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中央労働災害防止協会(中災防)
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2010年7月13日
イギリス安全衛生庁(HSE)のウェブサイトにおける統計(
statistics
)のページに2008/09の安全衛生統計(
Health and Safety Statistics 2008/09
)が掲載された(32ページの冊子)。その概要は次のとおりである。
労働力調査(Labour Force Survey LFS)によれば、前年度中に働き、疾病(継続または新規の)に苦しんだ120万人の人々が、現在または過去の仕事が原因で疾病に罹患、または悪化したと考えている。このうち55万1,000人は新規の事案である。
2,156人が中皮腫により死亡(2007年)し、その他数千人が職業性がん及び肺疾患により死亡している。
※LFS:(Labour Force Survey):四半期ごとに行われるイギリスの労働市場に関する5万世帯対象の全国調査。
08/09年の業務上災害による死亡者数は、180人に上り、死亡10万人率は0.6である。
傷害・疾病・危険発生報告規則( RIDDOR - the Reporting of Injuries, Diseases and Dangerous Occurrences Regulations 1995)に基づいて報告された死傷者数は、131,895人で、10万人率は502.2である。一方、LFSによる負傷者数は246,000人で、10万人率は870である。
全体の労働損失日数は、2,930万日であり、労働者一人当たり1.24日である。このうち2,460万日が疾病によるもので、470万日が死傷災害によるものでる。
上記のように、LFSによると、08/09年に過去12月に働いたおおよそ120万人の労働者が業務に起因する疾病に罹患したと考えている。
また、最も多く報告された疾病は、筋骨格系障害及びストレスによるものであった。
疾病の種類 | 有病者数の推計中央値(1,000) | 95%信頼区間 | |
---|---|---|---|
下限値 | 上限値 | ||
筋骨格系障害 | 538 | 501 | 574 |
主に腰痛 | 227 | 203 | 251 |
主に上肢、首 | 215 | 192 | 238 |
主に下肢 | 96 | 81 | 111 |
ストレス・うつ・不安 | 415 | 382 | 448 |
伝染病 | 33 | 23 | 42 |
呼吸器や肺の障害 | 39 | 29 | 48 |
合計 | 1,182 | 1,126 | 1,237 |
※ 記載されていない疾病(例えば心臓病、皮膚病など)があり、推計中央値であるため合算した数値と合計は異なる。
08/09年(暫定)における業務上災害による死亡者数は180人で、これは10万人率で、0.6である。
時系列的にみると以前は下げ止まっていたが、減少傾向は大きくなっている。
主要な産業部門のうち、建設業および農業における死亡災害率が最も高く、死亡者数はそれぞれ53人と26人であった。
年度 | 被雇用労働者 | 自営者 | 労働者合計 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
数 | 10万人率 | 数 | 10万人率 | 数 | 10万人率 | |
99/00 | 162 | 0.7 | 58 | 1.7 | 220 | 0.8 |
00/01 | 213 | 0.9 | 79 | 2.4 | 292 | 1 |
01/02 | 206 | 0.8 | 45 | 1.3 | 251 | 0.9 |
02/03 | 183 | 0.7 | 44 | 1.3 | 227 | 0.8 |
03/04 | 168 | 0.7 | 68 | 1.8 | 236 | 0.8 |
04/05 | 172 | 0.7 | 51 | 1.3 | 223 | 0.8 |
05/06 | 164 | 0.6 | 53 | 1.4 | 217 | 0.7 |
06/07 | 191 | 0.7 | 56 | 1.2 | 247 | 0.8 |
07/08 | 178 | 0.7 | 55 | 1.4 | 233 | 0.8 |
08/09(暫定) | 129 | 0.5 | 51 | 1.3 | 180 | 0.6 |
08/09年において、RIDDOR規則により報告された重篤災害(Major injuries:骨折、手足の切断、脱臼などを伴う重篤な負傷)は27,594件であり、10万人率は105.1で、前年と比較して3%の減少を示している。そのうち3分の1以上が滑りとつまずきによるものである。
重篤災害以外の休業4日以上の災害件数は、104,301件であり、10万人率では、397.2である。これらの5分の2は物体などの取り扱い(handling, lifting or carrying)によるもので、4分の1が滑り、つまずきによるものである。
年度 | 被雇用労働者 | 自営者 | 労働者合計 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
重篤災害 | 数 | 10万人率 | 数 | 10万人率 | 数 | 10万人率 |
04/05 | 30,451 | 117.9 | 1,251 | 33 | 31,702 | 107.1 |
05/06 | 28,914 | 110.5 | 1,303 | 34 | 30,217 | 100.7 |
06/07 | 28,544 | 108.8 | 1,194 | 30.1 | 29,738 | 98.4 |
07/08 | 28,199 | 106.7 | 1,190 | 29.5 | 29,389 | 96.5 |
08/09(暫定) | 27,594 | 105.1 | 1,098 | 27.3 | ||
休業4日以上の負傷 | ||||||
04/05 | 121,779 | 471.7 | 1,143 | 30.2 | 122,922 | 415.2 |
05/06 | 119,045 | 454.7 | 1,223 | 31.9 | 120,268 | 400.7 |
06/07 | 114,653 | 436.8 | 1,146 | 28.9 | 115,799 | 383.2 |
07/08 | 110,054 | 416.4 | 1,121 | 27.8 | 111,175 | 364.9 |
08/09(暫定) | 104,301 | 397.2 | 921 | 22.9 | 105,222 | 374.5 |
LFSによる10万人率は、870と推計しており、前年に比べてかなりの減少を示している。
これに対して、RIDDOR規則による10万人率はLFSの58%となっている(RIDDORには報告漏れが多い)。
08/09年にHSEは、8,054件の執行通知を行った。また、鉄道監督局(ORR)においても33件の通知を行った。さらに、地方自治体においては、6,340件の通知を行った。通知の合計は、14,427件であった。
08/09年にHSE及びORRは、1,245件の法違反事案について司法処分を行った。これらのうち、1,104件が完結し、860件が有罪となった。これらのうち14件は、ORRに関連する事案ですべて有罪であった。
訴追される違反は、個別の法規の要求事項ごとに不履行を計上するので、1の事案について複数の不履行により訴追される。08/09年には600事案について1,104件(548事案)の法違反について有罪となっている(有罪率91%)。
08/09年の有罪となった組織体は、合計1,240万ポンドの罰金刑を受け、1違反当りの罰金は14,614ポンド、1事案当りの罰金は20,606ポンドであった(ORR分を除く)。