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中央労働災害防止協会(中災防)
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国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2013年1月31日
ドイツの労働災害(職業性疾病を含む。)の発生状況が、社会災害保険機構(DGUV, Deutsche Gesetzliche Unfallversicherung
)から公表されているので、その一部を紹介する。
法定災害保険は、ドイツの社会保障制度における5つの強制保険の1つである。被雇用者、子供及び学生は、事業所、学校、保育園、高等教育機関における諸活動中の災害について保険が適用される、また、家事使用人、奉仕活動従事者(Voluntary workers)などのその他のグループも適用される。
全体で7,000万人を超えるドイツ国民がこの法定災害保険による保護を受けている。法定の失業保険、退職年金保険、健康保険、介護保険とは対照的に、法定災害保険は被保険者個人からの保険料を必要としていず、雇用者及び国が支払う仕組みとなっている。
このため、多くのドイツ国民は業務上災害に遭い、職業性疾病に罹るまで法定災害保険制度を直接経験することはない。ドイツの法定災害保険制度は長い歴史を有しており、1884年にビスマルクの社会法制の一部として最初に導入された。現行の法制は、ドイツ社会法典第7巻によっている。
2011年、7,590万人のドイツ国民が業務上災害、通勤災害、学校災害及び職業性疾病に対する保険の適用を受けている。この数値には1,710万人の学校、保育園等の学童、高等教育の学生が含まれる。また、390万の会社及び教育機関が社会災害保険機構の参加となっており、このうち会社は320万、学童災害保険によりカバーされる教育機関は14万1千である。
産業部門及び公務部門における災害保険機関においては、総計919,025件の要報告災害(休業4日以上の死傷災害)が発生し、前年に比べて3.7%減少した。常用労働者換算1,000人当たりの災害発生(年千人率)は、24.5(7対前年比−5.1%)に減少した。
年金支給及び死亡給付である重篤災害は、15,740件であった。千人率は、2010年の0.448から0.420へと6.3%減少した。また、498件の死亡災害が発生した。産業部門及び公務部門の要報告通勤災害は188,452件で、1,000保険関係当たりでは2010年の5.25から4.34へと減少した。通勤災害の新規年金支給件数は5,951件で1,000保険関係当たり2010年の0.142から0.137へと減少した。死亡は2010年の367件から394件へと増加した。
業務上災害、通勤災害 | 産業及び公務部門の災害保険 | ||
---|---|---|---|
2010年 | 2011年 | 増減(%) | |
要報告業務上災害 | 954,459 | 919,025 | -3.71 |
常用労働者換算1,000人当たり件数 | 25.84 | 24.52 | -5.09 |
要報告通勤災害 | 223,973 | 188,452 | -15.86 |
1,000保険関係当たり件数 | 5.25 | 4.34 | -17.16 |
要報告災害合計 | 1,178,432 | 1,107,477 | -6.02 |
業務災害新規年金件数 | 16,564 | 15,740 | -4.97 |
労働者換算1,00人当たり件数 | 0.448 | 0.420 | -6.33 |
新規年金件数 | 6,076 | 5,951 | -2.06 |
1,000保険関係当たり件数 | 0.142 | 0.137 | -3.57 |
新規年金合計 | 22,640 | 21,691 | -4.19 |
業務上死亡 | 519 | 498 | -4.05 |
通勤死亡 | 367 | 394 | +7.36 |
死亡災害合計 | 886 | 892 | +0.68 |
2010 | 2011 | 増減(%) | |
---|---|---|---|
産業部門における災害保険 | 840,848 | 833,965 | -0.82 |
原材料及び化学関係同業組合 | 22,689 | 22,425 | -1.16 |
木材加工、金属加工関係同業組合 | 163,864 | 168,722 | +2.96 |
エネルギー、電気及びメディア製品関係同業組合 | 63,206 | 61,064 | -3.39 |
建設業同業組合 | 117,736 | 116,689 | -0.89 |
食品外食関係同業組合 | 72,921 | 69,061 | -5.29 |
販売,流通関連同業組合 | 100,417 | 102,004 | +1.58 |
運輸関係同業組合 | 60,995 | 59,692 | -2.14 |
管理部門関係同業組合 | 174,779 | 169,041 | -3.28 |
医療福祉関係同業組合 | 64,241 | 65,267 | +1.60 |
公務部門における災害保険 | 113,611 | 85,060 | -25.13 |
*同業組合:BG(Berufsgenossenschaften)
産業及び公務部門災害保険機関並びに学童災害保険機関の所掌する分野において、職業性疾病が疑われる事案の届け出件数は、2011年には前年に比べて1.4%増加し71,269件であった。各報告事案は、調査される。
2011年には、71,738件について調査が実施された。これらのうち15,262件(対前年比−1.3%)について職業性疾病と認定され、5,407件(−11.7%)件が年金支給と決定された。さらに19,311件(-22.5%)が業務起因性があるとされたが、職業性疾病の法的認定のための要件を満足していなかった。これらの事案は、危険活動が中止していない皮膚疾患などである。それでも必要に応じて、職業性疾病にかかる規則(the BKV § 3)に基づき、個別の防止対策と医学的リハビリは施された。2011年に行われた調査(34,753件)のうちの48.2%において、疾病の業務起因性が確認された。37,165件(−2.1%)については、作業現場で対応する危険源がなくまたは当該疾病とばく露の関係が同定されなかったことから職業性疾病の疑いは確認されなかった。
職業性疾病に起因する2,548件の死亡が記録された。大部分は無機粉じん、特に石綿によるものである。
2010 | 2011 | 増減(%) | |
---|---|---|---|
疑いのある事案の届け出件数 | 70,277 | 71,269 | +1.4 |
業務起因が確認された事案 | 31,219 | 34,573 | +10.7 |
うち職業性疾病と認定された事案 | 15,461 | 15,262 | -1.3 |
うち新規年金 | 6,123 | 5,407 | -11.7 |
保険に関する追加的要件不足事案 | 15,758 | 19,311 | +22.5 |
業務起因性が認められなかった事案 | 37,967 | 37,165 | -2.1 |
決定総件数 | 69,186 | 71,738 | +3.7 |
職業性疾病による死亡 | 2,486 | 2,548 | +2.5 |