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国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別、分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2009年8月26日
シンガポール人材開発省が公表している安全衛生統計については、 同省のウェブサイト のstatisticsの項に同省の安全衛生に関する年次報告書 ( 「OSHD Annual Report 2007」 )として、掲載されている。その一部を紹介する。
2007年に人材開発省に報告された労働災害による死傷者数は10,018人で、前年に比べて8.2%増加した。 これは、主に一時労働不能災害の増加によるものである。 死亡災害は、ほぼ横ばい(1件の増加)となっており、また、永久〔全部、一部〕労働不能災害は、3%(5件)減少した(表1)。
また、休業災害(一時及び永久労働不能災害)及び死亡災害の年100,000人率(以下「10万人率」は、ともに前年に比べて減少した。 死亡災害10万人率は、2.9で、2015年までに半減させる(2.5まで)という目標に順調に向っている(表2)。
2007年の業務上の疾病は、602件で前年(657件)に比べて減少し、引続き減少傾向となっている(表9)。
表1 職場の死傷者数(2007/2006)
2007 | 2006 | |
---|---|---|
職場の死傷者 合計 | 10,018 | 9,261 |
死亡災害 | 63 | 62 |
永久(全部、一部)労働不能災害 | 163 | 168 |
一時労働不能災害 | 9,792 | 9,031 |
注:1 | 表中の数値は、死傷者数。 |
2 | 死亡災害、永久(一部、全部)労働不能災害及び一時労働不能災害は、それぞれ、死亡災害、 身体の一部または全部の喪失を伴う災害及び休業4日以上の治療を要する休業または24時間以上の入院治療を要する災害をいう。 |
表2 職場における死傷10万人率(2007/2006)
2007 | 2006 | |
---|---|---|
全死傷 | 460 | 469 |
死亡災害 | 2.9 | 3.1 |
永久(全部、一部)労働不能災害 | 7.5 | 8.5 |
一時労働不能 | 450 | 458 |
2007年の度数率は、1.9で前年と同じあった、 また、強度率については116で全体として改善を見ている(表3、4)。
表3 産業別度数率(2007/2006)
2007 | 2006 | |
---|---|---|
全産業 | 1.9 | 1.9 |
建設業 | 3.0 | 3.5 |
製造業(船舶造修業を除く) | 2.6 | 2.6 |
船舶造修業 | 1.3 | 2.2 |
新規適用6業種 | 1.7 | 1.7 |
その他 | 1.3 | 1.1 |
表4 産業別強度率(2007/2006)
2007 | 2006 | |
---|---|---|
全産業 | 116 | 125 |
建設業 | 257 | 272 |
製造業(船舶造修業を除く) | 148 | 93 |
船舶造修業 | 180 | 257 |
新規適用6業種 | 55 | 109 |
その他 | 60 | 72 |
注1: | 度数率は、我が国の計算方法と同じ。強度率は100万延べ労働時間当りの休業日数。 |
注2: | 新規適用6業種とは、労働安全衛生法の新たな適用業種で、水道・下水道・廃棄物処理、ホテル・レストラン、 運送関連サービス、医療サービス、造園・景観保全サービス、獣医関連が含まれる。 |
建設業における死亡災害が、引続き最も多く、全死亡災害63件のうちの24件を占めている。 2007年において建設工事が増加したが、件数は前年と同じであった。死亡災害発生率は、前年に比べて減少している。(表5)
次に発生件数の多かったのは、製造業で、前年の7件から2倍以上の16件に増加した。 このため、発生率が増加した業種は製造業のみで、死亡10万人率は3.7となった(表5)。
船舶造修業は、発生数は減少した。発生率は建設業に次いで2番目に高くなっているが、前年に較べて減少した。
新規適用6業種については、前年が6件であったが2件であった。その他の業種についても発生数、発生率ともに減少した。
表5 業種別死亡災害件数及び年10万人率(2007/2006)
2007 | 2006 | |||
---|---|---|---|---|
件数 | 10万人率 | 件数 | 10万人率 | |
全産業 | 63 | 2.9 | 62 | 3.1 |
建設業 | 24 | 8.1 | 24 | 9.4 |
製造業(船舶造修業を除く) | 16 | 3.7 | 7 | 1.7 |
船舶造修業 | 9 | 6.9 | 10 | 9.8 |
新規適用6業種 | 2 | 0.8 | 6 | 2.7 |
その他 | 12 | 1.1 | 15 | 1.5 |
身体の全部または一部の永久労働不能を伴う災害は、163件で前年168件に較べて減少した。 10件のうち9件(91%)は、身体の一部の切断災害である。 これらの災害は、製造業(前年は49%、今年は44%)において発生している。 特に金属製品製造業及び食品製造業において多く発生している。 建設業及び船舶造修業では前年から増加している。新規適用6業種及びその他の業種では、減少している(表6)。
表6 業種別永久障害件数及び年10万人率(2007/2006)
2007 | 2006 | |||
---|---|---|---|---|
件数 | 10万人率 | 件数 | 10万人率 | |
全産業 | 163 | 7.5 | 168 | 8.5 |
建設業 | 35 | 11.8 | 27 | 10.6 |
製造業(船舶造修業を除く) | 18 | 16.5 | 16 | 19.8 |
船舶造修業 | 72 | 13.7 | 82 | 15.6 |
新規適用6業種 | 7 | 2.8 | 8 | 3.6 |
その他 | 31 | 2.9 | 35 | 3.6 |
2007年の一時労働不能災害は9,792件で全災害の98%を占めており、前年の9,031件に対して8.4%増加した(表1)。 これらの災害を休業日数別に見てみると、約半数(49%)は休業4日以上14日未満の災害で、 次いで14日以上21日未満の災害が17%となっている。また、より重篤な災害である休業21日以上の災害は6.4%となっている(表8)。
表7 休業程度別構成比(2007/2006)
2007(%) | 2006(%) | |
---|---|---|
休業4日以上7日未満 | 21.3 | 22.0 |
7日以上14日未満 | 25.9 | 26.4 |
14日以上21日未満 | 16.5 | 18.4 |
21日以上 | 28.8 | 29.1 |
24時間以上の入院加療 | 6.4 | 4.2 |
業種別では、一時労働不能災害の32%がその他の業種において発生しており、前年(28%)に較べて増加した。 次いで製造業(29%)において多く発生している。建設業及び製造業では減少したが、新規適用6業種では若干増加した。
表8 業種別年別10万人率・構成比(2007/2006)
2007 | 2006 | |||
---|---|---|---|---|
構成比(%) | 10万人率 | 構成比(%) | 10万人率 | |
全産業 | 100.0 | 450 | 100.0 | 458 |
建設業 | 24.5 | 811 | 26.2 | 925 |
製造業(船舶造修業を除く) | 28.7 | 645 | 6.8 | 641 |
船舶造修業 | 4.7 | 353 | 6.8 | 597 |
新規適用6業種 | 9.7 | 382 | 9.4 | 377 |
その他 | 32.3 | 297 | 28.2 | 261 |
2007年に労働安全衛生規則に基づき医師及び事業者から職業性疾病として届け出があり、 確認された職業性疾病件数は、602件で、10万人率では、27.7で前年の33.3に較べて減少した。 最も多いのが製造業であった(表9)。疾病分類別では、騒音性難聴が最も多くなっている(表10)。
表9 業種別職業性疾病発生状況(2007)
件数 | 年10万人率 | |
---|---|---|
全産業 | 602 | 27.7 |
建設業 | 45 | 15.2 |
製造業(船舶造修業を除く) | 359 | 25.2 |
船舶造修業 | 33 | 82.4 |
新規適用6業種 | 39 | 15.7 |
その他 | 126 | 11.8 |
表10 疾病分類別状況(2007)
件数 | 構成比(%) | |
---|---|---|
騒音性難聴 | 490 | 81.4 |
皮膚障害 | 59 | 9.8 |
筋骨格系障害 | 25 | 4.2 |
高気圧障害 | 17 | 2.8 |
化学物質の吸入 | 3 | 0.5 |
胸部疾患 | 3 | 0.5 |
気圧障害 | 2 | 0.3 |
その他 | 3 | 0.5 |