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国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別、分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2008年8月14日
毎年行われてきた安全衛生に関する欧州キャンペーンの2008/2009年のテーマはリスクアセスメントとなり、 これに関連するFactsheet、パワポイント教材など種々の情報が下記の欧州キャンペーンのホームページに掲載されているが、 その中の「Factsheet81: リスクアセスメント−安全で健康な職場への「鍵」」の和訳を掲載する。
リスクアセスメントに関する2008/2009年欧州キャンペーンについては、 別項の「2008/2009年の安全衛生欧州キャンペーンのテーマはリスクアセスメント」を参照
European Agency for Safety and Health at Work(欧州安全衛生機構)
Factsheet81 リスクアセスメント–安全で健康な職場への「鍵」
EUにおいては、数分にひとりが業務上の原因で死亡し、何十万人もの被雇用者が作業で毎年負傷している。 さらに作業場所に関連するストレス、過剰労働、筋骨格系障害またはその他の疾病によって仕事を離れている。 これらの事故と疾病による作業者とその家族の負う人的なコストは莫大である。 医療関連の機関に対する大きな負担になっているし、企業の生産性にも悪影響を与えている。
リスクアセスメントは、安全と健康の良好なマネジメントの基礎であり、業務上の傷害と疾病を減少させる「鍵」である。 適切に実施されたとき、職場の安全と健康を向上させるばかりでなく、一般に企業の成績を向上させることができる。
リスクアセスメントとは、作業場所に存在するハザードから生ずる作業者の安全と健康に対するリスクを評価するプロセスであり、 作業のあらゆる面に関して、下記を体系的に検討することである。
雇用者には、作業に関連するあらゆる面において、リスクアセスメントを実施することによって、 作業者の安全と健康を確実に守る一般的な義務が課せられている。
EUの枠組指令(2)は、リスクアセスメントの果たす重要な役割を強調すると共に、 その他の雇用者が守らなければならない基本的な条項を示している。 各加盟国は、自国の作業者を守るために、より厳しい法規を制定する権利がある。 (それぞれ自国の法規をチェックする必要がある。)(3)
多くの事業場においては、リスクアセスメントに簡単な5ステップ(4)のアプローチを用いることが適している。 しかしながら、特に複雑なリスクや事情が存在するときには、他の方法の適することがある。
ステップ1:ハザードおよびリスクを受ける者の特定
対象となるハザードを特定するためのヒントを以下に示す。
各々のハザードについて、だれがハームを受けるかを明確とすることが重要である。 これは、リスクをマネジメントする最良の方法を特定するために役立つ。 これは、個人の名前をリストアップすることを意味せず、「倉庫で働く人」「通行人」というように、グループを特定すればよい。 また、清掃者、請負業者および一般公衆もリスクを受けることがある。
男女の性差(5)、特にリスクが大きいか、あるいは特別の要件に該当する作業者のグループには、 特別の注意を要する(ボックスを参照)。 それぞれの場合、どのような災害が生ずるか、例えば、どんなタイプの傷害・疾病が起こるかを特定することが重要である。
リスクが大きい可能性のある作業者
ステップ2:リスクの評価と優先順位付け
このステップは、個々のハザードから生ずるリスクの評価であり、以下の事項を検討する。
大多数の作業場所におけるハザードまたは作業については、 リスクの評価に専門的技術または複雑な手法を必要とせず、単純な判断で足りることが多い。 このようなときは、ハザードの程度が低いか、リスクがよく認識されているか、 または容易に特定され、抑制手段の実施が容易である。 ほとんどの事業場(特に中小企業)においては、このようなことが多い。 次にリスクについての優先順位付けを行い、その順位に沿って取り組みを進める。
ステップ3:防止対策の決定
このステップは、以下を検討して、どのような方法でリスクを排除するか、または抑制するかを決める。
リスクの防止と抑制を実施するとき、下記に示す防止に関する原則に従わなければならない:
ステップ4:対策の実施
次のステップは、防止および防護の手段を実施することである。作業者とその安全代表者がこれに参加することが重要である。
実施を効果的に行うためには、下記について明確にしておくことが必要である。
ステップ5:モニタリングと見直し
防止および防護の手段が、機能しているか、導入準備中であるか、 新しい問題が特定されていないかを確認する定期的チェックを怠ってはならない。
リスクアセスメントの見直しは、リスクの性質、作業内容の変更の可能性、 事故またはニヤミス(6)の原因調査などに対応して行わなければならない。 リスクアセスメントは、一回実施すればそれだけで終わるというものではない。
リスクアセスメントについては、記録を作成することが必要である。この記録は、下記のために利用することができる。
下記の事項を記録することを推奨する。
このFact sheetは、リスクアセスメントに関する2008/09年のヨーロッパ安全衛生キャンペーンのために作成された。
他のFact sheetsとリスクアセスメントに関する詳細な資料は、
これらの資料は、絶えず見直しと改訂が行われている。
注(1) | このFact sheetの内容は、下記に基づいている. Guidance on risk assessment at work、Luxembourg:Office for Official Publications of the European Communities、1996。 |
(2) | 欧州理事会の安全衛生に関する枠組み指令: Council Directive 89/391/EEC of 12 June 1989 on the introduction of measures to encourage improvements in the safety and health of workers at work。 |
(3) | Ireland:www.hsa.ie; Malta:www.ohsa.org.mt; United Kingdom: www.hse.gov.uk/risk/index.htm アイルランド:www.hsa.ie。 マルタ:www.ohsa.org.mt。 イギリス:www.hse.gov.uk/リスク/index.htm |
(4) | 加盟国によっては、リスクアセスメントのステップ数が5段階より少ないか、 多い場合もあるが指針の原理としては、異なるものではない。 |
(5) | Factsheet43:男女均等問題を含むリスクアセスメント http://osha.europa.eu/topics/riskassessment |
(6) | ニアミスとは、傷害、疾病または損害をもたらさなかったが、それが生ずるおそれがあった予見をしていなかった事象である。 |
European Agency for Safety and Health at Work(欧州安全衛生機構)
Gran Via、33、E–48009Bilbao Tel.(+34)94 479 43 60、Fax(+34)94 479 43 83
E–mail information@osha.europa.eu
出所を示した場合においては、コピーを許可する。