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各国情報・国際関係

海外の労働安全衛生統計−イギリスの業務上死傷病統計(2011/2012)

2012年12月28日

イギリス安全衛生庁(Health and Safety Executive, HSE)からイギリスの2011/2012年の安全衛生統計が公表されたので、その概要を紹介する。

原資料の所在
HSE Annual Report
1
概況(Key Facts)
2
業務関連健康障害
3
業務上死傷災害

 

1 概況(Key Facts)

1) 業務関連健康障害

昨年1年間の働いた110万人の人々が、現在の仕事または過去の仕事により疾病に罹りもしくは悪化したと考えている。このうち、50万人は、昨年1年間に罹患し、または悪化したものである。
さらに70万人が昨年1年以前の仕事が原因で疾病に罹りまたは疾病が悪化している。
2010年には2347人が中皮腫により死亡し、数千人が職業ガン及び慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの疾病により死亡している。

2) 業務上死傷災害

173人が労働災害により死亡し、その死亡10万人率は0.6であった。
111,164人が業務上負傷したことが死傷病事故報告規則(RIDDOR)に基づき報告され、その負傷10万人率は445.4であった。
一方、労働力調査によれば212,000人が休業4日以上の業務上負傷し、その負傷10万人率は750となっている。

3) 労働損失日数

労働損失日数は全体で2,700万日(1件当たり17日)であった。2,270万日が業務上疾病で、430万日が業務上の死傷災害によるものであった。

4) 経済的損失

経済的損失(ガンを除く)は、2011/2012年、134億ポンド(約1兆7,150億円)であると推計されている。

5) 司法処分

イングランド及びウェールズでは、HSEにより551件が、地方自治体により95件が訴追された。
スコットランドでは、34件が検察官により訴追された。

2 業務関連健康障害

1) 疾病による死亡

  • 毎年、数千人が業務関連疾病により死亡している−主に何年も前に有害環境に曝されたことによるものである。
  • ガンのような疾病による死亡は、職業上の要因によるものと非職業的要因によるものとがあり、一般的に一つ一つ数えるのではなく推計されるべきものである。
  • イギリスにおける職業ガンによる死亡者数は、毎年、8,000人と推計されている。
  • そのうち4,500人は、石綿への過去の暴露によるものである。
  • 2010年には、石綿が原因と考えられる死亡者は412人であった。根本的原因が石綿肺と記録された死亡者は144名であり、その他は石炭及び珪素粉じんによるじん肺であった。
  • 慢性閉塞性肺疾患(気管支炎及び肺気腫を含む)の15%は、業務に関連していると考えられている。このことは、毎年、慢性閉塞性肺疾患による4,000 人の死亡者は過去のヒューム、化学物質及びその他の粉じんへの暴露によるものであることを示唆している。
  • 中皮腫による死亡者は、1968年の153人から2010年には2347人と増加した。そのうち男性の死亡者は1946人であり、2016年のピークの2100人まで増加すると予想されている。
  • 中皮腫の死亡者数は、過去の産業条件を反映している。55歳未満の男性の死亡者数は、1990年代以降減少してきている。

中皮腫による死亡及び労災保険受給者数(1983-2011)

2) 健康障害に関する自己申告

  • 2011/2012年には推定180万人が現在もしくは過去の仕事により疾病(長期間、新規に)に罹り、または悪化したと考えている。
  • 110万人が過去12か月に働いており、70万人は過去の働いたことがある者である。
  • 45万2,000人は、過去12か月以内に発症しまたは悪化した者である。
  • 新規発症の約80%は、筋骨格系疾患、またはストレス、抑うつ症または不安神経症である。

3) 過去12か月間働いており、自己申告による新規発症疾病と疾病総数

  過去12か月間働いており、同年中に新規に発症(千人) 過去12か月間働いた者の疾病総数(千人)
中央値 95%信頼性範囲 中央値 95%信頼性範囲
疾病総数 2007/08 562 526 599 1260 1205 1314
2008/09 549 511 586 1179 1124 1234
2009/10 554 515 593 1265 1206 1324
2010/11 495 455 534 1152 1092 1211
2011/12 452 416 489 1073 1017 1129
筋骨格系疾患 2007/08 178 158 198 539 504 574
2008/09 191 169 212 536 500 573
2009/10 190 166 214 572 532 612
2010/11 158 135 180 508 469 548
2011/12 141 120 161 439 404 474
ストレス、抑うつ症または不安神経症 2007/08 236 213 260 441 409 474
2008/09 229 205 254 414 382 446
2009/10 233 209 258 435 401 468
2010/11 211 186 237 400 365 435
2011/12 221 196 246 428 393 464

思料出所:労働力調査

4) 自己申告による新規発症疾病

  • 自己申告による業務関連新規発症数は、この10年間、減少傾向で推移してきている。
  • ストレス、抑うつ症または不安神経症数は2001/2002年の254,000から221,000に減少し、筋骨格系疾患は216,000から141,000に減少してきている。

過去12か月間に働いておりその間に新規に発症した自己申告疾病数の推移

3 業務上死傷災害

1) 業務上死亡

  • 2011/2012年の業務上の死亡者数は、173人(速報値)で、死亡10万人率は0.6であった。
  • 2011/2012年までの最近の4年間の傾向を見ると、その前までの減少傾向から減少が頭打ちになってきている。
  • 主な業種のうち建設業、農業及び廃棄物処理業が高い死亡率となっている。これらの業種の死亡者数は、それぞれ49名、33名及び5名であった。

死亡者数及び死亡10万人率

死亡者数及び死亡10万人率
被雇用者 自営業者 労働者
死亡者数 10万人率 死亡者数 10万人率 死亡者数 10万人率
2007/08 178 0.7 55 1.4 233 0.8
2008/09 127 0.5 52 1.3 179 0.6
2009/10 104 0.4 43 1.0 147 0.5
2010/11 122 0.5 53 1.3 175 0.6
2011/12p 118 0.5 55 1.3 173 0.6

*2011/12Pは速報値

2) 休業災害に係る事業者報告

2011/2012年、111,164件の休業災害が事業者から報告された。この10万人率は、445.4であった。

  • これらのうち、22,433件は重篤災害(Major injuries、骨折、手足の切断、脱臼などの重篤な負傷)であり、10万人率は89.9であった。最も多い事故の型はすべり・つまずき(40%)及び墜落転落(14%)ある。
  • 休業4日以上の災害は、88,731件で、10万人率は355.5である。これらのうち、最も多いのが取扱い運搬(32%)、すべり・つまずき(24%)である。

事業者報告による休業災害の推移

年別災害程度別休業災害の推移
重篤災害 10万人率 休業4日以上 10万人率
2007/08 28 199 111.1 110 054 433.8
2008/09 27 894 109.4 105 261 412.7
2009/10 26 268 104.9 96 427 385.1
2010/11 24 944 99.9 91 742 367.5
2011/12p 22 433 89.9 88 731 355.5

3) 自己申告による休業災害

  • 自己申告による休業災害は、労働力調査の推計によれば2003/2004年以降毎年6%減少してきている。
  • 約4分の1は」休業8日以上であり、3分の1は休業3日以上であった、
  • 自己申告の結果は、被雇用者の要報告休業災害の約半数が死傷病報告規則に記録され、自営業者の要報告災害についてはより少ない件数が死傷病報告規則に記録されていることを示唆している。

過去12か月間の災害の程度別普及災害の推移(標本バラツキ平均:±6%)

年別災害程度別自己申告休業災害推計(単位千)
休業3日以下 4会場7日以下 8日以上
中央値 95%信頼性区間 中央値 95%信頼性区間 中央値 95%信頼性区間
2006/07 576 540 613 73 60 85 201 180 223
2007/08 517 482 552 81 67 95 217 195 240
2009/10 491 453 528 66 53 80 164 143 185
2010/11 403 367 439 50 37 62 150 129 172
2011/12 379 345 413 56 43 69 156 134 178

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