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中央労働災害防止協会(中災防)
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2008年10月16日
オーストラリアの安全衛生に関する概況については、オーストラリア政府安全・災害補償審議会
(Australian Safety and Compensation Council)が
ニュースレター
(Advancing National Safety)を年2回程度発行している。
2008年7月発行の第8号の「最近の災害統計の概要」で紹介の下記報告書の要約を以下に紹介する。
この報告は、2006年7月1日から2007年6月30日までに労働安全衛生関係法令に基づき所管官庁に届け出された業務上死亡災害の分析である。
Australian Government Australian Safety and Compensation Council
その他の補償関連を含むオーストラリアの安全衛生に関する統計資料は、
Statistical data and reports
のページに多数が掲載されている。
表1に示すように、業務に起因する死亡事故の被災者は162人で、 その内訳は、労働者が146人とそれ以外の第三者等が16人であると報告されている。 死亡者の大多数が男性で(計146人)、14人が女性であった(内3人は第三者等)。 他の2件の死亡事故の被災者に関しては性別が不明である。 車両による死亡事故の14件は道路上で発生し、16件がそれ以外の場所で発生している。 うち4件は航空事故であった。 業務中の交通事故は労働安全衛生所管官庁に報告されないため、この調査の数値は実際の数値を下回る可能性がある。
表1 発生場所別死亡者数(2006年7月〜2007年6月)
場所 | 労働者 | 第三者等 | 合計 |
---|---|---|---|
事業場内 | 124 | 8 | 132 |
道路上の車両事故(a) | 7 | 7 | 14 |
その他の場所の車両事故(a) | 15 | 1 | 16 |
合計 | 146 | 16 | 162 |
(a)トラックやフォークリフト等の転倒による事故も含む
表2は2006年〜2007年に届け出された業種別の死亡者数を示している。これによると、 建設現場における死亡事故が一番多く報告されており(28件)、 その他にも高い割合を占めるのが農林水産業(27件)、 輸送・倉庫業(27件)、製造業(18件)と鉱業(14件)である。
2006年〜2007年の死亡事故率の最も高いのは鉱業における8.8(10万人率)であった。 その他に農林水産業(6.4)、輸送・倉庫業の(5.3)と建設業(3.5)が続いた。 これらは全て、業務上死亡災害10万人率全国平均の1.4を大幅に上回っている。
表2 業種別の届出死亡者数(2006年7月〜2007年6月)
業種 | 被災現場の業種 | 雇用者の業種 | |||
---|---|---|---|---|---|
労働者 | 第三者等 | 計 | 労働者 | 発生率(a) | |
建設業 | 28 | 0 | 28 | 33 | 3.5 |
農林水産業 | 25 | 2 | 27 | 23 | 6.4 |
輸送・倉庫業 | 22 | 5 | 27 | 25 | 5.3 |
製造業 | 17 | 1 | 18 | 15 | 1.4 |
鉱業 | 14 | 0 | 14 | 12 | 8.8 |
文化・余暇サービス | 7 | 1 | 8 | 6 | 2.1 |
個人サービスその他 | 6 | 1 | 7 | 9 | 2.3 |
ホテル・カフェ・レストラン | 4 | 1 | 5 | 1 | 0.2 |
小売業 | 3 | 1 | 4 | 3 | 0.2 |
卸業 | 3 | 0 | 3 | 2 | 0.4 |
行政・防衛 | 2 | 0 | 2 | 8 | 1.6 |
情報 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0.0 |
教育 | 1 | 1 | 2 | 1 | 0.1 |
不動産および商業 | 1 | 0 | 1 | 4 | 0.3 |
電気・ガス・水道 | 1 | 0 | 1 | 1 | 1.2 |
保健および地域サービス | 0 | 1 | 1 | 0 | 0.0 |
金融および保険 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.0 |
業種不明/該当なし | 7(b) | 0 | 7 | 3 | na |
家事 | 5 | 0 | 5 | na | na |
合計 | 146 | 16 | 162 | 146 | 1.4 |
注 | 表中の「na」は該当なしである。 |
(a)四半期ごとの調査より算出された死亡した労働者の10万人率 | |
(b)海外で発生した2件も含む |
表3は2003-2004年度から2006-2007年度に報告された労働者の死亡数を、被災現場の業種別に示している。 これには第三者等は含まれていない。
この期間の死亡者数は2003-04の126人より2006-07の146人と、結果的に16%増加している。
れには輸送・倉庫業および製造業における業務上死亡災害の増加が影響していると言える (輸送・倉庫業では2003-04の9人より2006-07の22人の増加。同期間製造業7人より17人の増加)。
一方で、同期間の農林水産業においては、43人より25人へと42%の減少であった。
表3 被災場所の年別業種別の死亡労働者数(2003/04〜2006/07)
年 業種 |
2003/04 | 2004/05 | 2005/06 | 2006/07 |
---|---|---|---|---|
建設業 | 26 | 18 | 27 | 28 |
農林水産業 | 43 | 39 | 35 | 25 |
輸送・倉庫業 | 9 | 21 | 18 | 22 |
製造業 | 7 | 6 | 21 | 17 |
鉱業 | 11 | 8 | 11 | 14 |
文化・余暇サービス | 1 | 5 | 0 | 7 |
個人サービスその他 | 8 | 4 | 5 | 6 |
ホテル・カフェ・レストラン | 1 | 2 | 3 | 4 |
小売業 | 3 | 2 | 7 | 3 |
卸業 | 1 | 1 | 1 | 3 |
行政・防衛 | 2 | 8 | 6 | 2 |
情報 | 2 | 1 | 3 | 1 |
教育 | 0 | 4 | 1 | 1 |
不動産および商業 | 3 | 4 | 3 | 1 |
電気・ガス・水道 | 2 | 0 | 1 | 0 |
保健および地域サービス | 1 | 1 | 1 | 0 |
金融および保険 | 0 | 0 | 0 | 0 |
業種不明/該当なし | 2 | 2 | 2 | 7(a) |
家事 | 4 | 1 | 3 | 5 |
合計 | 126 | 127 | 148 | 146 |
(a) 海外で発生した4件も含む
表4は事故の型と死亡災害起因物の関連を示している。
最も多い死亡災害の事故の型は車両事故であり、その数は30件であった。 その他には動いている物に激突され(29件)、落下物に激突され(29件)、墜落(28件)と感電(13件)があった。
更に最も多い死亡災害の起因物は、移動および運搬装置であり、全体の162件中59件であった。
その次に多いのが、機械と固定装置であり、その数32件中14件は輸送機械、7件は電気設備であった。
3番目に多いのが工具、用具等の無動力設備で26件、うち9件は梯子、移動作業台、階段、足場で、 その他は主に自動車の車輪やタイヤを起因物とする災害が9件あった。
環境要因による被災者は19人で、屋外環境が主な要因であった(ビルや他の建築物5件、水泳プール2件、サイクローン2件)。
「車両事故-移動及び運搬設備」による被災者は25人で、「動いている物に激突され-移動及び運搬設備」の被災数は20件で、 その大多数が歩行者であった。
「墜落-無動力設備」の被災数は13件で、うち9件の第2要因は梯子、移動作業台、階段、足場であった。
また、「挟まれ・巻きこまれ-機械および固定装置」の被災数は8件で、うち4件は粉砕機、プレス機械およびロール機で、 その他2件は運搬および揚重装置であった。
表4 事故の型・起因物別死亡災害発生状況(2006年7月〜2007年6月)
起因物
事故の型 |
移動設備 及び 運搬設備 |
機械 及び 固定設備 |
無動力設備 | 環境要因 | 物質等 | その他の要因 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
車両事故(a) | 25 | 2 | 3 | 0 | 0 | 0 | 30 |
動いている物に激突され | 20 | 3 | 2 | 0 | 0 | 4 | 29 |
落下物に激突され | 5 | 5 | 5 | 7 | 6 | 1 | 29 |
墜落 | 2 | 1 | 13 | 8 | 0 | 4 | 28 |
感電 | 1 | 10 | 0 | 0 | 2 | 0 | 13 |
機械等による挟まれ/巻きこまれ | 1 | 8 | 2 | 0 | 0 | 0 | 11 |
溺死 | 2 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 7 |
その他 | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 6 | 15 |
合計 | 59 | 32 | 26 | 19 | 9 | 17 | 162 |
(a)トラクター、フォークリフト、建設機械等の転倒を含む
オーストラリアでは、業務上の死亡災害は各州若しくは地域の労働安全衛生当局に報告するよう義務付けられている。 オーストラリア安全・災害補償審議会(ASCC)は、労働安全衛生の各当局からの報告に基づき、2003年7月1日よりこれらの詳細を収集している。 この報告には労働者(従業員や自営業者)、作業活動中に何らかの形で死亡災害の犠牲となった第三者等も含まれる。 通勤災害や、自殺、病死(脳梗塞や心臓発作)はこれに含まれない。 全国レベルでの報告の編集は、区域によって業務上災害の定義および事故の適用範囲が異なっていることにより複雑になっている。 特に、幾つかの区域では公道において発生した車両による業務上の死亡災害を届け出制の適用外としており、 代わりにこれらの事故は警察に報告され、調査されており、 また、航空機事故による死亡災害はいずれかの労働安全衛生当局には報告されず、運輸当局に報告されている。