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国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別分野別情報にリンクして取り込んでおります。

 

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各国情報・国際関係

海外の安全衛生統計−シンガポール(2009年)

2010年12月27日

シンガポールの安全衛生統計については、 2008年4月に設立された、職場安全衛生評議会(Workplace Safety and Health Council- WSH 別ウィンドウが開きます )のウェブサイトに、年次及び半年ごとの「安全衛生統計報告」が掲載されている。
今回は、2009年の年次報告(Workplace Safety and Health Report 2009 別ウィンドウが開きます )の内容を紹介する。

なお、職場安全衛生評議会(WSH 別ウィンドウが開きます )は、主要産業(建設、製造、海運、石油化学、物流)、政府、労働組合、法律、保険の専門家、学識経験者から選出された18名の指導者から成り、産業界の安全衛生マネジメント実践能力の向上、安全衛生成績の認識による企業の安全衛生の向上、安全衛生実務資料の作成を人材開発省と協力して行うことを主たる任務としている。

シンガポール安全衛生統計2009年年次報告
Workplace Safety and Health Report 2009 別ウィンドウが開きます
シンガポール職場安全衛生評議会
Workplace Safety and Health Council- WSH 別ウィンドウが開きます

概説

2009年の労働災害による死傷病者は、前年に比べて減少した。2009年の死傷者数は、10,834人で2008年に比べて2.1%減少した。一時労働不能災害は、2008年の10,873人から2009年では10,638人へと減少した。永久(全部、一部)労働不能災害(主に上肢の切断災害)は、2008年の132人から2009年では126人へと減少した(表1)。全体としての死傷率は、2008年に比べて減少した(表2)。

死亡災害件数については、2008年の60件から2009年では67件と増加した。この結果、死亡者数は、2008年の67人から2009年では70人へと増加した(表1)。死亡災害10万人率は、2008年の2.8から2.9へと増加した(表2)。

2009年の災害度数率(Accident Frequency Rate, AFR)は1.8で、2008年に比べて若干減少した。災害強度率(Accident Severity Rate, ASR)には、変動はなかった(表2)。

業務上疾病については、確認数は468件で前年の約半数に減少した(表1)。件数の減少に伴い、業務上疾病10万人率は、36.2から19.3に減少した(表2)。

表1 業務上死傷病発生状況(2008/2009)

表1 業務上死傷病発生状況(2008/2009)
  2008年 2009年
業務上死傷者数 11‚072 10‚834
   死亡 67 70
   永久(全部・一部)労働不能) 132 126
   一時労働不能(休業4日以上) 10,873 10,638
業務上疾病数 855 468

表2 安全衛生指標

表2 安全衛生指標
  2008年 2009年
業務上死傷10万人率 469 446
   死亡 2.8 2.9
   永久(全部・一部)労働不能 5.6 5.2
   一時労働不能(休業4日以上) 460 438
度数率 1.9 1.8
強度率 112 112
業務上疾病10万人率 36.2 19.3
1
業務上の死傷災害(Workplace injury):労働災害(Workplace accident)による負傷、疾病(急性)及び死亡をいう。
2
業務上の疾病(Occupational disease):作業活動から生ずるリスク要因へある期間曝露下にあったことにより罹患した疾病(慢性)をいう。確認された業務上疾病は、当該労働者の業務に関連する疾病に罹患した明確な証拠がある疾病をいう。
3
度数率:100万延べ労働時間当りの一時労働不能(休業4日以上)労働災害件数
4
強度率:100万延べ労働時間当りの一時労働不能(休業4日以上)労働災害による労働損失日数

安全関係(抜粋)

死亡災害

2009年は、67件の労働災害により70人が死亡した。これは、1件で4人の労働者が死亡した災害が発生したことによる。これは、建築工学関連(Architectural and Engineering)の事業場において重度の化学火傷事故が起ったことによるものである(表3)。

表3 死亡災害発生状況(2008/2009)

表3 死亡災害発生状況(2008/2009)
業種別 死亡災害 死亡10万人率
2008年 2009年 2008年 2009年
全産業 67(60) 70(67) 2.8 2.9
  建設業 25 31(31) 6.9 8.1
  造船業等 13 13(13) 9.2 11.1
  製造業(除く造船業) 13 11(11) 2.9 2.6
  上下水道、廃棄物処理 5 1(1) 52.1 10.1
  物流、運輸 6 3(3) 6.5 3.4
  ホテル、レストラン 0 2(2) 0 1.1
  動物医療等(Veterinary) 0 0 0 0
  造園(Landscape care and maintenance) 0 1(1) 0 11.3
  医療 0 0 0 0
  その他 5 8(5) 0.5 0.7
注:
カッコ内は、災害件数(2008年は業種別の災害件数は不明)
注:
造船業等は船舶造修、海洋調査、マリーンアンカレッジ、サルベージなど
永久(全部・一部)労働不能災害

2009年には、126人が労働災害により永久労働不能の傷害を受けた。これは、前年の132名より減少しており、労働者10万人当りの傷害件数でも5.2で、2008年の5.6より減少した。永久労働不能傷害の98%は、手指の喪失(全部又は一部)であった。

一時労働不能(休業4日以上)労働災害(表4)

2009年の休業4日以上の労働災害は、前年に比べて2.2%減少した。

業種別の状況

従来からの高リスク3業種(建設、造船等、製造)で、54%をしめている。建設業は、1.0%減と若干の減少にとどまったが、製造業と造船業等では、前年に比べてそれぞれ8.0%減及び13%減と大幅な減少となった。造船業等では、しかしながら10万人率では、若干の増加となった(ただし、全業種平均よりは低い)。

上記以外の業種では、

  • ホテル・レストランでは、2008年の730件から2009年では768件と増加し、災害率でも増加した。
  • 物流・運輸では、2008年の600件から2009年では507件と減少し、災害率も減少した。
  • 卸売り・小売では、2008年の452件から2009年では429件と減少し、災害率も減少した。

表4 休業4日以上の災害発生状況(2008/2009)

表4 休業4日以上の災害発生状況(2008/2009)
業種別 休業災害 休業10万人率
2008年 2009年 2008年 2009年
全産業 10‚ 873 10‚ 638 438 460
  建設業 2,804 2,778 779 722
  造船業等 531 462 377 305
  製造業(除く造船業) 2,754 2,530 618 594
  上下水道、廃棄物処理 73 60 760 697
  物流、運輸業 600 507 653 573
  ホテル、レストラン 730 768 408 425
  動物医療等 - - - -
  造園等 - - - -
  医療 197 212 347 339
  その他 3‚ 180 3‚ 306 318 289
    卸売り・小売 452 429 113 105
    不動産 124 184 201 195
    管理・支援サービス 128 132 255 183
    建築・工学 120 89 92 131
    教育 104 82 159 116
注:
−の表示は、10未満である。

労働衛生関係(抜粋)

業務上疾病

業務上疾病は、2009年は、前年に比べて約45%減少した。疾病の種類別では、騒音性難聴が2008年に確認された業務上疾病の81%に上っている。全体に占める割合は前年の87%から減少したが、この騒音性難聴380件のうち375件は早期段階と診断されたが、5件は重度の聴力喪失難聴であった。

業務上の皮膚疾患については、2009年には56件が確認された。これは前年の66件からは減少した。また、化学物質の過度の吸入による疾患は16件確認され、前年の11件に比べて増加した。

表5 業務上疾病の確認数

表5 業務上疾病の確認数
疾病の種類 2008 2009 疾病の種類 2008 2009
合計 855 468 高気圧障害 7 -
騒音性難聴 743 380 気圧障害 5 1
  早期型 741 375 肺疾患 5 2
  進行型 2 5 筋骨格系疾患 5 3
皮膚疾患 66 56 中皮腫 4 3
化学物質の過度の吸入 11 16 その他 1 6
化学物質による中毒 8 -  

 

労働者の健康状態

労働者の健康診断の結果、有所見率(労働者1,000人当りの有所見数)は、1.9で、前年の3.6から減少している。

図1 健康診断結果の有所見率の推移(1999〜2008)
1‚000人当り 有所見者
図1 健康診断結果の労働者1,000人当りの有所見率の推移(1999〜2008)

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