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各国情報・国際関係

海外の安全衛生統計−アメリカ(2011死亡災害(速報値))

2012年12月28日

アメリカ労働統計局(Bureau of Labor Statistics BLS)から2011年のアメリカの業務上死亡災害統計(速報値)が公表されたのでその概要を紹介する。

アメリカ全国業務上死亡災害調査(2011年、速報値)

原資料の所在
NATIONAL CENSUS OF FATAL OCCUPATIONAL INJURIES IN 2011(PRELIMINARY RESULTS) 
1
概況
2
調査結果から分かる主な事項
3
事故の型別の死亡災害発生状況
4
業種別死亡災害発生状況
5
職種別死亡災害発生状況

1 概況

全国業務上死亡災害調査(NATIONAL CENSUS OF FATAL OCCUPATIONAL INJURIES, COFI)によれば、 2011年のアメリカの死亡災害は、前年の確定値の4,690件に比べて4,609件(速報値)であった。2011年の常用相当労働者10万人当たりの死亡者数(死亡10万人率)は、2010年の3.6に比べて3.5であった。最終的数値は2013年春までには確定する。

死亡災害発生状況の推移(1992-2011)

死亡10万人率の推移(2006-2011)

2 調査結果から分かる主な事項

  • 建設業の死亡災害は、721件で2010年の774件から7%減少し、5年連続の減少を示している。2006年以降、約42%減少している。
  • 人または動物による暴力等による死亡災害は、780件で全体の17%を占めている。このうち、458件が殺人で242件が自殺である。
  • 鉱業(石油、ガス採掘を含む)における死亡災害は、2010年に74%増加したが、2011年は10%減少した。石炭鉱山での死亡災害は2010年の43件から17件へと減少した。
  • 運輸業における死亡災害は、2011年には14%増加し、2009年に最小値を記録したのち2年連続で増加した。
  • 非ヒスパニック系黒人、アフリカ系黒人、ヒスパニック及びラテン系労働者の死亡災害は増加したが、非ヒスパニック白人の死亡災害は減少した。
  • 55歳以上の労働者及び18歳未満の労働者の死亡災害は減少したが、20歳から24歳までの年齢層の労働者の死亡災害は約18%増加した。

3 事故の型別の死亡災害発生状況

交通事故は、2011年には死亡災害5件のうちの2件を占めている。交通事故1,898件のうち57%(1,075件)は、車両による道路上のものである。農場におけるトタクターの転倒などの非道路事故は、交通事故の11%を占めている。交通事故による死亡災害の16%は、歩行者である。歩行者の死亡312件のうち、61件は作業区域内で発生している。航空機による業務上の死亡は、146件で交通死亡事故の8%を占めている。

人または動物による暴力等により780人の労働者が死亡し、このうち458件が殺人で242件が自殺である。最も多いのが銃器による殺人(78件)と銃器による自殺(45件)であった。その他37件は、動物または昆虫関連による死亡であった。女性の死災害は375件でこのうち21%は殺人である。女性死亡災害の5件の殺人事件のうち2件は加害者が身内であり、そのほとんどは配偶者または同棲者である。これらの死亡の22%は、強盗によるものであった。男性の死亡は、全死亡災害の9%であった。女性の場合と対照的に身内による男性の死亡災害は2%であった。強盗による殺人は男性の死亡の3分の1を超えている。

墜落転落、すべりつまずきによる死亡災害は、2011年は666件で全死亡災害の14%を占めている。これらのうち、高所からの墜落転落は、541件を占めている。業務上傷病分類システムに新に墜落転落の高さを加えるように改訂された。2011年には、墜落転落541件のうち451件に墜落転落の高さが記録された。451件のうちの約4分の1(115件)が10フィート以下の高さからであり、また4分の1(118件)が30フィート超の高さからであった。死亡災害の472件は、落下物、機械装置等に激突されたもので、219件が落下物等により192件は動力運搬機または動力機械によるものであった。

1度に2名以上の労働者が死亡する事故は152件で、354人が死亡した。

事故の型別業務上死亡災害(2011年)

4 業種別死亡災害発生状況

2011年、建設業の死亡災害は7%減少した。建設業においては2006年以降毎年減少してきており、この間にほぼ42%減少した。この減少傾向の多くは、経済的状況により説明することができると考えられる。減少傾向で推移しているものの、2011年における建設業の死亡災害は、業種別では2番目に多く発生している。

鉱業における死亡災害は、2010年の172件から154件へと10%減少した。石炭鉱山の死亡災害が、2010年の43件から17件へと大きく減少した;2010年のアッパービッグブランチ炭鉱の大災害で29名が死亡したのが死亡災害増加の大きな要因であった。鉱業関連事業の死亡災害は、2011年には6%増加した。

農林漁業狩猟業における死亡災害は、作物生産での死亡災害が大きく減少したことにより、2010年の621件から557件へと10%減少した。製造業における死亡災害は、若干減少した。サービス提供型業種のうち、運輸、倉庫業における死亡災害は733件で2010年に比べて11%増加した(2010年の確定値は661件)、これは2008年以降もっとも多い数である。運輸業のなかで労働者数が最も多いトラック輸送業における死亡災害は、2011年には14%増加した、これは一般貨物輸送が16%増加し、特定貨物輸送が12%増加したことが要因の1つである。その他の運輸業では、航空運輸では減少したが、水上及び鉄道運輸では増加した。

専門・ビジネスサービスにおける死亡災害は、造園業での死亡災害が2010年の133件から167件へと増加したことにより、16%増加した。

官公署における死亡災害は、495件で2%増加した。地方政府における死亡災害件数は、警察関係での死亡災害の24%の増加により2010年の269件から2011年には294件と増加した。連邦及び州政府関係では減少した。

全国死亡災害調査(CFOI)では、2011年から被災時に請負人として働いていた死亡件数の調査を開始した。2011年の速報値では、4,609件のうち492件が請負人であった。

産業別死亡災害発生及び死亡10万人率(2011)

5 職種別死亡災害発生状況

建設及び採掘職における死亡災害は、2011年には若干減少し770件となった、これは2003年からの職種別死亡災害調査開始以来最低の数である。建設業界の労働者の死亡災害も2011年には最低を記録し、前年比で7%減の511件となり、2006年の最多記録から48%減少した。建設業界労働者グループの中で最も死亡災害の多い下位集団(sub-group)である建設作業員(Laborers)の死亡災害は、2011年には6%減少し190件となった。採掘労働者の死亡災害は、2010年とほぼ同じであった。

清掃、保全職の死亡災害は、2011年には14%増加し265件となった、これは2006年以来の最多記録である。このうちで最も多く増加したグループは、造園と用地整備労働者及び伐採職と剪定職であった。

農林漁業労働者の死亡災害は、2010年には増加したが2011年には5%減少した。農場労働者と作業員(farm workers and laborer)を含む農業労働者の死亡災害は、2010年の161件から2011年は138件に減少した。伐木造材労働者の死亡災害は、2010年の60件から2011年には64件と増加した。漁業労働者の死亡災害は2010年とほぼ同じであった。

保安業務従事労働者の死亡災害は、2年続けて増加し、2010年の261件から2011年には278件へと増加した。2011年の増加は、警備員、第一線警察官と刑事の死亡災害増加によるものである。

運輸及び貨物取扱い職の死亡災害は、2011年には5%増加し1,213件となった、これは2008年以降最多の件数となった。この職種グループにおける死亡災害件数は、全死亡災害の4分の1を占めている。このグループのうちで最も死亡災害の多い下位集団である営業/運転労働者及びトラック運転者の死亡災害増加がその要因である。この下位集団の死亡災害は、2010年の718件から2011年には759件となった。

国内軍事関係者の死亡災害は、2010年の46件から2011年には54件に増加した。

死亡10万人率の高い職種(2011)

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

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