DUGV News 2008年12月12日

欧州安全衛生研究機関協力機構の改革

欧州14カ国に設置されている15の安全衛生研究機関は、 共同して「欧州安全衛生研究機関協力機構」 (Partnership for European Research in Occupational Safety and Health (PEROSH))を2003年から設置していたが、 研究活動における一層の連携の強化を図るため、2008年11月にダブリンで会合を開き、 機構を改革して、共通する重点テーマに提携して取り組むことに合意した。 近接する諸国における共通した労働安全衛生の問題に、共同で取り組むことにより、 一層意義のある成果の得られることを求めるものである。
今後の活動のために、運営委員会及び重点テーマごとの4作業グループを設置する。

運営委員会

15の各国研究機関の代表（所長）から構成され、PEROSHの運営戦略について協議する。 毎年2回会合を開いて、とりわけ、新メンバーの加入、重点テーマ作業グループの設置、 共同研究の推進、事業計画、特殊知識の発展について検討する。

重点テーマ作業グループ

当面以下の4つの作業グループを設置する。

• 新しい時代の問題 Emerging issues
  雇用、早期退職、グローバリゼーション、常習欠勤などの問題を含むが、なお一層広い範囲の問題について検討する。 10年を超える将来における労働安全衛生上のリスクとその対策が重要である。問題解決策よりも、リスクの評価を主な目的とする。
• 作業組織と社会心理的要素 Work organisation and psychosocial factors
  作業組織（労働の分担、任務／職務の内容、仕事の手順、リーダーシップの型、関連行動）の労働安全衛生 （特に災害発生、筋骨格系障害、心理的ストレス）との関連について検討する。
• 健康的な職場の推進 Promoting a healthy workplace
  労働安全衛生において、健康的な職場の確立と推進は、その一部ではあるが、 個人及び会社レベルにおける介入／見積に関する健康に対する評価を導入する。 ライフスタイルと加齢による影響も検討に含める。中小企業に対する知識移転においては、注意を要する。 研究及びその応用に重点を置く。
• ナノテクノロジーとナノ粒子 Nanotechnology and Nanoparticles

新技術は、新しいリスクと問題を生じる。ナノ粒子に関する粉じん発生、 エアロゾルの挙動、吸入／皮膚経由の摂取及び毒性（新健康影響、新ばく露限界）の研究が必要である。 この問題に関する作業グループは、2005年から設置されている。

加盟機関の機関名、同英名、国名、URL

	Arbetslivsinstitutet (The National Institute for Working Life - NIWL) Sweden（July 1, 2007に閉鎖）
	BGIA - Institut für Arbeitsschutz der Deutschen Gesetzlichen Unfallversicherung (BGIA - Institute for Occupational Safety and Health) Germany
	Bundesanstalt für Arbeitsschutz und Arbeitsmedizin (BAuA) (Federal Institute for Occupational Safety and Health) Germany
	Centralny Instytut Ochrony Pracy - Państwowy Instytut Badawczy (CIOP-PIB) (Central Institute for Labour Protection-National Research Insitute) Poland
	Det Nationale Forskningscenter for Arbejdsmiljø (NFA) (National Research Centre for the Work (HSL),ing Environment) Denmark
	Health & Safety Laboratory (HSL), United Kingdom
	Országos Munkahigiénés és Foglalkozás-egészségügyi Intézet (OMFI) Hungarian Institute of Occupational Health( OMFI) Hugary
	Institut National de Recherche et de Sécurité (INRS) （National institute for research of safety） France
	Instituto Nacional de Seguridad e Higiene en el Trabajo（INSHT） （National Institute of Safety and Hygiene at Work） Spain
	Istituto Superiore per la Prevenzione e la Sicurezza del Lavoro（ISPESL） （National Institute for Occupational Safety and Prevention） Italy
	PREVENT−S'investir dans l'homme au travail （Prevent−Institute for Occupational Safety and Health） Belgium
	Statens arbeidsmiljøinstitutt (STAMI) （National Institute of Occupational Health） Norway
	Työterveyslaitos (Finnish Institute of Occupational Health - FIOH) Finland
	TNO Arbeid （TNO Work and Employment） Netherlands
	Výzkumný ústav bezpečnosti práce, v.v.i.（VÚBP, v.v.i.） Occupational Safety Research Institute Czech Republic

関連情報

• 安全衛生研究計画に関する情報源例（英語圏）としては下記がある。
  イギリスHSE： Science & research programme
  アメリカNIOSH： The National Occupational Research Agenda (NORA)
  ドイツBAuA： Research projects （プロジェクトのリスト）
  ドイツBGIA： Principles of research
  フランスINRS： Research orientations
• 安全衛生全般に関する各国、諸機関の長期戦略は、 EU OSHAのウェブサイトにそのページが設けられている。
  各組織の戦略
  Organisations and strategies
  欧州における各国及び国際機関の安全衛生に関する戦略
  What are the current European, national and international strategies on OSH?
  欧州以外における安全衛生に関する戦略
  What is going on in OSH outside the EU?