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国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別、分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2008年8月14日
毎年行われてきた安全衛生に関する欧州キャンペーンの2008/2009年のテーマはリスクアセスメントとなり、 これに関連するFactsheet、パワポイント教材など種々の情報が下記の欧州キャンペーンのホームページに掲載されているが、 その中の「Factsheet80:リスクアセスメントにおける役割と責任」の和訳を掲載する。
リスクアセスメントに関する2008/2009年欧州キャンペーンについては、 別項の「2008/2009年の安全衛生欧州キャンペーンのテーマはリスクアセスメント」を参照
ヨーロッパにおいては、作業者の安全と健康は、 リスクに対するアセスメントとマネジメントによる取り組みによって守ることとされている。 作業場所において、リスクアセスメントを効果的に行うためには、すべての関係者が、 リスクアセスメントについての法律による決まり、概念、進め方および関係者の役割を明確に理解していることを必要とする。(1)
EU枠組み指令において、リスクアセスメントの果たす重要な役割が示されている。(2)
雇用者には、作業に関連するあらゆる面において、作業者の安全と健康を確実に守る一般的な義務が課せられている。 リスクアセスメントによって、雇用者が自己の作業者の安全と健康を守るために必要な、以下に示す手段を実施することが可能となる。
指令の枠組みは、各加盟国の法規に転移されているが、各加盟国は、それぞれの作業者を守るため、 より厳しい法規を制定する権利がある。(それぞれ自国の法規をチェックする必要がある。)(3)
リスクアセスメントとは、 作業場所に存在するハザードから生ずる作業者の安全と健康に対するリスクを評価するプロセスであり、 作業のあらゆる面に関し、下記の事項を体系的に検討することである。
リスクアセスメントを進めるための手順としては、以下の一連のステップに分解して検討することが適当である。(4)
ステップ1 ハザードとリスクの特定
作業においてハームを生ずるおそれがあることを探し出すとともに、ハザードを受けるおそれのある作業者を特定する。
ステップ2 リスクの評価と優先順位付け
存在するリスクの程度(重大さ、可能性など)を推定し、それらを重要度に従って優先順位付けをする。
作業を実行するにおいての、リスクの排除か防止を最優先とすることが不可欠である。
ステップ3 防止対策の決定
リスクを排除するか、または抑制するための適切な対策を特定する。
ステップ4 対策の実施
多くの場合、全部の問題を直ちに解決するのは、難しいことだが、優先順位付けした計画に従って、
排除かまたは防止対策を実施する。このとき、だれが何を、いつするのか、いつまでに完成させるのか、
どのような手段を用いるかを明らかとする。
ステップ5 モニタリングと見直し
リスクアセスメントは、確実に現状に適合するよう、一定の期間ごとに見直しをする必要がある。
作業のための組織の変更があったとき、または災害かニアミス(5)の原因調査結果によってその必要が生じたときは、
見直しをしなければならない。
雇用者は以下の義務を有する。
雇用者は、リスクアセスメント実施担当者を下記の中から選定する。
リスクアセスメント実施担当者として雇用者により指名された者は、その能力を有する必要がある。 多くの場合、安全と健康の専門家である必要はないが、以下の能力を持たなければならない。
作業者とその安全代表者は、以下の権利と義務を有する。
異なった企業に所属する被雇用者が同一作業場所で作業するとき、 各企業のリスクアセスメント担当者は、リスクおよびそのリスクに対する防止対策について、 情報を共有する必要がある。
企業がリスクアセスメントを行うに際しては、多くの情報源を利用することができる。
リスクアセスメントに用いる方法は、作業場所の状態、例えば、作業者数、作業内容と機器の種類、作業場所の特性、 存在する特殊なリスクによって異なる。リスクアセスメントに関する情報源は、以下において入手することができる。
リスクアセスメントは、雇用者、雇用者とその代表者だけで実施してはならない。 被雇用者かその安全代表者が参加するべきである。 作業者はリスクアセスメントの過程自体において、協議に参加するべきである。 実施することが決定された防止対策ばかりでなく、結論が得られた事項については、 すべて情報が提供されなければならない。
リスクアセスメントを行うにおいては、 被雇用者の作業場所に存在する他の企業者(例えば、清掃業者、民間警備員、保全作業者) または他の部外者(例えば、来客、訪問者、通行人)などが存在する可能性を考慮しなければならない。 これらは、リスクのある人々だと見なす必要があるが、これらの存在することが、 別の新しいリスクを作業場所に発生させることがないかどうかにも注意を向けるべきである。
外部のサービスであっても、だれがリスクアセスメントを実施するにしても、その結果に対して責任を有するのは雇用者である。
このFact sheetは、リスクアセスメントに関する2008/09年のヨーロッパ安全衛生キャンペーンのために作成された。
他のFact sheetsとリスクアセスメントに関する詳細な資料は、 http://osha.europa.eu/topics/riskassessment において入手できる。
これらの資料は、絶えず見直しと改訂が行われている。
注(1) | このFact sheetの内容は、下記資料に基づいている。 Guidance on risk assessment at work, Luxembourg:Office for Official Publications of the European Communities, 1996. |
(2) | 欧州理事会の安全衛生に関する枠組み指令: Council Directive 89/391/EEC of 12 June 1989 on the introduction of measures to encourage improvements in the safety and health of workers at work. |
(3) | Ireland:www.hsa.ie; Malta:www.ohsa.org.mt; United Kingdom:www.hse.gov.uk/risk/index.htm アイルランド:www.hsa.ie。 マルタ:www.ohsa.org.mt。 イギリス:www.hse.gov.uk/リスク/index.htm |
(4) | 加盟国によっては、リスクアセスメントのステップ数が5段階より少ないか、 多い場合もあるが指針の原理としては、異なるものではない。 |
(5) | ニアミスとは、傷害、疾病または損害をもたらさなかったが、 それが生ずるおそれがあった予見をしていなかった事象である。 |
European Agency for Safety and Health at Work(欧州安全衛生機構)
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Fax(+34)94 479 43 83
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