このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > アメリカ OSHA規則パート1910労働安全衛生規則
    

アメリカOSHA規則パート1910労働安全衛生規則

目次

サブパートF 動力付きプラットフォーム、マンリフト、および車輌搭載作業台

1910.66 建物メンテナンス作業用動力付きプラットフォーム(ゴンドラ)

1910.66(a)

適用 本セクションは、建物の内・外のメンテナンスに専用使用するため恒久的に設置される動力付きプラットフォームで、特定の構造を持つものまたはいくつかの構造がグループとなっているものに適用される。本セクションは、臨時に使用される建物の点検修理用吊り足場(ブランコ足場)で本パートのサブパートDの適用を受けるものには、適用されない。また、建設工事において使用される吊り足場で29 CFR Part 1926のサブパートLの適用を受けるものにも、適用されない。建物のメンテナンス作業には、窓ガラス拭き、窓枠のコーキング、金属部分の研磨、ガラスのはめ直しといった作業が含まれるが、これだけに限定されるわけではない。

1910.66(b)

適用

1910.66(b)(1)

新規の設備  本セクションは、1990年7月23日以降に設置が完了したすべての恒久的な設備に適用される。当該日時以降に完了した既存設備の大幅な変更については、本セクションにおいては新規の設置としてみなされるものとする。

1910.66(b)(2)

既存の設備

1910.66(b)(2)(i)

1990年7月23日以前に存在した恒久的な設備、および/または、設置が完了していた恒久的な設備については、パラグラフ(g)、(h)、(i)、(j)および本セクション補遺Cに適合しなければならない。

1910.66(b)(2)(ii)

さらに、1971年8月27日以降に設置が完了した恒久的な設備、および/または、1990年7月23日の時点で設置が完了していた恒久的な設備については、本セクションの補遺Dに適合しなければならない。

1910.66(c)

保証

1910.66(c)(1)

新規に設置された建物の所有者は事業主に対し、そうした設備が本セクションのパラグラフ(e)(1)および(f)(1)の規定事項に適合していること、および本セクションのパラグラフ(e)および(f)の他の条項が規定している設計上の基準、すなわち、プラットフォームの吊り下げ許容荷重、建物の部材、吊り上げおよび支持装置、搭乗台の安定係数、作業台および支持装置、台車およびかぎ柱の移動による最大水平力、台車の設計、吊り上げ機、ワイヤーロープおよび安定装置、電気配線および装置に関する設計基準を、満足していることを、使用の都度、書面にて伝えなければならない。

1910.66(c)(2)

建物の所有者は、本セクションのパラグラフ(c)(1)に規定される情報が、本セクションのパラグラフ(g)(1)に規定されるように、実地試験結果に基づくように取り計らわなければならない。このテストは実際に使用される前に行われるほか、既存設備への主要な変更がなされた後に引き続いて行われる。保証はまた、他のすべての入用可能な関連情報に基づいて行われなくてはならない。それにはテストデータ、装置の仕様書、公認専門技師の証明などが含まれるが、それだけに限定されるわけではない。

1910.66(c)(3)

新旧すべての設置物の建物の所有者は、事業主に書面にて、その設備は本セクションのパラグラフ(g)および(h)の規定に従った検査・テストを受け維持管理されている旨を、およびすべての防護アンカーは補遺Cのパラグラフ(I)(c)(10)の規定を満足している旨を伝えなくてはならない。

1910.66(c)(4)

事業主は、建物の所有者から、設備が本セクションのパラグラフ(c)(1)および(c)(3)の各規定に適合している旨の保証を受け取る前に、労働者が設備を使用する許可を与えてはならない。

1910.66(d)

定義

「風速計:Anemometer」とは、風の速度を測定する装置をいう。

「角付けロープ掛け:Angulated roping」とは吊り下げる方法のことで、吊り下げ最上点が吊り下げられている装置よりも建物側にあるので、吊り下げられている装置が建物表面に対し荷重をかけることとなる。

「建物表面ローラー:Building face roller」とは回転する円筒形の部材のことで、建物の壁面に設置されるよう設計されていて、プラットフォームが建物外面とこすれることを防止すること、およびプラットフォームを安定させることを目的とする。

「建物メンテナンス:Building maintenance」とは、窓ガラス拭き、窓枠のコーキング、金属部分の研磨、ガラスのはめ直し、および建物表面の一般的な保守の作業をいう。

「ケーブル:Cable」とは、耐候性の鎧(がい)装に包まれた電導線または電導線の束で、電力の供給、装置への電流の制御、音声通信回路等に使用される。

「台車:Carriage」とは、水平方向の移動およびその他の装置の支持に使用される車両をいう。

「証明書:Certification」とは、本セクションの規定事項を満たす性能を保証する旨が書かれた、署名入りの、日付が記された書類のことである。

「コンビネーションケーブル:Combination cable」とは、プラットフォームを支持することができる綱製の構造部材、互いに絶縁されている銅またはその他の電導体、および、非電導性の絶縁物による構造部材、の両方を持つケーブルをいう。

「適格者:Competent person」とは、訓練および経験により、動力付きプラットフォームの設置に関し、有害または危険な状態を発見できる能力を持ち、かつ、他の労働者に対しそのような状況発見技術を訓練することができる者をいう。

「連続押し:Continuous pressure」とは、制御が機能するように行う連続的なマニュアル操作の必要性をいう。

「制御:Control」とは、装置の運転を調整および管理するために使用される機構をいう。

「据え付け架台:Davit」とは、単体またはふたつ一組で使われる装置で、作業箇所、保管場所および使用する建物の設置箇所から動力付きプラットフォームを吊り下げるための装置をいう。アウトリガーとは異なり、据え付け架台は作業荷重を単一の屋上の受け台または台車のアタッチメントへ伝える。

「同等:Equivalent」とは、代替可能な設計、材料、または方法のことで、基準に示された設計、材料、または方法と同等かそれ以上の安全性を労働者に提供できる、と雇用者が示すことができるものをいう。

「地上艤装:Ground rigging」とは、作業用プラットフォームを吊り下げる手法であって、安全作業面を起点とし、安全作業面上の吊り下げ位置まで作業用プラットフォームを吊り下げることをいう。

「地上艤装据え付け架台:Ground rigged davit」とは、吊り下げ作業用プラットフォームを使用する建物の面上に揚げるためには使用することができない据え付け架台をいう。

「ガイドボタン:Guide button」とは建物表面のアンカーであって、プラットフォームに取り付けられたガイドトラックにかみ合わせるように設計されたものをいう。

「ガイドローラー:Guide roller」とは回転する円筒形の部材で、単独でまたはガイドアッセンブリの一部として運転され、プラットフォームと建物のガイドまたはガイド溝との間に連続的にかみ合うように設計されたものをいう。

「ガイドシュー:Guide shoe」とはプラットフォームに取り付けられた装置で、プラットフォームと建物のガイドの間を接触したまま滑動するように設計されたものである。

「ホイスト機:Hoisting machine」とは、懸垂するユニットまたは支持ユニットを上げ下ろしするための装置をいう。

「ホイスト定格荷重:Hoisting rated load」とは、吊り上げ機製造者が定めた許容される運転荷重の最大値をいう。

「設置物:Installation」とは、動力付きプラットフォームを用いて行う建物のメンテナンス作業に関連するすべての設備およびすべての関連部品をいう。

「インターロック、連動装置:Interlock」とは、運転または動きが適切な順序で行われることを確実にするために設計された装置をいう。

「ふれ止め、壁つなぎ:Intermittent stabilization」とは、角付けワイヤーロープを規則的な間隔で配置された建物アンカーに固定して、プラットフォームを安定させる方法をいう。

「綱:Lanyard」とは、柔軟性のあるロープ、ワイヤーロープまたはストラップの索で、安全帯またはハーネス型安全帯を減速器、安全帯取り付け用ロープまたはアンカーにしっかりと取り付けるために用いられる。

「親綱(安全帯取り付け用ロープ):Lifeline」とは、柔軟性のある綱状のものから成るコンポーネントで、一端をアンカーに繋ぎ他端を垂直(垂直親綱)に垂らし、または、水平に伸ばして両端をアンカーに連結(水平親綱)し、個人用墜落防止装置システムの他のコンポーネントをアンカーに連結する手段としての役割も果たしている。

「搭載荷重:Live load」とは、作業者、工具、部材、および供給材料の合計静荷重で、装置はこれを支えるように設計されている。

「障害物検知器:Obstruction detector」とは一種の制御手段のことであり、障害物と遭遇した場合、吊り下げたユニットまたは支持したユニットを移動の方向に停止させ、障害物から離れる方向へのみ移動することを可能とする。

「運転制御機構:Operating control」とは、特定の運転モードを確実なものとする装置の運転の調整または管理を行う機構をいう。

「運転装置:Operating device」とは、制御を起動する手動の装置をいう。

「アウトリガー:Outrigger」とは、単体またはふたつ一組で使用され、作業箇所、保管場所および使用建物の設置箇所から動力付きプラットフォームを吊り下げるための装置をいう。据え付け架台とは異なり、アウトリガーは、作業のモーメント荷重を、少なくともふたつの対となる垂直方向の部材として反応させ、ふたつかそれ以上の別個な屋上の地点もしくはアタッチメントへ伝える。

「プラットフォーム定格荷重:Platform rated load」とは、作業者、工具、装置、およびその他の部材の総重量であり、設置に当たって作業用プラットフォームの運ぶことが許可された重量で、荷重定格銘板にその旨が記載されている。

「ソケット止め:Poured socket」とはワイヤーロープの端末の処理の方法で、ロープの一端をテーパー付きのソケットに拡げて入れ、亜鉛または樹脂を流し込んで留めるものをいう。

「一次ブレーキ:Primary brake」とは、一次発動機への電源が遮断されるかまたは中断された場合は必ず、自動的に作動するよう設計されているブレーキのことをいう。

「一次発動機:Primary mover」とは、機械を動かす物理的な力の源である。

「定格荷重:Rated load」とは、製造者が推奨する最大荷重をいう。

「定格強さ:Rated strength」とはワイヤーロープの強さのことで、製造者または供給者が、標準的な試験手順または適切な工業設計手順に基づき、定めるものである。

「定格作業荷重:Rated working load」とは、作業者、材料、および吊り下げられる装置または支持される装置の総静荷重をいう。

「登録専門エンジニア:Registered professional engineer」とは、米国またはその領土内の関係機関によって、現時点で正規に登録され免許が交付され、エンジニアリングの実務を行っている専門家をいう。

「ルーフ駆動動力付きプラットフォーム:Roof powered platform」とは、プラットフォームの上げ下げに使用されるホイストが、屋上に設置されている作業用プラットフォームをいう。

「屋上艤装据え付け架台:Roof rigged davit」とは、吊り下げられた作業用プラットフォームを使用建物の面より上方に揚げるために使用される据え付け架台をいう。このタイプの据え付け架台は、地上艤装型の作業用プラットフォームを揚げるときにも使用可能である。

「ロープ:Rope」とは、ワイヤーロープのように、装置の設置の際に装置の部材を吊り下げる作業に用いられるものをいう。

「安全作業面:Safe surface」とは、作業者により占有されることを目的とする水平な平面で、その平面は墜落防止システムにより適切に保護されているので、この使用者が墜落から保護されていることが十分に保証されている。

「二次ブレーキ:Secondary brake」とは、速度が出過ぎた場合、吊り下げられている装置または支持されている装置の下降を阻止するように設計されているブレーキをいう。

「原動機搭載プラットフォーム:Self powered platform」とは、プラットフォームの上げ下げに使用するホイストがプラットフォーム上に搭載されている作業用プラットフォームをいう。

「減速機:Speed reducer」とは、ポジティブ型の速度減少機をいう。

「安定係数:Stability factor」とは、転倒モーメントに対する安定モーメントの比をいう。

「安定つなぎ:Stabilizer tie」とは、建物のアンカーとプラットフォームを吊り下げているワイヤーロープとを結ぶ柔軟性のあるひも状のものをいう。

「支持装置:Supported equipment」とは建物メンテナンス用の装置で、メンテナンスが行われる建物、または当該建物の拡張部に直接設けられたアタッチメントによって、この装置はその場に保持されるか、作業箇所まで移動される。

「吊り下げ装置:Suspended equipment」とは建物メンテナンス用の装置で、装置の上のいくつかのアンカーに取り付けられたロープまたは組み合わせケーブルにより、吊り下げられた状態で作業箇所まで上げ下げされる。

「吊り足場(ブランコ足場):Suspended scaffold(swinging scaffold)」とは、ワイヤーロープまたは他のロープによって吊り下げられた足場で、その上で作業を行ったり、一時的に建物の鉛直面に近づく手段として使用される。この足場は、特定の構造物または一連の構造物のために使用するように特別に設計されたものではない。

「テールライン:Tail line」とは、プラットフォームの吊り下げに使用されるワイヤーロープの、支持に使われていない方の端のことである。

「つなぎ用ガイド:Tie-in guides」とは、建物の外壁上の鉛直方向への移動の間、建物と吊り下げられているユニットまたは支持されているユニットとの間に、連続的なプラスのかみ合わせ連結を提供する建物の一部分をいう。

「トラクション・ホイスト:Traction hoist」とは、ホイストドラムまたはシーブに吊り下げワイヤーロープを蓄積しないタイプのホイスト機であって、吊り下げワイヤーロープとドラムまたはシーブ間の摩擦力により、吊り下げ荷物を上げ下げするように設計されているものをいう。

「可動型アウトリガー:Transportable outriggers」とは、ひとつの作業箇所から次の作業個所へと移動できるように設計されているアウトリガーをいう。

「トロリー台車:Trolley carriage」とは、高架軌道構造から吊り下げられている台車をいう。

「認証された:Verified」とは、登録専門エンジニアによって設計され、評価を受け、または検査されることにより承認されることをいう。

「耐候性:Weatherproof」とは、悪条件の天候にさらされても、装置や部材の機能または適切な使用に影響が出ず、また作動が乱されないようになっている構造をいう。

「巻き取りドラム型ホイスト機:Winding drum hoist」とは、ホイスト機のドラムに吊り下げ用ワイヤーロープを蓄積する型のホイスト機をいう。

「作業用プラットフォーム:Working platform」とは、吊り下げられている装置または支持されている装置で、建物外壁面へ近づくための手段、および建物のメンテナンスに携わる者が乗るためのものである。

「巻き:Wrap」とは、ホイストドラム表面のワイヤーロープの完全な一巻きをいう。

1910.66(e)

動力付きプラットフォームの設置−建物の関連部分

1910.66(e)(1)

一般規定   次の規定は、建物のメンテナンスに作業用プラットフォームを使用する建物の関連部分に適用される。

1910.66(e)(1)(i)

構造的な支持物、壁つなぎ、つなぎ用ガイド、アンカー装置、および設置に用いられる建物の関係部分のすべてについては、その設計に関して経験のある登録専門エンジニア本人により、またはその指揮により、設計されなければならない。

1910.66(e)(1)(ii)

屋外の設置物は、もっとも一般的な天候条件に耐えるものでなければならない。

1910.66(e)(1)(iii)

装置の建物への設置に当たっては、装置への安全な接近路および装置からの安全な退避路が確保され、装置のメンテナンスの実施に必要な十分な空間が確保されなければならない。

1910.66(e)(1)(iv)

建物の関連部分は、装置によってかかるすべての荷重に耐えうるものでなければならない。および、

1910.66(e)(1)(v)

建物の関連部分は、労働者が危険な状態にされされることなく、装置を使用できるように設計されていなければならない。

1910.66(e)(2)

つなぎ用ガイド

1910.66(e)(2)(i)

それぞれの建物の外部には、本セクションのパラグラフ(e)(2)(ii)または(e)(2)(iii)の条件が満足されない限り、つなぎ用ガイドを設けなければならない。

 注:つなぎ用ガイドが使用されている典型的な連続安定化システムの詳細については、本セクションの補遺Bの図1を参照のこと。

1910.66(e)(2)(ii)

角付けワイヤーロープが採用されている時、本セクションのパラグラフ(e)(2)(i)で必要とされているつなぎ用ガイドについては、最大高が75フィート(22.9メートル)を超えない建物では省略することができる。この時の条件は、建物外部のデザインにより設置が不能で、あらゆる荷載条件下で少なくとも10ポンド(44.4n)の角付け力が維持される場合、となる。

1910.66(e)(2)(iii)

本セクションの(e)(2)(i)で必要とされているつなぎ用ガイドについては、本セクションのパラグラフ(e)(2)(iii)(A)、(e)(2)(iii)(B)または (e)(2)(iii)(C)のガイドシステムのうちのひとつ、または同等のガイドシステム、がある場合は省略することができる。

1910.66(e)(2)(iii)(A)

触れ止め(壁つなぎ)システム:本システムは、装置を建物の外面に継続的に接触させるものでなければならず、また、プラットフォームの突然の水平方向移動を防止するものでなければない。本システムは、同一の建物につなぎ用ガイドを使った連続ポジティブ建物ガイドと一緒に使用することができるが、この時それぞれのシステムが同じでなくてはならない。

1910.66(e)(2)(iii)(A)(1)

鉛直方向の建物アンカー間の最大間隔は、建物三階分または50フィート(15.3m)のどちらか少ない方とする。

1910.66(e)(2)(iii)(A)(2)

建物のアンカーは鉛直方向に配置させ、安定つなぎのアタッチメントが、プラットフォームの吊り下げワイヤーロープがプラットフォームに角度を生じさせ、建物の表面を横切ることとならないようにしなければならない。アンカーの水平方向の配置については、建物の外壁に対して水平とし、プラットフォームの吊り下げワイヤーロープに対して対称となるようにしなければならない。

1910.66(e)(2)(iii)(A)(3)

建物のアンカーは労働者から容易に見えるもので、個々のプラットフォーム吊り下げワイヤーロープに対し、鉛直方向の間隔ごとに安定つなぎアタッチメントを取り付けることができるものでなければならない。二本以上の吊りロープがプラットフォーム上で使用されている場合、プラットフォームの端の建物側の2本だけに安定アタッチメントを付けなくてはならない。

1910.66(e)(2)(iii)(A)(4)

建物の表面より外に出る建物のアンカーには、鋭い角や尖った突起があってはならない。ケーブル、吊り下げワイヤーロープ、および親綱が建物の表面と接触する場合、建物外部のアンカーは、これらの取り扱いまたは使用に支障をきたさないものでなければならない。

1910.66(e)(2)(iii)(A)(5)

ふれ止めシステム用の建物のアンカーおよびその部材は、予想される最大荷重または構成部材およびアンカーに伝達される荷重の、少なくとも4倍の負荷を確実に保持できる能力を持つものでなければならない。それぞれのアンカーの最小の設計風荷重は、二つのアンカーが風の負荷を共有できるものとして、300(1334n)ポンドなくてはならない。

1910.66(e)(2)(iii)(A)(6)

建物のアンカーおよび触れ止めは、屋上の保管庫のデザインで特定される、風から受ける予想水平垂直荷重を保持する能力がなくてはならない。プラットフォームが建物外壁面に繋留される場合、この負荷はプラットフォームとワイヤーロープに作用することがある。建物アンカーの設置間隔が吊り下げワイヤーロープの間隔と違う場合、および建物がプラットフォーム上では異なった吊り間隔を必要とする場合、ひとつの建物のアンカーと触れ止めが風荷重を保持することができるとしてよい。

 注:典型的な触れ止めシステムの詳細については、本セクションの補遺Bの図2を参照のこと。

1910.66(e)(2)(iii)(B)

ボタンガイド型安定システム

1910.66(e)(2)(iii)(B)(1)

ガイドボタンは、本セクションのパラグラフ(f)(5)(vi)で規定するプラットフォームに搭載された装置とともに機能するものでなければならない。

1910.66(e)(2)(iii)(B)(2)

ガイドボタンは建物の面上に水平に配置し、プラットフォームに搭載されたそれぞれのガイドトラックにかみ合うようにしなければならない。

1910.66(e)(2)(iii)(B)(3)

ガイドボタンは鉛直方向に列状に配置し、プラットフォームに搭載されたガイドトラックにかみ合うようにしなければならない。

1910.66(e)(2)(iii)(B)(4)

最初のかみ合わせを除き、ふたつのガイドボタンは常にそれぞれのガイドトラックとかみ合っていなければならない。

1910.66(e)(2)(iii)(B)(5)

建物の表面を超えているガイドボタンには、鋭い角また尖った突起があってはならない。ケーブル、吊り下げロープ、および親綱が建物の表面と接触する場合、ガイドボタンはこれらの取り扱いまたは操作に支障をきたさないものでなければならない。

1910.66(e)(2)(iii)(B)(6)

ガイドボタン、接続部およびシールは、少なくともプラットフォームの重量を損傷なく支えられるものでなければならない。また、ガイドトラックおよびガイドトラックコネクターに工夫をこらし、プラットフォームおよびそのアタッチメントがプラットフォームの重量をガイドボタン、接続部およびシールへ伝えることを防止しなければならない。どちらの場合も、建物のアンカーの最小設計荷重は、300ポンド(1334n)でなければならない。

注:関連装置の規定については、本セクションの(f)(5)(vi)を参照のこと。 注:典型的なボタンガイドシステムの詳細については、本セクションの補遺Bの図3を参照のこと。

1910.66(e)(2)(iii)(C)

角付けワイヤーロープおよび建物外面ローラーに使用されるシステム  本システムは、装置を連続的に建物の外面と接触させ、プラットフォームが突然に水平方向へ移動することを防止しなければならない。本システムが条件に合っているとされるのは、使用される装置の吊り下げられる部分が安全作業面または地面から130フィート(39.6m)を超えない場合、および、プラットフォームが建物の外面上の角付け力を10ポンド(44.4n)以上に保っている場合、だけである。

1910.66(e)(2)(iv)

建物の内部(中庭部)のつなぎ用ガイドは削除してもよい。そうできるのは、登録専門エンジニアが、パラグラフ(e)(2)(iii)(A)、 (B)および(C)のシステム、または、各作業箇所におけるプラットフォームつなぎ、を含む代替安定化システムが同等の安全性を提供できる、と判断したときである。

1910.66(e)(3)

屋上防護

1910.66(e)(3)(i)

建物のメンテナンス作業をしながら屋上部で働いている労働者は、本パート§1910.23のパラグラフ(c)(1)の規定に適合する外周部の防護システムにより保護されなければならない。

1910.66(e)(3)(ii)

屋上外周部の防護装置は、使用中の建物の手すり壁または屋上縁石のように、バリアの内側の面の6インチ(152mm)以上内側にあってはならない。しかし、外周部防護は、建物外周縁から18インチ(457mm)を超えるセットバックであってはならない。

1910.66(e)(4)

装置の停止  軌道のない型の装置の運転場所には、縁石のような停止を図る構造物を設けて、意図する走行領域の外側を走行すること、および衝突または変形する危険、を防止しなければならない。

1910.66(e)(5)

メンテナンスのための接近方法  すべての台車およびそれらが吊り下げている装置を、メンテナンスおよび保管のため、安全な区域へ移動させるための手段が設けられなければならない。

1910.66(e)(6)

高架軌条

1910.66(e)(6)(i)

安全作業面から4フィート(1.2m)またはそれ以上の高さに設置され、台車が支持する装置によって移動させられる高架軌条には、通路および手すりが設けられなければならない。または、

1910.66(e)(6)(ii)

作業用プラットフォームは、正規の操作の一部として、作業者が接近および避難するように下部の安全作業面まで下降できるものでなければならない。また、下部の安全作業面への接近および退避ができる安全な手段を設けなければならない。

1910.66(e)(7)

取り付けアンカー  埋め込み式の取り付けアンカー、締め具、および関連構造物は、耐腐食性のものでなければならない。

1910.66(e)(8)

ケーブルの安定

1910.66(e)(8)(i)

懸垂された親綱および張力が働いていないすべてのケーブルは、最初の200フィート(61m)の距離をを超えた後、作業用プラットフォームの垂直方向の200フィート(61m)間隔ごとに安定させなければならない。

1910.66(e)(8)(ii)

吊り下げ用ワイヤーロープ以外の懸垂されたケーブルで、絶えず一定の張力が働いているものは、垂直移動が最初の600フィート(183m)の距離を超えたら、600フィート(183m)を超えない距離ごとに、安定させなければならない。

1910.66(e)(9)

緊急時計画  書面による緊急時行動計画が、各種の作業用プラットフォームの運転ごとに策定、実施されなければならない。この計画には、電源に問題が生じたとき、装置に異常が生じたとき、または、その他の起こりうる緊急事態が生じたとき、に従うべき緊急時の手順が説明されていなければならない。計画にはまた、プラットフォームを運転する前に、労働者同士が建物の避難経路、手順および警報システムについて伝え合うことが説明されていなければならない。初めて着任した時および計画が変更される都度、事業者は計画書の重要部分を労働者と共に見直し、労働者が緊急時に自分自身を守るために知っておくべき事項をはっきり認識できるようにしておかなくてはならない。

1910.66(e)(10)

建物のメンテナンス  吊り下げ装置の主要な支持を行う建物部分の修理または主要なメンテナンスは、本基準の規定に適合させようとする結果、建物の能力に影響を与えることがあってはならない。

1910.66(e)(11)

電気に関する規定  次の電気に関する規定が、作業用プラットフォームを使用して建物のメンテナンスを行う建物に適用される。

1910.66(e)(11)(i)

本セクションにおいて特に規定がない場合、一般的な建物の電気機器の設置については、本パートの§1910.302から§1910.308に適合しなければならない。

1910.66(e)(11)(ii)

建物の電気配線容量は、最大負荷が装置の電源回路にかかったときに、本セクションが規定する装置によって使用されるどの電源コンセント部の電圧降下も、建物への供給電圧から5パーセントを越えないようなものでなければならない。

1910.66(e)(11)(iii)

装置用の電源回路は独立した電気回路であって、装置と関連して使用される電動工具に使用される電源を除き、建物内または建物上の他のすべての装置から分離されたものでなければならない。建物に緊急用電源システムがある場合、装置の電源もこのシステムにつないでおけばよい。

1910.66(e)(11)(iv)

電源回路には、「入り」および「切り」の位置で固定できる分離スイッチが設けられていなければならない。このスイッチは装置の主要運転区域に対して便利な位置に備えられ、装置の運転者がこのスイッチに近づきやすくしなければならない。

1910.66(e)(11)(v)

電源回路の分離スイッチは、装置が使用されている間は、「入り」の位置に固定されていなければならない。および、

1910.66(e)(11)(vi)

有効な2方向音声連絡システムが、装置の運転者と使用中の建物に詰めている関係者との間に備えられていなければならない。この連絡設備はプラットフォームが使用されている間は常に使用可能とし、建物に詰める担当者を常時配置しておかなければならない。

1910.66(f)

動力付きプラットフォーム設備−装置

1910.66(f)(1)

一般規定  次の規定が、動力付きプラットフォームの一部である装置に適用される。装置に含まれるのは、プラットフォーム、安定機器、台車、アウトリガー、据え付け台、ホイスト機、ワイヤーロープおよび電気機器である。

1910.66(f)(1)(i)

装置の設置は、その設計に関し経験を有する登録専門エンジニアによって、またはその指揮の下で、設計されなければならない。

1910.66(f)(1)(ii)

その設計は、吊り下げプラットフォームまたは支持プラットフォームに載せるものの最小搭載荷重を、250ポンド(113.6kg)としなければならない。

1910.66(f)(1)(iii)

使用していないときに風にさらされる装置は、30フィート(9.2m)の高さの位置で、少なくとも毎時100マイル(44.7m/s)の風によって生じる力に耐えるように設計されなければならない。および、

1910.66(f)(1)(iv)

使用中に風にさらされる装置は、すべての高さにおいて、少なくとも毎時50マイル(22.4m/s)の風によって生じる力に耐えるよう設計されなければならない。

1910.66(f)(2)

構造上の基準  ボルト止めの接合部は、自己ロック式のものとするか、振動による接合不良を防止するため、他の方法で固定しなければならない。

1910.66(f)(3)

吊り下げ方法  高い位置に設置する建物メンテナンス装置は、台車、アウトリガー、据え付け台または同等の方法によって吊り下げなければならない。

1910.66(f)(3)(i)

台車   高所設置建物メンテナンス装置の吊り上げに使用する台車は、次の規定に適合しなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(A)

台車の水平方向移動は、安全な移動を保証するように、およびプラットフォームの鉛直移動または鉛直格納の位置決めが正確に行なわれるように、制御されなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(B)

動力で移動する台車の速度は、毎分50フィート(0.3m/s)を超えてはならないものとする。

1910.66(f)(3)(i)(C)

滑らかで水平な表面上において、人力で押す台車を移動させる際の初期の力は、40ポンド(444.8n)以上の水平力を必要としないものでなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(D)

設計上の移動限界を超えて台車が移動することを防止するため、端止めおよび縁石の構造物を設けなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(E)

動力付き台車の移動制御スイッチは、連続押し耐候性のものでなければならない。複数の制御スイッチが設けられる場合は、一時にひとつの制御スイッチのみが機能するようにされていなければならない。緊急停止装置は台車駆動モーターの力をそぐように動力駆動台車の各端部ごとに設けなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(F)

運転制御は次のように接続しなくてはならない。つまり、吊り下げられている装置の場合、装置の吊り下げ部分が移動用に設計されている最上部に位置しないと、台車の移動ができない。建物の表面または建物のガイドとの接触がない。さらに、すべての防護設備およびインターロック機構は、台車の移動を許可する正しい位置になければならない。

1910.66(f)(3)(i)(G)

台車の脚部の安定性は、自重、構造的な支持物へのアタッチメント、またはこれらの組み合わせから得られなければならない。安定性を得るため次に挙げる釣り合いおもりを使用することは禁じられている。

1910.66(f)(3)(i)(G)(1)

転倒に対する安定係数は、台車の水平方向への移動に対して、衝撃および風の影響を含め、2より小さくてはならない。

1910.66(f)(3)(i)(G)(2)

台車およびそのアンカーは、作業用プラットフォームを吊り下げているワイヤーロープの突発的な過張力に耐えることができるものでなければならない。また、この計算値には、ホイスト原動機を停止させるために必要な力の1.5倍の効果を含めなければならない。設備のすべての部品は、ホイスト機の停止に要する荷重および0.5倍の風荷重によって生じる力に対し、設備のどの部分も損傷することなく耐えうるものでなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(G)(3)

屋上台車は建物につなぎ装置を固定することで、転倒に対する必要な安定性を得ているが、この屋上台車は、かみ合わせができていないときは、鉛直方向への移動を防ぐインターロックと一緒に備えなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(H)

自動的に作動するブレーキまたはロックシステムか、これと同等の性能を有するものを備え、動力移動台車または動力補助台車の意図しない移動を防止しなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(I)

手動または自動ブレーキもしくはロックシステムか、これと同等の性能を有するもの備え、人力によって動かす台車の意図しない移動を防止しなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(J)

台車の電源を遮断する手段が備えられていなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(K)

安全作業面においては、安全に台車に近づくことができ、台車から安全に避難できなければならない。台車が高さのある場所を移動する場合、台車の操作区域は、本セクションのパラグラフ(f)(5)(i)(F)の規定を満足する手すりシステムで防護されなければならない。どのような接近ゲートも、自己閉鎖式、自己施錠式でなくてはならず、またはインターロックを備えなくてはならない。

1910.66(f)(3)(i)(L)

それぞれの台車の作業個所の位置は、場所の表示、および/または、位置標識ではっきりさせなければならない。

1910.66(f)(3)(i)(M)

モーターは、いかなる時でもホイスト機の原動機に、定格荷重を積載した作業用プラットフォームの巻き上げに必要な力の3倍を越える力がかかった場合には、停止しなければならない。

1910.66(f)(3)(ii)

移動式アウトリガー

1910.66(f)(3)(ii)(A)

移動式アウトリガーは、地上艤装による作業用プラットフォームを吊り上げるための一手法として、吊り上げ点が安全作業面から300フィート(91.5m)を超えない場合、使用することができる。本セクションのパラグラフ(e)(2)の規定に適合するつなぎ用ガイドシステムが備えられなければならない。

1910.66(f)(3)(ii)(B)

移動式アウトリガーは、原動機搭載型の地上艤装による作業用プラットフォームにのみ、使用されなければならない。

1910.66(f)(3)(ii)(C)

それぞれの移動式アウトリガーは、その使用の全期間にわたって、信頼性が保証されている建物上のアンカーに固定用具で緊結しなければならない。アンカーは、アウトリガーの転倒または転覆に対して、4以上の安定係数を持つように設計されなければならない。

1910.66(f)(3)(ii)(D)

作業用プラットフォームへの出入りは、吊り上げ点より低い位置にある安全作業面からの出入りでなくてはならない。

1910.66(f)(3)(ii)(E)

それぞれの移動式アウトリガーは、アウトリガーに鉛直方向の予期せぬ荷重がかかった場合、転倒を防止するための横方向の安定性があるように、設計がなされなければならない。設計時に考慮すべき予期せぬ鉛直方向の荷重は、ホイスト機の定格荷重の70パーセント以上なくてはならない。

1910.66(f)(3)(ii)(F)

それぞれの移動式アウトリガーは、ホイスト機の定格荷重の4倍以上の最大荷重を支持するように設計されなければならない。

1910.66(f)(3)(ii)(G)

それぞれの移動式アウトリガーは、2点吊り作業用プラットフォームを吊り下げている吊り下げワイヤーロープが平行に吊られるように、配置されなければならない。

1910.66(f)(3)(ii)(H)

移動式アウトリガーは、信頼性が保証されている建物上のアンカーに、吊り下げワイヤーロープと強さが同等の控えワイヤロープで緊結されなければならない。

1910.66(f)(3)(ii)(I)

この控えワイヤロープは、アウトリガーの中心線と平行に設置されなければならい。

1910.66(f)(3)(iii)

据え付け台

1910.66(f)(3)(iii)(A)

それぞれの据え付け台は、固定式または移動式、回転型または非回転型にかかわらず、転倒に対する安定係数が4以上になることが保証されるように設計されなければならない。

1910.66(f)(3)(iii)(B)

次の規定が屋上艤装の据え付け台システムに適用される。

1910.66(f)(3)(iii)(B)(1)

作業用プラットフォームへの出入りは安全作業面から行わなければならない。作業用プラットフォームへの出入りにあたって、作業者が建物外壁または手すりを乗り越える必要のないものでなければならない。および、

1910.66(f)(3)(iii)(B)(2)

作業用プラットフォームには、車輪、脚輪または水平方向移動用の台車が備えられなければならない。

1910.66(f)(3)(iii)(C)

地上艤装の据え付け台システムには次の規定が適用される。

1910.66(f)(3)(iii)(C)(1)

吊り下げ点が安全作業面上から300フィート(91.5m)を超えてはならない。ガイドシステムが、本セクションのパラグラフ(e)(2)の規定に適合するように、備えられなければならない。

1910.66(f)(3)(iii)(C)(2)

作業用プラットフォームへの出入りは、吊り下げ点より低い位置にある安全作業面からだけに限られなければならない。

1910.66(f)(3)(iii)(D)

回転型の据え付け台は、回転を起こさせるための作業者一人あたりの力が40ポンド(177.9n)を超える水平力を必要としないものでなければならない。

1910.66(f)(3)(iii)(E)

以下の規定が移動式据え付け台に適用される。

1910.66(f)(3)(iii)(E)(1)

重量が80ポンド(36kg)を超える据え付け台またはその一部には、その移動のための手段が備えられなければならない。移動の際、据え付け台の重心は安全作業面上36インチ(914mm)かそれ以下の高さに保たれなければならない。

1910.66(f)(3)(iii)(E)(2)

据え付け台には、ピボット用ソケットが備えられなければならない。または、据え付け台の挿入または取り外しが、水平から35度を超えない位置で可能となるベースが備えられなければならない。この時、完全な据え付け台は使用建物の外壁の内部に組み込まれていなければならない。

1910.66(f)(3)(iii)(E)(3)

プラットフォームの吊り上げに使用する前に、据え付け台をそのソケットまたはベースに固定するための手段が備えられなければならない。

1910.66(f)(4)

ホイスト機

1910.66(f)(4)(i)

吊り下げられた装置または支持された装置の昇降は、ホイスト機によってのみ行われなければならない。

1910.66(f)(4)(ii)

それぞれのホイスト機は、速度が出過ぎた荷重の降下を抑えることができるものでなければならない。

1910.66(f)(4)(iii)

それぞれのホイスト機の動力は、空気圧、電気または水圧が源でなければならない。

1910.66(f)(4)(iv)

引火性の液体は作業用プラットフォーム上に持ちこんではならない。

1910.66(f)(4)(v)

それぞれのホイスト機は、ホイスト機の定格荷重の125パーセントの荷重を昇降させることができるものでなければならない。

1910.66(f)(4)(vi)

ホイスト機の可動部品は、本パートの1910.212のパラグラフ(a)(1)および(2)の規定に適合して、囲いまたは防護がなされなければならない。

1910.66(f)(4)(vii)

ホイスト機に使用される巻き取りドラム、トラクションドラム並びにシーブおよびディレクショナルシーブは、使用されるワイヤーロープに合ったものであり、使用されるサイズに適合したものでなければならない。

1910.66(f)(4)(viii)

それぞれの巻き取りドラムには、ドラムにワイヤーロープを取り付ける確実な手段が備えられなければならない。その取り付け器具は、ホイスト機定格荷重の4倍以上の能力を発揮できるものでなければならない。

1910.66(f)(4)(ix)

それぞれのホイスト機には、一次ブレーキおよび少なくともひとつの独立した二次ブレーキが備えられなければならない。それぞれの能力は、ホイスト機の吊り上げ容量の125パーセント以上を停止および保持できるものとする。

1910.66(f)(4)(ix)(A)

第一次ブレーキは、ホイスト機の運転歯車に直接接続されており、ベルト、チェーン、クラッチ、または、ねじ式の器具を経た接続ではないものでなければならない。このブレーキは、一次モーターへの電源が遮断された場合、自動的にかかるものでなければならない。

1910.66(f)(4)(ix)(B)(1)

この二次ブレーキは、自動非常時型のものでなければならない。つまり、各停止サイクルの間にブレーキがかかった場合、一次ブレーキによってホイスト機が停止する前にブレーキがかかることがあってはならない。

1910.66(f)(4)(ix)(B)(2)

二次ブレーキが作動した時には、二次ブレーキはプラットフォームを垂直距離で24インチ(609.6mm)以内で停止させ保持させなければならない。  

1910.66(f)(4)(x)

ホイスト機の部品で、保護および適切な機能の発揮のために注油が必要なものについては、注油を行うための手段を備えなければならない。

1910.66(f)(5)

吊り下げ装置

1910.66(f)(5)(i)

一般規定

1910.66(f)(5)(i)(A)

吊り下げワイヤーロープおよび手すりシステムを除く吊り下げ用ユニットは、ユニットに作用・伝搬される最大想定搭載荷重の少なくとも4倍の支持能力を、確実に持つものでなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(B)

それぞれの吊り下げ装置ユニットは、予想される気候条件に耐えうる材料で構成されなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(C)

それぞれの吊り下げ装置には、装置の重量および吊り下げ装置の定格荷重が示された定格荷重銘板が、目に付きやすい場所に備えられなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(D)

吊り下げ装置の吊り点が装置の端でない場合、ユニットはすべての使用条件および搭載荷重の位置に対し、継続的に安定を保持できなければならない。また、安定係数が転倒に対し少なくとも1.5から1となるように維持されなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(E)

ガイドローラー、ガイドシューまたは建物表面ローラーは備えられなければならないが、同時に建物の大きさの違いおよび吊り下げユニットの無視できる水平誤差を補正しなくてはならない。

1910.66(f)(5)(i)(F)

吊り上げ装置のそれぞれの作業用プラットフォームは、次のひとつまたは複数の方法または同等の方法により、建物外壁に確実に取り付けられなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(F)(1)

本セクションのパラグラフ(e)(2)(i)に規定される建物アンカーへの連続かみ合わせ装置。

1910.66(f)(5)(i)(F)(2)

本セクションのパラグラフ(e)(2)(iii)(A)に規定される建物アンカーへの触れ留め。

1910.66(f)(5)(i)(F)(3)

本セクションのパラグラフ(e)(2)(iii)(B)に規定されるボタンガイド型システム。

1910.66(f)(5)(i)(F)(4)

本セクションのパラグラフ(e)(2)(iii)(C)に規定される角付けワイヤーロープおよび建物表面ローラー。

1910.66(f)(5)(i)(G)

吊り上げ装置のそれぞれの作業用プラットフォームには、すべての側面に次の規定に適合する手すりシステムが設けられていなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(G)(1)

このシステムは、上部手すり、中間手すりおよびつま先板から構成されなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(G)(2)

上部手すりは、高さが36インチ(914mm)より低くなく、かつ、下向きまたは外向きのいかなる方向に対しても少なくとも100ポンド(444n)の力に耐えるものでなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(G)(3)

中間手すりは、下向きまたは外向きのいかなる方向に対しても、少なくとも75ポンド(333n)の力に耐えるものでなければならない。および、

1910.66(f)(5)(i)(G)(4)

プラットフォーム端部および外側の手すりとつま先板との間の範囲、および、プラットフォーム内側の中間手すりとつま先板との間の範囲については、どの一平方フット(0.09m2)の範囲でも、そこに水平方向に作用する100ポンド(45.4kg)の荷重に耐える材料で覆わなければならい。この材料の開口部のサイズは十分小さく、親綱および下部の作業者に危険を及ぼすおそれのある飛来・落下物が通過できないものでなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(G)(5)

つま先板は、つま先板に沿ったいずれの点においても、下向きまたは横向きのいかなる方向に対しても、少なくとも50ポンド(222n)の力に、確実に耐えるものでなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(G)(6)

つま先板は、上端からプラットフォームの床面までの長さが最小3.5インチ(9cm)でなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(G)(7)

つま先板は、プラットフォームのもっとも外側の端に確実に留め付けられなければならず、かつ、プラットフォームの床上に0.5インチ(1.3cm)を超えない隙間がなければならない。

1910.66(f)(5)(i)(G)(8)

つま先板は、中実のものとするか、開口部の最大寸法が1インチ(2.5cm)を超えないものとしなければならない。

1910.66(f)(5)(ii)

2点および4点吊り下げ作業用プラットフォーム

1910.66(f)(5)(ii)(A)

作業用プラットフォームは、幅が24インチ(610mm)以上で、かつ、プラットフォーム上に障害物があるところでも、少なくとも幅が12インチ(305mm)の通路があるものでなければならない。

1910.66(f)(5)(ii)(B)

床面は滑り止めが施されたものであって、かつ、親綱、ケーブルおよび他の飛来・落下の恐れのある物体が通過しうる開口部がないものでなければならない。それより大きな開口部がある場合、開口部の下に親綱、ケーブルおよび他の飛来・落下の恐れのある物体を通さない部材を張って、その開口部を防護しなくてはならない。

1910.66(f)(5)(ii)(C)

作業用プラットフォームには、回転を制限する吊り手段が備えられなければならない。これはプラットフォームが縦軸を中心に、水平面から最大15度、内側から外側へ回転するもので、搭載荷重を内側から外側へ動かすときに起きる。

1910.66(f)(5)(ii)(D)

プラットフォーム上から垂れ下がるすべてのケーブルには、プラットフォームの床上にケーブルが溜まるのを防止するための収納手段が備えられなければならない。

1910.66(f)(5)(ii)(E)

プラットフォームを鉛直方向に作動させるすべての運転装置は、連続押しタイプのものであって、プラットフォーム上に備えられていなければならない。

1910.66(f)(5)(ii)(F)

それぞれの作業用プラットフォームの運転席には、すべてのホイスト用原動機の電源を遮断する手段を備え、プラットフォームがそれ以上の上昇または下降をとどめるようにしなければならない。

1910.66(f)(5)(ii)(G)

プラットフォームの定格最大速度は、単一速度ホイストでは毎分50フィート(0.3 m/s)を、または、多変速ホイストでは毎分75フィート(0.4 m/s)を、超えてはならない。

1910.66(f)(5)(ii)(H)

すべての工具、水タンクおよびその他の付属物がプラットフォーム床上において、移動したり蓄積することがないように担保する工夫がなされなければならない。

1910.66(f)(5)(ii)(I)

本パートの1910.155および1910.157の規定に適合する消火器が、すべての作業用プラットフォームに備えられ、しっかりと据え付けられなければならない。

1910.66(f)(5)(ii)(J)

作業用プラットフォームへの出入りには、安全作業面上に直接立つプラットフォームを除き、本パートのサブパートDの規定を満たす階段、はしご、プラットフォームおよび通路が備えられなければならない。出入りゲートは自己閉鎖型および自己施錠型のものででなくてはならない。

1910.66(f)(5)(ii)(K)

安全作業面上48インチ(1.2m)以上の作業用プラットフォームへの出入りのための手段には、手すりシステムか、または、本パートのサブパートDの規定を満たすはしご用てすりが備えられなければならない。

1910.66(f)(5)(ii)(L)

プラットフォームに労働者の緊急避難を妨げる上部構造がある場合、このプラットフォームには2次的なワイヤーロープ吊り下げシステムが設けられなければならない。水平の親綱、または、直接連結用アンカーが、補遺Cに規定に適合する墜落防止システムの一環として、そうしたプラットフォーム上の各労働者に提供されなければならない。

1910.66(f)(5)(ii)(M)

2本またはそれ以上のワイヤーロープにより吊り下げられているプラットフォーム上のそれぞれの労働者に、補遺Cに規定に適合する墜落防止システムの一環として、鉛直方向の親綱が提供されなければならない。これは、1本のワイヤーロープまたは吊り下げ用アタッチメントの損傷により、プラットフォームが転覆した場合に備えるものである。2次ワイヤーロープ吊り下げを行っている場合、それぞれの労働者はこのプラットフォームに固定された水平方向の親綱に取り付けられているので、鉛直方向の親綱は墜落防止システムとしては必要とされない。

1910.66(f)(5)(ii)(N)

作業用プラットフォーム上に設置された正規の運転装置に異常が発生した場合、または、プラットフォームへのケーブル接続に異常が発生した場合、そうした場合に使用するため、ホイスト機付近のルーフ駆動動力付きプラットフォームに非常用電気操作装置を設けなければならない。この非常用電気操作装置は保護された仕切りの中に設置され、この仕切りには使用に関する指示書が貼り付けられていなければならない。この仕切りを開く手段は、破って開くことができるガラスの容器に入れておかなくてはならない。この容器は非常用電気操作装置の付近、または、同様に安心ですぐに駆けつけられる場所に、備え付けなければならない。

1910.66(f)(5)(iii)

単1点吊り下げ作業用プラットフォーム

1910.66(f)(5)(iii)(A)

本セクションのパラグラフ(f)(5)(ii)(A)から(K)の規定は、単1点吊り下げ作業用プラットフォームについても適用される。

1910.66(f)(5)(iii)(B)

それぞれの単1点吊り下げ作業用プラットフォームには、2次ワイヤーロープ吊り下げシステムが設けられなくてはならない。このシステムは、基本の吊り下げ方法に異常が生じた場合、またはプラットフォームが労働者の退避を制限する上部構造を持つタイプである場合に、プラットフォームの落下を防ぐものである。水平の親綱または直接連結アンカーが、補遺Cの規定に適合する墜落防止システムの一環として、プラットフォーム上のそれぞれの労働者に提供されなければならない。

1910.66(f)(5)(iv)

地上艤装作業用プラットフォーム

1910.66(f)(5)(iv)(A)

地上艤装作業用プラットフォームは、本セクションのパラグラフ(f)(5)(ii)(A)から(M)の規定に適合しなければならない。

1910.66(f)(5)(iv)(B)

毎日の使用後、建物内の電源は地上艤装作業用プラットフォームから切り離されなければならない。また、プラットフォームを吊り点からはずすか、同一平面上で固定して保管しなければならない。

1910.66(f)(5)(v)

触れ止めにより安定化されたプラットフォーム

1910.66(f)(5)(v)(A)

このプラットフォームは、本セクションのパラグラフ(f)(5)(ii)(A)から(M)の規定に適合しなければならない。

1910.66(f)(5)(v)(B)

それぞれの安定つなぎは、建物のアンカーから不意に外れることがない「即結合、即切断」器具が備えられていなければならない。また、悪環境条件に耐えるものでなければならない。

1910.66(f)(5)(v)(C)

プラットフォームには、プラットフォームが上昇中に安定つなぎに接触した場合、ホイスト機への電力を遮断する停止装置が備えられていなければならない。

1910.66(f)(5)(v)(D)

建物表面ローラーは、建物外壁上で外部アンカーが用いられている場合、アンカーが設置された場所に配置してはならない。

1910.66(f)(5)(v)(E)

断続的に安定化されているプラットフォームの安定つなぎには、吊り下げワイヤーロープの設定角度の効果を高めるために必要な、特定のアタッチメントの長さが許容されなければならない。特定のアタッチメントの長さはすべての建物のアンカー設置箇所で維持されなければならない。

1910.66(f)(5)(v)(F)

プラットフォームは、上昇または下降時には、建物の表面と常時接触していなければならない。

1910.66(f)(5)(v)(G)

安定つなぎの接続および取り外しは、プラットフォームの水平方向への移動を必要としないものでなければならない。

1910.66(f)(5)(v)(H)

プラットフォームに搭載された装置およびその吊り下げ用ワイヤーロープは、安定つなぎまたはその建物アンカーからの荷重によって、物理的に損傷を受けてはならない。プラットフォーム、プラットフォーム搭載装置、およびワイヤーロープは、安定つなぎの最大の力の少なくとも2倍の荷重に持ちこたえなければならない。

注:典型的な安定つなぎシステムについては、本セクション補遺Bの図11を参照のこと。

1910.66(f)(5)(vi)

ボタンガイド安定プラットフォーム

1910.66(f)(5)(vi)(A)

このタイプのプラットフォームは、本セクション(f)(5)(ii)(A)から(M)までの規定に適合しなくてはならない。

1910.66(f)(5)(vi)(B)

プラットフォーム上のそれぞれのガイドトラックは、初めのボタンかみ合わせに引き続いて、プラットフォームの垂直移動の際に最少2個のガイドボタンとかみ合わなくてはならない。

1910.66(f)(5)(vi)(C)

ルーフ艤装システムの一部であるプラットフォーム上のそれぞれのガイドトラックは、プラットフォーム上に保管場所を備えなければならない。

1910.66(f)(5)(vi)(D)

プラットフォーム上のそれぞれのガイドトラックは十分に操作がしやすく、プラットフォーム上で作業する者が簡単にガイドボタンにはめ付け、プラットフォーム上の保管場所から簡単に出し入れできるものでなければならない。

1910.66(f)(5)(vi)(E)

プラットフォームには2本のガイドトラックを搭載し、建物表面との常時接触をもたらさなければならない。

1910.66(f)(5)(vi)(F)

ボタンガイド安定化システムの部材を保持する荷重は、プラットフォームの重量を支えることができるものでなくてはならない。ちなみに、このシステムは荷重をプラットフォームに伝える。また、ガイドトラック接続器やプラットフォームアタッチメントに工夫をして、プラットフォームの自重がプラットフォームアタッチメントに伝わらないようにしなくてはならない。

注:典型的なボタンガイド安定システムの詳細については、本セクション補遺B第III図を参照のこと。

1910.66(f)(6)

支持装置

1910.66(f)(6)(i)

支持装置は、摩擦以外の方法で、建物外面に対して垂直な位置を維持しなければならない。

1910.66(f)(6)(ii)

はめば歯車または同等の手段を組み合わせ、支持装置と建物ガイド間に上昇牽引力を供給しなければならない。ガイドホイールまたはガイドシューを必要となったら組み込み、ドライブホイールと建物ガイドが、確実にかみ合った状態で連続的に保持されることを担保しなければならない。

1910.66(f)(6)(iii)

建物ガイドにかみ合わされ、建物ガイドと心を合わせている発進ガイド縦仕切りは、建物ガイドに挿入するドライブホイールの中心を合わせる際に使用されなければならない。

1910.66(f)(6)(iv)

支持装置上で使用される人が乗るプラットフォームは、本セクションの支持装置について詳述したパラグラフ(f)(5)(ii)(A)、(f)(5)(ii)(B)及び(f)(5)(ii)(D)から(K)の規定に適合しなければならない。

1910.66(f)(7)

吊り下げ用ワイヤーロープおよびロープの接続

1910.66(f)(7)(i)

それぞれの特定設備は、吊り下げワイヤーロープまたは組み合わせケーブルと接続器を使用しなくてはならないが、それらは使用ホイスト機製造メーカーが推奨する仕様を満足するものでなくてはならない。接続器は、ワイヤーロープの定格破壊強さの、少なくとも80%を発揮する能力がなくてはならない。

1910.66(f)(7)(ii)

それぞれの吊り下げロープは少なくとも10の「設計係数」を持っていなければならない。「設計係数」は定格作業荷重に対する吊りワイヤーロープの定格強さの比率で、これは次の公式を用いて計算されなければならない。

F = S(N) / W

このとき:
F=設計係数
S=1本の吊り下げロープの製造メーカーによる定格強さ
N=荷重下の吊り下げロープの本数
W=いずれかの移動点における全ロープにかかる定格作業荷重

1910.66(f)(7)(iii)

吊り下げワイヤーロープの等級は、少なくとも改良型プラウ綱またはそれと同等でなくてはならない。

1910.66(f)(7)(iv)

吊り下げワイヤーロープは、必要な設計係数に適合するサイズに合わされなくてはならないが、直径が7/16インチ(7.94mm)より小さくてはならない。

1910.66(f)(7)(v)

6本のワイヤーロープの撚りの中で、逆向きの折り返しが許されるのは一つにとどめなければならない。

1910.66(f)(7)(vi)

吊り下げワイヤーロープが特定の場所で使用されしばらくその場所から動かないとき、耐腐食性の銘板が、しっかりとワイヤーロープ留め具のひとつに取り付けられなくてはならない。この銘板には、次のワイヤーロープデータを表示しなければならない。

1910.66(f)(7)(vi)(A)

直径(インチおよび/またはミリメートル)。

1910.66(f)(7)(vi)(B)

構造分類。

1910.66(f)(7)(vi)(C)

予備形成品かそうではないものか。

1910.66(f)(7)(vi)(D)

部材の等級。

1910.66(f)(7)(vi)(E)

製造メーカーの定格強さ。

1910.66(f)(7)(vi)(F)

製造メーカー名。

1910.66(f)(7)(vi)(G)

ロープの設置年月。および、

1910.66(f)(7)(vi)(H)

ロープを設置した作業者名または会社名。

1910.66(f)(7)(vii)

ロープが更新されるたびに新しい銘板を添付しなくてはならない。

1910.66(f)(7)(viii)

ロープが改めてソケット止めされる時、最初の銘板に再ソケット止めをした年月日を型押ししなくてはならない。または、最初の銘板はそのままにして、補助銘板を供給しなくてはならない。その補助銘板には、ロープの再ソケット止めが行われた日付とそれを行った作業者名、または会社名が示されなくてはならない。

1910.66(f)(7)(ix)

巻き上げドラムタイプのホイスト機は、吊り下げユニットが垂直移動の最低点に達したとき、ドラム上に少なくても3巻きの吊り下げワイヤーロープを残していなければならない。

1910.66(f)(7)(x)

牽引ドラムタイプおよびシーブタイプのホイスト機は、吊り下げユニットが垂直移動の最低点に達することのできる十分な長さのワイヤーロープと、それに加えて少なくても4フィート(1.2m)の長さのワイヤーロープを、備えなくてはならない。

1910.66(f)(7)(xi)

ワイヤーロープを長くしたり修理することは禁止されている。

1910.66(f)(7)(xii)

吊り下げワイヤーロープにバビット合金張り止めをすることは禁止されている。

1910.66(f)(8)

制御回路、電力回路およびその部材

1910.66(f)(8)(i)

電気配線および電気装置は、本セクションがそれとは別の要求をする場合を除き、本パートのサブパートSに適合しなくてはならない。

1910.66(f)(8)(ii)

電気ランウェイ伝導体システムは屋外設置用に設計されたタイプのものとし、積もった雪や溜まった水に接触しないように設置されなければならない。

1910.66(f)(8)(iii)

ケーブルは、張力のかかり過ぎやその他の原因より生じる損傷から防護されなければならない。

1910.66(f)(8)(iv)

電気荷重の超過、3位相反転、位相不良に対して防護する機械のための制御システムには、装置が含まれていなければならない。この制御システムには、方向制御回路とは独立した別途の方法が備えられなくてはならず、それにより緊急時や機能不全の際は電力回路を切断する。

1910.66(f)(8)(v)

吊り下げ装置または支持装置には、装置の操作者が事前に定めた手続きに従う必要のある制御システムが備えられなくてはならない。

1910.66(f)(8)(vi)

次の規定が電気防護装置に適用されなくてはならない。

1910.66(f)(8)(vi)(A)

台車の転倒に対する安全係数が4より小さい設備上では、電気接触を備えて吊り下げ装置または支持装置の操作装置が操作可能となるのは、台車が既存の操作点に位置して機械的にその場所にとどまるときだけ、となるように接続されなければならない。

1910.66(f)(8)(vi)(B)

過剰荷重防護をホイストシステムや吊り下げシステムに備えて、プラットフォームの定格荷重の125%を越える荷重と共に“上”方向に作動する装置を防護しなくてはならない。

1910.66(f)(8)(vi)(C)

自動検知器をそれぞれの吊り点に備えなくてはならない。この検知器はすべてのホイスト機モーターの“下”向き移動の電力を遮断し、吊り下げワイヤーロープが弛んだら主要ブレーキを掛けるようになっている。艤装中の使用に設計された連続押し艤装バイパススイッチは使用が許可されている。     このスイッチは艤装の際だけに使用されなくてはならない。

1910.66(f)(8)(vii)

吊り下げユニットが安全な上方限界や下方限界を超えて移動しないように設計された、上下方向スイッチが備えられなければならない。

1910.66(f)(8)(viii)

緊急停止スイッチを、遠隔操作のルーフ駆動有人プラットフォームの、操作センター近くに備えなければならない。

1910.66(f)(8)(ix)

常時緊張しているケーブルには、過剰荷重装置を備えなければならない。これはケーブルの緊張が荷重制限装置を遮断しないように防ぐもので、本セクションのパラグラフ(f)(8)(vi)(B)に規定されている。または、プラットフォーム横揺れ制限装置を遮断しないように防ぐもので、本セクションのパラグラフ(f)(5)(ii)(C)に規定されている。こうした装置の据え付けは、システムの設計時に、他の過剰荷重装置の据え付けと調整しなくてはならない。また、装置上か装置のそばにはっきりと表示しなくてはならない。装置は“下”向き移動の際には遮断されなくてはならない。

1910.66(g)

検査と試験

1910.66(g)(1)

設置と変更 すべての設置が完了した建物メンテナンス用装置設置物は、現場で検査と試験を行わなくてはならない。これは、実際の稼動を開始する前に行われるもので、設備のすべてのパーツが本基準の適用規定に適合するかどうかを決定し、また、安全と操作装置が必要とされているとおりに機能しているかどうかを決定する。同様の検査と試験が、既存の設備に主要な変更があった場合、その変更の後に行われなくてはならない。設備中のどのようなホイストにも、定格荷重の125%を超える荷重をかけてはならない。

1910.66(g)(2)

定期検査と定期試験

1910.66(g)(2)(i)

定格建物支持構造物は、12ヶ月を越えない間隔で適任者により定期検査を受けなくてはならない。

1910.66(g)(2)(ii)

装置のすべてのパーツは、制御システムを含み、検査されなくてはならない。および、必要があれば、適任者によって製造メーカーまたは供給者が特定する間隔で試験されなくてはならない。ただし、12ヶ月を越えてはいけない。これは、装置が安全な操作状態にあることを確認するためのものである。摩耗しやすいパーツ、例えばワイヤーロープ、ベアリング、ギア、およびガバナーは、設備の安全運転に影響するほどには摩耗していないことを判断するために、検査および試験されなくてはならない。

1910.66(g)(2)(iii)

建物の所有者は、本セクションのパラグラフ(g)(2)(i)および(ii)が規定するように、検査と試験の認証記録を保管しておかなくてはならない。この認証記録には、検査日、検査を行った人の署名、建物支持構造物の番号、またはその他の認識媒体、および、検査された装置、が含まれなくてはならない。この認証記録は労働次官、労働次官の代理人、および事業主が調べるときすぐに閲覧できるようにしておかなければならない。

1910.66(g)(2)(iv)

作業用プラットフォームとそのコンポーネントは、事業主によって見てわかる欠陥があるかどうかを検査しなければならない。これを行うのは、使用する前、およびプラットフォームの構造的な完全性を損なうような出来事があった後である。

1910.66(g)(3)

メンテナンス検査およびメンテナンス試験

1910.66(g)(3)(i)

メンテナンス検査および、必要があれば、メンテナンス試験は、それぞれのプラットフォーム設備に対し30日毎に行われなくてはならない。作業の周期が30日以下の所では、こうした検査・試験はその周期の始まる前に行われなくてはならない。この検査・試験は、製造者が勧める手続きを踏み、適任者によって行われなくてはならない。

1910.66(g)(3)(ii)

建物の所有者は、本セクションのパラグラフ(g)(3)(i)の規定により、行われたそれぞれの検査・試験の認証記録を保管しなくてはならない。その認証記録には、検査・試験の日時、検査・試験を行った人の署名、検査されたプラットフォーム設備の認識手段が含まれなくてはならない。認証記録は、労働次官、労働次官の代理人、および事業主が調べるときすぐに閲覧できるようにしておかなくてはならない。

1910.66(g)(4)

ガバナーと二次ブレーキの特別検査

1910.66(g)(4)(i)

ガバナーと二次ブレーキは、製造者/供給者が特定する間隔で検査・試験されなければならないが、その間隔は12ヶ月を越えてはならない。

1910.66(g)(4)(ii)

検査および試験の結果は、二次ブレーキのスタート装置が適切な速度で作動していたことを確認するものでなくてはならない。

1910.66(g)(4)(iii )

検査および試験の結果は、二次ブレーキが適切に機能していたことを確認するものでなくてはならない。

1910.66(g)(4)(iv )

ホイスト機または二次ブレーキシステムのスタート装置が試験のために装置から取り外された場合、再設置されるコンポーネントおよび直接関連するコンポーネントは、装置を実地稼動に戻す前に、再検査されなければならない。

1910.66(g)(4)(v)

ガバナーおよび二次ブレーキの検査は、適任者によって行われなければならない。

1910.66(g)(4)(vi)

二次ブレーキガバナーおよび始動装置は、毎日使用する前に検査されなければならない。検査が実行可能でない場合、その代わりに目視検査を行って操作できることを確認しなくてはならない。

1910.66(g)(5)

吊り下げワイヤーロープのメンテナンス、検査および取り替え

1910.66(g)(5)(i)

吊り下げワイヤーロープは、ワイヤーロープ製造者が勧める手続きに従って、メンテナンスが行われ使用されなくてはならない。

1910.66(g)(5)(ii)

吊り下げワイヤーロープは、適任者によって検査が行われなくてはならないが、これは目に見える欠陥および著しい損傷がないかどうかを、使用の前および完全性に影響するかもしれない事故の後に行う。

1910.66(g)(5)(iii)

使用中の吊り下げワイヤーロープの徹底検査が、ひと月に1回行われなくてはならない。30日またはそれ以上使用されていなかった吊り下げワイヤーロープは、再び使用される前に、徹底的な検査が行われなくてはならない。吊り下げワイヤーロープのこうした徹底検査は、適任者によって行われなくてはならない。

1910.66(g)(5)(iv)

吊り下げワイヤーロープ取り替えの必要性は、検査によって決定され、ワイヤーロープの状態に基づかなくてはならない。次のような状態または状態の組み合わせは、ワイヤーロープを取り外す原因となる。

1910.66(g)(5)(iv)(A)

1本の子縄に3本以上の切れたワイヤーがある。または1本のロープに6本以上の切れたワイヤーがある。

1910.66(g)(5)(iv)(B)

ロープ構造が押し潰されたり捻れた結果、歪んでいる。

1910.66(g)(5)(iv)(C)

熱による損傷の証拠がある。

1910.66(g)(5)(iv)(D)

腐食によるロープ劣化の証拠がある。

1910.66(g)(5)(iv)(E)

端部アタッチメントから18インチ(460.8mm)以内でワイヤーが切れている。

1910.66(g)(5)(iv)(F)

目に付く錆とへこみがある。

1910.66(g)(5)(iv)(G)

芯部不良の証拠(ロープの撚りが長くなっていたり、ロープの芯が外に出ていたり、ロープの直径が小さくなっている場合)。または、

1910.66(g)(5)(iv)(H)

1本以上の窪みが切れている(ワイヤーが切れている)。

1910.66(g)(5)(iv)(I)

外側のワイヤーの摩耗が、本来の外側ワイヤーの直径の1/3を越えている。

1910.66(g)(5)(iv)(J)

検査適任者がロープの完全性を著しく損なっていると決定した、その他の状態がある。

1910.66(g)(5)(v)

建物の所有者は、本セクションのパラグラフ(g)(5)(iii)が規定するように、吊り下げワイヤーロープの月例検査の認定記録を保管しなくてはならない。この記録には、検査日、検査を行った人の署名、検査を受けたワイヤーロープの番号、またはその他の認識手段を含まなくてはならない。この検査記録は、労働次官、労働次官の代理人、および事業主が調べるときはすぐ閲覧できるようにしておかなくてはならない。

1910.66(g)(6)

ホイスト検査 建物の最上の高さから作業者を降ろす前に、ホイストは毎日検査されなければならない。この検査は、予想荷重を載せて吊る方向に行うもので、元の高さへ作業員を引き揚げる能力が十分にあることを確認する。

1910.66(h)

メンテナンス

1910.66(h)(1)

一般メンテナンス 装置の中の安全操作に影響するすべてのパーツは、正常な運転ができる状態にメンテナンスを行わなくてはならない。そうすることで、パーツは本来意図された機能を発揮することができる。正常運転ができる状態にない装置は、実地稼動から外さなければならない。

1910.66(h)(2)

クリーニング

1910.66(h)(2)(i)

制御装置、電力接触器、中継器は清潔に保たなければならない。

1910.66(h)(2)(ii)

他のすべてのパーツも、ゴミやその他の汚染物質があるために適切な機能が影響を受けないように、清潔に保たなければならない。

1910.66(h)(3)

ワイヤーロープ留め具の定期再ソケット止め

1910.66(h)(3)(i)

ソケット止め締め具を使用しているホイスト用ロープは、24ヶ月を越えない間隔でドラム側ではない端部を再ソケット止めしなくてはならない。ロープの再ソケット止めに際しては、ロープの端から十分な長さを切って、損傷した部分または疲弊した部分を取り除かなくてはならない。

1910.66(h)(3)(ii)

再ソケット止めしたロープは、本セクションのパラグラフ(f)(7)の規定に適合しなくてはならない。

1910.66(h)(3)(iii)

再ソケット止めしたロープにより影響を受ける制限器スイッチは、必要があれば、リセットしなくてはならない。

1910.66(h)(4)

吊り下げワイヤーロープの定期再シャックル ホイストロープは24ヶ月を越えない間隔で、ドラム側ではない端部を再シャックルしなくてはならない。ロープを再シャックルするとき、ロープの端から十分な長さを切り落とし、損傷を受けた部分や疲弊している部分を取り除かなくてはならない。

1910.66(h)(5)

ルーフシステム ルーフトラックシステム、固定用具、または同様な装置は、正常運転ができる状態にメンテナンスを行い、本来意図されている機能が発揮できるようにしなくてはならない。

1910.66(h)(6)

建物表面ガイド部材 T字型レール、湾入縦仕切り、または建物の表面に位置する同等なガイドは、正常運転ができる状態にメンテナンスを行い、本来意図されている機能が発揮できるようにしなくてはならない。ケーブル安定器のブラケットは同様に正常運転ができる状態にメンテナンスを行わなければならない。

1910.66(h)(7)

操作停止の安全装置 誰も必要な安全装置または電気防護装置を、無効な状態にしてはならない。これの例外となるのは、試験、検査およびメンテナンスで停止が必要になったときだけである。こうした試験、検査、メンテナンスが終了したら直ちに、装置は通常の操作状態に戻されなくてはならない。

1910.66(i)

操作

1910.66(i)(1)

訓練

1910.66(i)(1)(i)

作業用プラットフォームは、操作するその特定の作業用プラットフォームの操作、安全な使用方法、および検査に精通している人によって操作されなければならない。

1910.66(i)(1)(ii)

作業用プラットフォームを操作するすべての労働者は、次の内容の訓練を受けなくてはならない。

1910.66(i)(1)(ii)(A)

それぞれの業務に関連した安全に対する危険の認識とそれに対する防止策。

1910.66(i)(1)(ii)(B)

作業用プラットフォーム使用に関連する、安全に対する危険の全般的な認識および防止策。使用する作業用プラットフォームに関したセクションの規定を含む。

1910.66(i)(1)(ii)(C)

本セクションのパラグラフ(e)(9)で規定する緊急時活動計画方法。

1910.66(i)(1)(ii)(D)

本セクションのパラグラフ(i)(1)(iv)で規定する作業手順。

1910.66(i)(1)(ii)(E)

個人用落下防止システム検査、手入れ、使用、およびシステムの性能。

1910.66(i)(1)(iii)

作業用プラットフォームの操作と検査に関する労働者の訓練は、適任者によってなされなければならない。

1910.66(i)(1)(iv)

作業用プラットフォームの操作、安全な使用、および検査に関する記述された作業手順書が、作業者訓練に使用されなければならない。その方法を用いることで労働者の理解が良くなるのならば、文章の作業手順書の代わりに絵を使った指導方法を使用してもよい。製造者から供給されたプラットフォームシステムのコンポーネントの操作マニュアルがこうした手順書の基礎となる。

1910.66(i)(1)(v)

事業主は、労働者が作業用プラットフォームの操作・検査訓練を受けた旨を、認証記録を発行して認証しなくてはならない。これに含まれるのは、訓練を受けた人が誰であるか、事業主の署名または訓練を行った人の署名、および訓練が終了した日付である。認証記録は、本セクションのパラグラフ(i)(1)(ii)で規定される訓練の終了と共に用意されなくてはならない。また、労働者の雇用が続く期間中、この記録はファイルに保管されなくてはならない。認証記録は、労働次官および労働次官の代理人がすぐ目を通せるようにしておかなくてはならない。

1910.66(i)(2)

使用

1910.66(i)(2)(i)

作業用プラットフォームには、プラットフォーム定格荷重銘板に記されているように、定格を超える荷重をかけてはならない。

1910.66(i)(2)(ii)

労働者は、プラットフォームを覆う雪、氷、またはその他の滑りやすい物質の上で作業してはならない。ただし、そうした物質が取り除かれた場合はその限りではない。

1910.66(i)(2)(iii)

適切な予防措置を取って、プラットフォーム、ワイヤーロープおよび親綱を酸やその他の腐食性物質から防護しなくてはならない。これは、腐食物質製造者、その供給者、プラットフォーム製造者、またはその他の同等な情報源からの勧めに従うものである。酸またはその他の腐食性物質にさらされたプラットフォームの部材は、腐食性物質製造者または供給者の勧める頻度で、中和溶液を用いて洗い流さなくてはならない。

1910.66(i)(2)(iv)

プラットフォームの部材、ワイヤーロープおよび親綱は、熱の発生する工程で使用する場合、適切に防護されなくてはならない。加熱工程に接触したワイヤーロープおよび親綱は、永久に損傷を受けたと見なされ、使用してはならない。

1910.66(i)(2)(v)

プラットフォームは、毎時25マイル(40.2km/時)を越える風の中で操作してはならない。ただし、操作位置から保管位置へ移動させる場合を除く。風速は利用可能な最良の情報に基づいて決定されなければならない。これには、現場の風速計の示度、およびその地域の風速を予報する地方気象予報が含まれる。

1910.66(i)(2)(vi)

屋外設備上では、風速計をプラットフォームに搭載し、プラットフォーム使用前および使用中に現場の風速情報を提供しなくてはならない。風速計は、プラットフォーム使用中に一時的に搭載する携帯(手持ち)ユニットでも構わない。

1910.66(i)(2)(vii)

工具、部材および進行中の作業とは無関係な材料の残骸は、プラットフォーム上に蓄積されることがあってはならない。安定つなぎは、プラットフォームの全長に沿って邪魔のない通路を確保するように、位置されなくてはならない。また、ローラー、ホイスト、その他の機械に絡まないような長さにしなくてはならない。

1910.66(j)

個人用落下防護 作業用プラットフォーム上の労働者は、本基準のセクションI、補遺Cの規定を満足する個人用落下防止システムで防護されなくてはならない。および、本基準が別途規定したように防護されなくてはならない。

[参照官報:61 FR 5567, 1996年2月13日;61 FR 9227, 1996年3月7日]


1910.67 車輌搭載昇降・回転型作業用プラットフォーム

1910.67(a)

本セクションに適用する定義

1910.67(a)(1)

「エアリアル装置:Aerial device」とは、望遠鏡式に伸縮するタイプ、あるいは関節接合されたタイプ、の車輌に搭載した装置、またはその両方のタイプの装置で、労働者を高所に位置させるために使用する装置である。

1910.67(a)(2)

「エアリアルラダー:Aerial ladder」とは、単一、または複数のセクションが伸縮するはしごから構成される、エアリアル装置のひとつである。

1910.67(a)(3)

「関節式ブームプラットフォーム:Articulating boom platform」とは、2つかそれ以上の蝶番結合されたブームセクションを持つ、エアリアル装置のひとつである。

1910.67(a)(4)

「伸縮式ブームプラットフォーム:Extensible boom platform」とは、望遠鏡式または伸縮自在のブームを有するエアリアル装置(はしごを除く)をいう。人を乗せるプラットフォーム付きの望遠鏡式デリックは、作業者プラットフォーム付きで使用する場合、伸縮自在ブームプラットフォームであると見なされなければならない。

1910.67(a)(5)

「絶縁エアリアル装置:Insulated aerial device」とは、電流の流れている導線および装置の上で作業を行うために設計されたエアリアル装置である。

1910.67(a)(6)

「モービルユニット:Mobile unit」とは、エアリアル装置、その車輌、および関連機器の組み合わせをいう。

1910.67(a)(7)

「プラットフォーム:Platform」とは、エアリアル装置の一コンポーネントで、人を載せる装置(バスケットまたはバケット)をいう。

1910.67(a)(8)

「車輌:Vehicle」とは、人力では推進しない運搬装置をいう。

1910.67(a)(9)

「垂直タワー:Vertical tower」とは、実質的に垂直軸上に、プラットフォームを昇降させるために設計されたエアリアル装置である。

1910.67(b)

一般規定

1910.67(b)(1)

本セクションにおいて別途規定されない限り、1975年7月1日以降に取得したエアリアル装置(エアリアルリフト)は、米国基準「車輌搭載昇降・回転型作業用プラットフォーム」ANSI A92.2-1969および補遺に従って、設計、製造されたものでなければならない。この基準は1910.6に挙げているように、官報掲載がなされている。1975年7月1日以前に、使用目的で取得したエアリアルリフトでANSI A92.2-1969の規定に適合しないものは、ANSI A92.2-1969の該当する設計、構造規定に適合するように改造されない限り、1976年7月1日以後は使用することができない。エアリアル装置は、地上より高い作業場に人を運ぶために使用する次の型の車輌搭載エアリアル装置を含む。

1910.67(b)(1)(i)

伸縮自在ブームプラットフォーム。

1910.67(b)(1)(ii)

エアリアルラダー。

1910.67(b)(1)(iii)

関節式ブームプラットフォーム。

1910.67(b)(1)(iv)

垂直タワー。および、

1910.67(b)(1)(v)

上記装置の組み合せ装置。エアリアル装置は、金属製、木製、ファイバーグラス強化プラスチック(FRP)製、またはその他の材料製とすることができる。動力付きでも、手動式でもよい。実質的に垂直な軸のまわりを回転できるものであっても、回転できないものであっても、エアリアルリフトと見なす。

1910.67(b)(2)

エアリアルリフトは、製造者が意図した使用法以外の方法で使用するために、「現場改造」を行なうことができる。ただし、その改造は、製造者またはそれと同等な他の団体、例えば国家認定試験機関により、ANSI A92.2-1969の該当する規定および本セクションに適合しており、少なくとも改造以前の装置と同等の安全性を有することが、文書によって証明されなければならない。

1910.67(b)(3)

本セクションの規定は、消防用装置またはエアリアル装置が搭載されている車輌自体には適用しない。ただし、車輌がエアリアル装置の安定支持体として規定されている場合はこの限りでない。

1910.67(b)(4)

エアリアルリフトの架線電力線の頭上近くでの操作に関しては、1910.333(c)(3)を参照のこと。

1910.67(c)

個別規定

1910.67(c)(1)

はしご車およびタワートラック トラックが高速道路上を移動する前に、エアリアルラダーは下方の走行位置に固定されなければならない。これは、トラック運転席の上のロック装置、はしごの基部の手動操作装置、または同様の効力を持つ手段(例えば、はしごの回転を防ぐ受け台を線形アクチェエータと共に使用する等)によって行う。

1910.67(c)(2)

伸縮式および関節式ブームプラットフォーム

1910.67(c)(2)(i)

リフトの制御装置は毎日使用前に試験し、制御装置が安全な作動状態にあることを決定しなければならない。

1910.67(c)(2)(ii)

訓練を受けた者のみがエアリアルリフトの操作に当らなければならない。

1910.67(c)(2)(iii)

エアリアルリフトで作業中に、安全帯を外して隣接する柱、構造物、あるいは同等のものに乗ることは許されない。

1910.67(c)(2)(iv)

労働者はバスケットの床にしっかり立ち、バスケットの縁に座ったり昇ったりしてはならない。また作業を行う場所で、厚板材、はしご、その他の装置を使用してはならない。

1910.67(c)(2)(v)

エアリアルリフトで作業するときは、胴帯を着用して綱をブームかバスケッ卜に取り付けなければならない。

1910.67(c)(2)(vi)

製造者によって特定されたブームおよびバスケットの荷重制限を超えることがあってはならない。

1910.67(c)(2)(vii)

ブレーキがセットされなければならない。アウトリガーを使用する場合は、パッドまたは堅い面の上に位置させなければならない。エアリアルリフトを傾斜地で使うときは、使用前に車輪どめをかけなければならない。

1910.67(c)(2)(viii)

バスケットに人を乗せてブームが作業位置を上昇しているときは、エアリアルリフトトラックを動かしてはならない。ただし、本セクションのバラグラフ(b)(1)および(b)(2)の規定に従って、そのような作業に向けて特別に設計されている場合は、この限りでない。

1910.67(c)(2)(ix)

関節式ブームおよび伸縮式ブームプラットフォームは、そもそもは人を乗せて運ぶように設計されたもので、プラットフォーム制御装置(上部制御装置)と下部制御装置の両方を備えていなければならない。上部制御装置はプラットフォーム内か側面の、操作者から容易に手のとどくところに備えなければならない。下部制御装置は、上部制御装置より優先するように設けられなければならない。制御装置には、簡単にその機能を示すマークを付けなければならない。下部制御装置は、非常の場合を除き、リフト内にいる労働者の許可を得ずに操作してはならない。

1910.67(c)(2)(x)

エアリアルリフトから作業している間は、クライマーを着用してはならない。

1910.67(c)(2)(xi)

エアリアルリフ卜の絶縁部分は、どのような方法であっても、その絶縁値を減じるような変更を行なってはならない。

1910.67(c)(2)(xii)

移動のためエアリアルリフトを動かす前には、本セクションのパラグラフ(c)(2)(viii)に規定する場合を除き、ブームが正しく所定の位置に固定されているかどうか、またアウトリガーが収納位置にあるかどうかを検査しなければならない。

1910.67(c)(3)

電気試験  電気試験は、ANSI A92.2-1969、セクション5の規定に従って行なわなければならない。しかしながら、ANSI A92.2-1969に規定された交流電圧試験のかわりに、同等の直流電圧試験を行なうことができる。装置の製造者または同等の機関によって承認された直流電圧試験は、本パラグラフ(c)(3)の目的に沿った同等の試験と見なされなくてはならない。

1910.67(c)(4)

破裂安全係数  すべての決定的水圧・空圧コンポーネントは、米国基準ANSI A92.2-1969セクション4.9「破裂安全係数」の規定に従わなければならない。決定的コンポーネントとは、それが故障するとブームが自由落下または自由回転することとなる装置をいう。すべての非決定的要素部品は少くとも2から1の破裂安全係数を持たなければならない。

1910.67(c)(5)

溶接基準  すべての溶接は、次の自動車溶接協会(AWS)基準の、適用可能な規定に従わなければならない。この基準は1910.6において挙げられているように、官報掲載がなされている。

1910.67(c)(5)(i)

「標準資格証明手続き」AWS B3.0-41

1910.67(c)(5)(ii)

「自動車溶接設計に関する推奨実践法」AWS D8.4-61

1910.67(c)(5)(iii)

「配管時の溶接手順および溶接工に関する標準資格」AWS D10.9-69

1910.67(c)(5)(iv)

「高速道路橋および鉄道橋の溶接仕様」AWS D2.0-69

[参照官報:39 FR 23502, 1974年6月27日、40 FR 13439, 1975年3月26日改正;55 FR 32014, 1990年8月6日;61 FR 9227, 1996年3月7日]


1910.68 マンリフト

1910.68(a)

本セクションに適用する定義

1910.68(a)(1)

「取手(握り):Handhold (Handgrip)」  取手はベルトに取り付けた装置で、乗客が握ってバランスを保つ手段として備えられている。

1910.68(a)(2)

「オープン型:Open type」  握りの表面が全部むき出しになっており、乗客の指で包んで握れるようになっている握りをいう。

1910.68(a)(3)

「クローズ型:Closed type」  コップ形の装置で、踏み段の移動方向にその上部が開いており、この踏み段のためにこの装置は使われることになる。底は閉じていて、その中に乗客が指を入れることのできる装置である。

1910.68(a)(4)

「リッミトスイッチ:Limit switch」  荷重のかかった踏み段が最終乗降用床を通過してしまった場合、モータへの電源を遮断し、ブレーキをかけてキャリアを停止させるための装置をいう。

1910.68(a)(5)

「マンリフト:Manlift」  動力駆動の継ぎ目なしベルトから構成され、一方向にのみ移動する装置で、これには踏み段かプラットフォーム、および取手が取り付けられていて、人を床から床へ運搬する。

1910.68(a)(6)

「定格速度:Rated speed」 定格速度とは、装置がそれを基準にして移動するように設計され設置されている速度のことである。

1910.68(a)(7)

「スプリットレールスイッチ:Split-rail switch」  マンリフトの踏み段のローラーによって、機械的に操作される電気リミットスイッチである。このスイッチは、正規の案内レールに取り付けられた蝶番結合による補助レール、または「スプリット」レールから成り、この上を踏み段ローラーが通過する。「スプリット」の位置にバネの力がかかっている。踏み段に荷重がかかっていない場合は、ローラーはスイッチに「ぶつかる」が、荷重のかかった踏み段がその部分を通過すると、スプリットレールは力がかかってまっすぐになり、スイッチを作動させ、電気回路を開く。

1910.68(a)(8)

「踏み段(プラットフォーム):Step (platform)」  踏み段は、乗客の運搬ユニットである。

1910.68(a)(9)

「移動距離:Travel」  移動距離とは、上部プ−リと下部プ−リの中心間の距離をいう。

1910.68(b)

一般規定

1910.68(b)(1)

適用  本セクションは、事故の危険に関したマンリフトの建造、保守、検査、および操作に適用する。本セクションに規定されるマンリフトは、プラットフォームまたはブラケット、および附属手すりを搭載または取り付けた継目なしベルトから構成され、縦方向の一方向にのみ運行され、上部および下部プーリによって支持され運転される。このマンリフトは人のみを運搬するためのものである。本セクションは、エスカレータ、箱形プラットフォーム付きのエレベータ(“パタノスタ”エレベータ)、重力リフト、あるいは資材運搬専用のコンベアを規定する意図はない。本セクションは、作業員のみの運搬目的に使用するマンリフトに適用するもので、その作業員は事業主がこれらの使用について訓練し許可を与えている。

1910.68(b)(2)

目的  本セクションの目的は、生命および身体の適切な安全を図ることである。

1910.68(b)(3)

設計規定  すべての新規のマンリフト設備、および、これら規則規定の発効日以降に据え付けられる装置は、米国基準「マンリフト安全規格」ANSI A90.1-1969の設計規定、および本セクションの規定に適合しなければならない。この基準は1910.6に挙げられているように、官報掲載がなされている。

1910.68(b)(4)

他の規格およびサブパートの参照 次の規格および本パートのサブパートは、本セクションに適用する。「機械的動力伝導装置安全規定」ANSI B15.1-1953(改正1958)およびサブパートO、サブパートS、「固定はしごの安全規格」 ANSI A14.3-1956、および「床・壁の開口、手すり、およびつま先板に関する安全規定」ANSI A12.1-1967、およびサブパートD。上記のANSI規格については、1910.6に挙げられているとおり、官報掲載がなされている。

1910.68(b)(5)

床開口

1910.68(b)(5)(i)

許容寸法  上昇および下降両方向走路のための床開口は、12インチ幅ベルトについては28インチ以上36インチ以下の幅、14インチ幅ベルトについては34インチ以上38インチ以下の幅、また、16インチ幅ベルトについては36インチ以上40インチ以下の幅がなければならない。さらに、ベルト面から24インチ以上28インチ以下の空間がなければならない。

1910.68(b)(5)(ii)

均一性  所定のマンリフトは、床開口はすべて均一の寸法でほぼ円形をなし、下の開口上に垂直に位置されていなければならない。

1910.68(b)(6)

乗降床

1910.68(b)(6)(i)

縦空間  床または取り付け用プラットフォームと、その上方の、本パラグラフのサブパラグラフ(7)によって規定された円錐形ガード下縁との間の空隙は、7フィート6インチ以下であってはならない。この空瞭を備えることができない場合、マンリフトへの接近路を設けてはならず、また、そうした床を通過する場合、マンリフト走行路はその部分を閉じておかなければならない。

1910.68(b)(6)(ii)

乗降用床面のかたづけ  床開口に隣接する乗降用床面は、常に邪魔な物のないすっきりした状態にしておかなければならない。この乗降用床面の空間は、乗り降りに使う床開口の縁から少なくとも2フィートの幅がなければならない。

1910.68(b)(6)(iii)

照明および乗降床面  それぞれの乗降用床面には、リフト稼動中は常時、5フットカンデラ以上の適切な照明を備えておかなければならない。

1910.68(b)(6)(iv)

乗降用床面  マンリフトの出入り口にある乗降用床の表面は、常に安全に歩けるように建設・維持しなければならない。

1910.68(b)(6)(v)

非常用踊り場  乗降用床間の距離が50フィート以上ある場合、ひとつまたはそれ以上の緊急用踊り場を設け、マンリフトの移動距離25フィート毎またはそれ以下毎に乗降床(フロアー毎の乗降床または非常用踊り場)があるようにしなければならない。

1910.68(b)(6)(v)(a)

非常用踊り場には、マンリフトの上昇および下降双方の横桟から進入できるようにし、本パラグラフのサブパラグラフ(12)に規定するはしごへ進入できるようにしておかなければならない。

1910.68(b)(6)(v)(b)

非常用踊り場は、標準の手すりとつま先板で完全に覆われていなければならない。

1910.68(b)(6)(v)(c)

検査、注油、修理のためのバケットエレベータ、またはその他の装置へ接近するために設置されたプラットフォームも、本ルールに基づき非常用踊り場としての役割を果たすことができる。そうしたプラットフォームはすべて、非常用踊り場の一部と見なし、標準手すりおよびつま先板を備えておかなければならない。

1910.68(b)(7)

床開口部下側の防護

1910.68(b)(7)(i)

固定型  マンリフト床開口部の上昇側には、次の規定に適合するべーベルガードまたはコーンを設けなければならない。

1910.68(b)(7)(i)(a)

コーンは水平に対し45度以上の角度をなしていなければならない。天井の高さが許せば、60度かそれ以上の角度を用いなければならない。

1910.68(b)(7)(i)(b)

このガードの下の縁は、ベルト上の取手から外側に少なくとも42インチは伸びていなければならない。上の床の上部表面を越えてはいけない。

1910.68(b)(7)(i)(c)

コーンは、米国ゲージ18番以上の綱板か、同等の強度または硬さを有する材料製でなければならない。下の縁は最小1/2インチ直径に丸みを付け、内側は、リベットやボルト、ねじ等が突き出ていない滑らかな面をしていなければならない。

1910.68(b)(7)(ii)

浮動型  本サブパラグラフのサブディビジョン(i)に規定する固定型ガードのかわりに、浮動型安全コーンを使用することができる。浮動型コーンは床の下側少なくとも6インチに蝶番で取り付け、蝶番に最も近いコーンの縁に2ポンドの力がかかった場合、リミットスイッチが起動する構造になっていなければならない。この浮動型コーンの深さは12インチを超える必要はない。

1910.68(b)(8)

出入口の防護

1910.68(b)(8)(i)

ガードレール規定  マンリフトヘの通路スペースに恵まれたすべての乗降用床面の出入口は、迷路式(千鳥型レール)か自閉式ゲートが備えられた手すりで防護しなければならない。

1910.68(b)(8)(ii)

構造  手すりはつま先板付きの標準手すりとし、それはANSI A12.1-1967「床・壁開口、手すり、およびつま先板に関する安全規定」および1910.23の規定に適合するものでなければならない。

1910.68(b)(8)(iii)

ゲート  ゲートは、使用するならば、外側に向って開く自閉式のものでなければならない。ゲートの角は丸くしなければならない。

1910.68(b)(8)(iv)

迷路式  迷路式または千鳥型開口は、囲いと外側床面の間の直接的な行き来を提供してはならない。

1910.68(b)(8)(v)

建物の間取り上できない場合を除き、すべての乗降用床面の入口は同一の位置関係になければならない。

1910.68(b)(9)

開口部のガード

1910.68(b)(9)(i)

構造  それぞれの乗降用床面の開口部は、出入口に使われる側以外の側を、壁、手すりとつま先板、または適切な強度の金網のパネルによってガードしなければならない。

1910.68(b)(9)(ii)

高さおよび位置 そうした手すりまたはガードの高さは、上向き走行側で少なくとも42インチ、下向き走行側で少なくとも66インチなければならない。

1910.68(b)(10)

底部配置

1910.68(b)(10)(i)

底部乗降用床  底部乗降用床(踊り場)においては、障害物のない面積がすぐ上の床のガードレールで囲われた面積よりも小さくてはならない。また、ベルトの下り走行側前面の壁は、ベルトの面から48インチ以上離れていなければならない。この空間は、階段やはしごによって侵害されていてはならない。

1910.68(b)(10)(ii)

下部プーリの位置  下部プーリ(ブートプーリ)は最下部乗降床面によって支持されるように据え付けなければならない。プーリの支持物の側面は、プーリまたは踏み段との接触を防止するため、ガードを取り付けなければならない。

1910.68(b)(10)(iii)

取り付け用プラットフォーム  最下部乗降床の上り走行側前面または一方の側面に、取り付け用プラットフォームを設けなければならない。但し、床の高さが次の規定に適合する場合はその限りでない。床、またはプラットフォームは、上に向う踏み段の上面が回転を終えて水平位置に来る点、またはそれより上に位置しなければならない。

1910.68(b)(10)(iv)

ガードレール 下向きに進む踏み段の下を歩く人を防護するため、マンリフトの下り側の領域は、本パラグラフのサブパラグラフ(8)に従ってガードしなければならない。取り付け用プラットフォームと上に向う踏み段の間に入る人を防護するため、ベルトとプラットフォーム間の領域はガードレールを設けて防護しなければならない。

1910.68(b)(11)

上部配置

1910.68(b)(11)(i)

床からの上の空隙 上部空隙は、最上部乗降用床の上方少なくとも11フィートの位置に設けなければならない。この空隙は、ベルトの各面を通る平面から床開口の直径より2フィート大きい直径を持ち、ベルトの上向き走行側に沿って最上部床から上方に天井まで伸びる、垂直円筒面までの間に維持しなければならない。構造部材または機械の支持部材が、この空間に侵入することは許されない。

1910.68(b)(11)(ii)

プーリ空隙

1910.68(b)(11)(ii)(a)

ヘッドプーリ軸の中心と天井の何らかの障害物との問に、少なくとも5フィートの空隙がなければならない。

1910.68(b)(11)(ii)(b)

ヘッドプーリ軸の中心は、最上部乗降用床上6フィート以上になくてはならない。

1910.68(b)(11)(iii)

非常用握り棒  ヘッドプーリまでの距離が最上部乗降床上6フィート以上ある場合、ヘッドプーリのところに非常用握り棒か手すり、およびプラットフォームを設けなければならない。6フィート以上ない場合は、非常用握り棒か手すりのみを設けて、緊急停止が働かなくなったときに、マンリフトに乗っている者がこれを握って自由に揺れることができるようにしなければならない。

1910.68(b)(12)

非常口はしご  マンリフトの全移動距離にわたって、マンリフトの上下走行路のいずれからも進入できる固定金属はしごを設けておかなければならない。このはしごは、現行のANSI A14.3-1956「固定はしごの安全規格」、および1910.27に適合するものでなければならない。

1910.68(b)(13)

レール筋交い  マンリフトの走行レールは、拡張、振動、および心ずれを起こさない方法で、しっかり据え付けなければならない。

1910.68(b)(14)

照明

1910.68(b)(14)(i)

総則  マンリフトの両走行路は、マンリフト稼動中は常に照明をあてておかなければならない。どの点も、1フートカンデラ以上の明るさに保っておかなければならない(ただし、踊り場の照明規定については、本パラグラフのサブバラクラ(6)(iii)を参照のこと)。

1910.68(b)(14)(ii)

照明の制御  マンリフト走行路の照明は、建物の回路に恒久的に接続された回路(スイッチなし)によって、あるいは各乗降床上に設けられたスイッチによって、制御されなければならない。各乗降床にそれぞれ別個のスイッチを設けるときは、そのどのスイッチによっても全走行路を照らすのに必要なすべての照明を点灯できなければならない。

1910.68(b)(15)

耐候性  マンリフトおよびその駆動機構はすべて、常時、天候から守られていなければならない。

1910.68(c)

機械規定

1910.68(c)(1)

機械、一般

1910.68(c)(1)(i)

ブレーキ  マンリフトを停止させその位置に保つために備えられたブレーキは、固有の性質として自己係合の性質を持ち、その係合を外すには外から力を加えなければならないものでなければならない。ブレーキは電気的に解放され、直接接続ユニットの場合はモータ軸に、またベルト駆動ユニットの場合は入力軸に、制動力をかけるものでなければならない。ブレーキは、下降側の各踏み段に250ポンドの荷重がかかったとき、マンリフトを停止させ、そこに保持できるものでなければならない。

1910.68(c)(1)(ii)

ベルト

1910.68(c)(1)(ii)(a)

ベルトは、硬織りカンバス地、ゴム引きカンバス地、革、またはその他の、本セクションのパラグラフ(b)(3)の強度規定に適合する材料製とし、適切な引張り装置と共に使用した場合、本サブパラグラフのサブディビジョン(i)に規定するブレーキ試験に適合する摩擦係数を有していなければならない。

1910.68(c)(1)(ii)(b)

ベルトの幅は、移動距離が100フィートを超えない場合は12インチ以上、移動距離が100フィートを超え150フィートまでの場合については14インチ以上、また、移動距離が150フィートを超えるものについては16インチ以上なければならない。

1910.68(c)(1)(ii)(c)

マンリフト使用中に裂けたベルトは、継ぎ合わせて再度使用してはならない。

1910.68(c)(2)

速度

1910.68(c)(2)(i)

最高速度 速度が毎分80フィートを超えるように設計されたマンリフトは、据え付けてはならない。

1910.68(c)(2)(ii)

保留

1910.68(c)(3)

プラットフォームまたは踏み段

1910.68(c)(3)(i)

最小奥行  踏み段またはプラットフォームの奥行きは、ベルトから踏み段またはプラットフォームの縁まで測って、12インチ以上14インチ以下としなければならない。

1910.68(c)(3)(ii)

幅  踏み段またはプラットフォームの幅は、それが取り付けられているベルトの幅より大きくなければならない。

1910.68(c)(3)(iii)

踏み段間の距離  踏み段の間隔は均等であって、ひとつの踏み段の上面からそのすぐ上の踏み段の上面まで測った距離が、16フィート以下であってはならない。

1910.68(c)(3)(iv)

踏み段の角度  踏み段の面は、ベルトの上り走行、および下り走行に対し、ほぼ直角になるように作られていなければならない。また、べルトの上り走行および下り走行に対し、ほぼ水平位置を保って移動するものでなければならない。

1910.68(c)(3)(v)

表面 踏み段の上面または作業面は、元来滑りにくい性質(摩擦係数0.5以上)を持った材料のものとするか、または、滑り止めを踏み段の上面にしっかり留めつけて、面を完全に覆わなければならない。

1910.68(c)(3)(vi)

踏み段サポートの強度  400ポンドの荷重が踏み段のほぼ中央にかかったとき、踏み段のフレームまたはサポートとそのガイドは、次の目的のために十分な強度を持ってその役割を果たさなければならない。

1910.68(c)(3)(vi)(a)

踏み段のローラーが外れるのを防ぐ。

1910.68(c)(3)(vi)(b)

明らかな心ずれの起きるのを防ぐ。

1910.68(c)(3)(vi)(c)

踏み段またはそのサポートに、見てわかる変形が生じるのを防ぐ。

1910.68(c)(3)(vii)

取手のない踏み段の禁止  踏み段の上方か下方に本セクションのパラグラフ(c)(4)の規定に適合する取手がない場合、踏み段を設けてはならない。修理のため、あるいは恒久的に踏み段を取り外した場合は、そのすぐ上およびすぐ下にある取手も、リフトを再度使用する前に取り外さなければならない。

1910.68(c)(4)

取手

1910.68(c)(4)(i)

取り付け位置  ベルトに取り付けた取手は、踏み面上4フィート以上4フィート8インチ以下のところに位置するように取り付けられなければならない。ベルトの上りおよび下り両走行側についてこのように位置させて利用しなければならない。

1910.68(c)(4)(ii)

寸法  取手の握り面は、幅が4.5インチ以上、奥行が3インチ以上なければならず、またベルトから2インチのクリアランスを設けなければならない。取手の締め付け具は、ベルトの縁から1インチ以上内側に入ったところに位置させなければならない。

1910.68(c)(4)(iii)

強度  取手は、ベルトの走行に平行にかかる300ポンドの荷重に損傷なく耐えることのできるものでなければならない。

1910.68(c)(4)(iv)

踏み段のない取手の禁止 対応する踏み段のない取手を取り付けてはならない。取手を、恒久的または暫定的に取り外したときは、リフトを再度使用する前に、反対の移動方向にある対応する踏み段と取手も取り外しておかなければならない。

1910.68(c)(4)(v)

型  すべての取手は、閉鎖型のものでなければならない。

1910.68(c)(5)

上限停止

1910.68(c)(5)(i)

規定  2つのそれぞれ別個の自動停止装置を設け、荷重のかかった踏み段が最上階乗降床を通過したら、電源を切りブレーキを作動させなければならない。第1の自動停止装置は、踏み段ローラで機械的に操作されるスプリットレールスイッチで構成され、最上階乗降床の上方6インチ以内のところに位置させなければならない。第2の自動停止装置は、次のいずれかのものでよい。

1910.68(c)(5)(i)(a)

最上階床上6インチのところで、第一のリミットスイッチの反対側に備えたスプリットレールスイッチ。

1910.68(c)(5)(i)(b)

電子装置。

1910.68(c)(5)(i)(c)

レバー、ロッド、またはプレートで起動されるスイッチで、後者はヘッドプーリの上り側に位置させ、通過した踏み段をクリアーする。

1910.68(c)(5)(ii)

手動リセットの位置  停止装置によって停止させられたマンリフトは、手動で自動停止をリセットする必要がある。装置は、それをリセットする人が、マンリフトの上り下り双方の走行をはっきり見ることのできる位置に設けなければならない。踏み段またはプラットフォームから装置をリセットできるようにしてはならない。

1910.68(c)(5)(iii)

停止地点  最初のリミット停止装置は、荷重のかかった踏み段が最上階乗降床上24インチの点に到達する前に、マンリフトが停止するよう機能しなければならない。

1910.68(c)(5)(iv)

電気規定

1910.68(c)(5)(iv)(a)

前記スイッチが直接主モータ回路を開く場合、スイッチは多重極型のものでなければならない。

1910.68(c)(5)(iv)(b)

電子装置を使用する時は、それが故障した場合、駆動モータの電源を遮断するように設計・取り付けがなされなければならない。

1910.68(c)(5)(iv)(c)

可燃性蒸気または可燃性粉塵が存在する可能性のある場合、電気装置の位置は、本パートのサブパートSの規定に適合するものでなければならない。

1910.68(c)(5)(iv)(d)

油浸型のものでない場合、主モータ電流の流れるコントローラ接点は、回路が2点かそれ以上の点で同時に遮断される場合を除き、銅から炭素またはそれと同等のものでなければならない。

1910.68(c)(6)

非常停止

1910.68(c)(6)(i)

総論 非常停止手段を設けなければならない。

1910.68(c)(6)(ii)

位置  この停止手段は、ベルトの上りおよび下り双方の走行路から、容易に手の届く範囲内になければならない。

1910.68(c)(6)(iii)

操作  この停止装置は、制御レバーまたは操作装置に接続し、その制御レバーまたは操作装置を移動の方向に引けば、電源が遮断されブレーキがかかるようにしなければならない。

1910.68(c)(6)(iv)

ロープ  ロープを使用する場合、ロープは直径が3/8インチ以上なくてはならない。ワイヤーロープは、マーリンカバーのものでない限り、使用してはならない。

1910.68(c)(7)

指示および警告標識

1910.68(c)(7)(i)

乗降床またはベルトにおける指示標識  よく目立つ読み取り易い標識に、マンリフトの使用法について指示を書き、各乗降用床に掲げなければならない。またはベルトにステンシルで刷り込まなければならない。

1910.68(c)(7)(i)(a)

〔保留〕

1910.68(c)(7)(i)(b)

指示は、大体次のような文章にしなければならない。

ベルトに面して乗ること
取手を使うこと。
止めるには、ロープを引くこと。

1910.68(c)(7)(ii)

最上階警告標識および照明

1910.68(c)(7)(ii)(a)

最上階の乗降用床には、次の言葉を記した発光式標識を表示しなければならない。  「最上階。降りて下さい」  標識の文字は楷書とし、高さが2インチ以上なくてはならない。この標識は、上って来る乗客に容易に見える場所で、最上階の乗降用床上2フィート以内のところに設けなければならない。

1910.68(c)(7)(ii)(b)

本セクションのパラグラフ(c)(7)(ii)(a)に規定する標識のほかに、定格ワット数が40ワット以上ある赤色警告灯を、最上階乗降用床のすぐ下の、乗客の顔を照らせる位置に設けなければならない。

1910.68(c)(7)(iii)

来訪者用警告  「関係者以外立入禁止」とはっきりと記した標識を、各乗降用床に表示しなければならない。

1910.68(d)

操作規則

1910.68(d)(1)

マンリフトの正しい使用  貨物、梱包物、パイプ、材木、各種建設資材は、どのようなマンリフトであっても運搬してはならない。

1910.68(d)(2)

保留

1910.68(e)

定期検査

1910.68(e)(1)

頻度  すべてのマンリフトは、指定した有資格者によって30日を超えない期間内に検査しなければならない。リミットスイッチは毎週検査しなければならない。安全でない部分の見つかったマンリフトは、正しく修理されるまで稼動させてはならない。

1910.68(e)(2)

検査項目  この定期検査では、次に挙げる項目を検査しなければならない。ただし、項目はこれだけに限られるものではない。

踏み段。
踏み段締め付け具。
レール。
レール支持具および締め付け具。
ローラーおよびスライド。
ベルトおよびベルト引っ張り装置。
取手および締め付け具。
乗降床。
ガードレール。
潤滑油注入。
リミットスイッチ。
警告標識および警告灯。
照明。
駆動プーリ。
下部(ブーツ)プーリおよびクリアランス。
プーリ支持具。
モータ。
駆動機構。
ブレーキ。
電気スイッチ。
振動および心のずれ。
踏み段に荷重をかけたとき、上りまたは下り走行に“はね”が生じるかどうか(摩耗した歯車のあることを示す)。

1910.68(e)(3)

検査記録  各検査についての認証記録を保管しておかなければならない。その記録には、検査を行なった年月日、検査を行なった者の署名、検査したマンリフトの連続番号、またはその他の識別記号が含まれていなければならない。この検査記録は、労働次官またはその指定代理人の要請があれば開示しなければならない。

[参照官報:39 FR 23502, 1974年6月27日、改正43 FR 49746, 1978年10月24日; 51 FR 34560, 1986年9月29日;54 FR 24334, 1989年6月7日;55 FR 32014, 1990年8月6日;61 FR 9227, 1996年3月7日]

ページの先頭 目次 A B D E F G I J