が移るとき、時折作業が危険に支配されるとき、および空間内で作業が行われているときは必ず、立ち入り作業が立ち入り許可証の内容と一貫していること、および望ましい立ち入りの状態が維持されていること、を確認する。

1910.146(k)

救助および緊急援助隊

1910.146(k)(1)

本セクションのパラグラフ(d)(9)に従って救助隊と緊急援助隊を指名する事業者は、次の事項を実施しなければならない。

1910.146(k)(1)(i)

発見された危険を考慮に入れ、予定の救助隊員が救助召集されてから時間内に対応できるかを評価する。

パラグラフ(k)(1)(i)への注:時間内ということで考慮されることは、それぞれの立ち入りにまつわる特定の危険によって異なる。例えば、1910.134の「呼吸器の保護」は、IDLHの空気と分類された作業区域での作業中は、事業者が呼吸器保護具をつけてすぐに救助に出動できる予備の人員を設けることが規定されている。

1910.146(k)(1)(ii)

その特定の要許可空間またはそのとき識別された種類の要許可空間から労働者を救出する一方、救助関連の業務および装置の点から、予定の救助隊に適切に機能する能力があるかどうかを評価する。

1910.146(k)(1)(iii)

評価された人の中から次のような人を救助チームメンバーとして選択する。

1910.146(k)(1)(iii)(A)

要許可空間の識別された危険に対して適切な時間枠内に、犠牲者に到達する能力がある。

1910.146(k)(1)(iii)(B)

必要とされている救助業務を行う能力を具備し、その能力に精通している。

1910.146(k)(1)(iv)

それぞれの救助隊に、召集がかかって現場で救助を行うときに遭遇する危険について知らせる。

1910.146(k)(1)(v)

救助隊員に選出された人に、救助を必要とするすべての要許可空間への接近方法を教え、救助隊が適切な救助計画を作成して救助作業を行えるように取り計らう。

パラグラフ(k)(1)への注:非強制補遺Fは、本セクションのパラグラフ(k)(1)の規定により、事業者が見込みのある救助隊員を評価する際に使用できる基準の例をリストアップしている。

1910.146(k)(2)

事業者は要許可空間の救助緊急援助業務を行うように指定された労働者に対して、次の措置を講じなければならない。

1910.146(k)(2)(i)

その労働者に要許可空間救助活動を安全に行うために必要な個人用保護具(PPE)を供与し、そのPPEの使用に精通できるように訓練を行う。この時の費用は無料とする。

1910.146(k)(2)(ii)

関係労働者が任命された救助義務を遂行できるように訓練を行う。事業者は、本セクションのパラグラフ(g)および(h)で規定するように、正式に立ち入りを許可された労働者としての技術を身につけるために必要な訓練を、無事に終了したことを確認しなければならない。

1910.146(k)(2)(iii)

関係労働者に、基本的な応急手当および心肺人工呼吸(CPR)の訓練を行う。事業者は、少なくとも救助隊メンバーの1人は応急手当およびCPRの最新の免許証を有していることを確認する。

1910.146(k)(2)(iv)

関連の労働者が要許可空間救助の練習を少なくとも12ヶ月に1回行うことを確認する。これには救助作業のシミュレーションの方法を用いて、ダミー、マネキンまたは実際の人間を実際の要許可空間から、または代表的な要許可空間から救出する。代表的な要許可空間は、開口部の、大きさ、形状および接近しやすさの関係から、救助が実施される要許可空間の種類に似ていなければならない。

1910.146(k)(3)

非立ち入り救出を容易にするため、許可された労働者が要許可空間に立ち入る度、救出システムまたは救出方法が使用されなければならない。これには、こうした救出装置の搬入が立ち入りの全体的なリスクを決して増加させることはない、または救出装置は、使用すれば、労働者救出に必ず貢献する、という前提がある。この救出システムは次の規定を満足しなければならない。

1910.146(k)(3)(i)

それぞれの労働者は、チェスト・ハーネスまたはフルボディ・ハーネスを使用しなければならない。このハーネスには労働者の背中中央のほぼ肩の高さ、または頭上、または十分な利点があると事業者が判断する別の位置に引き戻し綱が取り付けられていて、これで労働者を無事に引き揚げることができる。事業者が、チェスト・ハーネスやフルボディ・ハーネスの使用が実際的でないこと、そうしたハーネスの使用がより深刻な危険を招くこと、および腕バンドの使用は最も安全で最も効果的な代替案であることを証明できれば、ハーネスの代わりに腕バンドを使用してもよい。

1910.146(k)(3)(ii)

引き戻し綱のもう一方の端は機械装置、または要許可空間の外の固定点に取り付けなければならない。この綱は、救助隊員が救助の必要に気付いたらすぐに引き戻し始められるように、取り付けられる。5フィート(1.52m)以上の深さのあるたて穴タイプの要許可空間では、労働者引き揚げ用に機械装置を用意しておかなければならない。

1910.146(k)(4)

負傷した労働者がある物質に暴露された場合、その物質をあきらかにするために材料安全データシート(MSDS)または他の同様な文書の情報を作業現場で保管しておく必要があるが、そのMSDSまたは文書の情報は、負傷した労働者を治療する医療施設でも利用できるようにしておかなければならない。

1910.146(l)

労働者の参加

1910.146(l)(1)

事業者は、関連の労働者およびその正規代表者と相談をして、本セクションのパラグラフ(c)で規定されている要許可空間計画のすべての見地を作成し実施しなければならない。

1910.146(l)(2)

事業者は、関連の労働者およびその正規代表者が本セクションで規定した作成のために必要なすべての情報を得られるようにしなければならない。

[参照官報:58 FR 4549, 1993年1月14日;58 FR 34845, 34846, 1993年6月29日、改正59 FR 26115, 1994年5月19日;63 FR 66038, 66039, 1998年12月1日]


1910.147 危険エネルギー管理(ロックアウト/タグアウト)

1910.147(a)

範囲、適用および目的

1910.147(a)(1)

範囲

1910.147(a)(1)(i)

本基準は、労働者の負傷の原因となり得る「不測」の加圧すなわち始動、または蓄積されたエネルギーの放出、がみられる機械および装置のサービス調整およびメンテナンスを扱う。本基準は最低性能規定を設けて、そうした危険エネルギーを制御するものである。

1910.147(a)(1)(ii)

本基準は次のものは扱わない。

1910.147(a)(1)(ii)(A)

建設、農業および海事の雇用。

1910.147(a)(1)(ii)(B)

電気事業の限定的な管理のもとの設備で、発電、送電、配電を目的としたもの。通信やメーター計測を含む。および、

1910.147(a)(1)(ii)(C)

コンダクターまたは電気事業施設の装置の近くで、またはそれを扱う作業から、電気的危険に暴露される場合。これは本パートのサブパートSが扱う。および、

1910.147(a)(1)(ii)(D)

油井・ガス井の削岩とその機械調整修理サービス。

1910.147(a)(2)

適用

1910.147(a)(2)(i)

本基準は、機械や装置のサービス調整とメンテナンスをする間に生じるエネルギーの管理に適用する。

1910.147(a)(2)(ii)

通常の生産業務は本基準では扱わない(本パートのサブパートOを参照のこと)。通常の生産業務中のサービス調整とメンテナンスは、次の場合にのみ、本基準によってカバーされる。

1910.147(a)(2)(ii)(A)

労働者がガードまたはその他の安全装置を除去する、またはそれに側路をつける必要がある場合。または、

1910.147(a)(2)(ii)(B)

労働者が体のいずれかの部分を機械上の区域、または装置の1片に入れる必要がある場合で、この時作業は実際には加工されている材料(操作点)の上で行われている、または関連する危険ゾーンが機械の運転サイクル中に存在する。

注:パラグラフ(a)(2)(ii)の例外:通常の生産業務中に起こるちょっとした道具の変更とその調整、その他の些細な調整作業は、もし日常化していて、繰り返し行われ、また生産のためにその装置を使用する上で不可欠なら、効果的に保護される代替措置を使用して作業が実行されるという条件で、そうした調整を本基準はカバーしない。(本パートのサブパートDを参照のこと。)

1910.147(a)(2)(iii)

本基準は次にものには適用しない。

1910.147(a)(2)(iii)(A)

コードとプラグで接続されている電気装置の作業。これは、不測の加圧や装置の始動の危険は、プラグを外して装置をエネルギー源から切り離して管理できるからである。またサービス調整・メンテナンスを行っている労働者が、プラグを特別な管理下におくことで管理ができるからである。

1910.147(a)(2)(iii)(B)

ガス、蒸気、水、石油製品といった物質の伝送、分配に関係するホットタップ作業。この作業は圧力のかかったパイプラインの上で行われ、事業者が次の事項を証明することを条件としている。(1)継続して調整することが不可欠。(2)システムのシャットダウンは非実際的。(3)文書にした手順が用意され、および、証明済みの効果的な保護を労働者に与える特別な装置が使用される。

1910.147(a)(3)

目的

1910.147(a)(3)(i)

本セクションは、事業者が計画を打ち立てて手順を使用し、適切なロックアウト装置やタグアウト装置をエネルギー分離装置に取り付け、そうでない場合は機械や装置の機能を止め、不意の加圧、始動、蓄積エネルギーの放出を防ぎ、労働者を事故から守ることを規定する。

1910.147(a)(3)(ii)

本パートの他の基準がロックアウトやタグアウトを規定している時、それは本セクションの手順規定、訓練規定として補足的に使用されなければならない。

1910.147(b)

本セクションに適用される定義

「関連労働者:Affected employee」ロックアウトまたはタグアウトの状態でサービス調整やメンテナンスを行っている機械や装置を、操作または使用する必要のある仕事をしている労働者、またはそのようなサービス調整やメンテナンスが行われている区域で働く必要のある仕事をしている労働者。

「許可された労働者:Authorized employee」機械や装置のサービス調整やメンテナンスを行うために、その機械や装置をロックアウトまたはタグアウトする人。関連労働者のその義務に本セクションでカバーしたサービス調整やメンテナンスが加わると、許可された労働者となる。

「ロックアウトされることが可能:Capable of being locked out」エネルギー分離装置は、掛け金またはその他の接続手段があればロックアウトすることが可能である。接続することによってまたはその接続を通して、ロックが付加される、またはその中にロック機能を埋め込んだことになる。他のエネルギー分離装置は、分解したり、再構築したり、エネルギー分離装置を他のものと取り替えたり、永久にエネルギー制御能力を変えたりする必要なく、ロックアウトを得ることができる。

「加圧された:Energized」エネルギー源に連結されている、または残余または蓄積されたエネルギーを持っている。

「エネルギー分離装置:Energy isolating device」機械的な装置で、物理的にエネルギーの伝達や放出を防ぐもので、次のものを含むが、それだけに限定されるわけではない。手動操作の電気回路ブレーカー、切断スイッチ、回路のコンダクターがアースをしていない供給コンダクターから切断でき、さらに極は単独では操作できない手動操作スイッチ、ラインバルブ、ブロック、エネルギーをブロックまたは分離するために使用する同様な装置。押しボタン、セレクタースイッチ、その他制御回路タイプの装置は、エネルギー分離装置ではない。

「エネルギー源:Energy source」電気、機械、水圧、空気圧、化学、熱、その他エネルギーの源。

「ホットタップ:Hot tap」修理メンテナンスやサービス調整作業で使用される処置で、装置(パイプライン、容器、またはタンク)の一部分を圧力を掛けて溶接し、結線や付属物を取り付ける。普通は、空気、ガス、水、蒸気、石油化学品の流通システムを中断せずに、パイプラインの一部を交換したり、新しい部分を付け加えるときに使用される。

「ロックアウト:Lockout」既存の手順に従って、エネルギー分離装置にロックアウト装置を取り付け、エネルギー分離装置と制御される装置は、ロックアウト装置が取り除かれるまで操作できないことを確認する。

「ロックアウト装置:Lockout device」ロック、鍵または組み合わせタイプのいずれか、といった確実動作の手段を用いている装置で、エネルギー分離装置を安全な位置に保ち、機械や装置の加圧を防ぐ。他に含まれているのが、ブランク・フランジおよびボルト・スリップ・ブラインドである。

「通常生産業務:Normal production operations」機械や装置を使用して、意図される生産機能を実施すること。

「サービス調整および/またはメンテナンス:Servicing and/or maintenance」仕事場における作業で、建設、設置、セットアップ、調整、検査、変造、および機械や装置のメンテナンスおよび/またはサービス調整などがある。この作業には、注油、清掃、機械や装置から異物を取り出して機能を修復する、調整、道具の変更、などがあり、ここで労働者が装置の不測の加圧や始動、または危険エネルギーの放出に暴露される。

「セットアップ:Setting up」機械や装置を通常の生産業務を実施するために行う準備作業。

「タグアウト:Tagout」タグアウト装置を、既存の手順に従って、エネルギー分離装置に取り付けることで、エネルギー分離装置と制御中の装置は、タグアウト装置を取り去らなければ作動しないことを示す。

「タグアウト装置:Tagout device」非常に優れた警告装置で、タグと取り付け手段から成り立ち、既存の手順に従って、しっかりとエネルギー分離装置に取り付けられ、エネルギー分離装置と制御中の装置はタグアウト装置を取り除かないと作動しないことを示す。

1910.147(c)

一般規定

1910.147(c)(1)

エネルギー制御計画 事業者は、エネルギー制御手順、労働者訓練、および定期検査から成る計画を作成し、それにより、労働者が予期できない加圧、始動、または蓄積エネルギーの放出が起こって負傷の原因となる機械や装置のサービス調整またはメンテナンスを行う前に、機械や装置はエネルギー源から分離して操作不能状態にしておかなければならない。

1910.147(c)(2)

ロックアウト/タグアウト

1910.147(c)(2)(i)

エネルギー分離装置がロックアウトできない場合、事業者の本セクションのパラグラフ(c)(1)に基づくエネルギー制御計画は、タグアウトシステムを使用しなければならない。

1910.147(c)(2)(ii)

エネルギー分離装置がロックアウトできる場合、また事業者が、タグアウトシステムの使用が本セクションのパラグラフ(c)(3)に述べる完全な労働者保護を与えることができことを証明できないとき、事業者の本セクションのパラグラフ(c)(1)に基づくエネルギー制御計画は、ロックアウトを使用しなければならない。

1910.147(c)(2)(iii)

1990年1月2日以降、機械や装置に交換または大きな修理、改造または変更が行われた時は必ず、または新しい機械や装置が設置された時は必ず、そうした機械・装置のエネルギー分離装置はロックアウト装置を受け容れられるように設計されなければならない。

1910.147(c)(3)

完全労働者保護

1910.147(c)(3)(i)

ロックアウトが可能なエネルギー分離装置にタグアウト装置を使用するときは、そのタグアウト装置は、ロックアウト装置を取り付けるその同じ位置に取り付けなければならない。 事業者は、タグアウト計画がロックアウト計画によって得られるものと同等のレベルの安全を提供することを、証明しなければならない。

1910.147(c)(3)(ii)

タグアウト計画で達成される安全のレベルが、ロックアウト計画を用いて得られる安全のレベルと同等であることを証明するに当たり、事業者は、本基準タグアウト関連の条項すべてに完全に適合していることを証明しなければならない。それと同時に、ロックアウト装置使用から得られるものと同等の安全を提供するために必要な追加要素にも適合していることを証明しなければならない。完全労働者保護証明の一部と見なされる追加手段は、分離回路エレメント、制御スイッチのブロック、特別切断装置の開放、または不注意による加圧の可能性を下げるためのバルブ・ハンドルの取り外し、といったものを含まなければならない。

1910.147(c)(4)

エネルギー制御手順

1910.147(c)(4)(i)

潜在的に危険なエネルギーを制御するために、労働者が本セクションでカバーされる作業に就くときは、手順を作成し、文書で証明し、使用しなければならない。

注:例外:事業者はある特定の機械や装置の必須手順は、次の要素がすべて存在していれば、文書化する必要はない。
(1)機械または装置は、シャットダウンの後も労働者を危険に陥れる貯蔵されたエネルギーや残存エネルギーを持つ可能性がなく、またはそのような貯蔵エネルギーの再蓄積の可能性がない。
(2)機械・装置は単一エネルギー源しかないので、すぐに識別でき分離できる。
(3)そのエネルギー源の分離とロックアウトは、完全に動力源を断って機械・装置の機能が停まる。
(4)機械・装置はエネルギー源から隔離され、サービス調整・メンテナンスの行われる間はロックアウトされている。
(5)単一のロックアウト装置でロックアウト状態が得られる。
(6)ロックアウト装置は、サービス調整・メンテナンスを行う許可のある労働者が全面的に管理する。
(7)サービス調整・メンテナンスが他の労働者に対して危険を生み出さない。および、
(8)事業者は、この例外を使用するにあたり、それまでサービス調整・メンテナンスの間に機械・装置が予期しない活性化や再加圧をしたことを、経験したことがない。

1910.147(c)(4)(ii)

手順書ははっきりと具体的に、範囲、目的、典拠、規則、および危険エネルギー制御に使用される技術、そして次のものを含む遵守の手段を、明確に具体的に概要を述べなければならない。ただし、この時遵守を図るものはそれだけに限定されるわけではない。

1910.147(c)(4)(ii)(A)

手順の使用意図の具体的な説明。

1910.147(c)(4)(ii)(B)

危険エネルギー管理のための、機械・装置のシャットダウン、分離、ブロック、および安全の具体的な手順のステップ。

1910.147(c)(4)(ii)(C)

ロックアウト装置またはタグアウト装置の交換、取り外し、移転の具体的なステップ、およびそれに対する責任。および、

1910.147(c)(4)(ii)(D)

ロックアウト装置、タグアウト装置およびその他の制御措置の効果の決定と証明をするための、機械・装置の試験の具体的な必要性。

1910.147(c)(5)

保護材料とハードウエア

1910.147(c)(5)(i)

ロック、タグ、鎖、くさび、キーブロック、アダプターピン、自動ロック式締め具、または他の金物、が事業者より供給され、エネルギー源から機械・装置を分離、締め付けまたはブロックするために用いなければならない。

1910.147(c)(5)(ii)

ロックアウト装置およびタグアウト装置は単一で識別されなければならない。エネルギー制御の唯一の装置でなければならない。他の目的に使用されてはならない。および、次の規定を満足しなければならない。

1910.147(c)(5)(ii)(A)

「耐久性がある」

1910.147(c)(5)(ii)(A)(1)

ロックアウトおよびタグアウト装置は、暴露が予想される最長の期間、環境に耐えることができなければならない。

1910.147(c)(5)(ii)(A)(2)

タグアウト装置は、悪い天候条件または濡れた場所、湿った場所にさらされてもタグが劣化したり、タグのメッセージが読めなくなったりすることがないように、作成され印字されなければならない。

1910.147(c)(5)(ii)(A)(3)

酸およびアルカリ性化学薬品が取り扱われ貯蔵されている区域、といった腐食性の高い環境で使用されても、タグは劣化することがあってはならない。

1910.147(c)(5)(ii)(B)

「標準化されている」  ロックアウトとタグアウト装置は、施設内では少なくとも次のひとつの基準で標準化されていなければならない。その基準とは、色、形状、サイズ。付け加えて、タグ装置の場合、印字と書式は標準化されていなければならない。

1910.147(c)(5)(ii)(C)

「しっかりしている」

1910.147(c)(5)(ii)(C)(1)

ロックアウト装置。 ロックアウト装置は十分に強固にし、非常に大きな力をかけなければ、または特殊な技術を使用しなければ、取り除かれることがないようにしなければならない。後者の例は、ボルトカッターその他の金属切断具の使用である。

1910.147(c)(5)(ii)(C)(2)

タグアウト装置。タグアウト装置は、取り付け方法も含め、十分にしっかりしていてうっかり外されたり、間違って外されたりすることのないようにしなければならない。タグアウト装置取り付け方法は非再使用型で、手で取り付けられ、自動ロック式で、最低50ポンド以上の開ける力がないと外せない非解放式で、全体的なデザインと基本性能が少なくとも一体式の全環境耐性型ナイロン製ケーブルタイと同等でなければならない。

1910.147(c)(5)(ii)(D)

「よく目につく」  ロックアウト装置およびタグアウト装置は、装置を扱う労働者の身元を示さなければならない。

1910.147(c)(5)(iii)

タグアウト装置は、機械や装置が加圧されたら、危険な状態が生じることを警告しなければならない。また、次のような語句を含まなければならない。「スタートさせないこと。開けないこと。閉めないこと。加圧しないこと。操作しないこと。」

1910.147(c)(6)

定期検査

1910.147(c)(6)(i)

事業者はエネルギー制御手順の定期検査を少なくとも毎年行い、手順と本基準の規定が守られていることを確認しなければならない。

1910.147(c)(6)(i)(A)

定期検査は、検査されるエネルギー制御手順を使用する人以外の許可された労働者によって行わなければならない。

1910.147(c)(6)(i)(B)

定期検査は、発見された逸脱や不適切事項を正すために行われなければならない。

1910.147(c)(6)(i)(C)

エネルギー制御にロックアウトが使用されるとき、定期検査は、検査官と許可された労働者の間で、検査されているエネルギー制御手順のもとでのその労働者の義務の見直しを含まなければならない。

1910.147(c)(6)(i)(D)

エネルギー制御にタグアウトが使用されるとき、定期検査は、検査官と許可されかつ関連する労働者の間で、検査されているエネルギー制御手順のもとでのその労働者の義務の見直し、および本セクションのパラグラフ(c)(7)(ii)に述べる要素を含まなければならない。

1910.147(c)(6)(ii)

事業者は、定期検査が実施されたことを証明しなければならない。その証明書は、エネルギー制御手順が使用されている機械や装置がどれであるかを明記し、検査の年月日、検査に加わった労働者、および検査を実施した人を明記しなければならない。

1910.147(c)(7)

訓練および通信

1910.147(c)(7)(i)

事業者は訓練を行って、エネルギー制御計画の目的と機能が労働者に理解されること、およびエネルギー制御の安全な適用、使用、除去に必要な知識と技能を労働者が獲得していることを確認しなければならない。訓練には次のものが含まれなければならない。

1910.147(c)(7)(i)(A)

それぞれの許可された労働者は、あてはまる危険エネルギー源の認識、作業場に存在するエネルギーの種類とその大きさ、およびエネルギーの分離と管理に必要な方法と手段、についての訓練を受けなければならない。

1910.147(c)(7)(i)(B)

それぞれの関連する労働者は、エネルギー制御手順の目的と使用について指導されなければならない。

1910.147(c)(7)(i)(C)

エネルギー制御手順が使用されることがある区域で作業をする、または作業をするかもしれないその他のすべての労働者は、その手順について、ロックアウトまたはタグアウトした機械や装置を再スタートまたは再加圧する試みの禁止について、指導されなければならない。

1910.147(c)(7)(ii)

タグアウトシステムが使用されるとき、労働者は次のタグの限界についても訓練されなければならない。

1910.147(c)(7)(ii)(A)

タグは本質的にはエネルギー分離装置に取り付けられる警告の装置であるので、エネルギー分離装置にロックが持つ物理的な抑止力を加えることはない。

1910.147(c)(7)(ii)(B)

タグがエネルギー分離手段に取り付けられているとき、タグに責任を持つ許可を受けた人の許可がなくては、取り外してはならない。また、タグは決して迂回したり、無視したり、そうでなければ無効にしてはならない。

1910.147(c)(7)(ii)(C)

許可を受けたすべての労働者、関連した労働者、および仕事がその区域で行われるまたは行われるかもしれないすべての労働者に効果的であるように、タグは読みやすく理解されやすいものでなければならない。

1910.147(c)(7)(ii)(D)

タグとタグを取り付ける手段は、その作業場で遭遇するかもしれない環境条件に耐えることができる材料でできたものでなくてはならない。

1910.147(c)(7)(ii)(E)

タグは誤った安全意識を呼び起こすかもしれないので、その意味がエネルギー制御計画の一部として理解される必要がある。

1910.147(c)(7)(ii)(F)

タグはエネルギー分離装置にしっかりと取り付け、使用中に間違ってまたは偶然に外れることがないように計らわなければならない。

1910.147(c)(7)(iii)

労働者再訓練

1910.147(c)(7)(iii)(A)

仕事の配置に変更があったとき、機械、装置、工程に新しい危険が生じるような変更があったとき、またはエネルギー制御手順に変更があったときは、必ず許可を受けた労働者および関連する労働者は再訓練を受けなければならない。

1910.147(c)(7)(iii)(B)

本セクションのパラグラフ(c)(6)が定める定期検査の結果、エネルギー制御手順の逸脱および不適切さがあることが判明したときには必ず、または事業者自身も同様の事態があるということを知識から確信したときには必ず、労働者に追加再訓練を行われなければならない。

1910.147(c)(7)(iii)(C)

再訓練によって労働者の熟達度を再構築し、必要に応じて新しいまたは改訂した制御方法と手順を導入しなければならない。

1910.147(c)(7)(iv)

事業者は、労働者の訓練が達成されて訓練が更新されたことを証明しなければならない。修了証書には、それぞれの労働者の氏名と訓練の日付が書かれなければならない。

1910.147(c)(8)

エネルギー分離。ロックアウトまたはタグアウトはサービス調整やメンテナンスを行う許可を受けた労働者によってのみ、実施される。

1910.147(c)(9)

労働者の通告。関連する労働者は、事業者または許可を受けた労働者から、ロックアウトまたはタグアウト装置の取り付けおよび取り外しについて通告を受けなければならない。通告は制御が取り付けられる前、および制御が機械や装置から外された後に、なされる。

1910.147(d)

制御の適用 エネルギー制御(ロックアウトまたはタグアウト手順)を適用するためにできあがった手順は、次の要素および行動を網羅し、次の順序で行われなければならない。

1910.147(d)(1)

シャットダウンの準備 許可を受けた労働者または関連する労働者が機械・装置を止める前に、許可を受けた労働者はエネルギーの種類とその大きさ、制御すべきエネルギーの危険、およびそのエネルギーを制御する方法と手段、についての知識を有していなければならない。

1910.147(d)(2)

機械・装置のシャットダウン 機械・装置は、その機械・装置のために作成された手順を使用して、止めるまたはシャットダウンされなければならない。順序正しいシャットダウンをして、装置が停止した結果、労働者に対する危険がそれ以上になること、または増大することを避けなければならない。

1910.147(d)(3)

機械または装置の分離 機械・装置へのエネルギーの制御に必要なエネルギー分離装置は物理的に位置していて、機械・装置をエネルギー源から分離するように操作されなければならない。

1910.147(d)(4)

ロックアウトまたはタグアウト装置適用

1910.147(d)(4)(i)

ロックアウトまたはタグアウト装置は、それぞれのエネルギー分離装置に許可を受けた労働者にとって取り付けられなければならない。

1910.147(d)(4)(ii)

ロックアウト装置が使用される場合、エネルギー分離装置を「安全」または「切り」の位置に保つように取り付けなければならない。

1910.147(d)(4)(iii)

タグアウト装置が使用される場合、エネルギー分離装置の「安全」または「切り」の位置からの操作または動きは禁止されていることをはっきり示すような方法で、取り付けなければならない。

1910.147(d)(4)(iii)(A)

タグアウト装置をロックが可能な設計のエネルギー分離装置とともに使用する場合、タグはロックを取り付けるその同じ位置に締め付けなければならない。

1910.147(d)(4)(iii)(B)

タグを直接エネルギー分離装置に取り付けられない場合、タグは可能な限り安全にその装置に近い場所に位置させ、装置を操作しようと試みる誰の目にも一目瞭然の位置に取り付けなければならない。

1910.147(d)(5)

蓄積エネルギー

1910.147(d)(5)(i)

エネルギー分離装置へのロックアウトまたはタグアウト装置の取り付けに引き続き、蓄積された潜在的に危険なエネルギーまたは残留している潜在的に危険なエネルギーは放出、分離、抑制し、およびそうできない場合は、安全な状態にしなければならない。

1910.147(d)(5)(ii)

蓄積エネルギーが危険なレベルにまで更に蓄積される可能性がある場合、サービス調整またはメンテナンスが完了するまで、またはそうした蓄積の可能性がなくなるまで、分離の確認を続けなければならない。

1910.147(d)(6)

分離の確認 ロックアウトまたはタグアウトされた機械または装置で作業を開始する前に、許可を受けた労働者は、機械・装置のエネルギー源の分離および分断が達成されたことを証明しなければならない。

1910.147(e)

ロックアウトまたはタグアウトの解除 ロックアウトまたはタグアウト装置が取り除かれ、エネルギーが機械または装置に再蓄積される前に、許可を受けた労働者は、いくつかの手順を踏みいくつかの行動を取って次の事項を確認しなければならない。

1910.147(e)(1)

機械または装置 作業区域を検査して、非本質的な部品が取り除かれていないかどうか、および機械または装置のコンポーネントが操作上無傷であるかどうかを確認しなければならない。

1910.147(e)(2)

労働者

1910.147(e)(2)(i)

作業区域を検査して、労働者はすべて安全な位置についているか、または移されているかを確認しなければならない。

1910.147(e)(2)(ii)

ロックアウトまたはタグアウト装置が取り除かれた後、機械または装置がスタートされる前に、関連する労働者はロックアウトまたはタグアウト装置が取り除かれたことを通告されなければならない。

1910.147(e)(3)

ロックアウトまたはタグアウト装置の除去  それぞれのロックアウトまたはタグアウト装置はそれぞれのエネルギー分離装置から、取り付けを行った労働者の手で取り除かれなければならない。パラグラフ(e)(3)の規定の例外。ロックアウトまたはタグアウト装置の取り付けを行った有許可労働者が不在でその取り外しを行えない場合、事業者の指導のもとにその装置は取り外すことができる。ただし、そうした取り外しのための具体的な手順と訓練が、作成され、文書化され、事業者のエネルギー制御計画に組み込まれていなければならない。事業者は、具体的な手順書は少なくとも次の要素を含んでいることを証明しなければならない。

1910.147(e)(3)(i)

その装置を取り付けた有許可の労働者が施設に不在であることの事業者の証明。

1910.147(e)(3)(ii)

その労働者にロックアウトまたはタグアウト装置が取り外されたことを伝えるために連絡を取るように、妥当な限りあらゆる努力をする。および、

1910.147(e)(3)(iii)

許可を受けた労働者が施設での仕事に戻る前に、このことを知っていることを確認する。

1910.147(f)

追加規定

1910.147(f)(1)

機械、装置またはそのコンポーネントの試験または配置  ロックアウト、タグアウト装置を暫定的にエネルギー分離装置から取り外さなくてはならない場合、および機械・装置が機械、装置またはそのコンポーネントの試験または配置のために加圧されている場合、次の一連の行為がなされなければならない。

1910.147(f)(1)(i)

本セクションのパラグラフ(e)(1)に従って、機械・装置から工具および材料を取り除く。

1910.147(f)(1)(ii)

本セクションのパラグラフ(e)(2)に従って、労働者を機械・装置の置いてある区域から出す。

1910.147(f)(1)(iii)

本セクションのパラグラフ(e)(3)に詳述してあるとおり、ロックアウトまたはタグアウト装置を取り外す。

1910.147(f)(1)(iv)

加圧して、試験または配置を進める。

1910.147(f)(1)(v)

システムすべてを電源から分断し、エネルギー制御措置を本セクションのパラグラフ(d)に従って再取り付けし、サービス調整またはメンテナンスを続行する。

1910.147(f)(2)

外部労働者(下請け等)

1910.147(f)(2)(i)

外部のサービス担当者が本基準の範囲および適用がカバーする業務に就くときは必ず、現場の事業者と外部事業者は、それぞれのロックアウトまたはタグアウト手順についてよく連絡を取り合わなければならない。

1910.147(f)(2)(ii)

現場事業者が、自分の労働者が外部事業者のエネルギー制御計画で制限されていることおよび禁止されていることを、よく理解して従うことを確認しなければならない。

1910.147(f)(3)

集団ロックアウトまたは集団タグアウト

1910.147(f)(3)(i)

サービス調整および/またはメンテナンスが組、同業者組合、部またはその他のグループで行われるとき、そこで使用する手順は、1人でロックアウトやタグアウトを実施するときの保護と同等レベルの保護が可能なものでなければならない。

1910.147(f)(3)(ii)

集団ロックアウトまたは集団タグアウト装置は、本セクションのパラグラフ(c)(4)に規定される手順に従って使用されなければならない。そのとき、次の特定規定を含まなければならないが、必ずしもこれだけに限定されるわけではない。

1910.147(f)(3)(ii)(A)

集団ロックアウトまたは集団タグアウト装置(操作ロックのような)の保護のもとに作業する規定数の労働者に対する第一責任は、許可を受けた労働者にあること。

1910.147(f)(3)(ii)(B)

許可を受けた労働者が、機械・装置のロックアウトまたはタグアウトにおけるグループメンバーの個々の暴露状況を確認する条項。および、

1910.147(f)(3)(ii)(C)

ひとつ以上の組、同業者組合、部その他が関与している場合、仕事に関連した総合的なロックアウトやタグアウト責任は、関連する労働力調整と保護の継続確認を任命されている許可された労働者に指定されること。および、

1910.147(f)(3)(ii)(D)

作業を開始するとき、公認担当者のそれぞれは、個人用ロックアウトまたはタグアウト装置を集団ロックアウト装置、集団ロック箱、またはそれに匹敵する仕組みに取り付けなければならない。その機械、装置のサービス調整やメンテナンスを終えるときは、そうした装置を取り外さなければならない。

1910.147(f)(4)

シフトまたはメンバー変更 シフトやメンバー変更の際には、特別な手順を使用して、ロックアウトまたはタグアウト保護が継続することを確認しなければならない。これには、持ち場を離れる労働者と新しく着任する労働者の間でロックアウトまたはタグアウト装置が順序正しく移動するための条項を含み、これによって、予期しない機械や装置の加圧、そのスタート、または蓄積されたエネルギーの放出の暴露危険を最小限にとどめる。

注:1910.147の次の補遺は、非強制のガイドラインとして、本セクションの規定に従う事業者および労働者を助けると同時に、その他の有益な情報を提供するものである。補遺の内容はいずれも、本セクションの規定に何ら付け加えたり減ずるものではない。

[54 FR 36687, 1989年9月1日;改正59 FR 42498, 1989年10月17日;55 FR 38685, 38686, 1990年9月20日;61 FR 5507, 1996年2月13日]

ページの先頭 目次 A B D E F G I J