お問合せ
中央労働災害防止協会(中災防)
技術支援部
国際課
TEL 03-3452-6297
FAX 03-5445-1774
E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2008年12月25日
HSE What’s New
2008年7月2日
イギリス安全衛生庁HSEが作成、提供している諸般の資料の中の手引書(guidance)のひとつである。
種々の揚重設備の詳細な検査の実施について、包括的に記載している。
仕事に使用する揚重設備を提供する事業者又は自営業者若しくは揚重設備の使用を管理する者は、 揚重設備を安全な状態にしておかなければならない。 その主要な要求事項は、「作業装置の提供と使用に関する規則 (the Provision and Use of Work Equipment Regulation 1998, PUWER、以下「作業装置規則」)」 及び「揚重作業及び揚重設備に関する規則(the Lifting Operation and Lifting Equipment Regulation 1998, LOLER、以下「揚重規則」)」 に規定されている。
揚重設備の使用に伴う特定のリスクについて取り扱っている。 詳細な検査と試験がこの規則の鍵となる要求事項である。 これらの要求事項を満たすために責任者は:
劣化の原因となる状況は、湿気、磨耗、腐食環境などである。
規則の適用範囲は広く、種々の装置を含む(表1にその例を示す)。規則の適用に関しては、次の重要な定義がある。
表1 揚重規則が適用される設備
Lifting equipment | 揚重設備 |
---|---|
Cranes | クレーン |
Workplace passenger and goods liftsv | 事業場内常用及び荷物用昇降機 |
Construction hoists | 建設用リフト |
Dumb waiters | ダムウェイター |
Vehicle tail lifts | 車両後部搭載リフト |
Bath hoists | バスホイスト |
Stair-lifts | 階段昇降機 |
Tele-handlers and industrial lift trucks | テレハンドラー及びリフトトラック |
Vehicle lifts | 車両用昇降機 |
Accessories for lifting | 揚重付属品 |
---|---|
Slings | 玉掛け用ロープ |
Hooks | フック |
Shackles | シャクル |
Eyebolts | アイボルト |
Rope used for climbing or work positioning | クライミング又は位置決め用ロープ |
つり上げに使用されるいくつかの装置は、揚重規則が適用されない。 この場合においても、作業装置を安全かつ適切に使用するための、作業装置規則に基づく義務を負っている。これらの例としては、
がある。
一般公衆の用に供する揚重設備(ショッピングセンターや駅のエレベータなど)は、
作業装置規則又は揚重規則による義務はない。ただし、装置の安全を確保することについての労働安全衛生法の義務は適用される。
揚重規則に基づく要求事項を満足していれば、同法による義務を履行したことになると見なされる。
詳細検査とは、危険であり又は危険となる可能性のある欠陥を検出するための有資格者による揚重設備の系統的かつ詳細な検査をいう。
詳細検査の範囲は、この有資格者が決定し、実施に当っては多くの指導書を活用する。
HSEの契約調査報告である「揚重設備の各項目の詳細検査及び点検(CRR429)」も有効な参考資料である。
有資格者は、
揚重設備は、
詳細検査を実施しなければならない。
付属装置も詳細検査計画に沿って6月ごとに詳細検査を行う。
表2 検査間隔
設備の種類 | 6月 | 12月 | 詳細検査計画 |
---|---|---|---|
揚重付属品 | ○ | ○ | |
人の昇降設備 | ○ | ○ | |
その他の揚重設備 | ○ | ○ |
又、損傷、故障、長期間未使用の使用再開、性能に大きく影響する変更などの場合には、常に詳細検査を行わなければならない。
詳細検査計画には、
詳細検査及び揚重設備の操作条件に合うように計画された点検についての細部の日程計画、
検査技法並びにテストに関する要求事項が含まれる。
詳細検査計画は:
揚重規則のもとにおいては、詳細検査の間隔の間においての適当な間隔で揚重設備を検査する必要がでてくる場合がある。
これは、一般的にはリスクアセスメントで使用による重要なリスクを確認した場合である。
これらの随時検査が必要な場合:
PUWERの規定により、危険な状況をもたらす可能性のある劣化の原因となる条件にばく露されるすべての作業装置については、
検査しなければならない。フォークリフトなどの揚重設備については、
揚重に関係する部分とともに関係ない部分についても検査する必要がある。
フォークリフトを使用する場合の例:
このような場合には、LOLERとPULERの検査を適宜組み合わせることができる。 有資格者がこの点についてのアドバイスを行うことができる。又、さらに必要なら、 英国産業トラック協会(BITA)、フォークリフト協会(FLTA)及び安全審査連盟(SAFed)から情報を得ることができる。
通常、メインテナンスに含まれるのは、点検及び磨耗し若しくは損傷した部品の交換、
給油、期限が来た部品の交換、液体(液面)の補充及び定期的調整であり、検査とは異なる。
メインテナンスは、設備が所定の目的どおりに継続稼動することを確保するものであり、
磨耗又は劣化によるリスクを排除しようとするものである。
詳細検査はメインテナンスの不十分さを示すことがあるが、メインテナンスに代わるものではない。
詳細検査の結果を待ってメインテナンスを行うということではない。
メインテナンスは、PUWERに基づく要求であり、揚重設備を含むあらゆる作業装置に適用するものである。
すべての揚重設備についての詳細検査及び検査の記録を保管しておかなければならない(表3 参照)。
有資格者は、詳細検査の報告書及び当該有資格者が行った随時検査の報告書を提出しなければならない。
報告には、欠陥がある。場合にそれを明確にし、是正することについて記載しなければならない。
表3 記録の保管
詳細及び随時検査の種類 | 記録の保管期間 |
---|---|
最初の使用前の詳細検査 | 揚重設備:当該設備の使用を廃止するまで 揚重付属品:2年間 |
設備の安全が設置条件に関係する場合の使用前の詳細検査 | 揚重設備が設置され又は組み立てられた場所での使用を廃止するまで |
稼動中の詳細検査(6月又は12月若しくは検査計画) | 次の報告が行われるまで又は2年間のいずれか長い期間 |
稼動中の随時検査及び試験 | 次の報告が行われるまで |
このリーフレットは、LOLERにおいて規定している詳細及び随時検査についての情報を提供するものである。 検査の他にもLOLERによる義務(揚重装置の標識、揚重作業の組織など)、さらには他の安全衛生法による義務が課せられている。 例えば、作業安全衛生管理規則(1999)によるリスクアセスメントの義務がある。